転生傍観者~リリカルな人達~【改訂版】   作:マのつくお兄さん

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22.不満と不安

 アースラでのことは、若干テンパってしまったためにあんまり覚えていないんだけれども、まぁとりあえず最初に語るべきはアレだろう。

 ユーノくんの変身後の姿に僕となのはちゃんが同時に

 

「「ふえぇぇ~~!?」」

 

 って叫んじゃったのは仕方の無いこと。

 

「「ユーノくんって、ユーノくんって、あの、えっと、その、なに!? ふえぇぇ~!?」」

「いあいあ……えっと、君達の間で、何か見解の相違でも……?」

「え、えっと……なのは? 僕達が最初に会った時って、僕はこの姿じゃ……それになんで義嗣までそんな反応……?」

「違う違う違うよぉぉ!! 最初っからフェレットだったよぉぉ!!」

「ずるい、ずるいよユーノくん!! 僕は騙された気持ちで一杯だよぅ!!」

「いや!? でも僕人間になれるって話は前にしたし、そもそも義嗣がなんでそんなに泣き叫んでるの!?」

「だ、だって身長がなのはちゃんよりも高いだなんてえぇぇ!!」

「君の驚くポイントそこなの!? ……っていうか、ごめんねなのは、ちょっと待って――」

 

 僕の言葉に驚愕しつつも、なのはちゃんの言葉にユーノくんは目を瞑って頭をポクポクと人差し指で何度か叩いたところで手を打って頭をあげた。

 

「あ、あぁ~!! そ、そそそそうだったね、ごめんごめん。この姿見せてなかった……」

「だよねだよね!? びっくりしたぁ~!!」

「そうだそうだ!! ユーノくんの裏切り者~!!」

 

 僕となのはちゃんの抗議にたじたじになるユーノくん、いや、ユーノであるが、僕の知ったこっちゃないね!!

 ムキー!! たった二人のショタっ子同盟だったのに、なんだか裏切られた気分で一杯だよ僕は!!

 

 ということがありまして。

 刹那のユニゾン解除はこっちは誰も驚かなかったけど、今度はクロノが

 

「ユニゾンデバイス!? そんな危険な物をなんで君みたいな小さい子が!!」

 

 とか言い出したもんだから、

 

「ほう? 某が、我が主に、危害を加えるような、危険な物品であると、そう言いたいのかお主」

 

 と一触即発になったりして大変でした。

 

 その後、野点みたいなセットが作られた部屋でリンディさんと対面。

 生リンディさん可愛いよ生リンディさんとか思いつつ、抹茶を頂く。リンディさんが砂糖入れてるのをギョッとした顔で見てる人多かったけど、僕は抹茶に砂糖は有りだと思うけどなぁ。抹茶オレみたいな物じゃない?

 ただの緑茶に砂糖だと微妙な味だけど、まぁ飲めない味でもないし。とはいえアイスグリーンティーと比べたら緑茶だと合わないってのは間違いじゃないんだけどね。

 訳したら同じ言葉なのになんであんなに違うんだろうね、砂糖との相性。

 

 で、なのはちゃんとユーノくんの説明は大して問題無かったんだけど、フェイトの事情を話す時にちょっとした問題が起きたのは言うまでもない。

 

 母親が探しているという話しかしようとしないフェイトにクロノはなんか恫喝体勢に入るし、それを悠馬が恫喝するし、アルフも威嚇を始めるし、完全に分かり合えない状態だね~って感じに陥りかけたんだけど、なのはちゃんがフェイトを庇いに入って、虎次郎もその援護に入って、刹那はどうしたもんかとちょっと迷ったみたいだけど、虎次郎と一緒にフェイト擁護論を展開。

 そして、ひとまずフェイトとアルフが退出後に、悠馬が「フェイトは母親から心も身体も虐待を受けていて、ジュエルシードを集めてくれば自分を愛してもらえると信じているが、母親はジュエルシードを集めて持っていった時もフェイトを縛り上げてムチで何度も打ちつけるような女だ」という話を暴露。

 でもお前その時、現場に行ってなかったはずだよね。学校にいたし、というツッコミはしないでおいたけど。

 更にその母親がプレシア・テスタロッサであるということが悠馬の証言によって判明した時点で大分騒がしいことになって、なんか色々うやむやの内に僕と刹那はアースラを後にした。

 

 本当は刹那のユニゾンデバイスであるセイバーのことについて管理局側は色々話がしたかったようだが、

 どうにも刹那はクロノもリンディさんも好きになれなかったらしく、あそこに居るのが苦痛だったそうな。

 特にクロノがユーノくんがジュエルシードを集める理由に関して「無謀」と発言したことが決定打だったらしい。以下、その時の刹那のコメント。

 

「ユーノ・スクライア氏はジュエルシード発見時、危険なロストロギアである可能性が非常に高いとして時空管理局には連絡を入れ、輸送の際には護衛艦による警護を依頼していたと聴きます。

 その依頼を蹴り、ただの輸送船一隻で世界を数個滅ぼせるだけの可能性を持つ危険な代物を運搬させた上、連絡者が誰であったかも確認せず、その上事故或いは襲撃の責任を感じて何も知らぬ土地に降りて単身戦っていたユーノ氏に対して吐く言葉が無謀の一言ですか。存外ご立派な思考をされているようですね、管理局とやらは」

 

 などと食って掛かってたからね。どうにも刹那は正義感が強いらしい。流石は一時期僕が正統派主人公であると思っていただけのことはある。声めっちゃ震えてて、本気で怒ってたのが分かった。

 そんでもって、一応陳謝したハラオウン親子(リンディさんはあんま謝ること無い気もしたけど、親子だし、なにより直属の上司であるというのもあるんだろう)だったけれど、今度はユニゾンデバイスを何処で手に入れたのか、どこで作られたデバイスなのかをしつこく訊いて来ようとするクロノと、やんわり探ってくるリンディに対してキレたらしく、

 

「この地球が貴方方の言うところの管理外世界と言われるもので、大使館はおろか外交関係すら無い状態である以上、僕はこの世界のこの国の法によって守られ、また裁かれるべきであり、治外法権を持つ訳でも無い貴方方の事情聴取に強制的に参加させられる義務が生じえません。

 ましてや今回のジュエルシードの件についてもこちらは依頼された形ではあるものの対価を得ずに応じたボランティアという形であり、契約を行っている訳でもありませんので、関わった以上は見逃すわけにはいかないという意見を僕が聞き届ける必要性は皆無です。

 もし貴方方の世界における犯罪者リストにでも私やセイバーの登録がされているというのであれば応じますが、それらの確かな証拠が無い状態で言い出された場合はそれ相応の処置をこちらもとらせていただきます。セイバー、大丈夫だね? 虎次郎くんも、いいよね? あぁ、悠馬くんもいいのかい? それは助かる。

 このように、少なくともこの四人で敵対させていただきますのでその点ご承知を。生半可な魔道師如きに、特にそこのクロノ執務官のような方でどうにか出来る相手ではないことくらいは、既に戦闘の様子を覗き見られていた貴方方なら分かりますよね?

 では、以上のことから、そろそろお暇させていただきたいと思うのですがよろしいでしょうか?」

 

 などという感じのことをツラツラと述べまして、こいつ小学三年生なのになんでこんな舌まわるんだろうとかどうでもいいことを考えつつ、一緒に帰ってきました。

 

 まぁね、正直刹那のいう事も分かるんだけど、でもね、それをクロノくんに言っても仕方ないと思うんだよ。

 

 リンディさんが発見者の名前を調べていなかったのは手落ちな気もするけど、どうも彼らが派遣される時にはそこまで危険な代物だっていう連絡がされていなかったんじゃないかと僕は思うわけですよ。

 リンディさんが発見者に一度連絡をして、どういう代物であったかを確認すべきだったんじゃないかとも思うけど、それだってもし発見者がユーノ・スクライアではなく、スクライア一族として公表され、その名前で届けだされていればユーノくんが発見者だとは知らなくて当然な訳だし。

 実際、世界数個を崩壊に導く可能性のある危険な代物をたった一人でどうにかしようとしたユーノくんの行動は確かに立派だけど、あまり褒められた行為でないのは確かだしね。

 

 だって考えて欲しいんだけど、例えばの話ね? 在日米軍の一部将校、政治家の重鎮の一部、警察の一部のお偉いさん、そして一大規模を誇るヤクザ屋さんが手を組んで、麻薬の売買に手を染めていたとします。それも日本という国家基盤が傾く可能性があるくらいの規模と勢いで流通を始めようとしてるとします。

 

 これ、一人でどうにかできると思う?

 

 無理でしょ? 規模が違いすぎるもん。コレが中小規模のヤクザ屋さんと、せこい密入国請負業者あたりが小遣い稼ぎにやってるとかならまだ証拠抑えればどうにかなるやもしれんけど、それだって警察に頼る形だし、単独でも保管されてる麻薬の倉庫突き止めて燃やすくらいはできるかもしれないけど、根本的な解決にならないし、こっちが犯罪者になりかねない。

 事務所にカチコミに行くにも一人じゃなぁ……この世界の虎次郎とか悠馬なら余裕だろうけども。

 

 え? 例えがいまいち合っていないんじゃないかって? いや、まぁそれくらいに危険な案件だったってことだよ。

 核ミサイルの発射を阻止するためにテロリストの基地に乗り込んで無事成功させられるのなんて、そんなのは一部の映画の主人公くらいだし、それだってちゃんとした訓練を受けた人であるという前提があるのだから、訓練もされていない、攻撃手段もろくにないユーノくんが一人でどうにかしようなんてのは、文芸部所属の男の子が、学校にテロリストがやってきて占領されたのを自分が大活躍して勝利する、みたいな妄想並にご都合主義すぎるということだ。

 

 まぁそういうわけで、なのはちゃんとか虎次郎達のスペックが異常だから何事も無かった訳だけれど、これが並の魔力しか無い、それこそ僕みたいなのだけが巻き込まれていたら下手したら死んでた訳だよ。

 とはいえ結局はユーノくんが動き出したことで被害が最小限に減っていたのも確かだから、やっぱり管理局の人間が「無謀」とかバカにする資格は無いと思うというのは僕も思うけど。するなら感謝だよね。

 

「貴方達のお陰で被害が最小限に押しとどめられました。本来は我々が行わなければならない危険な作業を、我々の対応が遅れてしまったために自主的に行っていただき、本当にありがとうございました。

 以降は我々が誠心誠意、全力を持って問題解決にあたりますので、日常生活にお戻りいただいて大丈夫です。」

 

 これくらいのことを言って感謝状なり送って然るべきなんだろうけど、このへんクロノは良くも悪くも管理局の正義に染まってる感じなんだろうなぁ。それに管理局も不祥事にされる可能性があるから絶対に感謝状なんか出さないだろうし。

 それに、届出も出さずにユーノくんが地球に来てたならそれは環境保護区に不法侵入したようなもんだから、当然罪としてカウントされていてもおかしくは無いから、結果よければ全て良し、とするつもりがないのであれば余計に感謝状なんて贈れないだろう。

 

 そしてユニゾンデバイス、セイバーの件だって下手をすれば主人格である使い手の意思を奪って暴れるという症例があることから心配してってのが大きいと思うんだよ。

 まぁクロノは態度がデカいから仕方ないのかもしれないけど、おっさんにファーストキス奪われた後なのを知ってる身としてはあんまり責める気にはなれないんだよね。

 

 ……いや、それを言い出したりはしないんだけどさ。刹那の気持ちも分かるし、僕だってクロノの上から目線の言い方が気に喰わなかったのは確かだから。

 いや本当、悠馬なんかよく耐えたと思うよ。あいつ意外に口は出しても手を出すのは本当に最終手段だって分かってる節があるから、口では突っかかりはするものの武器取り出したりはしないし。正直あいつシリアスなところではキッチリ締めてるのが凄い。前回僕に剣突きつけたのは、割とマジギレだったのかもしれないが。

 対して虎次郎はいつでもカラカラ笑ってるんだけどもね。

 あいつ目がいつも糸みたいに細くなってるせいで感情が分からん。もしかしたら怒ってたのかもしれないけど。

 

 なんかね~、アンチ管理局ルートの可能性も見えてきたけど、僕はてっきりそれはあるとしても悠馬だけだと思ってたんだよね。刹那が一番拒絶反応起こすっていうのはかなり意外だった。

 どうも、事態が変な方向に転がる予感がするんだよね。実際に管理局と事を構えるのは、いくら虎次郎と悠馬が強いって言っても無理があるんだから流石にしたりはしないと思うんだけどさ。ハッキリ言うけど、これリンディさんが責任者だからこそ許されたんだと思うよあの時の刹那の啖呵は。

 武力を持って治安維持を瞑目に掲げている組織相手に、ああいう恫喝は逆効果なんだよね。その実力があって、その場では幕を引けても後で絶対にしこりが残る。実際、下手に実力もあるもんだから危険人物としてマークされれば今後絶対過ごし辛くなる。

 ましてやなのはちゃん、ユーノくんは今後、管理局側に就くのは明白なんだから、実質人質とられるようなもんなんだよ?

 

 ハッキリ言って、賢いやり方ではない。虎次郎、悠馬はそのへんわかってたんだろう。それでも刹那の啖呵に苦笑しながらも乗ってあげるあたりに優しさを感じる。

 

 僕も二時創作とかでアンチ管理局系とか読んだことあったし、何処までが真実かは分からないけども、あの組織に対する疑問自体はある。でもやっぱりそれを敵にまわしたいとは思わない。

 ましてやこちとらモブである。戦艦アースラに連れ込まれた時点で今後かなり危ない気がするんだよね。アンチ管理局云々だけじゃなくて、プレシアあたりが人質作戦とか仕掛けてくるかもしれないと考えると。

 あの悪の女王ごっこが大好きな推定年齢65歳さんのことだから、決してありえないとは言えないし、フェイトも母に命令されたら間違いなく一番誘拐しやすそうな僕のことを教えちゃうだろう。すりこみってのは怖いからね。どんだけ周囲が騒いでも、フェイト自身に反抗の意志を持たせるっていうのは容易なことじゃない。

 

 もうね~、なんかこういうドロドロしたの嫌いなのにさ~、身近でどうしてこういうの起きるのかな~。僕が好意持った相手って幸せになるんでしょ? なんか不幸になる匂いしかしないよ。好意が足りないってのかねぇ。刹那に対する好感度なんて、今かなり高いんだけど、僕。

 

「佐藤くん?」

「ん? あ、ごめん。なに? せさきさん」

「さが一個せになってるね、せとうくん」

「セントくんみたいだね」

「あぁ、いたね前世でそんなキャラ」

 

 あれ結構可愛いよね。元の絵見るとぶさカワだった気がするけど、イメージがさ。あとセントさんに進化するとイケメンだけど。

 

「で、ごめん。なんの話だっけ?」

「今日の晩御飯何が良いかって話だよ。――あ、もしかして佐藤くんは管理局に残りたかったのかい? だとしたら悪いことをしたね……」

「あ~、いあいあ、別にそんなことを考えてたんじゃないよ。そもそも管理局入るつもりもないんだし僕。ん~……なんていうかさ、あ~……今後にあんま良い予感がしないなぁって」

 

 時空犯罪者、あぁ違う。次元犯罪者扱いは無いだろうけども、今回のことで多少は原作でなのはちゃんが置かれていた状況とは違う状況に陥るのはありえる話だ。

 頼むから、フェイトとの友情だけは出来上がってくれると嬉しいんだけど……あ~……もうそのへんは虎次郎と悠馬に期待するしかないや……。

 

「そっか……はぁ、ごめんね? 別に僕もアンチ管理局とかそういうので言った訳では無かったんだよ。原作ではクロノも好きなキャラの一人だったんだけど……ただなんでかイライラしちゃって。ごめん、巻き込んだね」

 

「いあ、良いよ。僕もユーノくんがバカにされてイラっとしたのは事実だし」

 

 実際、友達バカにされて黙ってるだけってのもストレス溜まるから、そういう意味では良かったんだけどね。

 ままならないなぁもう……。

 アースラから帰還して以降、こうして完全に日が暮れてからもろくに動かず、家でちゃぶ台囲んでお茶を飲みながらチョコレートを頬張る僕たちであるが、どうにもいつもみたいなボヘボヘした空気が出せなくて参ってしまう。

 まったくもう、あふれ出る破壊衝動さんだよ。流石にイライラするよ。

 

「……謝るのであれば某でありましょうな。そもそもあそこを退席する理由となったのも某の存在が一般的に危険視される存在であったからこそとも言える以上、退席の非を問うのであれば某を……」

「セイバーは悪くないよ。っていうか、人柄を理解すらしないまま人の事を物扱いするような人間が悪い。そう思わないかい? 佐藤くん」

「まぁ、それに関して同感だね。セイバーは悪くない」

 

 申し訳なさそうに静かに頭を下げるセイバーに、珍しく刹那が優しい言葉をかけるが、実際そこについては僕も思ったのも確かではある。セイバーはデバイスとはいえ一個の人格を持った人間なんだから、露骨な危険物扱いは酷い。

 さっき考えてたように、ユニゾンデバイスの危険性を考えれば向こうの心配も分かるんだけどね?

 

「えっと、とりあえずまぁ、この話はこの辺にしとこっか。ご飯食べよ、ご飯。お腹減ったしね」

「あー、そうだね。もう七時過ぎか……随分時間が経つのが早いね。佐藤くん、セイバー、何が食べたい?」

「そうだね。僕は特にないんだけど、セイバーは?」

「某もなんでも構いませぬが……」

「ん~……作る側からしたら一番困る返答だね」

「あはは、ごめんごめん。じゃあそうだなぁ……手早く出来る物ならなんでも良いけど……って、そうだ。たまには出前でもとろっか? ピザとか」

 

 そうだよ、別にこういう気分が乗らない時に無理に作る必要は無いよね。刹那もなんか元気ないし、僕も作る気分じゃないし。

 

「出前かい? ……でも結構高くつくだろう?」

「ピザ……ふむ。興味の惹かれる名前ではありますが、確かにあまり佐藤殿の懐具合に負担をかけるのはまずいでしょうな……」

「いあいあ、別にたまにとるくらいなら問題無いってば。お父さんから言われている一ヶ月分の生活費の限度額の目安には相当余裕あるし。なにせ優秀な主夫が今まで我が家を守ってましたから、生活費もキッチリ切り詰めていたのですよ?」

 

 ふふふ、伊達にスーパーでおばちゃん達にもみくちゃにされながらタイムセール品をゲットしている訳ではないのだ。アレは歴戦の猛者ですら躊躇する戦場なのだよ?

 前世では強面で知れてたケンさんが鍋パーティーのための食料買うために一緒にスーパー行った時に唖然として尻込みしてたからね。猛牛の群れだよアレは。僕も満身創痍になりながらも帰還したものだよ。あの日は一躍ヒーローだったぜ……へへっ。

 

「ん……そっか。ごめん。じゃあお願いしても良いかな。正直言うと僕も料理って気分じゃなかったからね」

「うん、僕も今そんな感じだったから分かる。ちょっと待ってね、確かこの前の折込チラシにピザ屋のあったから。ポテトSサイズサービスの券もついてた気がするし丁度いいや」

「そのへん佐藤くんちゃっかりしてるね、本当」

「ちゃっかりじゃなくてしっかりしてるんです~」

「あぁ佐藤殿、チラシでしたら新聞とは別にそちらにまとめてあります故、そちらをご覧くだされ」

「お~、セイバーナイスですよ~。え~っと、いつのだっけな……先週の木曜あたりだったような……」

 

 あ~良かった。ちょっと空気持ち直したわ。もう今日はこのままの空気でいって、明日から楽しく和気藹々としようじゃないか。

 

 いあいあ、ヘイワが一番だよね。


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