スノーフレーク   作:テオ_ドラ

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今回はだいぶ短いですけど、
これで浮遊大陸編は終わりです。
本編とは違うスノーフレークなりの話でしたが
楽しんでいただけたでしょうか。
さて次回は遺跡と思わせて実は違います。
クローンの話が出てきて、更に襲ってきた……
つまりはそういうことです。
そこでは他のチームのアークスも出したいとは考えてるので、
希望とかあれば遠慮なく言ってくださいね~。
あっ、仮面の騎士団もまた出てきます、はい。


【挿絵表示】


表紙を描いてくれたRimiQwiさんのページはこちら
http://www.pixiv.net/member.php?id=10995711

登場人物紹介はこちら
http://novel.syosetu.org/61702/1.html

ファンタシースターオンライン2、通称「PSO2」を舞台にしたオリジナルの話です。
本来のストーリーモードの主人公とは違った視点で、
PSO2の世界を冒険していくという内容となります。
気軽に感想とか要望を書いてくれると作者喜びます


060.「私も強くなるから」

「敵わないなぁ……」

 

浮遊する島の一つに

不時着した戦闘にもたれ掛かりながら、

メディリスは空を見上げる。

 

視線の先には空を駆る竜。

戦いを終えたヴォルドラゴンは

ゆったりとした動きで空を舞い、

徐々に高度を下げてくる。

 

その背中には戦いを終わらせた立役者たち。

背の角に掴まり風を受けながら立つウェズ。

そして落ちないように

その腰にしっかりとしがみ付くレシア。

 

「……私も乗りたい」

 

アンジュもバウガーディンを片手に見上げる。

私はそんな彼女と並びながら苦笑した。

 

(私は、ウェズさんと

 乗りたいだけなんだけれども)

 

竜に乗り悪者を倒すだなんて、

遥か昔のお伽噺みたいだ。

騎士は捕らわれのお姫様を助ける……

そんな使い古された物語を思い出す。

誰だって一度は憧れたことがあるに決まってる、

そしてそのお姫様が

自分であることを夢想していた。

 

「彼女はどんな気持ちなのかな」

 

けれど今、彼の横にいるのは自分じゃない。

綺麗な銀髪をなびかせる、

強い意志をもった女性。

いつだって自分の立ち位置を見失わず、

彼女にしかできないことをしながら

彼を共に前へ歩んでいる。

私なんかとは違い、

対等な関係として彼の横に並び立っていた。

 

「どうだろうか。

 マネージャーも、

 案外歯がゆい想いをしているかもしれない」

 

戦闘機の修理を手伝うライガンが

作業をしながらそう言ってくる。

 

「マスターは腕前こそは

 まだベテランには至らないだろう。

 しかしチームを、

 我々を引っ張ってくれる強さ……

 それは着実に成長していると感じる。

 仲間を想う気持ち、

 そして自らが前に立ち率先するリーダーシップ……

 他のチームにも胸を張って誇れるマスターだ」

 

手を止めて、彼も見上げた。

 

「自分はマスターより先輩であるはずなのに、

 手本になれることがなく、

 それどころか愚直に前に立ち

 盾になることしかできていない……

 そう、ライガン=ボルテックスも

 焦りを覚えているのだから」

 

頼もしいと思っていたライガンでさえ、

そういう葛藤を胸に抱えていた。

自分だけでないという安心感と共に、

彼に置いて行かれるかもしれないという焦燥感。

 

「そう、だよね」

 

メディリスはライフルを胸に抱き、

一度大きく息を吐いて、

そしてゆっくりと吸った。

 

「私は、あの人を支えたいんだ」

 

今まではただ、

振り向いてほしいと思っていただけ。

私を救ってくれた

その頼もしい背中を見つめていて、

それで満足していたかもしれない。

 

――けれど、それだけじゃダメ。

 

隣りに立つあの人のように並び立ち、

同じ視線で前を向いて歩きたい。

そして私に微笑みかけて欲しい。

 

「私も強くなるから」

 

静かな決意を込める。

まだ、私にだってチャンスはあると思う。

アークスとしての動機は不純で

褒められたものではないかもしれない。

だけど、それでいい。

 

「それがメディリス=ランドナーの強くなる意味」

 

ライフルを持つ手に力を込めた。

 

「ふーい、ぎりぎりってところだな。

 これで始末書は回避だ」

 

油汚れで真っ黒になったパイロットが顔を出す。

戦闘機は応急処置でなんとかなったらしい。

 

「……おーい」

 

アンジュが空に手を振る。

そんな少女に応えるように、

ヴォルドラゴンがゆっくりと着地して、

ウェズとレシアは地面に降り立った……。

 

 


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