俺だけ能力を持ってない   作:スパイラル大沼

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第70話

 

 

 

「………ふぅ、こんなものね」

 

葵が息をつく。だいたいの流れは出来てきた。まぁよくあるショーにして、司会のお姉さん(葵)が挨拶してると敵の修と遥と愉快な仲間たち(岬's)が現れて観客を浚う。そこでブルーム二人が現れて周りをギッタギタにする。そこでラスボス(奏)が巨大モンスターを連れて登場し、苦戦しながらも戦うというものだった。

 

「問題は、奏の巨大モンスターよね。未知の生き物を作るわけにもいかないし……」

 

「そうだね。お金も掛かるし」

 

と、葵、遥と言った。

 

「いやいやいや、生き物に金はかからんだろ。ほら、命はお金じゃ買えないし」

 

「それそういう意味じゃ無いわよ」

 

呆れたように奏がツッコむ。

 

「じゃあロボでもいんじゃね?」

 

「そんなのいくら掛かるのよ」

 

「バッカお前そこはおもちゃのロボとか俺たちのこのジャミンググラス(笑)のレプリカも作って現地限定で売れば金にもなるだろうが」

 

「なるほど……」

 

「こうやって商売は成立すんだよ」

 

「じゃあそれでいきましょうか」

 

そんなわけで、決定した。

 

 

 

 

ヒーローショー当日。客席には栞や輝、光(引率なので中学生)の姿も見える。

 

「うーわ……なんでいるんだよ……」

 

ステージ傍でその様子を見ている慶。

 

「コラ」

 

その慶の頭にチョップする茜。

 

「サボってないで準備手伝いなさいよ」

 

「わーってるよ赤毛ババァ」

 

「双子でしょうが!それにそろそろ始まるわよ」

 

そう言う通り、葵がステージの真ん中に立つ。

 

「みなさーん!こんにちはー!」

 

『こんにちはー!』

 

と、声が上がる。そのまま葵は挨拶的なものを始める。その時だ。

 

「ハーッハッハッハッ‼︎」

 

高笑いとともに降りてきたのは変な仮面に黒マントの男(修)と、白衣にミニスカートの女(遥)と、全身タイツの8人(岬、内1人は鼻血出てる)だった。

 

「この桜遊園地は我々、沙九羅駄団がいただく!」

 

一言一言発するたびに変なポーズを取る修を見ながら、「ノリノリだな……」と、輝以外の家族が思ったのは言うまでもない。

 

「さて、そのためにはまず子供たちを浚うとしましょう!」

 

遥はそう言うと、客席に向かおうとした。その前に立ちはだかる岬(鼻血)。

 

「私をさらって!」

 

言った瞬間、ステージ傍から飛んできた石が頭に直撃し、気絶して放置された。

 

「さて、どの子にしましょうか……」

 

(とは言ったものの……知らない子はなんとなく連れていきずらいんだよなぁ……かと言って王族をさらうと贔屓だのなんだのなりそうだし……ていうか輝に能力使われそうで怖いし……)

 

若干、困った表情を浮かべながらも辺りを見回すと、見覚えのある女の子を見かけた。

 

(あれは……確か光の友達の子だったな……)

 

そう思い出すと、その子のところへ向かった。

 

「貴様に決めましたよ!」

 

そう言いながら指をさすと、微笑みながら言った。本人的には邪悪な笑みを浮かべたつもりだったが、元々女っぽい顔立ちの遥の笑顔は爽やかにしか見えなかった。

 

「来てもらいますよ」

 

「は、はい……!」

 

(あとで光に遥様に彼女いるか聞いとかなきゃ……!)

 

明らかに喜ばれていた。色んな意味で。で、ステージの上。

 

「みんなー!ダブルブルームを呼んでー!せーのっ!」

 

の、声に合わせて子供達は息を大きく吸い込んだ。

 

『ダブルスカーレットー!』

 

「もっと大きな声で!」

 

『ダブルスカーレットー!』

 

呼ばれた瞬間、バッ!とステージの上の方から音がした。そして、シュバッ!と二人の女性がステージに降り立つ。と、思ったらスカーレットブルームが言った。

 

「答えよナイト!流派!」

 

「東方不敗は!」

 

「「王者の風よ!」」

 

「全新」

 

「系裂」

 

「「天破狭乱!」」

 

「「見よ!東方は、赤く燃えているゥゥウウウウッッ‼︎‼︎」」

 

そして、ステージの後ろのほうが爆発した。

 

 


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