スノーフレーク   作:テオ_ドラ

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こっそりと名前だけゲストキャラが出ます。
アークスに襲い掛かるアークスとはいかに。
って本編してる人はもう何かわかってるとは思いますが。
あ、そういえば最近ハーメルンに、
オリジナル展開のPSO2小説が増えて、
仲間が増えたみたいでちょっと嬉しいです、はい。


【挿絵表示】


表紙を描いてくれたRimiQwiさんのページはこちら
http://www.pixiv.net/member.php?id=10995711

登場人物紹介はこちら
http://novel.syosetu.org/61702/1.html

ファンタシースターオンライン2、通称「PSO2」を舞台にしたオリジナルの話です。
本来のストーリーモードの主人公とは違った視点で、
PSO2の世界を冒険していくという内容となります。
気軽に感想とか要望を書いてくれると作者喜びます


052.「……幽霊とでも言うのかよ」

ダダダダダダッ!

 

軽快なフォトンの射撃音が響き渡る。

ウェズが訪れたのは

ショップエリアにある射撃訓練場。

新しい武器の試し打ちなどによく使われる場所だ。

 

「よ、メディリス。

 調子はどうだ?」

 

次のクエストの詳細が決まったので

メディリスに伝えに来たのだ。

出発は明日のため急ぎではないから

通信でも良かったのだが、

チームルームいると頭痛が治まらないので

気分転換にやってきたのだ。

 

「ウェズさん。

 珍しいね、射撃場に来るなんて」

 

ぱっとメディリスが顔を輝かせる。

余程集中していたのか、

かなり汗を掻いているようだった。

タオルを渡して、

冷たい飲み物も一緒に渡す。

 

「明日、惑星アムドゥスキアに

 行くことになったから

 それを伝えに来たんだよ」

 

彼女が手にしていたライフルを置いて、

飲み物を一気に飲み干す。

 

「ん?」

 

彼女が置いたのが見慣れない

アサルトライフルであることに気付く。

 

「それは、ヴィタライフルか?

 いや、それにしては真っ赤すぎるな」

 

見た目は確かに

標準的なアークス正式採用の

オーソドックスなデザインの長銃。

けれど彼女が使っていたのは

全体が赤く塗られたモノだった。

 

「アークス本部がヴィタライフルより

 協力な汎用的な長銃を開発中らしくて

 これは試験機なんだって」

 

「……まさか、どこかで買ってきたのか?」

 

これ以上、負債が増えるのかと、

ウェズは恐る恐る尋ねるが、

彼女は首を振った。

 

「ううん、

 アックスボンバーズのマスターさんが

 前にもらったけど使えないからって、

 この前のお礼にもらったんだよ」

 

「あのオヤジ……

 俺には一言も礼とかねーぞ」

 

自分たちにレンジャーがいないからって

メディリスにアプローチしているに違いない。

まあ単に女の子に甘いだけかもしれないが。

でもちょうど良いタイミングなので、

心の中でだけ感謝をする。

彼女が今まで使っていた

ヤスミノコフ3000Rは使いやすさは抜群だが、

当然ながら射撃力が相応に低い。

メディリスも射撃に自信がついてきており、

この前の地下坑道の一件もあり

新しいアサルトライフルを

用意してやりたいと考えていた。

予想以上の出費に見送ろうとしていたが、

結果オーライというところだ。

 

「そういえば、惑星アムドゥスキアってことは

 火山洞窟に行くのかな?

 あそこは暑いから好きじゃないなぁ」

 

「いや、今回は地殻部分じゃねーみたいだ。

 なんか空に浮かぶ島がたくさんあるだろ?

 そこの調査を最近始めたらしいが、

 浸食された龍族が暴れまわってるらしく、

 俺たちは威力偵察っていうわけだ」

 

「龍族……機甲種より動きが早そうだね」

 

素早く移動する龍族を

狙撃するのは骨が折れそうだ。

 

「トゥリアが危険だっていうし準備は万端にな。

 あとライガンは出れそうにねーから、

 俺とレシア、メディリス、アンジュで行く」

 

……借金返済のために難易度の高いクエストを

トゥリアが持ってきたから、

というのは黙っておこう。

 

「うん、わかった。

 スタングレネードとかも用意しておかないと……」

 

片づけを始めるメディリスだったが

思い出したようにぽんと手を叩いた。

 

「そういえばウェズさん、

 最近ベテランアークスの間に変な噂があるんだって」

 

「噂?」

 

「うん、なんでも突然アークスが

 襲い掛かってくる事件が

 ここ最近になって多発してるって」

 

その言葉にウェズは遠い目をした。

 

「ああ……俺もいきなり

 罵倒されて斬りかかられたなぁ」

 

今でも思い出す苦い思い出だ。

けれど彼女は首を振って

 

「そういうのじゃないみたい。

 なんだが……

 アークスの反応もしないらしくて

 突然現れて無差別に襲って来るらしいの。

 しかもそれが、色んなアークスがいるとか」

 

……レイのような輩とは違うらしい。

 

「……複数の襲撃犯ってことか?」

 

「うーん……私もさっき聞いただけだから。

 でも……なんだか気味の悪いことを言ってたよ」

 

どうやらただの噂話で収まらないらしい。

 

「行方不明になったはずのアークスが、

 ダーカー因子を纏って現れるって。

 倒したら、霧散して消えるらしいの」

 

「……幽霊とでも言うのかよ」

 

ぞっとしない話だ。

後でトゥリアに詳細を

確認しておいた方がいいだろう。

 

「それは誰から聞いたんだ?

 どうも嫌な予感がする。

 この予感ってのが最近よく当たるからな」

 

メディリスは誰もいない隣の席を指差す。

 

「さっきまで私と並んで

 新しい武器の試し撃ちをしてた人なんだよね」

 

その先の的を見ると、

何を撃ったのか的は

激しく蜂の巣になってボロボロになっていた。

 

「すげぇな、色んな意味で。

 機関銃でも撃ったのかよ。

 しかも全部中央に寄ってるぜ」

 

「うん、リコットっていうレンジャーの人。

 なんか最近、所属してるチームの

 マスターが無茶にクエストとか

 依頼ばかり持ってくるから、

 殲滅用にアヴェンジャーって

 アサルトライフルを用意したって言ってたよ」

 

長銃の名前は聞いたことがある。

「皆殺し」と呼ばれた

とある賞金稼ぎが愛用していたという

アサルトライフルをベースに開発したモノで、

凄まじい勢いで弾をばらまく凶銃。

リコットというレンジャー、

戦争でもするつもりなのだろうか。

 

「それにしても……

 アークスに襲い掛かるアークス、ね」

 

ウェズは呟く。

もし本当だとしたら、

厄介な話な予感がしてならなかった。

 


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