最近Vitaのデジモンにハマってたもので…
それにしても、今回から本編に入るとはなんだったのか…(困惑)
では投下。
―国立音ノ木坂学院―
外にいる時の真姫は、クールでかっこいい雰囲気を出している。
「それでねー、…あ あれ西木野さんだ」
「あ、そうだね。うぅっ、でもやっぱり話しかけづらいかも…」
「うんうん、なんか怒ってるみたいだよねー」
「わ、悪い人っていうわけじゃなさそうだけど…」
”西木野真姫はクールでかっこいい”
しかしそれ故にどこか近寄りがたい雰囲気も出してしまっている為、周囲の女生徒たちからは一歩距離を取られ気味なのだ。
「…ねぇ、西木野さんっていつも何考えてるのかな?」
「え、う~ん…やっぱり将来、先のこととかじゃないかな?きっと私たちじゃ想像もつかないこと、なのかも…」
しかし、決してそこに悪意があるわけではない。
勉学において、真姫はとてつもなく優秀な成績を残し、それどころか本人の特技の一つとして”テストで満点を取ること”というものがある。なんてことのないように聞こえて、彼女自身も「別にこれくらいたいしたことないわよ」と言うのだろうが、一般的な人から見て試験で満点を取ることが”特技”などと聞けば、誰しも息を呑むのではないだろうか?
普通の人ならばまず自慢したくなるであろうこの特技を、真姫はしない。
ましてや、自分より劣っている他人を下に見るなどということも絶対にない。
そして―――
「ね、思い切って話しかけてみようよっ」
「え?でも…」
「大丈夫大丈夫、いこっ♪」
彼女への距離を一歩縮めることになるこの時の女生徒の提案は、後々の彼女らの学院生活に大きな変化をもたらす起点となることは、まだ誰も思ってもみなかった――――――…
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【まきSide】
「はあぁ~…あー早く家に帰ってレベル上げたいわ…」
誰かに届くという訳でもないそんなぼやきを漏らしながら、私は校門をくぐって生徒玄関へと向かう。
私、西木野真姫は本来ならば、今日この場にいないはずなのだ。
しかし、私の兄である西木野秀平によって今こんな拷問を受けている。血の繋がった!実の!兄からだ。
全く実の妹に対して甚だひどい仕打ちだと思う。千葉県に在住しているお兄ちゃん'sを少しは見習ってほしいものだ。
…よし今度原作とブルーレイの全巻を貸してあげるとしよう。ふふん、お兄ちゃんったらきっと涙を流して枯らし泣くでしょうね♪我ながら名案すぎるわ、もはや天啓の域ね。
そう、こんな感じで―――・・・
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『お兄ちゃん!いつもお仕事お疲れ様!』
『おぉ、ありがとうまき!』
『今日はお兄ちゃんの為になるブルーレイと本を貸してあげるわ!これでお兄ちゃんも完璧なお兄ちゃんの仲間入りよ♪』
『グス…、お前はなんて良い妹なんだっ!よし、何でも買ってやる!!何が良い!?』
『Wiiの新しいやつ!!』
『よし買いに行こう!』
『ウィ―――っ!』
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「ウィ―――っ!…はっ!?いっ今の…っ!」
失態に気づいて、私は慌ててキョロキョロと首を動かして周りを見渡す。
ほっ…よかった、幸い周りには誰もいなかったみたいね…。
あまりにも衝撃的な天啓だったからつい家にいる時のテンションになっちゃったわ、気を付けないとね。
…って!?周りに誰もいないってことはまさかもうすぐチャイム鳴るんじゃないの!?
こうしちゃいられないわ、めんどくさいことこの上なしだけど教室まで急ぎましょうっ!
私が足に力を込めたその時。
「お―――――いっ!にっしきっのっさーんっ!!」
「ヴぇえっ!?」
なにやら聞き覚えのない声で、私を呼ぶ声が校庭に響き渡った。
あまりにも不意にその呼び声を受けてしまったのでバランスを崩してすっこけそうだったが、私はなんとかそれに耐える。
しかし、私のこの独特な呻き声だけはお約束かのように漏れたのだった―――…
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「おはようっ!西木野さん!」
「お…おはよう、ございます…」
そう言っていきなり後ろからやってきて現れたのは、オレンジにも似た茶髪ショートの女生徒とおずおずとした感じでその女生徒の後ろをついてきたブラウン系のショートボブで眼鏡を掛けている女生徒。
オレンジ髪の女生徒は先程の挨拶からでも分かる通り騒がしそうな感じで、反対にショートボブヘアの女生徒はおとなしい性格の娘の様だ。
胸元のリボンの色を見る限り、私と同じ1年生のようなので同じクラスだと思うのだが名前が出てこない…。
「お、おはよう…っじゃなくて!いきなり後ろからなにするのよっ!?」
「ただの挨拶だよ?」
「だったらもう少し声のボリューム下げなさいよ全く、…っていうかあなた達誰よ?」
もう面倒くさいので、失礼を承知で聞くことにした。
「えぇーっ!?西木野さん私たちのこと知らないの!?同じクラスなのに!」
「う…わ、悪かったわねっ!」
自分でもひどい逆切れだなと思いながら、私はこの騒がしい女生徒の返答を待つ。
すると、
「ん~と、それじゃあ」
女生徒はコホンと咳払いをして…
「凛は凛。星空凛っていうんだ!これからよろしくにゃー!それでね、こっちが”かよちん”!」
「わ、私…小泉花陽といいます。よ、よろしくお願いします…」
元気いっぱいに拳を空へ高々と振り上げながら言う女生徒『星空凛』。
もう一人のおとなしそうな女生徒『小泉花陽』が恥ずかしそうに微笑みながらそれぞれ自己紹介する。っていうかにゃーってなによにゃーって。
まぁともあれ、せっかく自己紹介をしてくれたのだ。だったらこちらもそれに応えないと悪いだろう。
「西木野真姫よ。そ、その…よろしく//」
…あ、あれ?私の人見知りってここまで酷かったかしら?確かに自分が人見知りだっていう自覚はとうの昔からあるけど、なぜたったこれだけの挨拶で自分の顔が火照ってるのを感じてしまうのだろう。主人公が転校生としてやってきた時の自己紹介でもここまでひどい状態にはならないはずだけど…。
「あー!真姫ちゃん顔真っ赤だにゃー!」
「なっ!?//う、うるさいわねっ!誰のせいだと思ってるのよ!///」
「くすっ…」
悩ましく思っているところへ星空さんが茶々を入れてきた。
小泉さんはおかしかったのか噴き出して私たちの様子を微笑ましく見ている。ふとそちらに視線を向けてみると、
「あ!ご、ごめんなさいっ、二人がおかしいからつい笑っちゃって…っ」
「はぁ…別にいいわよ、あんまり気にしてないし」
「とかいいつつ頬っぺた赤くしてる真姫ちゃんかわいいにゃー!」
「してないわよもうっ!っていうかくっつかないで!//」
畳み掛けるかのようになおも茶化してくる星空さん。おまけに今度はくっついてきて猫のようにスリスリと頬擦りをしてくる。
それにしても、さっきから気になっているのが…
「…ねぇ」
「ん?どうしたの真姫ちゃん」
「っあの、さっきから私の事名前で…」
これだ。
「うん!もう凛たち”友達”だから、凛たちのことも下の名前で呼んでいいよ!」
「っ」
トクン
・・・友達。
私はその言葉を脳内で反芻させる。
今まで、周りに人がいないわけではなかった。話しかけてくれる人たちもたくさんいた。
私はいつも…、みんなから話しかけられていたんだ…。
だけど自分から話しかけたりしたことなんてなくて、話しかけられてもつまらない反応ばかり取っていたのだと思う…。その結果、私に話しかけようと考える人たちは近寄ってこなくなったし、私自身もそもそも人と関わるよりゲームをしている方が万倍楽しいから、人と接することが好きじゃないからということで”人見知り”を理由に、隠れ蓑にしてきて今に至っている。
「り、凛ちゃんっ、やっぱりいきなりそんなこと言うのは失礼だよっ!」
「え~?凛はそんなことないと思うけどな~」
―――――『もう凛たち”友達”だから』…か。
私は一瞬、胸の鼓動が高鳴ったことを感じた。この感じはなんなのだろうか?
大好きなアニメやゲーム、音楽を楽しんでいる時とはまた違った高揚感。
同時に期待感も出てきている。
友達と言ってくれた星空さんと小泉さんとで過ごすこれからの学院生活に。
毎日同じことの繰り返しで、将来までの通過点にしかすぎないと決めつけていたこの学院生活に。
―――――――――今度は、今までとは別の”選択”をしてみよう。
「…くすっ」
「ど、どうしたの?西木野さん」
「いいえ、なんでもないわ。それよりも」
「「?」」
軽く息を吸って
「これからよろしくね。”凛”、”花陽”」
私は微笑みを見せながら、その選択を口にした。
すると2人はお互いに顔を見合わせて、
「「うん(はいっ)!!」」
笑顔で、受け入れてくれた。
「…あ、そういえば今ってな、何時くらいなのかな…?」
花陽が思い出したかのように恐る恐る尋ねてくる。
…そう言われてみればそうだ。一体今は何時ごr
キーンコーン カーンコーン…
・・・あ
「「「あああああああああああああっ!?」」」
―B A D E N D―
▶【セーブしたところから】
タイトル画面へ
あ~前回どこでセーブ掛けたんだっけ、家からだったかしら?だとしたらめんどくさいわね…
ってやってる場合じゃない!はやく教室まで急がないとっ!
再度足に力を込めて、今度こそ教室まで急ごうとしたその時だった。
ビュンっ
「よーし、教室まで競争するにゃー!」
凛が私の横を走り去っていき、こちらを振り向いてそう言った。
競争って、あんた完全にフライングじゃない…。
「り、凛ちゃん!廊下は走っちゃだめだよぉ!」
「早くしないと遅刻するにゃー!」
「ふえぇ!?う、うぅ…ま、待ってー!」
タッタッタッ…
そう言いながら花陽までもが、校則など関係ないかのように生徒玄関を抜けて廊下を駆けていく。
その場にポツンと残された形で佇むのは私だ。
それにしてもよく考えてみると、
「…もうチャイム鳴ったんだから、意味ないでしょうに」
ぽしゃりと落とされた私のそんな呟きは、ただ静寂の中に消えていくだけだった――――――
【まきSide End】
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時は遡り、数十分前――――
あ~やっと家を出ることができた…。まきのやつ、結局最後の最後まで駄々こねやがって…。
おかげで俺だけ朝何も食べれてないんだよなぁ…、大丈夫かなこれ、昼までもつk
ググっ…グググググぅ~…
・・・無理そうだな。仕方ない、どこかコンビニ寄っておにぎりでも…
「ん?」
買うかと決めようとしたその時、俺の目に一軒の古風な建物が目に入った。
『和菓子屋 穂むら』
いかにも和風な感じのその建物にかかっている看板には、そう書かれていた。
こんなところに和菓子屋なんてあったのか…。
「和菓子屋、か…。のれん上がってるしお店やってるのかな?」
なぜだろう?この建物を目にしたら無性に和菓子を食べたくなってきた。しかし朝からそれはなぁ…、そもそもまきじゃあるまいし、お菓子を食事として食べるのは些か抵抗がある。っていうか改めて思うけど、休日なんてあいつは3食ドリトスにしている時があるけどなにも思わないのだろうか?なんか俺の料理がお菓子に負けたっていう感じなのが遺憾で仕方ないな…。よし決めた、今日は帰ったらドリトスより美味しい夕飯を
グググググぅ~
…いや、今はその話はいいや。うん、もういいや入ろう。っていうかそうだ!和菓子屋なんだから、お餅とかもあるんじゃないか?お餅なら一つ食べるだけでけっこうお腹膨れるし。
よしお餅にしようそうしよう、じゃあ入るとするかっ。
決めて、引き戸に手をかけた直後だった。
「うわわぁー!?遅刻遅刻ー!」
ガラガラ!
「へ?」
引き戸が勢いよく自動ドアのように勝手に開いた。そして俺の口から間抜けな声が漏れた瞬間、
ドン!!
「ぐっ…!」「ひゃあっ!」
先程から唸りを上げている俺の腹に衝撃が走った。…おなかいたい。
たまらずお腹を抑える俺。っていうか今の女の子の声…?
視線を前に向けてみると、
「い、いつつ…」
「!? ご、ごめんっ!君、大丈夫か!?」
視線を向けた先には、一人の女の子がすっころんでいた。
「は、はいなんとか…、ってご、ごめんなさいっ!私っ」
そう言いながら、慌てて立ち上がる少女。パッと見て問題はなさそうだが、
「そうか、良かった…。あ、でもちょっと右の手の平見せてくれる?」
「え?はい、…っ」
やっぱり見間違いじゃなかったみたいだ。すっころんで尻餅をついた時に手の平もつけてしまったのか彼女の右の手の平に擦り傷が出来ていた。仄かに血が出て滲んでいる。
俺は鞄から緊急用として用意していた消毒液とハンカチ、絆創膏を取り出して軽く手当をする。
「・・・はい、終わったよ。これでちょっとはマシになったかな?」
「は、はい!ありがとうございますっ、あ、あの本当にすみませんでしたっ!」
顔を綻ばせて元気にお礼をくれる彼女は、丁寧に頭を下げて謝ってくる。
「いやこっちこそごめんね、ちゃんと前を向いていたつもりだったんだけど…」
まさか空腹で視界がぼんやりしてたかもなんて言えないしな…、あはは…。
「あの…っ、うちの前にいたっていう事は、もしかしなくてもお客さんですよねっ!?」
「あ、うん…。そうだよ」
そうだった、和菓子を買いに来たんだったな俺。それにしても、元気な娘だなぁ…。
「じゃあじゃあ!ぜひ”穂むまん”を買って行ってくださいっ、うちのおすすめの和菓子なんですよ!」
「穂むまん…?」
「はいっ、穂むらまんじゅう。略して”穂むまん”です!」
なるほど、おすすめなのか。こう言われると買いたくなってしまうな。
「ふふ、そうか。じゃあせっかく来たんだし、それも頂くとするよ。教えてくれて、ありがとう」
「えへへ~//」
「そういえばずっと気になってたんだけどその制服、もしかして『音ノ木坂学院』かな?」
「おぉっ!?その通りですっ」
「やっぱりそうなんだ、実はうちの妹もそこに通ってるんだよ」
「そうなんですか!?」
「うん、今年入学したばかりの1年生なんだけどね…」
「じゃあ私の後輩ですね!私、2年生です!」
そういえばこの娘の制服のリボンの色、まきとは違うな。まきは青色だったけど、この娘は赤色だ。
それにしても、後輩…か。
「…じゃあさ、学年が違うから難しいかもしれないけど、もし妹と出会うことがあれば仲良くしてあげてもらってもいいかな?うちの妹、極度の人見知りでさ、しかも不器用なものだから人付き合いも今までろくに続いたことないんだよね。だから、さ…」
はは…、初対面の女の子になに言ってんだ俺?こんなの勝手な押し付けにすぎないな…、忘れてもらおう。
「あ~ごめん。やっぱり今のなs「分かりました!」…え?」
「もしお兄さんの妹さんに出会うことがあったら、仲良くさせていただきますっ」
「…そう。ありがとう、…ええと」
「あ、私高坂です。高坂穂乃果って言います!」
「ありがとう、穂乃果ちゃん。俺は西木野、って言うんだ。」
よろしく、と言いかけたところで俺は穂乃果ちゃんが若干不機嫌そうな顔をして、ぶぅ~と頬を膨らませているのに気づく。
「………」
「あの、どうしたの?穂乃果ちゃん…」
「…名前」
「え?」
「下の名前っ教えてください!」
確かに相手にフルネームで名乗らせておいて、自分は苗字だけというのは少し失礼だったかもしれない…。
しかも俺名前で呼んじゃってるし…。
「…わかった。じゃあ改めて、俺は西木野秀平と言います。よろしくね?」
そう言いながら、俺は左手を出す。本当はダメなんだけど、右はケガしてるしな…。
ギュっ
「はい、よろしくお願いしますっ」
穂乃果ちゃんは左手を握り返して、握手に応じてくれた。もし出会えたとしたなら、この娘ならきっとまきと…
言わずと知れた期待感のような気持ちを抱きながら、俺は穂乃果ちゃんを見送り、そのまま穂むらへと入っていった。
――――注文するのはもちろん、お餅と穂むまんだ。
はい、ここまでお付き合いいただいてありがとうございます!
え~、凛ちゃんが積極的すぎる件。
眠い中ぽちぽちやってたんでおかしいところあればご指摘お願い致します!
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