オーバーロード~狼、ほのぼのファンタジーライフを目指して~   作:ぶーく・ぶくぶく

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第46話:それなら……仕方ないよなぁ

/*/ジルと貴賓席

 

帝国帝都アーウィンタールには円形闘技場がある。その貴賓席は3種類。資産家用、高位貴族用、皇帝用だ。

皇帝用貴賓室に今日は10名ほどの人影があった。

 

その内、5人は帝国が誇るアダマンタイト級冒険者チーム「銀糸鳥」のメンバーだ。

 

彼らは護衛としての仕事を受けてここにいた。残りの6名は3名ずつの組に分けられる。

1組目は貴賓席の主であり皇帝であるジルクニフ。その直属の護衛である4騎士の内2名、ニンブルとバジウッドだ。

2組目はジルクニフの友にして魔導国の大使であるジョンとその妻であるルプスレギナ。そして護衛のレイナースだった。

 

今日はジルクニフに招待され、闘技場へ観戦に来ていた。

ジョンは最初に紹介された際に全員と握手し、ちゃっかり〈特殊技術(スキル)〉で銀糸鳥全員の戦闘力を推し量っていた。

 

貴賓席は手狭であったが、瀟洒な調度品はどれも一級品で滅多に来ない皇帝の為に完璧な清掃がなされていた。

闘技場側の壁は大きく開けられており、眼下の景色を一望できる。ちらりと覗くと、満員の観客が割れんばかりの歓声を上げて熱狂している様子が見れた。

 

これほどの大入りなのは、武王の一戦が組まれた事による。

 

闘技場の王者8代目武王ゴ・ギン―――その圧倒的な強さにより、まともに戦える相手がいなくなってしまった。その為に彼の試合が組まれなくなって、結構な時間が経過している。その武王の久々の一戦という事で、戦いぶりを期待した者たちで溢れているのだ。

 

騎士たちの中にも、闘技場が好きな者たちはいると聞いた事があった。

野蛮性の発揮と解放ということなのだろうか。

そんな事をジルクニフが考えている間に、銀糸鳥の一行は室内の探索を終えた。

 

「部屋の中に情報系の魔法が、何か発動している形跡はあったかね?」

「発見はされませんでした、陛下。そうだね?」

「そうですぜ。まず魔法の発動自体を見破るのは俺には難しいんで、マジックアイテムなどがないかを調べさせてもらいましたが、発見はできませんでしたよ。ですが、忘れないでほしいんですが、俺には盗賊ほどの調査能力はないんですよ。絶対に大丈夫だとは思わんでください。……まぁ、うちのリーダーの呪歌で探知能力を上昇してもらいましたんで、大丈夫だとは思うんですがね」

「魔法の方は拙僧が探知系の魔法で調べましたが、発動されてる気配はござらん。取り敢えずは探知妨害の場を作り出したので、問題はないかと思われますぞ」

ウンケイが錫杖を床に叩き付けると、しゃんと涼し気な音色が響く。

 

……アダマンタイト級冒険者の探知能力を測る為に、ナザリックよりニグレドなどによる監視、探知が行われていた。〈完全不可知化(パーフェクト・アンノウンアブル)〉、〈完全不可視化〉を使用したシモベなどで、どこまで彼らが探知・感知できるのか。スレイン法国を属国にした事で多くの情報が手に入ったが、それだけに飽きたらず情報を取ろうとするモモンガの思慮深さにシモベたちは感服していた。

 

ウンケイの言葉に少し考え、ジルクニフは追加の〈注文(オーダー)〉を出す。

 

「では追加でお願いしてもよろしいかな?何者かが接近してきたら発見できるような魔法はないかね?透明となっていても分かるような魔法であると嬉しいが?」

「残念ながら拙僧の持つ魔法にそのようなものはござらん。ですが、リーダーなら確か持ってたと思いましたぞ」

話を振られた銀糸鳥のリーダー……フレイヴァルツが了解のサインを送ると部屋を出ていく。

「あとはどうだろう?相手が盗聴しようとしたら、どんな対策が君たちに浮かぶ?」

 

必死にジルクニフは魔導国であればどのような事が出来るか考える。はっきり言って、想像を絶するものを想像する事など出来はしないのだが。

 

「……正直、ここまでしておけば大丈夫じゃないか、と思うんですがね。これでも複数の魔法で守りを固めてますぜ?」

「左様ですぞ、陛下。探知妨害もかけておりますので、相手が魔法的に調べようと思った場合、即座に拙僧に伝わる仕組みとなっております。ご安心くだされ」

 

セーデとウンケイから交互に宥められる。

 

少し偏執狂気味に思われたのだろう。あるいは暗殺の気配を察してナーバスになっているとでも思われているのか。

「すまない。今日は大事な友も一緒なのでね。少し神経質になっていたようだ。……ところで、ジョン。君ならどうだろう?」

銀糸鳥の警戒網の中に入っても、何も無いと言う事は〈人狼(ジョン)〉は本当に何も連れてないのか?それともこちらの監視を掻い潜る神の目を持っているのか。

 

「そうだな。俺は探知系は苦手なんだが、この貴賓席での会話なら一般席からでも聞く事は出来るな」

「君なら?」

「人狼なら出来るんじゃないかな。……あとはそうだな。銀糸鳥の探知範囲ぎりぎりに魔法探知の視点を置いて中を覗き込めば、感知に引っ掛からずに覗けるんじゃないかな」

 

亜人・異形種には貴賓席近くの席は取らせないようにしようと決意しながら、ジルクニフは一緒にジョンの話を聞いていた銀糸鳥の方を見る。

 

「……俺たちには魔力系魔法詠唱者がいないので、はっきりとは言えませんが、閣下の仰る通りかと思いますぜ」

 

セーデの言葉に頷きつつ、そうすると新しい執務室は大丈夫かとジルクニフは胸を撫で下ろした。

「そうすると魔法的な探知網の内側に壁でも立てれば安心かな」

「薄い壁だと音を抜かれるから、分厚い壁だと尚よいんじゃないかな」

 

ジョンのセリフに、ジルクニフはまた疑心暗鬼に陥るのだった。

 

(なんだ!?執務室の壁があれでも薄いと哂っているのか?帰ったら魔法院の者を呼んで、また壁の厚さから見直さなくてはならないのか……)

 

闘技場から一際大きな歓声があがった。

そちらに目をやると、試合の一つである剣闘士たちの戦いの決着がついたようだ。

昔は敗者は死を賜っていたようだが、今は違う。試合の最中に死ぬ事はあっても、勝敗のついた後で殺される事はまずない。

これは連敗しながらも面白いからとたまたま命を救われてきていた剣闘士が、才能を開花させ、チャンピオンに昇り詰めた時から廃止されたと言われている。もしかしたら、彼のような人物がほかにもいるのではないかと、期待された為らしい。

 

「取り敢えず終わりました。陛下」

フレイヴァルツの声にジルクニフは振り返る。

「ご苦労」

相手がアダマンタイト級冒険者ともなれば感謝の言葉を述べるべきなのだろうが、ジルクニフは思わずいつもの言葉で労をねぎらってしまった。

「滅相もありません。それで護衛という事なのですが、我々も部屋の中で待機させていただいて構いませんか?」

「勿論だとも……ジョンもそれで構わないかね?」

「勿論だとも、ジル」

 

(勿論か……今日のところは何もする気が無いのか。本当に闘技を楽しみに来ただけなのか。それともアダマンタイト級冒険者を目の前にしても気づかれずに事を成せると思っているのか。……アダマンタイト級など物の数ではないと思っている可能性もあるな)

 

「閣下、飲み物の準備を致しましょうか?」

そう言ったのはジョンに随伴してきたレイナースだった。金の髪に深い青の瞳、色つやの良い唇、真珠のような歯と、誰もが振り返るような美しさを取り戻した彼女は、今は白と黒のメイド服に身を包んでいた。

「ああ、レイナース。頼むよ」

「畏まりました。……では、ニンブル殿とバジウッド殿も」

 

レイナースの準備を手伝ってくれという提案に、バジウッドは渋い顔をした。

 

「え?俺もか?陛下ー。やっぱりメイドの一人でも連れてきた方が良かったんじゃないですか?陛下もむさいおっさんに飲み物を注がれるよりは女の方が美味く感じますよね?俺でしたら間違いなくそうですよ」

「あら、では陛下の分も私がご用意して構いませんわよ?」

 

「……むぅ。立場上、そうもいかないよなぁ」

 

「はいはい。バジウッド殿、愚痴はそのくらいにして手をその数倍動かして下さい」

ニンブルに促され、バジウッドもジルクニフの飲み物準備を手伝う。レイナースはジョンとルプスレギナの飲み物の準備だ。同盟国である。本来はレイナースが用意したものをジルクニフが口にしても問題はない。ないが、レイナースは自分の身を優先させて魔導国へ渡った身である。

レイナースがニンブルとバジウッドに準備の手伝いを提案したのは、裏切り者と見られているだろう事に配慮しての提案だった。

 

「少し変わったな」

「そうですか?」

「ああ、なんと言うか表情が明るくなった。色々思うところはあるが……良かったな」

「ありがとうございます」

 

レイナースの微笑みはニンブルとバジウッドが見た事のないような穏やかなものだった。思わず手を止めた二人の耳に、下の闘技場からの声援が聞こえ、獣とは少し違う類いの雄叫びが聞こえてきた。

 

次の試合が始まったようだった。

 

武王との一戦の前に行われる前座の試合は冒険者とモンスターの戦闘だ。冒険者が闘技場に出ると魔法などが炸裂する為、派手な試合が多く観客の人気が高い。

大声を上げている観客たちを眺め、ジルクニフは平和な光景だと思う。

 

ジョンとルプスレギナは必死に戦う冒険者一行を食い入るように見ている。人間の苦痛の表情を、必死に戦う人間を、暗い悦びと共に眺め、楽しむような化け物がここにいると知ったら、民はここまで闘技を楽しめるだろうかとジルクニフは思う。

 

冒険者の一人が獣型モンスターの爪を受け、血しぶきが舞い上がった。観客の悲鳴や声援が大きく起こった。

 

 

/*/ジョンと冒険者

 

『――さぁさてさて、冒険者と言うものは――』

 

獣型のモンスターを複数相手取りながら勝利を収めた4人組だったが、試合はそこで終わらずに闘技場内のアナウンスが続く。冒険者たちにとっても不測の事態だったのか客席を見上げて、きょろきょろしている。いつもと違う展開に観客たちも騒然としているようだ。

やがて、入場門の一つが開き、巨大な亀――アゼルリシア・アイアン・タートル――が闘技場に放たれた。

 

拍手と歓声が一斉にあがる。

 

「――どういうことなの!」

 

冒険者の一人であるハーフエルフらしい女性の金切り声がジョンとルプスレギナには聞き分けられた。

なんらかのトラブルなのか。それとも嵌められた犠牲者なのか。

 

2刀流の軽戦士とハーフエルフらしいツインテールの女性が弓でアゼルリシア・アイアン・タートルへ攻撃を仕掛ける。恐らくこの二人がパーティのアタッカーなのだろう。しかし、分厚い皮膚とポニョポニョと軽快に出し入れされる亀頭と手足に阻まれ、効果的なダメージを与えられないでいる。

 

もう一人は先ほどの戦闘から、補助と回復を行っているが良いところがない。神官だろうか?打撃系の武器は硬い甲羅のアゼルリシア・アイアン・タートルに有効そうだが、地力が足りない。叩いても甲羅にヒビ一つ入れる事が出来ないでいる。

 

残りの一人は金髪をヘアバンドで纏めた10代半ばと思しき魔法詠唱者だった。まだ若いのに〈雷撃〉を放ち、必死に戦っている。彼女の魔力が尽きるのが先か、アゼルリシア・アイアン・タートルの体力が尽きるのが先か。必死に魔法を連発する姿は、観客を味方に付ける事に成功し、闘技場を沸かせていた。

 

「……ふひひ、堪らないっすね」

 

汗と血に塗れながら戦う彼らには理解できているのだろう。恐らくは魔法詠唱者の魔力の方が先に尽きる、と。

励まし合い、支え合い、必死に戦う彼らの表情。特に魔法詠唱者の思いつめ、自責の念に潰されそうな表情はルプスレギナの好みにヒットした。思わず、脇で話しているジョンたちの声が耳に入らないほど集中して見入ってしまう。

 

「ジル。会場の雰囲気からすると連戦ってのは珍しいのかい?」

「余り見に来ないのだが、その中では見た事はないね」

 

そう言って、護衛の騎士や冒険者たちを見回す。彼らも見聞きした事がないようだった。

 

「彼らは冒険者プレートを付けてないようだが、所謂ワーカーという奴なのかな」

「……良く見えるな」

「人間より目も耳も良いんだ」

 

(くそッ。こんな時に限って何が起こっている?アンデッドを盟主と仰ぐ国が人間の生死を見世物にしている是非でも問うつもりか?)

 

異形種が好きそうなところを案内し、帝国の価値を知らしめようとしていたのに、逆に彼らの方が倫理観が高いのかと深読みし、思考のループに囚われていくジルクニフ。

 

〈雷撃〉を連続で打ち込まれ、アゼルリシア・アイアン・タートルは苦し気に白濁した液体を吐き出す。

 

神経毒か何かの作用でもあるのだろうか。浴びた冒険者の動きが目に見えて悪くなり、2刀流の軽戦士は地面に飛び散った白濁液に脚を取られて、滑って転ぶとアゼルリシア・アイアン・タートルの前足に踏みつけられた。ボキボキと怖気が走る音がここまで聞こえてきそうな苦し気な表情に観客のボルテージは最高潮に達する。

 

ツインテールのハーフエルフが駆け寄り助けようとするが、もとより彼女の力ではアゼルリシア・アイアン・タートルの脚など持ち上がる筈もない。先ほどから見せ場の無かった神官らしい男も駆け寄り力を合わせるが、アゼルリシア・アイアン・タートルの脚はビクともしない。軽戦士の口から鮮血が迸った。

 

魔法詠唱者も涙を流しながら、〈雷撃〉を唱えている。「私の所為で……」などと言いかけ、唇を噛んで魔法を唱え始めたのがジョンには分かった。

 

彼らが冒険者なのかワーカーなのかは知らないが、ふむと腕組みしてジョンは考え込んだ。

 

冒険者がいると知った時はモモンガと二人喜んだものだ。もっとも、実情を知っては「〈冒険者〉より〈狩人(ハンター)〉だろう!」と突っ込みを入れたくなったが。――自分たちの理想とする冒険者は何処にもいなかった。

 

「それなら……仕方ないよなぁ」

 

寂しげに呟き、立ち上がったジョンへ「……どうした?」とジルクニフの声が掛かる。「ジル……少しばかり埃を立てるけど、勘弁してくれよ」そう言って、ジョンは飛び立った。

 

 

/*/

 

 

――ドン!

 

必死に魔法を連打していたアルシェは、突然の爆音と続いて押し寄せてきた爆風にとっさに瞼を閉じた。

ごおぉッと熱い風が吹き付け、バラバラと砂利が身体に叩き付けられてくる。

 

――そんなものは何処にもいないと思っていた。

 

風が収まった時、そこにあったのは甲羅を粉々に打ち砕かれて即死したアゼルリシア・アイアン・タートルの姿と――

 

――大きな背中。

 

それは誰もが想い願う英雄の姿。強きを挫き、弱きを助ける御伽噺の中の英雄の姿だった。

青と白の毛並みを誇らしげに風になびかせる〈人狼(ジョン)〉の姿だった。

 

 

闘技場が静寂に包まれる。

 

 

アゼルリシア・アイアン・タートルの残骸が散らばるクレーターの中心に、片膝と拳をついて屈みこんでいたジョンが立ち上がる。

常よりも大きく見える姿だった。

 

「〈興行人(マッチメイカー)〉は誰だ―――ッ!!!」

 

魔法を使っているのか闘技場全体に響き渡る大音声だ。

 

「つッまぁんねぇ試合組みやがって!お前らもお前らだ! 冒険者ってのは仲間の為なら生命を懸けるもんじゃないのか! 冒険者ならパーティ組めば、その日から仲間じゃないのか! 冒険者って奴は冒険者でありゃ仲間なんだろう!」

 

それは御伽噺に語られる冒険者の姿だった。13英雄や八欲王の詩に誰もが胸を熱くし、村から、街から、故郷から、旅立つ事を決意させた原初の感情だった。

現実に打ちのめされ、誰もが諦め、忘れていく事で大人になると言い聞かせていた事だった。

 

「がっかりだ!お前たちにはがっかりだ!……だから、俺は――〈俺たち(魔導国)〉は!冒険者育成機関を作る!冒険者を育成し、保護し、世界に旅立っていく冒険者を生み出す!お前たちを一から鍛え直してやる!才能を花開かせ、世界と戦えるように育ててやる!」

 

闘技場の大勢が自分の声に聞き入っているのを確認し、言葉を続ける。

 

「魔導国が求めるのは、真に冒険をする者!未知を求める者!世界を知りたい!未知に挑戦したい!そんな冒険者を夢見る奴らは魔導国へ来い!お前たちが想像もつかない力が、お前たちが一人前になるまでお前たちを手助けするだろう!」

 

大きく手を振って、ジョンは大見得を切った。

 

「武王を出せ!真に冒険をする者!未知を求める者!それがどれだけの力を持つか、お前たちに見せてやる!」

 

 

/*/

 

 

『おーっと、ここで武王に挑戦したのはアインズ・ウール・ゴウン魔導国大使ジョン・カルバイン閣下だーッ!』

 

流れるようなアナウンスにジルクニフは凍り付いた。プログラムにも書かれていなかった武王の対戦相手。突然のジョンの乱入からの流れるような挑戦と試合。まるで一連のシナリオのような流れにジルクニフの背筋に冷たい汗が流れる。

 

(まさか、ここまで全て魔導国の掌の上だったのか!?)

 

アナウンスに安心したのか。武王の登場に盛り上がってきたのか。会場から一際大きな歓声が上がった。歓声がジルクニフの胃に響いた。

 

『この一番の大試合を、エル=ニクス皇帝陛下もご観戦です。上にある貴賓室をご覧ください!』

 

引き攣りそうになる表情筋を押さえて、自然な笑顔を浮かべて、ジルクニフは立ち上がると眼下の市民たちに顔を見せる。

市民たちからは一斉にジルクニフを讃える歓声が上がり、ジルクニフはその端正な顔に静かな微笑を浮かべて、市民たちに手を上げて応えた。女性たちからは黄色い声が上がった。自分の人気が衰えていない事に、ジルクニフは満足を覚える余裕も無かった。

 

『ありがとうございました!さて、それでは皆様、これより久方ぶりに武王の一戦が始まります。皆様!北の入り口より、武王の入場です!』

 

割れんばかりの歓声が湧き上がる。通路からゆっくりと武王が姿を見せる。巨大な棍棒に全身鎧。身長は2m後半だろう。その難攻不落の要塞のような姿が日の光を浴びると、闘技場の歓声が更にもう一段大きくなった。

 


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