スノーフレーク   作:テオ_ドラ

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一方その頃的な話です。
ダーカーの巣窟とくれば浸食された戦闘機。
やっぱり登場しないと怒られるかなと思いまして。
ついでにPSO2本編ではできない
イレギュラー的な倒し方をしますが、いつものことと思ってください。
妄想の物語だからこそできる倒し方、まさに王道展開!
ちなみにまたライガンさん、ボロボロなります。


【挿絵表示】


表紙を描いてくれたRimiQwiさんのページはこちら
http://www.pixiv.net/member.php?id=10995711

登場人物紹介はこちら
http://novel.syosetu.org/61702/1.html

ファンタシースターオンライン2、通称「PSO2」を舞台にしたオリジナルの話です。
本来のストーリーモードの主人公とは違った視点で、
PSO2の世界を冒険していくという内容となります。
気軽に感想を書いてくれると作者喜びます。
要望などは個別にメッセージ機能なり
ツィッター(@neko_neko_xojya)でお寄せ下さい。
※感想欄に書くと規約に引っかかるため
※要望は全てに対応できるわけではないのはで予めご了承ください。


071.「失敗したら後はありません!」

ウェズと別れたレシアたちは、

コアまであと少しというところで

敵に阻まれていた。

 

「ゥォォォォォォ!」

 

立ち塞がるのは

巨大な人型ダーカー。

5メートルはあるだろうか、

どっしりとした足に

バランスの悪い大きく膨らんだ腕。

張り出した肩にはまるで目のように

ギョロッとした赤いコアが光る。

その間に小さい猿のような顔があった。

格闘戦に特化したダーカー、ウォルガーダ。

しかも全身が朱色であり、

ウォルガーダの中でも特異種……

アロナガーダと呼ばれる個体だった。

 

「ォォォォォォ!

 

雄叫びをあげて

まるでかつて存在したリキシのスモウのように、

張り手を繰り出してくる。

強烈な風斬り音を立て、

丸太のような腕が突きだされる。

 

「ぬぅん!」

 

ライガンがラムダライゼノークで防ぐが、

あまりの衝撃に吹き飛ばされる。

 

「サーペントエア!」

 

その隙に背後からアンジュが

バウガーディンで回転しながら切り刻むが……

 

ブゥン!

 

堅い皮膚を削るくらいしかできず、

わずらわしげに放たれた

振り向きざまの攻撃に

慌てて当たらないように離れていく。

 

「クイックマーチ!」

 

空を舞うタキオンが縦に回転しながら

肩のコアを狙うが、

さすがに希少種ともなるとコアも硬く、

有効打が与えられない。

アロナガーダが無駄だとばかりに吼える。

 

「ウォォォォォ!」

 

近接クラスの三人がアロナガーダを

なんとか抑えてくれているが、

後方クラスも窮地に立たされていた。

 

「……厄介ですね」

 

レシアは物陰に隠れて、

唸りながら空を見上げる。

 

バラララララララ……

 

物陰に隠れる三人を探すように

上空を滑空するモノ……

それはダーカーではなかった。

 

「戦闘機まで複製できるなんて、

 そんなの聞いてないよ!」

 

メディリスが泣きそうな声で叫ぶ。

すると音に反応したのか、

ガトリング砲による弾丸の雨が降り注ぐ。

「ひゃっ!」と甲高い悲鳴と共に

メディリスは物陰に隠れて避ける。

 

そう浮かんでいるのは、

アークスたちが使う戦闘機を模したもの。

ベースは戦闘機そのものだが

ダーカー特有の赤い血管のような

モノが巻き付いており、

不気味の一言だった。

一瞬味方かと勘違いしたが、

よく考えるまでもなく

こんなところに戦闘機がくるはずがない。

 

「ディパインランチャー」

 

ミノリがグリムゾンバンカーで迎撃する。

だが浸食された戦闘機は

器用に砲弾を回避していく。

そしてお返しとばかりにミサイルを放つ。

 

「回避」

 

ミノリが少し前まで隠れていた場所を

ミサイルの雨が吹き飛ばしていく。

 

「このままではジリ貧ですね」

 

なんとかアロナガーダと

戦闘機を引き離すことには成功した。

同時に襲われていたら、

さすがに逃げるしかなかっただろう。

 

最悪よりはマシ……

とはいえ打開策がない。

 

「浸食核さえもっと外に出ていたら……」

 

メディリスが呟く。

見た目は戦闘機とはいえ、

ダーカーが複製したモノ。

浸食核さえ破壊すれば崩壊するだろう。

が、その肝心の弱点が

戦闘機の尻の奥まった部分にあるのだ。

狙撃もテクニックもピンポイントでは狙えない。

 

「やはり、近接の面子に

 破壊してもらうしかないですか」

 

問題は高さだ。

タキオンもあの高度までは飛べない。

どうしたものかと悩む。

しかしあまり時間はない、

こうしている間にも他のチームが

中央で苦戦しているかもしれないのだ。

4方から攻め入ることで

敵の戦力も分散しているので、

敵の戦力が中央に向かうのを阻止するという

役割は果たしているとは言えるが……

 

(私は、ウェズから任された)

 

ならば期待には応えよう。

彼も今、苦しい戦いを強いられているはずだから。

 

「作戦を伝えます!」

 

ここには6人もアークスがいる。

ならできないことなんてない!

各自の端末に作戦データを送付する。

キャストの三人は眼を通すまでもなく、

自動で把握できるから楽だ。

アンジュは多分、

見てもわからないと思うので、

当たって砕けろという感じなのだけれど。

 

「レシアさん、本気!?」

 

端末を確認したメディリスが

悲痛な叫び声をあげた。

 

「失敗したら後はありません!

 各員、頼みます!」

 

レシアは物陰から飛び出して駆ける。

当然見逃すはずもなく、

戦闘機がバルカン砲を連射して追いかけてくる。

 

「ナ・グランツ!」

 

タリスをありったけなげる、

自分が進む方向に均等に分かれるように。

その一つ一つが球体の形をした

光の障壁を生み出す。

輝く道となったトンネルの中を

レシアは全速で駆けて行く。

 

ダダダダダッ!

 

ミサイルは障壁で爆砕するが、

バルカンは平然と障壁を貫通してくる。

だが軌道はずれてギリギリのところで

レシアには当たっていなかった。

 

「支援開始」

 

「もう、どうなっても知らないよ!」

 

レンジャーの二人が自分たちに向けた

戦闘機目がけて攻撃を行う。

浸食核に当たればラッキーなのだが、

カバーのような部位に隠れており弾かれる。

破壊まではいたらなくても、

衝撃で戦闘機の照準がぶれる。

そう落とせいとしても

レシアに当たらなければいい。

 

「ライガン!」

 

レシアが叫ぶ。

 

「任せろ!」

 

守護者たるハンターが武器を捨てて、

アロナガーダへと突っ込む。

そして

 

「うおおおおおおおおお!」

 

強烈な張り手を正面から受け止めた。

新調したばかりのパーツが悲鳴を上げ、

地面に足がめり込んでいく。

 

「頼みます!」

 

レシアはその横をすり抜けて、

 

「……っ!」

 

アロナガーダの股を

スライディングしながら滑り抜けた。

 

レシアを追いかけていた戦闘機が

アロナガーダと組み合っている

ライガンへと迫っていく。

 

「次は自分の見せ場だ!」

 

アロナガーダの背中を蹴って

タキオンが空を飛ぶ……

しかし

 

ガシッ!

 

空いたアロナガーダの手が

タキオンを逃さないとばかりに右足を掴む。

 

「ちっ!」

 

タキオンの判断は一瞬だった。

彼は自身のモードを切り替える。、

 

「……ターゲット、確認」

 

目の色が切り替わり赤くなる。

それは過酷な任務を達成するために

自我を殺して最適な方法を選択するモード。

ミノリのそれよりも容赦なく、

敵を破壊するために用意されたもう一つの彼。

 

「……」

 

彼は躊躇なく掴まれている右足を

ナイトメアブラッドで斬り落とす。

そのまま手にもったツインダガーを

 

「ダークスケルツォ」

 

アロナガーダの顔面へと突き刺す。

そのまま背を向けて戦闘機へと

背中のスラスターを全開にして飛ぶ。

アロナガーダを踏み台にしたとはいえ、

まだ高度が足りない。

けれどまだ、最後の一人がいる。

 

「アンジュ!」

 

彼女に詳しい指示を出してはいない。

だが正確に把握し、

タキオンと同じように

アロナガーダの頭を蹴って跳んでいた。

彼女もキャスト、やろうと思えば

足のスラスターで短時間であるが飛べる。

 

「……んっ!」

 

そしてタキオンを踏み台にして、

更に高くへと飛び上がる。

 

「よいしょ」

 

そして戦闘機の後部に掴まり、

 

「レイジ……ダンス!」

 

激しい突きを、コアへと直接叩き込む。

どれだけ奥まった場所にあっても、

密着して剣先の細い

バウガーディンならば問題ない。

 

バシュンッ!

 

最後の射撃でコアは破壊される。

力を失った戦闘機は推進力を失い、

前への慣性に従い墜落していく。

そこの先には、

ライガンと組み合っているアロナガーダ。

 

「くっ!」

 

ライガンがラムダハイペリオンを射出する。

飛んだワイヤードランスの矛先を

着地したタキオンが掴み、

片足がないため地面に倒れ込みながらも

思い切り引っ張り上げた。

 

突如として敵がいなくなって

つんのめるアロナガーダが

敵を探そうと顔を上げる。

 

ヒューンッ……

 

そこへ墜落してくる戦闘機が衝突した。

 

「全部持っていって!」

 

メディリスとミノリが

そこへ手持ちのトラップを

全部投げ込んでいく。

 

「これで、終わりです!」

 

アロナガーダの先へ行っていたレシアが、

テクニックをチャージを終えていた。

 

――この時を待っていた。

 

「イル・フォイエ!」

 

空から巨大な炎の塊が降ってくる。

 

ドオンッ!

 

それは戦闘機を誘爆させ、

またトラップの数々の連鎖的に爆発し

アロナガーダを木端微塵に吹き飛ばした……

 


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