san値直葬? 何それ美味しいの?   作:koth3

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ここら辺までは主人公が足場を固めている話です。この話の次からは原作近くまで一気に飛びます。


第3話

 目が覚めると唯膨らんだだけの風船のような家にいた。人気もなく形だけを作っているような。少しして漸くこの家には俺以外に誰もいないという事に気が付いた。もう母親の料理も父親が新聞を読んでいながらする挨拶も聞けないと思うと心の何かがひしひしと凍り付いていく感触がする。

 そう言った感情を無理やり引きはがして俺はとにかく食えるものを探す。おそらくは喰わなくとも別に問題はないだろうけど腹が減ったら人を食う可能性だってある。俺という存在はいまだほとんどわかっていないんだから。昨日は何も食していなかったからできるだけ早めに摂取したほうが良い。そう判断して冷蔵庫をあさる。

 

 「これしかないか」

 

 俺の手にはカ〇リーメイトが一つだけ。冷蔵庫にではなくその下に隠すように置かれていた。恐らくは邪神がここに置いたのではないだろうか。アザトースの命を受けて何かしたというのならおそらくはあの神だろう。神話においてもあの神はアザトースの命令を受けていろいろとしている存在だし。俺が困っている姿を見てどこかで笑っていても可笑しくはない。

 

 「……少ない」

 

 当たり前だが幾ら子供でもこれだけでは圧倒的に少なすぎる。食料を買わないといけないな。金ならある程度はこの家に無造作に置かれていた。それを使えば良い。此れ位は別に自由に使っても大丈夫だろう。

 今日の予定はまず午前中にこれから必要になる可能性の高いものを購入しよう。食材や家具。あとは服。午後には海鳴図書館で地史に、古い新聞を借りてここら辺で何か事件が起きたかどうかも調べておこう。クトゥルフ神話TRPGでも情報収集としてはかなり有効なことの一つだからな。成功するかどうかは別として。

 

 

 

 「ありがとうございました」

 

 後ろの商店の店主がうつろな瞳で俺を見送ってくれた。いや、俺が精神支配で操っているからなんだけど。当り前の事だがこんな子供が日用品を買いに来たなんて言っても問題があるだろう。下手に勘ぐられると警察や児童相談所とかに連絡が行きそうだし。だから店主には可哀そうだが魔術で彼の精神を支配させてもらい俺に対する認識を無理やりいじくった。周りの人間にもかけて俺を異常と思わないようにはしたが。

 家具は先ほど買って配達を頼んでおいた。明日の昼には来るそうだから明日は家にいないと。

 そんな益体の無い事を考えていると一つの服飾店にたどり着いた。どうやら子供服専門店のようだがかなり豊富な種類にかなり安い。幾らでも金は手に入れる方法はあるが節約しておくに越したことはないだろう。その店で普段着を何着か買って家に帰る事にした。

 

 

 

 

 食料品などは冷蔵庫に入れて服などは一旦押し入れに入れておく。明日にはタンスやソファーが来る。それまでは何とかなるだろう。フローリングの床に座り込みながら調理した焼きそばをすすり込み、午後の予定再確認する。

 

 「海鳴図書館で過去の事を調べる。此処がどんな土地なのか。物語を変えるとアザトースは言っていたからクトゥルフ神話TRPGとは少し違うだろう。けど過去を調べて無駄になる事はないだろう」

 

 実際海鳴図書館へ行っても、何か此れと言った事件などはなかった。過去に記載されていた新聞や地史を調べてみたがそれでも一回だけ拉致殺人事件があっただけで此れと言ったものはなかった。もしこれがクトゥルフ系ならこの殺人事件を詳しく調べるべきなのだろうけど今回は関係がなさそうだ。しばしば落胆しながら図書館を出ようとしたとき脳裏にある映像が映りだした。

 暗い夜の中、満月めがけて肉塊が叫び声をあげている。その声を聴いた瞬間悪寒が体中を走り抜けた。如何仕様もなく狂いきった科学者とその肉塊がした行為に吐き気を覚えてしまう。気持ち悪い。如何しようもなく気持ち悪い。だけど何でだろう。その気持ち悪さがドウシヨウもナくカイラクとナってイルのハ。

 

 

 

 

 ふらふらとしながら無理やり体を動かしたのが悪かったのだろう。いつの間にか公園にたどり着いていた。此処までどうやってきたのかは分からない。まるで誰かに操られたかのように此処に居た。

 がんがんと頭の中で響く痛みを無視して目の前で繰り広げられている喧嘩を見る。三人の子供がいて、その中で一人の少女が困っており、二人の少年が言い争いをしている。しかし、その言い争いもだんだんと激しくなっており何時殴り合いになっても可笑しくはない。煩わしい状態になるからあまり関係を持ちたくはないのだが少女に気付かれて涙目で見られている。此処で見て見ぬふりをしていたらさすがにまた会ったときに気まずい。

 とうとう二人は殴り合いの喧嘩までに発展した。それに気が付かれないように俺は【隠れる】を使って見つからないようにする。更に【忍び歩き】を使うことでもはや彼らには俺という存在を認識できないだろう。

 そうして俺は隠れながら二人の近くまで行き、その後頭部を思いっきり殴りつけた。

 

 

 

 

 この人たちは一体何だろう。お家に居ても寂しかったからこうして公園に居たのに突然現れて嫁だとか言い出したり、近くから来た人も助けえてくれるかと思えば口げんかをしだしたり。何で私にこんなに近寄ってくるの? 私を嫁って言った男の子、それを止めようとして口論になって行き成り喧嘩をされても私は困るだけ。怖くなったときに公園の入り口に私と同じくらいの男の子がいた。きっと私が助けを求めていたような顔だったのだと思う。男の子は何か諦めたような顔をして私たちに近づいてきてくれた。助かった。そう思った瞬間その男の子は信じられない事をした。

 いきなり喧嘩をしていた二人の頭をぽかりと殴った。二人は倒れて私は如何すれば良いのか分からなくなっちゃって動けなかった。そんな時、男の子が私に話しかけてきた。

 

 「さっさと帰った方が良いぞ。そろそろ帰らないと母親が心配するぞ」

 

 心配? 心配はかけちゃいけない。だから帰らないと。でもこの二人は。

 

 「安心しろ。この二人は気絶させただけだ。面倒は俺が見とくからお前はさっさと家に帰って母親を安心させてやれ」

 「う、うん分かった」

 

 少し心配だったけどみんなを心配させるわけにはいかないから急いで公園を出た。

 

 「……あれ?」

 

 何で私公園にいたんだろう? 今日はさっきまで図書館で絵本を読んでいたはずなんだけどな? ……あ、そろそろ鐘が鳴っちゃう。急いで帰らないと。

 

 

 

 

 やれやれ、あの子はどこかに行ったか。あの子へ向けていた手を下げながら俺は魔術を解く。先ほどあの子には偽りの記憶を与えておいた。これで俺との接点はなくなった。幾らエルダーサインで抑えているとはいえ邪神との接点なんてない方が良いだろう。

 そして此奴らは如何しようか。……まあ、子供の喧嘩だ。すぐに起きるだろうしこのままにしたとしてもすぐに起きる。二人の少年を置いたまま俺は自分の家へ帰っていく。明日からはどうするか。まあ、時間だけはいくらでもある。時空はこの体の中に入っているノだかラ。

 

 

 

 san値チェック

 

 主人公 1/1D10

 

 チェック 0%(実質28%) 56 失敗

 

 san値減少 -1-7=-8

 

 状態 邪神の爪痕




サブタイトルが実は状態の部分です。

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