転生傍観者~リリカルな人達~【改訂版】   作:マのつくお兄さん

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31.お風呂と同盟

 気付けば夕方である。

 右足には再び聖骸布が巻かれ、とりあえずは精神汚染と激痛に悩まされなくて良くなったのは本当に助かった。脂汗が酷かったせいで激痛は終わってもずっと気持ち悪くて仕方がなかったけど。

 

 ついでに言うと、痛みが無くなったことで張っていた気が緩んで倒れそうだけど。っていうか、実際さっきまで気を失ってたんだけど。

 

 現在地は、僕の家である。

 なんかもう、どう説明したものかという感じなんだけど、あの後に僕が「恵理那ちゃん悪い人じゃないよ。助けてくれてるんだよ」的なことを言ったらしく、そのまま気を失ったとかで、ひと悶着あった末に僕を家へと届けたそうだ。

 で、現在の僕は聖骸布を脚に巻きつけたままお風呂なうである。これ濡らしていいのかとかちょっと色々心配だったけど、衛生面でも清潔な物を投影しているから大丈夫だと恵理那ちゃんに言われたわけである。

 額が割れて血が出てたのも治してくれたし恵理那ちゃんさまさまである。

 

 そして今は脂汗を全部シャワーで流して、べたついた髪の毛と身体を綺麗に洗い流して、とっても良い気分ではあるんだけども、問題がございまして。

 

「いや~、良いお湯ロボ」

「え~っと……えと、うん、そうだね~」

 

 何故か、エルザちゃんまで一緒に風呂入ってるんだよね。

 

 うん、一応この子中学生だし、胸大きいから色々目のやり場に困るんだけど、僕を後ろから抱きしめる形で一緒にお風呂入ってまして、背中にふにょんふにょん当たってるわけです。

 

 非常に、恥ずかしいですね!!

 

 もうね~、昨日も今朝も全裸に剥かれて着替えさせられたし、今更だろって思うかもだけど、相手も全裸っていうのはちょっと違うよね。

 そりゃあ確かに今の僕ってば小学生で、精通も来てませんから性欲なんてものもありませんし、別に変な気持ちになったりはしないですけどもね?

 正直、落ち着くしね……うぅ、中学生に母性感じてるのかね、僕。まかり間違ってお母さんとか呼ばないように気をつけておこう。お姉ちゃんなら有りだけど。

 

「今更だけど、もうちょっと慎みを持った方が良いと思うよエルザちゃん……」

「んふふ~。あの博士の作ったロボットが慎みなんて持つと思ったら大間違いロボ?」

「なるほど納得だよ~……」

 

 でもロボットって言うけど、こんな本気で人間にしか思えない質感と感触と体温、どう考えても人間にしか思えないんだよね……今更だけど博士の技術力の高さが分かるよ。

 

 あぁ、博士といえば、エルザちゃんが僕をお風呂入れてくると言った時に猛烈に反対するかと思ったけど、苦笑して「では任せるのである、エルザ」と言っただけだった。むしろ刹那の方が「いや、中学生の女の子が小学生とはいえ男の子と一緒にお風呂はどうかと思うよ!?」とか騒いでたよ。

 終いには代わりにセイバーを入らせようとしてたけど、それじゃあ得体の知れない相手がいるところで刹那が一人で残される形になって心配だから、とセイバーが断ったらしい。

 博士とエルザちゃんを戦力として数えてあげようよとか思ったけど、さっきのさっきだから信頼は出来ないよね、そりゃ。あの場面で弾切れでしかも自己申告しちゃうんだもの。

 

 とか考えてたら、エルザちゃんが前かがみになって僕の肩に顎を乗っけてきました。

 

「ん~……しかし、あれロボね。もっとこう、男の子だしもっと喜ぶかと思ったけど、そうでもないロボ? むしろ男の子同士の方が興奮するタイプロボ?」

「待って!? エルザちゃんは僕にどういう反応を期待してるのソレ!?」

 

 あと、耳元で囁かないで!? ぞわってしたから!! 呪いのアレに比べたら嫌どころか天国だけど!!

 

「ま、そういうどうでも良い事は置いておくとして……義嗣の体温的にそろそろ上がると丁度よさそうロボね。ささ、上がるロボ?」

「耳元で言わないでぇ!?」

 

 あふん、とか変な声漏れそうだから僕!!

 

 

 

 

 酷い目にあった……。

 

 早めにお風呂上がれたのはいいけど、結局身体拭くのも全部エルザちゃんがやってくれて、エルザちゃんは身体を隠そうともしないから僕は眼のやり場に困るし、かといってそっぽを向いてると顔を掴んで無理やり自分の方を見させてニッコリ微笑んでくるし、なんだろうね、ラッキースケベイベントなんだろうけど、精神値ガリガリ削られた気がするのは。下手したら呪いよりも削られた気がするよ。

 

 まぁ、身体洗うのも拭くのも、今全然力入らなくて立ったり座ったりだけでも身体崩れ落ちそうだから助かったんだけどさぁ……。

 思春期の男の子に、そういうの絶対良くないよエルザちゃん……あうあうあ。

 

 ごめんねユーノくん。あの時女湯に連れて行かれるの阻止できなくて……。

 

「今戻ったロボ~!!」

「うむ。早かったであるな?」

「エルザはまた夜に入るから自分は簡単に洗うだけにしてきたロボ」

「……えっと、義嗣、なんか随分疲れた顔してるけど、大丈夫?」

「男の子として色々尊厳が傷ついた気はするけど、身体自体はすこぶる好調だよ……」

「いや、なんというか……強く生きられよ、佐藤殿」

「サンキューセイバー……」

 

 居間に戻ると思い思いに声をかけてくれるけれども、とりあえず早く座らせてください。

 

 で、刹那の隣に座ろうとしたらエルザちゃんに捕まって膝の上に乗っけられたんだけど、なんでだろうね? なんで僕こんなにこの子に懐かれてんだろうね。僕なんかしたか?

 まぁいいや。

 え~っと、僕の右隣には刹那、その隣にセイバーが座り、僕の左隣には博士が。そして僕の正面では津軽さんが退屈そうに頬杖をかいて座っている。

 

「遅いわよ。レディを待たせるなんて何様のつもりなのかしら?」

「これは失礼をしましたミ・レディ」

「……ちびっこに言われても滑稽さしか無いわよ」

 

 ぐっ、我ながらちょっと恥ずかしいなとは思ったけど頑張って言ってみたのに!!

 

「そんなことはどうでも良いよ。……で、結局君はなんのつもりで接触してきたんだい?」

「あら? 私はただ、クラスメイトが呪いに苦しんでいるのに気付いて、心配して手助けしてあげようとしただけよ?」

「そんな見え透いた嘘、信じると思うのかい?」

「あら、人を信じることから人間関係って始まると思わない?」

「それが信じるに値する相手なら、ね」

「あら怖いわね。別に話し合いする気がないのなら、私はその子に貸してる聖骸布返してもらって帰ってもいいのだけれど?」

「ぐっ……」

 

 あ~、僕の存在無ければある程度は渡り合えたかもだけど、僕の存在自体が人質になってるから、まともに張り合ってもこっちが不利なだけだもんね。

 

「ごめん。僕が話させてもらってもいいかな」

「義嗣……」

「えぇ、構わないわよ? 貴方、割と理性的な子みたいだしね」

 

 この状況下で強がるそこの子と違って、と鼻で笑う津軽さんに若干ムッとしたが、流しておく。僕よりも刹那やセイバーの方がイラッとしてるのを我慢してるんだろうし。

 

「まず、聖骸布ありがとう」

「いえいえ、お友達が苦しんでいるのを見てられないもの」

 

 口に手をあててくすくすと笑うのがこれほど似合う子って中々いないよな~。いや、個人的には刹那のほうが似合うと思うけど。

 

「ん、でね。今回の怪異解決手伝ってもらいたいんだけど、良いかな」

 

 僕の発言に、一瞬刹那とセイバーがこっちを睨んできたような気がしたけど気にしない。津軽さんも片眉を上げて驚いたような顔をしたけれど、すぐに猫みたいな笑みを浮かべ直す。

 

「……ふぅん。訊かないのね? 私が貴方をつけてきた理由とか、色々尋問まがいのことした理由とか」

「そんなのどうでも良いよ。こうして聖骸布を無償で貸してもらってるのはこっちだし、そこにどんな利害があるのかなんて興味ないもの。

 それよりも、今回の怪異解決のほうが重要でしょ? え~っと、神格持ちレベルの呪い、だっけ?」

「ん~……正確には神格持ちレベルに近い、だけどね。投影品の聖骸布で抑えられてる時点で貴方自身によってある程度レジストされて弱体化してるのは間違いないと思うわ。じゃなかったら、聖骸布だけじゃとてもじゃないけど抑え切れるものじゃない」

「そか。本当にどうしてレジストされてるのかわからないけど、まぁそこは良いや。悪い方向に働いてる訳じゃないんだし。

 え~っと、まぁそういうわけで、そんな呪いをばらまくのがこの街をうろついてるってだけで、危ないじゃない? そんなのが街中にばら撒かれたら色々大変だと思うし、そこに関しては津軽さんも変わらないと思うんだけど、どう?」

「そうね。正直、自分に被害出ないなら放置しても良い所だけど、そういう危ない物を放置する気は私もサラサラ無いわ。

 ――それにしても、貴方あの時私に脅されて半泣きしてた子とは思えないわね。やっぱりあの時のは演技だったのかしら?」

「いや、アレは割と素だよ。でも僕ある程度は場によって気持ち切り替えする人だから」

 

 普段弱気な癖に、駆け引き系のゲームになると他人の思考誘導しようとしたりとか、脅迫紛いの同盟要求とか割と平気でするからね、僕。アレに近い。

 

「はぁ……貴方、本当に魔術師になる気ない? そういう猫かぶりな所とか、ある程度割り切る所とか、疑問あろうが使える物は使うところとか、絶対向いてるわよ」

「気持ちは嬉しいし、ちょっと興味はあるけど、平穏な生活が一番かな~って思うので遠慮しておくよ」

 

 せっかくの魔法の世界だし、使えたら楽しそうだな~っては思うけどね。

 

「そう。残念ね――まぁいいわ。じゃあ、ひとまずの同盟ね。少なくとも、私と貴方は。そっちの他の連中がどう思うかは別だけど」

 

 小バカにするように鼻で笑って僕の隣で敵意むき出しに睨んでいる刹那と、暇そうに欠伸をしている博士を見る恵理那。

 

「僕は反対したいところだね。聖骸布が効くと分かってるなら、僕だって聖骸布の投影はできる。君の協力が絶対必要な訳じゃない」

「貴方バカ? 神格クラスの呪いって話し聴いてたのかしら? 私の高精度投影の聖骸布だからギリギリ抑えられてるけど、貴方の粗製にも程がある紛い物でどうにかなると思ってるの?」

「試してみなければわからないだろう?」

「で、試してダメだったらどうするの? 言っておくけど、一度断られたら私だってわざわざもう一度手を差し伸べようなんて思わないけど、そうなったらこの子今度こそ死ぬわよ? 貴方の意地でこの子殺す気?」

「――ッ!!」

 

 あ~、刹那? そんなに嫌なら別に僕は良いって言いたいところなんだけど、正直人手が必要なのは間違いないんだから我慢して欲しいんだけどなぁ……。

 

「落ち着かれよ主。――失礼した。確かに我らによる投影品では無理でしょうな。どれだけ高性能を目指しても、某がサポートしても作れるのは精々がガンドを数十発かそこらを耐えられる程度の品しか作れますまい。まして、ここまで事態が悪化したのは我等が傍にいながら気付けなかったことにも責任がござりますゆえ。抑えてくだされ」

 

 と、思ったらセイバーの冷静な意見である。てっきり刹那をバカにされて怒るかと思ったけど、やっぱりセイバー結構理性的だよなぁ。刹那に寄って来る男にだけなんだろうな、あの最初に会った頃みたいな態度。

 

「へぇ……従者は主ほど直情的じゃないのね? 私の従者にならない?」

「お戯れを。――冗談でも、次は斬り伏せますぞ」

「怖い怖い。――で、そっちの白衣のアホ面のは?」

「んあ? 我輩であるか? 我輩は別になんでも良いのである。依頼を受けたからには依頼主の方針に従うのである」

「エルザは義嗣のこと気に入ったから、別に誰といようが守るロボ」

「へぇ~? なんていうか、言う事もやることもアホなのかと思ったけど、ちゃんと考えてるのね。それにしても義嗣くん、だっけ? 中学生垂らしこむなんて、やるわね?」

 

 いや、僕もなんでこんなに気に入られてるのか分からんのだけど、いつフラグ建ったんだ僕。ダーリンって呼び名じゃないから、九郎みたいに恋人みたいな好かれ方ではないんだろうけど。

 っていうか、中学生なんてなんで分かっ――あぁそっか、聖詳大附属中の制服着てたわな、今日のエルザちゃん。

 

「さて、じゃあ同盟するのも決まったことだし、そっちの女装趣味の変態さんを納得させるためにもこっちも少しは事情話してあげるわ。義嗣くんも本当は訊きたいんじゃない?」

「正直言うと、聴きたいです、はい」

「急に心変わりするなんて信じられないね。嘘でもついて僕等を混乱させる気じゃないだろうね?」

「信じる信じないはそっちに任せるけど、まぁまず最初に義嗣くんに脅しかけた時のことね」

「うん」

 

 さて、ここで津軽さんの言い分をまとめてみる。というのも、地味に長かったのと、刹那の横槍が時折入っていたので自分自身でも分かりやすくする意味でだ。

 

 まず一番大前提となるのが、津軽恵理那さんは何でも屋というか、“魔道探偵ローレライ”なる名前で怪異を専門とした探偵事務所を開いているらしく、僕に脅しをかけてくる前に隣街の遠見市で起きていた何件かの怪異による物と思われる行方不明事件を追っていたらしい。

 

 お前さん8歳でなんでそんなもん開いてんだとか行方不明者捜索は警察の仕事だろとか開店資金どうしたとか色々言いたくなったけれど、代わりに刹那がツッコミを入れたら店自体は存在せず、電話や特設サイトへの書き込み、メールで受けるだけの形でやっているのでお金はたいしてかかっていないそうだ。

 

 で、行方不明者捜索の方は、元から家出の常習犯や多額の借金持ちで前科のある人間とかが殆どで警察では事件とは見ていないらしく、駄目元で津軽さんの元へと依頼してきた人が居た事から数件そういった怪異の事件が今月の10日前後から起きていたことが判明したそうな。

 10日頃っていうと、にゃんにゃんパラダイスの一週間前くらいかな? あ、違う。10日は日曜か。すずかちゃん家行ったのは土曜日だから、6日前だな。丁度ジュエルシードの大樹事件があった頃だ。

 

 で、初めて脅しをかけて来た時は朝から僕に微弱ながらも魔の気配を感じていて、それが行方不明事件の現場と思われる付近に残されていた魔の気配に似ていたために関係性を怪しんで様子を伺っていたが、動きを見せないので自分からカマをかけてみたらしい。

 前々から原作組に絡んでいる連中とよくつるんでいるから、僕も転生者であると当たりをつけて、何か怪異系の能力を隠し持っていて、休日の間に何人かを食い物にしていたのでは、と勘繰ったとか。

 ところが僕が何も反撃するどころか泣き出したものだから慌てて、怪異と接触はしたかもしれないが一般人なのだろうと考えたそうだ。

 

 そして、今日になったら変な魔の気配を近くにいるだけで周囲の人間に悪影響を及ぼしかねないレベルで放っていたために驚いて「あいつやっぱり――ッ!!」みたいな感じで捕縛してやろうと思って後をつけていたが、どうにも怪異を振りまいている側というよりは、呪われている側特有の危うげな動きであったことから、ようやくそこで僕が呪われている被害者であると判断して声をかけてくれたらしい。

 

 本当なら、前に怖がらせた事の謝罪の意味もあって、聖骸布で対呪の処置だけしてやって帰るつもりだったらしいのだが、僕が平手打ちをしたことで立場を思い知らせてやろうと思ったらしい(この話が出た時に刹那とセイバーが感心したような顔でこちらを見たが、恥ずかしいので気にしない)。

 で、ところが気丈にも耐えるもんだから嗜虐心が疼いたとかで、ついでだから虎次郎達の情報も仕入れておこうと思ったとか。――まぁ事前にある程度は、戦闘を遠目に見たこともあったらしく知っていたらしいが。

 

 っていうか、泣きべそをかく子供をいじめるのには罪悪感覚えるくせに、どうしてそういう時に嗜虐心刺激されちゃうかな、と文句を言ったら、「平手打ちされてイラっときたし、気丈に振舞われたら無理やりにでも屈服させたくなるじゃない?」と仰られた。酷い話である。ちょっと分からなくもない自分が憎いけども。

 で、そういう訳で話が片付いて、ではまた明日、という段階になったところで、津軽さんがニコリと笑って言い出した。

 

「じゃあ、今日から休日の間はここに泊まらせてもらうわね」

「あ、うん。え~っと、じゃあ――え?」

 

 うん? 今なんと申しましたか恵理那さんや。

 

「え? じゃないわよ。サクサクッと解決するなら同盟相手同士同じところにいたほうが連絡だってとりやすいし、相談もしやすいでしょ?

 そもそも聖骸布の呪いの抑制がいつまで持つかわからないのよ? 弱体化してはいても神格レベルの呪いなんだから、下手したら一日、いえ、半日に一回は代える必要性が出てくる可能性だってあるんだから。

 それとも何? 貴方もしかして呪いによる苦痛に快感を得ちゃうマゾだったりする?」

「マゾじゃないんで、是非ともお願いします。え~っと――じゃあ寝るところどうしよう……」

 

 お父さんの寝室はまずいから、もう僕がそっちに移って、僕の部屋を貸すか?

 

「あら、貴方と一緒でもいいわよ。女装はしてもらうけど」

「あ、じゃあエルザも一緒に寝るロボ」

「なんで女装する必要あるの!? そしてなんでエルザちゃんまで便乗してるの!?」

「っていうか、僕は認めないよそんなの!! 義嗣、一緒に寝ようって約束したよね!!」

「あら? 貴方やっぱり同性愛者だったのね。虎にベタベタしてたし、男同士なんて不潔だわ、不潔」

「そういう君こそ、女装した男の子と寝たいなんて随分と歪んだ願望をお持ちだね?」

「女装した男の子と寝たいんじゃないわ。私は可愛い女の子と寝たいの。むしろ悪戯したいの。うふふ、そういうわけだからエルザちゃんだったかしら、貴方は一緒で良いわよ?」

「許可を得ずとも一緒に寝るロボ」

「そ、そう!! 今ならセイバーもつくよ義嗣!!」

「どういう売り込み方法!?」

「というか、主……いや、何も言うまい」

 

 おかしい、なんだ!? なんでこんな急にハーレム主人公みたいな状況に追い込まれてるんだ僕!?

 

「別に全員で一緒に寝れば良いではないか、なのである」

「私はそれでも別に良いロボ」

「僕は絶対に嫌だよ!! 津軽さんは別の部屋で寝てよね!!」

「私だって女装して喜ぶような変態と一緒に寝る趣味は無いわ」

「だったら義嗣だって同じじゃないか!!」

「待って、僕は女装して喜んだりした覚えないんだけど!?」

「褒めたらちょっと嬉しそうだったじゃないか!!」

「いや、そこは否定できないのが辛い!!」

「この子はいいのよ。小さいし、可愛らしいじゃない。でもあなたはなんかあざといのよね。女の子だったなら別に良いというか大好物だけど、内面が嫌。生理的に受け付けないわ」

「殆ど面識無い君に人格否定されたくないね!!」

「む、茶が切れましたな。佐藤殿、飲まれますかな?」

「あ、お願いセイバー。ごめんね?」

「なに、居候としてこれくらいのことはして当然でござるよ」

「あ、エルザはお菓子食べたいロボ」

「あ~、僕もちょっと小腹空いたかも。じゃあ冷蔵庫にこの前作ったカップケーキ入ってるから、レンジで温めれば食べれるから、セイバーお願いできる?」

「いいでしょう。博士も食べますかな?」

「うむ。翠屋のケーキにはかなわんのであるが、この家で作られた菓子は中々に優しい味で好みであるゆえ、頂くのである」

「では某も頂くとしましょう。主と津軽殿も食べるでしょうが……人数分ありますかな」

「あ、足りなかったら僕は良いよ?」

「いやいや、家主を差し置いて自分だけ食べる訳にもいきますまい。その時は某が遠慮いたしましょうぞ」

「大体、“男女七歳にして席を同じうせず”って言葉を知らないのかい君は!! それが同衾までしようだなんてなんて不潔なんだ!!」

 

 あ、そのことわざって、そういうのが正しいんだ。僕ずっと男女三歳にして同衾せずって覚えてた。何でそんな覚え方したんだ僕。

 

「あら、それを言ったら貴方精神的には女の子だって聴いたんだけど、どうなのかしらね? それに貴方あの糸目メガネの虎が好きなんじゃなかったかしら。乗り換えたの?」

「虎次郎のこと好きなのは今はどうでもいいじゃないか!! 義嗣が君みたいなわけがわからない女に誘惑されるのは義嗣が汚されるからダメだって話をしてるんだよ!!」

「あ~、夕飯何にしようかな」

「む、我輩久々にカレーが食いたいのである」

「カレーか~。この前食べたばっかりなんだけど、まぁいっか……身体動かすのダルいけど」

「それならエルザが作るロボ」

「エルザちゃん料理できたの!?」

「何を驚愕してるのか知らんのであるが、生活力皆無な我輩を支えているのはエルザの意外な女子力なのである」

「えっへんロボ」

「それ多分女子力って言葉の意味違うと思う!!」

 

 ――なんなんだろうなぁ、なんか凄いカオスなことになってきたんだけど……あと刹那と津軽さんはちょっと落ち着いてくれないかな。

 

 はぁ……今日は博士と寝ようかな。




 こっちは二話連続投稿予定でしたが、改訂してる時間がとれなかったので今日は一話のみでッ!
 オリジナルのほうを次回更新した時に一緒に更新しますね。

 追伸:EX編も同時投稿しました。 

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