スノーフレーク   作:テオ_ドラ

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ダークファルスが復活していた時、
六芒均衡ってマリアとカスラ以外は何してたんでしょうね。
ここぞという時に姿を見せない六芒均衡!
EP1ではいまいち彼らの凄さが伝わらないPSO2なのでした。


【挿絵表示】


表紙を描いてくれたRimiQwiさんのページはこちら
http://www.pixiv.net/member.php?id=10995711

登場人物紹介はこちら
http://novel.syosetu.org/61702/1.html

ファンタシースターオンライン2、通称「PSO2」を舞台にしたオリジナルの話です。
本来のストーリーモードの主人公とは違った視点で、
PSO2の世界を冒険していくという内容となります。
気軽に感想を書いてくれると作者喜びます。
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なおイラストとか挿絵書いてくれる人は万年募集中です。


092.「……良き闘争であった」

ウェズたちがファルスアームを倒したその頃、

そのアークスは戦闘中心地で戦っていた。

そう、アームではなくその本体……

【巨躯】そのものとたった一人で。

いくら周囲のアークスたちのお蔭で

体積が減ったとはいえ

それでも人間に比べればあまりに大きすぎる。

 

何故、一人なのか。

そして六芒均衡ではなくそのアークスなのか。

それはわからない。

けれど、巨大な本体と互角、

いや明らかに押している戦いぶりを見れば、

誰もがそのアークスではならないと納得するだろう。

 

かつて三英雄ですら倒せず、

封印することしかできなかった宿敵。

今、ここで決着がつこうとしていた。

 

全身から抑えきれないほどのフォトンが

オーラのようにあふれ出している。

青白い光を放ち、

自由自在に戦う様はまるで彗星。

暗闇の宇宙を覆う巨大な敵を前にしても、

あまりにも鮮烈に輝く希望の星。

 

「面白い、面白いぞ!」

 

突きだされた腕を体を捻って避け、

雷をまとったレッドゼファーの一閃で切り落とす。

他のアークスたちが苦労して倒した「腕」を

いとも容易く切り落としていく。

 

そこへ上に振り上げた手から

白いレーザーが襲い掛かった。

だがアークスは冷静に剣を分離させ、

左手の剣で防ぎつつ

 

「ギ・ゾンデ!」

 

右手の剣で雷撃を放ちカウンターをかます。

 

「いいぞ! いいぞ!」

 

体を次々と壊されていくというに

【巨躯】は心底楽しそうに叫ぶ。

あまりにも無邪気に

純粋にこの瞬間に歓喜していた。

対するアークスは淡々としたモノである。

他のアークスたちとは違い、

ここには戦えるような足場はない。

だがそんなこと関係なく、

縦横無尽に【巨躯】の体の上を走り戦っていた。

 

「全力で潰すのみ!」

 

左右の手が叩き潰さんとばかりに、

思い切り「合掌」してくる。

避けきれないアークスだったが、

 

「……!」

 

両手にもったレッドゼファーを広げて、

 

「ラ・グランツ!」

 

光の剣を発生させて回転する。

高速で動く刃が勢いよく張り出された腕を

無慈悲にも破壊した。

 

「良き滾る闘争よ!」

 

これで全ての腕が壊れたことになる。

残りは無防備になった本体のみ。

だが……

 

「耐えてみせよ、破滅の一撃!」

 

額にあたる部分に光る赤いコア、

そこが眩く光り出す。

触れるモノ全てを一瞬で凍らせる

強烈な冷凍ビームを放とうとしていた。

いかな強靭なアークスといえども、

直撃すればただでは済まないだろう。

 

だが、アークスはこの瞬間を待っていた。

 

雷撃の力を込めた剣を思い切り投げつける。

刺し違えんとばかりに攻撃体勢に入っていた

【巨躯】の額のコアに深々と突き刺さる。

激しい雷のテクニック、

それをコアの中から直接流し込まれて

たまらず感電して仰け反った。

 

「ウォォォ!」

 

アークスの手にはもう剣は一本しかない。

だが、それで十分だ。

最も大きく心臓部にあたるコア……

 

「イル・ゾンデ!」

 

そこへ目がけて雷をまとい突っ込む。

そして――

 

「ォォォォォォォォォォォ!」

 

根本まで突き刺さる剣。

その一撃にどれほどの力が込められていたのか、

どれだけ激しい戦いもくぐり抜けた愛剣、

レッドゼファーが根本から折れる。

 

もうアークスに武器はない。

 

――けれど、決着はついた。

 

コアを破壊された

【巨躯】の体は胞状分解を始め、

あれだけの巨体がどんどん宇宙へと還っていく。

その一部は何故か、

アークスの方に吸い寄せられて消える。

まるでダーカー因子を

吸収しているかのようにも見えた。

 

【巨躯】の中から人型の何かが出てくる。

彼は武器を失い、足場もなくなって

宇宙を無防備に漂うアークスに近づき、

 

「……良き闘争であった」

 

そう呟いて、姿を消した。

 

戦いを終え、

死力を尽くしたアークスは力なく漂う。

けれどその目は、

ダークファルスの消えた方向を見つめ続けていた。




※足場なしでソロで倒したという設定です

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