スノーフレーク   作:テオ_ドラ

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メリークリスマス!


【挿絵表示】


表紙を描いてくれたRimiQwiさんのページはこちら
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登場人物紹介はこちら
http://novel.syosetu.org/61702/1.html

ファンタシースターオンライン2、通称「PSO2」を舞台にしたオリジナルの話です。
本来のストーリーモードの主人公とは違った視点で、
PSO2の世界を冒険していくという内容となります。
気軽に感想を書いてくれると作者喜びます。
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なおイラストとか挿絵書いてくれる人は万年募集中です。


089.「オレに任せろ!」

バンッ!バンッ!バンッ!

 

4体いるうちの

2体のファルスアームが激しく

地面を叩きながら進んでくる。

巨大な手だ、

巻き込まれたらただでは済まないだろう。

 

「ピアッシングシェル!」

 

まず先手を仕掛けたのはメディリス。

ありったけのフォトンを使い、

貫通性のある弾丸を連射する。

 

その数15発。

大きく動く腕に対して

精密な射撃はできないが……

 

バシュッ!

 

うまく一発が片方の腕の指の装甲を吹き飛ばす。

 

「……エイミングショット」

 

もう一体迫る腕の指を吹き飛ばしたのはアンジュ。

そこまで弾丸が速くないフォトンアーツのはずだが、

器用にタイミングをあわせて当てていた。

 

外皮がはじけ飛んだことで

指の中の柔らかい部分がむき出しになり、

迫っていた腕の動きが止まる。

 

「よしっ!」

 

相手の足が止まった隙を近接クラスたちは見逃さない。

 

「私から先にいこうか」

 

紅葉姫を構えたkが、

深く身を屈めて突進していく。

 

「ギルティブレイク!」

 

勢いを殺さず、弱点が赤く露呈した指を切り裂き、

最後に思い切り突き刺す。

 

ファルスアームがたまらず後ろに下がろうとするが、

kの紅葉姫が地面に縫い付けて逃がさない。

 

「ストレイトチャージ!」

 

後ろに回り込んでいたケーラが、

腕の反対側から思い切りパオネリアンを構えて突っ込む。

ファルスアームの反対側、

つまり腕と腕との連結部分は

中身がむき出しとなっているため、

比較的に柔らかいことに気付いていたのだ。

ダーカー因子が傷口から鮮血のように飛び散る。

 

「ゲッカザクロ!」

 

ケーラが切り開いた場所を

スサノグレンを持ったウェズが斬撃を見舞う。

深々とカタナが刺さり、

 

シュンッ……

 

ファルスアームは消滅する。

早速連携で素早く一体倒せて

一見すると楽に見えるが……

 

ブンッ!

 

立ち直った腕が大きくビンタのように、

腕を直接攻撃していたウェズたちに襲い掛かる。

 

「ふんっ!」

 

ライガンが槍を地面に突き刺し、

強烈な一撃に対して身を挺して防ぐ。

ラムダライゼノークが

ミシミシッと槍が嫌な音を立てていた。

 

「おっと、悪いね、ライガン!」

 

「自分のことはいい、次の敵を頼むぞ!」

 

「ああ、任せとけ!」

 

そう腕は1体ではないのだ。

 

「ナ・ゾンデ!」

 

背後から迫ってきた腕を

レシアの投げたタリスが

放つ電撃のフィールドが防ぐ。

ダークファルスは水棲種ダーカーの大元、

小さいのと同じように雷を苦手とするからだ。

 

「イル・グランツ!」

 

その雷の合間からキルシェが

圧縮されて光の粒子を何度も放つ。

ホーミング性能もある光の弾丸は、

無数に分かれて全周囲から

ダークファルスの指の装甲を吹き飛ばしていく。

 

「ツイスターフォール!」

 

その腕をすかさずKが吹き飛ばす。

 

「みんな下がって!」

 

そこへ焦ったような叫び声、

後方からのメディリスの射撃の援護だ。

 

「ん……」

 

下がろうとするメンバーを

 

「クライゼンシュラーク!」

 

ガンスラッシュでまるで舞うように、

回転しながら全周囲に射撃でアンジュが援護する。

 

ドコンッ!

 

先ほどまでウェズたちがいた位置を、

頭上にから凄まじい勢いで振り下ろされた

拳が甲板に穴を空ける。

 

「くっそ!

 全周囲から攻撃がくるってのは厄介だな」

 

ぼやくウェズに

 

「……それに倒してもまたくるみたいです」

 

レシアの視線は、

倒した分をまるで補充するかのように

どこからともなく飛んでくるファルスアーム。

そこまで広い残骸の上での

アーム同士が干渉しない数が4体らしい。

土台そのものを破壊しないのは、

恐らく、巨躯にとっては

アークスたちを足止めするための、

この腕たちなのだろう。

そうまでしてアークスたちを

本体に近づけようとしないのは……

 

「やれやれ、

 私たちが前座とはナメられたモンだ」

 

誰かを【巨躯】は待っているということ。

その事実に吐き捨てるように言うkに、

シフタを発動させたキルシェは

 

「マスターがさっき言ってた言葉から、

 きっと決着は『誰か』で

 なくてはいけないからかも?」

 

それがどういうことか……

メンバーである二人もわからないが、

けれど彼女たちのマスターが

こんな場面で無駄なことを言うとは思っていない。

必ず、意味があるのだろう。

 

「ならば脇役たちは脇役なりに、

 舞台を盛り上げようではないか!」

 

ライガンが雄叫びをあげる。

まるでそれに応えるかのように

アームが2体離れた場所で

手の平をあわせて何かをしようとしている。

 

「……高レベルのダーカー反応、

 何かしてくるみたい!」

 

メディリスの叫びに、

すかさずテクニック職の二人が動く。

 

「デバンド!」

 

キルシェが防御テクニックを発動させ、

 

「ラ・グランツ!」

 

レシアが正面に投げた3つの羽が

剣のようなテクニックを出現させて、

それぞれが地面に垂直に回転して

まるで盾のように発動する。

3枚重ねの剣の盾。

そこへ……

 

ガガガガガガッ!

 

2体のアームが生み出した、

強烈なレーザーが直撃する!

 

「くっ……!」

 

避けようにもレーザーを横薙ぎに払われたら

この足場では逃げ場はない。

フォトンの限りシールドを展開し続けるが……

 

「レシア!」

 

「……まだ、大丈夫です!」

 

長くはもたないだろう。

近接クラスたちが腕を破壊に向かいたくても、

相手は離れた宇宙空間から撃ってきている。

その事実に歯噛みする。

 

けれど、この宙域にはアークス「たち」が

集まっているのだ。

足りない部分は……誰かが補えばいい。

 

「オレに任せろ!」

 

後方から飛んできたキャンプシップが

ファルスアームに近づいて行く。

その上に立っていたデューマンの少女は、

大きな弓、エーデルイーオーを構えて

 

「ペネレイトアロウ!」

 

巨大なフォトンの矢をいくつも放つ。

レーザーを撃っていて無防備なアームは

射撃を受けてたまらず離れていく。

ナイスタイミングだった。

 

そのアークスのことをウェズは知っている。

 

「イオ!」

 

「オレも一緒に戦うから!」

 

白銀の髪とオッドアイ、

弓を主体とするブレイバーだ。

彼女はキャンプシップから

飛び降りてくる。

 

「おっと、私もいるよ、ウェズ」

 

続いており立ってきたのは、

ウェズにとっては誰よりも頼もしい相手……

 

「アザナミさん!?」

 

「直接会うのは久々だね、

 逞しい顔になっているねぇ、

 お姉さん、嬉しいよ」

 

いつも変わらぬ飄々とした笑みを浮かべ、

育て親であり剣の師でもある

ブレイバークラスの発案者がそこにいた。

 

「援軍にきたよ。

 みんなでアークスみんなで、

 あいつを倒そうって時に

 私もサボってるわけにはいかないからね」

 

イオも頷き、

 

「……本当は『センパイ』に

 ついて行きたかったけれど……

 でも今のオレでは足手まといにしかならない。

 だから……オレはオレにできることをする!」

 

『センパイ』が作ってくれた弓を

そっと指でなぞる。

 

「ああ、こんなに頼もしい増援はないぜ」

 

ウェズにとってはよく知る相手。

だからこそ彼女たちはここへ来てくれたのだろう。

 

「……喋っている暇はありませんよ!」

 

まだ上空に残っていたキャンプシップ、

その上に固定砲台のように備え付けられた

連装ガトリングで周囲のアームを攻撃しているのは

遺跡で助けてくれたリコットというアークス。

 

「おい、リコット!

 随分と楽そうな場所にいるな!」

 

「知りませんよ!!!

 文句はマスターに言ってください!!!!」

 

kとは同じチームらしい。

彼はアヴェンジャーを組み合せた

「ヴェンデッタ」で遊撃して回っているようだ。

 

ゥオオオオオオオオオ!!!

 

スノーフレークにいる戦場に、

更にファルスアームが追加で押し寄せる。

 

「まだ、これからってことか!」

 

武器を構え、

改めて全員でアームと向かい合った。

 




【エーデルイーオー】使用者:イオ
とあるアークスが
クワドラプトをベースにして
イオのためだけに設計したオンリーワン武器。
元々は4つの足を持つ
無機質なフォルムの量産品の強弓だったが、
足の部分は取り払われ
代わりに羽根のようなパーツになっており、
展開した姿はどこか有機的なフォルムとなっている。
全体的にシャープにはなったが
それでいて非常に力強いデザインである。
本体に装飾された特徴的な文様は、
彼女の体の刺繍模様をモチーフにしているらしい。
それをイオは信愛の証として大切に想っている。

ベースのコモン武器の使いやすさはそのままに
出力と連射性能が大きく向上しており、
非常に完成度の高い弓となっている。
ただしイオのフォトンに調整されていて
他のアークスが使うと本来の性能は引き出せない。
それは「センパイ」と慕ってくれる後輩のことを、
どれだけ想って作られたのかわかるというもの。

長らくイオは愛用していたが、
どんどん引き離される「センパイ」の強さに
少しでも追いつくために、
この武器はアザナミの手を借りて強化し
「エーデルイーオーⅡ」へと
名前と姿を変えることとなる。

――全ては敬愛する「センパイ」の役に立つために……

※スノーフレーク仕様のオリジナル設定なので
 実際のモノとは違います。

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