スノーフレーク   作:テオ_ドラ

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かなり前にチラっとだけ名前の出た、
本編の主人公専用武器、つまり妄想の塊です。


【挿絵表示】


表紙を描いてくれたRimiQwiさんのページはこちら
http://www.pixiv.net/member.php?id=10995711

登場人物紹介はこちら
http://novel.syosetu.org/61702/1.html

ファンタシースターオンライン2、通称「PSO2」を舞台にしたオリジナルの話です。
本来のストーリーモードの主人公とは違った視点で、
PSO2の世界を冒険していくという内容となります。
気軽に感想を書いてくれると作者喜びます。
要望などは個別にメッセージ機能なり
ツィッター(@neko_neko_xojya)でお寄せ下さい。
※感想欄に書くと規約に引っかかるため
※要望は全てに対応できるわけではないのはで予めご了承ください。


079.「――もうすぐで、最深部です」

――レッドゼファー。

 

それはゼファ―ケーンという短杖、

剣のような形をしたウォンドであるそれを

ベースに改良された専用武器。

元々ゼファーケーン自体が、

汎用性の高いアクローケーンを

ピーキーな性能に強化したというロモノなのに、

そこから更にリミッターを解除したハイエンドモデルだ。

 

本来ないはずの変形機能まで備えたソレは

完全に元の武器からはかけ離れてしまっている。

全体が真っ赤に染められ、

刀身に刻まれた青白い文様が薄く輝いていた。

 

「イル・ゾンデ!」

 

そのアークスは雷撃を纏い、

ダーカーたちの集団へ突っ込む。

集団と言っても、

あまりにも敵が密集しずきているため

完全に壁のような状態だ。

通路に整列したガウォンダたちが

盾を構えて立ち塞がる。

 

フォトンキャノンでも用意しなければ

その壁をこじ開けるのは不可能だろう。

だがそれは並のアークスであった場合の話。

そのアークスの進行を止めることなど

「たったその程度」ではできるはずがなかった。

 

ウォォォォォォ!

 

それは神のイカズチの如く。

触れるだけでダーカーたちは焼きただれて

次々と崩れ落ちて行く。

水棲型のダーカーにとって

雷のテクニックは絶大な効力を発揮するのだ。

 

……ヒュン。

 

だが途中で

身にまとっていた雷が消えてしまう。

いくら有り余るフォトンを持つ

そのアークスといえど、

燃費の激しい上位テクニックをそう長くは維持できない。

敵地のど真ん中で、足を止めてしまう形となる。

 

キシャァァァァァァ!

 

好機とばかりに

周囲を取り囲むダカンたちが

押し潰さんとばかりに一斉に飛びかかる。

その数は30を超えるだろう。

 

「……」

 

だが、慌てることなく

レッドゼファーを変形させる。

変形といっても柄が伸びただけで、

「まだ」持ち手が長くなった程度の形状変化。

 

「スライドエンド!」

 

けれど既にそれで十分。

武器はウォンドから

パルチザンへと性質を変化していた。

 

シャンッ……!

 

たった一撃。

一閃により放たれた

強烈なフォトンの衝撃波が、

ダカンたちを真っ二つにして消し去る。

 

その振りぬいた勢いを殺さず、

更に形態を変形させて

次のフォトンアーツを繰り出す。

 

「ノヴァストライク!」

 

刀身がスライドして伸びて

パルチザンからソードへと。

台風の様に回転して繰り出される猛烈な旋風が

背後から迫っていた

ダカッチャとダーカッシュを一掃する。

 

「……」

 

たった一回の雷のテクニックと、

二回のフォトンアーツだけで

集団を瓦解させていた。

上空から見れば、

ダーカーたちの黒い絨毯の中に

ぽっかりとそこだけ開け、

地面が見えているような状態だろう。

 

ブンッ!

 

近づかれてはまずいと本能的に悟ったのか、

一つ目の巨人の姿をしたダーカー、

サイクロネーダたちが

手にした鉄球で遠くから攻撃する。

その数は五つ。

どれもがちっぽけなアークスを

押し潰すのに十分な質量。

……十分だったはずだ。

けれど寸分たがわず狙い通りに

放たれた鉄球はどれも空を切る。

既にその場にアークスはいなかった。

手ごたえがなかったことに疑問に思い

手元に戻ってきた鉄球を見ると、

バチバチと放電する雷の玉がくっついてた。

 

それはサ・ゾンデという雷のテクニック。

雷のテクニックで誘爆する雷撃の玉に、

危険を察したサイクロネーダが

振り払おうとするが、

 

「ゾンデ!」

 

放たれた雷撃で引火し、

凄まじい爆発を引き起こして

その辺り一体を焼き尽す。

 

その攻撃をしたアークスは

どこに行ったかというと、

既に離れた場所へと飛んでいた。

 

グワァァァァァァァ!

 

遠くにいたダーカーの叫び声が響き渡る。

腕が鉄球のサイクロネーダとは違い、

棍棒のような形状をした巨人ダーカー、

キュクロナーダ。

その顔面に深々と刀身が突き刺さっていた。

距離は少なくとも五メートルは離れていたはず。

よくよく見ると刺さっているのは刀身だけで、

柄からワイヤーで射出されていたのだ。

 

「グラップルチャージ!」

 

そう、レッドゼファーは

ワイヤードランスへと変形している。

アークスはワイヤーを巻き取ることで、

体を引っ張り攻撃を避けていたのだ。

勢いよくキュクロネーダの顔面に

蹴れを入れて刀身を引き抜く。

視界をやられたキュクロネーダは

がむしゃらに棍棒を振り回すが、

 

キンッ!

 

次の変形を行った

レッドゼフィ―が攻撃を受け止める。

剣の中から、もう一本の剣を取り出し

双剣にして逆手に構えて防いでいた。

左手に持っている剣が鞘のようなものであり、

右手の剣は普段は中に収納されているので

勿論サイズが小さい。

 

「フォールノクターン!」

 

空中で体を回転させ、

落下しながら竹を割るように

キュクロナーダを切り裂いていく。

 

地面に足をついたところで、

今度こそ仕留めるとばかりに

空を飛んでいたエルアーダが群れで殺到する。

 

シュンシュン……

 

猛烈な勢いで突っ込むが、

しかし突如として発生した

かまいたちに次々と切り裂かれていく。

 

ダブルセイバーのカマイタチ。

2本に分かれた剣を、

次は柄同士をつなげて

両剣へと変化させたのだ。

 

カマイタチを耐えたとしても、

 

「イリュージョンレイヴ!」

 

華麗な剣さばきの前には無意味だった。

 

まさに変幻自在の戦い方。

あまりの異質さ、

そして絶対的な力に、

ダーカーたちはじりじりと後ずさりする。

 

だが、そのアークスから逃れることはできない。

 

左手に持っていた剣を投げる。

地面に突き刺さった

バチバチとフォトンを帯びた剣に、

慌ててダーカーたちは離れようとする。

だが逃げるよりも先に剣を

中心にテクニックを発動させた。

 

「ゾンディール!」

 

突如として発生した

凄まじい渦がダーカーたちを引き寄せる。

あまりの吸引力に成す術もなく、

激しい音をたてながら衝突して潰れていく。

 

ダーカーたちがなんとか立て直した時には

既にアークスは詠唱を終えていた。

 

「イル・フォイエ!」

 

空から降ってきた隕石が

大地を抉り、大爆発を起こす。

砂煙が消えた後には、

地面に突き刺さった剣だけが残り、

ダーカーたちは跡形もなく消し飛んでいた。

 

「……」

 

アークスは剣拾い、

収納して元のレッドゼフィ―に戻す。

戦闘開始からわずか3分。

その間に倒したダーカーの数は74。

圧倒的すぎる力だった。

 

「――もうすぐで、最深部です」

 

耳元の通信機から六芒均衡のカスラの声。

アークスは無言で頷き、

更に速度をあげて奥地へと駆けだした。

 

 

そこから先は、

六芒均衡しか立ち入ることが許されていないエリア……。

アークス本部がひたすら隠し通していた、

「本来は存在しえない」記録から消された場所。

 

 

――30年前、三英雄が

  ダークファルスと戦った決戦の地。




【レッドゼファー】
ウォンドのゼフィ―ケーンをベースに
強引なカスタマイズを施したオンリーワン武器。
あるアークスが自分のためだけに設計した専用品である。
本来青白いはずの刀身を真っ赤に染め上げた
シンボリックなカラーリングは
非常に目立つモノとなっていた。

ウォンドは勿論、
ソード、ワイヤードランス、パルチザン、
ツインダガー、ダブルセイバー、タリスと変形する。
残念ながら射撃性能は備わっていない。

明らかな規格外な仕様なため
ただ振り回すだけでも
膨大なフォトンを必要とし、
相当な素質を持つものでなければ
そもそも装備することすら適わない。

創世器ほどではないが、
絶大な力を持つレッドゼファー。
けれどそんな武器ですら
急速に成長し続けるアークスについていけず、
【巨躯】との決戦の際に
限界量を超えたフォトンで折れてしまった。

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