スノーフレーク   作:テオ_ドラ

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はい、数日ぶりの更新なのに
少々手抜きですいません。
他にすることがあったのとあわせて、
ゼッシュレイダ戦とか思いつかなかったんです!


【挿絵表示】


表紙を描いてくれたRimiQwiさんのページはこちら
http://www.pixiv.net/member.php?id=10995711

登場人物紹介はこちら
http://novel.syosetu.org/61702/1.html

ファンタシースターオンライン2、通称「PSO2」を舞台にしたオリジナルの話です。
本来のストーリーモードの主人公とは違った視点で、
PSO2の世界を冒険していくという内容となります。
気軽に感想を書いてくれると作者喜びます。
要望などは個別にメッセージ機能なり
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081.「ざまあないね」

――ゼッシュレイダ。

 

そのダーカーを一言で表すなら亀。

けれど違うところは

鋭角的なフォルムになった甲羅。

またヒトデのような形の甲羅を背負う

飛び出してる本体も

非常に強固な装甲に覆われている。

甲羅にはまるで巨大な顔のような文様が

威圧するかのごとく光っている。

 

5メートルはあるであろう巨体が

大地の裂け目からゆっくりと立ち上がり、

ギョロリとした目が

ウェズたちを見下ろした。

 

――!

 

長く伸びた首から、

赤色のブレスを撒き散らす。

それは毒性を含んでおり、

触れた遺跡の花が焼きただれて

紫色に変色して燃え尽きていく。

 

「ナ・グランツ!」

 

即座に対応したレシアは

タリスを前方に投げて

光の障壁を生み出して防ぐ。

ダーカーの攻撃であるならば、

光のテクニックとは相性がいい。

拡散性のブレスに対しては

ナ・グランツでも十分。

 

「足を狙うよ!」

 

ケーラは障壁の影から

弾丸のごとき勢い良く飛び出す。

ズングリとした巨体は堅牢ではあるが

どうしても足元が疎かになりがちだ。

 

「フリッカージャブ!」

 

パオネリアンの爪による激しい連打が

足の装甲を削る。

一撃一撃は大したことのないジャブだが、

数えきれない殴打の雨は

まるで削岩機のようだった。

 

「アサギリレンダン!」

 

続いてウェズはいつものごとく、

至近距離からの連撃。

以前のディオシガルガよりも高い出力の

スサノグレンの重たい攻撃が、

ケーラとは反対側に位置する裏から

激しく装甲を削っていく。

 

どれだけ堅い装甲であろうとも

はがしてしまえば中には

柔らかい部位がある。

それをケーラは知っていて、

ウェズもそれに合わせて連携を行った。

 

装甲に亀裂さえ入ってしまえば……

 

「アサルトバスター!」

 

ライガンの猛烈な槍の一突きが

深々と装甲を砕いて足に刺さる。

ダークラグネとの戦いの時もそうであったが、

連発は出来ない分、

ハンターの重たい一撃はこういう時に

非常に効果を発揮する。

 

「ァァァ!」

 

亀が煩わしげに叫び声をあげる。

しかし鈍重な体を支える

片方の足が傷つけられたことで

「おっとっと」という感じでよろめく。

 

それを見逃すケーラではなかった。

 

「バックハンドスマッシュ!」

 

0距離から放たれた

大気を震わせるほどの強烈な裏拳。

5メートルもの相手に対して、

小柄なケーラはとても頼りない。

だがその拳は壁を砕かんがごとく破壊力……

 

ドゴンッ……!

 

ゼッシュレイダは成す術もなく

そのまま後ろに倒れてしまった。

 

「ざまあないね」

 

ケーラがやり遂げた表情を浮かべる。

ウェズもカタナを鞘に納めた。

 

「その大層な甲羅が仇になったな」

 

仰向けに倒れてしまったダーカーは

御碗のように湾曲する甲羅がゆえに、

短い手足が届かずジタバタする。

まるで本物の亀みたいに

自分で起き上がることができないらしい。

 

「今のうちに行きましょう!」

 

今は時間がないのだ。

こんなダーカーの相手をしている場合ではない。

レシアの掛け声に呼応して、

全員がもがくゼッシュレイダの脇をすり抜けて

そのまま駆け抜ける。

 

「ったく、面倒なダーカーだったぜ」

 

ウェズの言葉にライガンは頷く。

 

「装甲を壊すまでは良かったが、

 あれは相当タフな様子だ。

 マトモに相手するのは骨が折れるだろう」

 

先頭を走るケーラが器用に肩を竦めた。

 

「ウォルガーダとかダークラグネだったら

 速度が速いからラッキーだったかもね。

 あんな亀、このまま逃げ切って終わりじゃん」

 

安堵するスノーフレークの面々。

 

しかし……そうは甘くはいなかった。

 

「……」

 

自力で立ち上がれないと判断した

ゼッシュレイダはギョロリとする目で

逃げるアークスたちを睨み……

 

シュュューーー!

 

甲羅の隙間から突然に

空気のようなものを吹き出し回転を始めた。

それはあたかも玩具のコマのよう。

徐々に回転速度をあげて、そして……

 

「……えっ!?」

 

赤いダーカー因子を撒き散らしながら、

猛烈な勢いで飛んできたのだった。

 

「レシア!」

 

ウェズは咄嗟に後ろを走っていたレシアの腕を引き、

抱き抱え上げて思い切り跳びあがる。

先に高台へ上がっていたライガンが

その二人を引き上げた。

 

ドゴンッ!

 

バカンッ!

 

激しい轟音を鳴らし、

甲羅をぶつけながらゼッシュレイダは暴れまわる。

その速度は非常に速く、

一瞬でも退避が遅れれば

巨大なコマに轢き潰されていただろう。

 

シュンッ!

シュンッ!

 

しかも亀の攻撃はそれだけにとどまらなかった。

 

「っと、みんな隠れて!」

 

いち早く気付いたケーラが叫ぶ。

ゼッシュレイダはまるで赤いダーカーの玉を

砲丸のように周囲に撒き散らし始めたのだ。

炸裂する弾が遺跡を破壊していく。

 

「くっそ、なんだこいつは!?」

 

レシアを降ろしたウェズが舌打ちをする。

広い場所でならともかく、

今は幅が10メートルほどしかない通路。

巨体の注意を逸らせるようにスペースはなく、

かつあの高速で迫る相手を振り切って

逃げ切るのは至難だ。

 

「……ウェズ、ありがとうございます」

 

「気にするな。

 にしてもどうする……」

 

降りそぞく炸裂弾を避けるために

物陰に隠れて様子を伺う。

その間も無尽蔵に暴れまわる

ゼッシュレイダの破壊活動が続いていた。

 

「……うむ。

 しかし悠長に隠れている暇はないぞ」

 

「いくらなんでも、

 あの中を突っ切るなんて無理に決まってるじゃん」

 

あのダーカーの様子を見るに、

体力切れを待つのは愚策だろう。

とてもそんなヤワな感じには見えない。

 

しかし刻々と迫るタイムリミット。

揺れはどんどん激しくなっていく。

一体、何が起きるというのか……。

 

「一か八か、飛び出しかないか……」

 

「ウェズ、さすがにそれは」

 

ウェズが腰をあげて、

それをレシアが止めていたその時だった。

 

『……みんな、大丈夫!』

 

通信機から叫び声。

その声は……

 

「メディリス!」

 

ダダダダダダッ!

 

激しい機関銃による弾丸の雨が

ゼッシュレイダに降り注いだ。


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