多目的MS輸送艦プトレマイオス、抜錨します!!   作:れいる

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着任

「さて、ある程度の情報交換も終わったことだし、この沼島鎮守府について説明しておこうかな」

あれから場所を移し、提督の執務室にお邪魔している。

現在はこの鎮守府についての説明を受けている。

「この沼島鎮守府は最近新設された鎮守府でね、それほど艦娘も居ないんだよ。代わりに、淡路島からの食糧供給や支援物資が十分な量供給されているがね」

 

沼島鎮守府。

 

兵庫県南部に位置する淡路島の離島、沼島全体が鎮守府という、少々変わった鎮守府だ。

古事記より、国産みの島としても知られているかもしれない。まあ、私たちの世界では、だが。

この世界の沼島は一度深海棲艦に島の住民をことごとく虐殺されている。ただ、連絡船で逃げ延びた人達が淡路島に渡り、そこから神戸へとその情報を繋いだ。

その結果沼島全土を奪還、施設を建設し、そのまま基地として利用している。その業務員の中には以前の住民も少ないものの、存在する。

さて、そんな沼島鎮守府だが、現在私を含め14名の艦娘が所属している。彼女たちについては追々話していこう。

「この鎮守府は比較的出撃頻度の高い所なんだ。主に戦艦、軽巡艦、潜水艦が攻めてきていて、彼女たち第一艦隊にはその撃滅を目指してもらっている。艦娘の人数的な問題もあって、出撃頻度が高いんだよ。そして第二艦隊は基本遠征任務か農作業を手伝ってもらっている」

「な、なぜ農作業なんですか?」

「ここの住民と慣れ親しんでもらいたいからだ。幸い田畑の半分は無事だったからね」

「なるほど……」

「というのは建前で、単に人手が足りないからだ」

「……………」

「それとこの鎮守府の米は美味い。淡路島のタマネギも入ってくるし、福良地区のフグやタイなんかもたまに仕入れるからね。入江はまだ深海棲艦による襲撃は無いから、今はまだ養殖業は続いているんだよ」

食の問題はなさそうで良かった。

それから提督の淡路島の自慢話が小一時間ほど語られ、隣の榛名に止められるまで、提督の話は終わらなかった。

 

 

 

ー。ー

 

 

 

「…とりあえず、君は新造艦扱いだから、海軍本部には連絡しておきたいのだが、良いかい?」

「出来ればそれはやめてください。下手に私の情報を流したくはないので」

秘匿主義はソレスタルビーイングのお得意だ。

「それについては問題ない。もともといあんたちを連れてきたのは本部の連中だからね」

返ってきた答えに少し首を捻ったが、まあ良いだろう。

「…それでも、最低限の情報でお願いします」

「承知したよ」

ふと、思い出したかのように提督が私に問いかけてくる。

「そういえば君の艤装はなぜ燃料や弾薬の補給に応じないんだい?」

「あ、それはですね、私に武装がないからです」

「……は?」

「私に武装はありません。持っているのは艦載機であるガンダム4機のみです。さらに、私は燃料ではなくGN粒子を動力源に稼働しますから、GNドライブがあれば無限に稼働できますね」

「………そんな装備で大丈夫なのかい?」

「ええ、問題ありません」

だってガンダムが4機いますもん。

3機で攻撃、1機で防衛。うん、完璧。

…まあ、多勢に無勢でしょうけどね。無勢の方はチートクラスですけど。たかが戦闘機に対してこれは酷い。

「まあ、君が出るときは幾人か僚艦が居るだろうし、心配しないけど……」

「死にたくないので無茶はしませんよ」

「だと良いんだがね」

 

ー。ー

 

「さて、紹介するよ。彼女はプトレマイオス。新造艦だ」

急遽開かれた集会。

場所は鎮守府の食堂だ。

集められたのは十数名の艦娘達、それに加え数人の業務員の女性が椅子に腰掛けていた。

提督の隣に立っている私に彼女達の視線が集まる。

うぅ、胃が痛い。

「…た、多目的MS輸送艦プトレマイオスです。輸送艦という枠組みですが、仲良くしてくだされば幸いです」

軽い拍手の後に、料理担当の間宮が用意した宴会メニューを皆が続き始める。もちろん私も。

「さあさあ食べたまえ!良い子はよく食べ、よく寝て、よく働く!それで良いからね!」

それに反応する女の子が一人。

「そうよ!立派なレディーになるにはそれが一番よね!」

「…暁、はしたないよ。箸を振り上げないでくれ」

暁型駆逐艦一番艦“暁”、同型駆逐艦二番艦“響”である。

彼女達は姉妹だが、髪の色が全く違うというなんとも奇天烈なものなのである。が、ボケとツッコミという意味では良いコンビである。

 

「…………美味しいです!」

提督の隣に座って海老フライに舌鼓を打っているのが金剛型高速船艦三番艦“榛名”である。

彼女はこの鎮守府唯一の戦艦で、日々提督のために尽力している。

最近提督は新しい戦艦を建造すべく、躍起になっていたそうだ。

 

次に翔鶴型航空母艦“翔鶴”と“瑞鶴”。

彼女達は提督が早い段階で建造に成功していたため、この鎮守府トップクラスの練度を誇る。

二人とも現在この鎮守府に所属する駆逐艦の皆をまとめるお姉さん的な役割を担っている。

何の因果か、この鎮守府には赤城や加賀、蒼龍や飛龍といった第一航戦の艦娘が所属していないため、彼女達がこの鎮守府の制空権を護っている。

 

軽空母の艦娘も数人在籍している。

祥鳳型軽空母姉妹“祥鳳”と“瑞鳳”。

第二艦隊の航空戦力として配備されている二人で、翔鶴型の姉妹には劣るが、それでも他の鎮守府の所有する空母に引けを取らない練度を持っている。彼女達は頑張り屋だと伺っている。

 

次に軽巡洋艦で、夕張型一番艦“夕張”、天龍型一番、二番艦“天龍”“龍田”。

天龍型の二人は姉妹で、言わずもがな仲が良い。

夕張は隣に座っている榛名と軽いお喋りをしている。

 

最後は重巡洋艦だ。

高雄型重巡洋艦一番、二番艦“高雄”と“愛宕”。

彼女達も姉妹で、仲が良い。比較的古参の艦で、榛名と同等に練度が高い。

二人とも、胸部装甲が大きいですね………

 

以上十二名がこの鎮守府に在籍する戦闘用艦娘だ。

戦艦一隻、重巡洋艦二隻、軽巡洋艦三隻、駆逐艦二隻、正規空母二隻、軽空母二隻と言った構成である。

それに加えて補給艦“間宮”が入る。

この沼島鎮守府自体、それほど重要ではないが、深海棲艦の出現頻度の高い地域には変わりはないので皆それなりに練度があるらしい。

そこに私が加わって十四名の艦隊である。

色々と不安だが、そこは慣れていくしかあるまい。

今はこの美味しい料理を楽しもう。

…ちなみにこの料理、提督の手作りである。女として負けた気分だが、あえてスルーしておこうかな。

 

〜。〜

 

「さて、改めて自己紹介するね」

「はい、お願いします」

「私は黒鉄達海。日本自衛隊沼島鎮守府所属の提督だ。階級は少将だよ」

コーラサワーさんと同じ階級なんですか。

…今思えば彼も出世しましたよね。未だにモビルスーツ乗りですけど。

「では私も。私設武装組織ソレスタルビーイング所属、トレミラ・グレイスです。組織内階級はありませんが、地球連邦からは特尉階級を賜っています。扱いは少佐程度だと聞いています」

「了解した。それではトレミラ君は第六駆逐艦隊の二人に護衛を任せるよ。君の艤装には攻撃用装備が無いからね」

「ない、と言いますか、一応艦載機を4機積んでいます。基本はそれらで事足りますから」

「…とりあえず報告書と現物を見せてもらいたい。出撃の判断は私がするよ。重ね重ね申し訳ないが」

「お願いします」

後でいわんにもたせます、と言づけし、本題に移る。

「で、いつ演習を行うんですか?」

「この後ヒトヨンマルマルからだ」

「はい」

お互い紅茶を口に含む。

とりあえずひと段落だろう。

が。

「テイトクー!」

なんというか、ものすごい勢いで扉が開かれ、ポーズをビシッと決めた女性が現れた。

そのまま達海提督にダイブ…して空中一回転、事務机の正面に着地した、

服装は榛名さんと非常に似ている。

「…えっと、どちら様で?」

「金剛型一番艦、金剛デース!よろしくお願いしマース!」

提督は頭を抱えている。けど、全然嫌そうには見えないよ?むしろ嬉しそうだ。

「…榛名、君はいつ金剛を引き当てたのだね」

高速巡洋戦艦金剛型一番艦「金剛」その人である。

この鎮守府二人目の戦艦である。

「…榛名ではなく夕張さんが回しました。建造を担当したのは例の技術班の子たちですよ。私は止めたのですが…」

「Oh、榛名ではないデスカー!よろしくデース!」

「よろしくお願いします、お姉さま」

あれ?榛名さんがなんか大人……

「…とにかく、君達二人の着任を歓迎するよ、金剛、プトレマイオス」

「Yes!」

「はい」

全力増強はいいことです、はい。

 

 

 

 

 




はい、これから艦娘が増えることはあまり無いと思います

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