スノーフレーク   作:テオ_ドラ

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手抜きではないのです、相手が弱いだけなのです。
そういうものなのです。
所詮はデ・マルモス
所詮はデ・マルモス
所詮はデ・マルモス
所詮はデ・マルモス


【挿絵表示】


表紙を描いてくれたRimiQwiさんのページはこちら
http://www.pixiv.net/member.php?id=10995711

登場人物紹介はこちら
http://novel.syosetu.org/61702/1.html

ファンタシースターオンライン2、通称「PSO2」を舞台にしたオリジナルの話です。
本来のストーリーモードの主人公とは違った視点で、
PSO2の世界を冒険していくという内容となります。
気軽に感想を書いてくれると作者喜びます。
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077.「一撃で仕留める」

凍土から更に奥に進んで抜けた先は、

不思議な光景が広がっていた。

 

青々とした木々が生い茂る森林とは違い、

そして一面の銀世界に覆われた凍土とも違う。

 

開けた場所には

蔦や苔が覆われた建造物の廃墟の数々。

余程の年月が経っているのか、

ほとんどが崩れ落ち、

何の目的で使われていたものかわからない。

また名前はわからないが

黄色い花がところどころに咲いており、

どこか物悲しい場所だった。

 

「遺跡……でいいのか、これは?

 

ウェズが足を踏み出す。

 

「……オラクルの施設ですね」

 

そう、これは未知の文明などではない。

数十年は前のモノだろうが、

確かにそれはオラクルの建造物だ。

だがその朽ちた様子は、

まるで何かの戦いの跡のよう……

 

「深入りはしない方がいいよ。

 今までアークス本部が隠していたものだしね」

 

思考に耽りそうになった二人を

ケーラが声をかけて止める。

ライガンも頷き、

 

「その通りだ。

 今は私たちは与えられた任務をこなす……

 そのことだけを考えていた方がいい」

 

油断なく周囲を見回す。

今回の任務での編成は

ウェズ、レシア、ライガン、ケーラだった。

メディリスとアンジュは

キャンプシップっで待機してもらっている。

不測の事態に備えてのことである。

 

4人は与えられたポイントに到着する。

穏やかな風が吹き、

静寂の世界にどこからか

鳥のさえずりまで聞こえてくる。

クエスト中だということも忘れて、

見入ってしまいそうだ。

 

「……くる」

 

いち早く敵に気付いたのはケーラ。

メンバーに合図をして止める。

 

ゴゴゴ……

 

地鳴りのような音。

それは地面の下から。

 

「ォォォォォォォン!」

 

そして前方、

驚くことに地面から原生種が飛び出してきた。

ウーダンとかそんな大きさではない、

まるで巨大な戦車のような巨体……

 

「デ・マルモスか!」

 

鼻息荒くギョロッと見下ろすマンモス。

体長は5メートルはあるだろうか。

大きな鼻を振り回し、

興奮している様は完全に好戦体勢だ。

見え辛いが背中には大きなダーカー浸食核。

理性などもう頭に失っている、倒すしかない。

本来は凍土にいるはずなのに、

迷い込んできたのだろうか。

 

「ふっ!」

 

ケーラが駆ける。

すかさず足元に喰らいつき、

 

「スライドアッパー!」

 

下から上へ思い切り振り上げられた豪腕、

パオネリアンの鋭利な爪が

デ・マルモスの皮膚を切り裂く。

左後足を切られて獣は雄叫びをあげる。

 

「スライドエンド!」

 

逆の後ろ足に取りついたのはライガン。

ラムダライゼノークの横薙ぎの一閃。

猛烈な風斬り音と共に放たれた一撃は

さすがに切断までは行かないが、

堅い皮膚を切り裂き一文字に斬り傷を与える。

 

「助かります、二人とも!」

 

ケーラとライガンがまず足を狙ったのは、

機動力を落とすためである。

デ・マルモスの一番の脅威は、

巨体に任せた突進。

どれだけ力自慢のアークスといえど、

さすがに岩のような巨体の勢いを

完全に殺すことなどできないのだ。

特に今は浸食されている、

怒りに身を任せて

形振り構わず暴れ回られると、

回避力の低いテクニック職は辛い。

 

「フォイエ!」

 

近接の二人が足止めしてくれた

この状況下であるなら、

フォースであるレシアも思う存分に

テクニックを行使できる。

セラータクレインを構えて

火の玉を連続で発射していく。

一発一発の威力は低くても、

何発もぶつけられたらたまらない。

凍土に住む原生種は熱に弱い。

 

「ォォォォォォォン!」

 

像が雄叫びをあげる。

前後からの攻撃に

どうしたらいいかとパニックに陥ったのだ。

その場に足を止めてブンブン鼻を振り回す。

しかしまだまだ力が有り余っているのは、

腹立たしげに足踏みする地鳴りから明らか。

パニックが収まったら暴れ出すだろう。

 

「さて、と」

 

だが、その場で動かない敵など、

恐れるに足らない。

高台に移動していたウェズが、

腰に下げていたカタナを取り出す。

 

余計なモノの一切ない

金の装飾を施された鞘。

スラリとしたカタナの名前はスサノグレン。

その柄には以前の持ち主が好んでいた

フォトンアーツのディスクが装着されたまま。

 

腰だめに構えて、

 

「一撃で仕留める」

 

一度目を閉じてから精神を落ち着かせ、

目をカッと見開く。

 

シュンッ!

 

鞘からカタナを引き抜き一閃した。

デ・マルモスとは距離があるが、

そんなもの、今のウェズにとっては関係ない。

 

「――ハトウリンドウ!」

 

まるで波のごとく放たれた

圧縮された強力なフォトンの波動。

大気を切り裂く剣撃波が、

デ・マルモスの浸食核に直撃し、

 

「ォォォン……」

 

スパっと呆気なく切り取った。

浸食された生物にとって、

ダーカー浸食核はむき出しの心臓。

核を失った原生種は、

力なく膝を折り絶命した……。


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