スノーフレーク   作:テオ_ドラ

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EP1のオープニングを飾ったダークラグネ先生です。
ちょっと強めに書いてみました。
けれど結局は無傷で倒しているというのは秘密。
ゲーム内ではできませんけど、
騎乗スキルとか欲しいですよね


【挿絵表示】


表紙を描いてくれたRimiQwiさんのページはこちら
http://www.pixiv.net/member.php?id=10995711

登場人物紹介はこちら
http://novel.syosetu.org/61702/1.html

ファンタシースターオンライン2、通称「PSO2」を舞台にしたオリジナルの話です。
本来のストーリーモードの主人公とは違った視点で、
PSO2の世界を冒険していくという内容となります。
気軽に感想とか要望を書いてくれると作者喜びます


037.「……許さない」

――ダークラグネ

 

神出鬼没の巨大な蟲型ダーカー。

蜘蛛のような形態をしており、

鋭い鎌に四足の太い脚。

全身を堅い外殻で覆い非常に堅牢だ。

それでいて高い瞬発力、

離れてもジャンプ一つで襲ってくる跳躍力と、

まさにアークスを倒すことに特化した存在。

 

腕に自信のないアークスは

回れ右をして逃げるのが得策だが……

 

「放ってはおけねぇよな!」

 

よくはわからないが、

先ほどの少女は原生種と協力して

ダーカーと戦っているらしい。

アークスが倒すべきはダーカー、

ならば共通の敵がいる以上、

手助けしない理由はない。

四人は走りながら追いかける。

 

「トゥリア、先ほどの少女のことですが……

 本部にはまだ連絡しないでください。

 なんだか、辻褄があわないことが多すぎます」

 

『……うん、私もそう思う。

 けれどみんなが危なくなったら、

 本部に救援指示を出すから』

 

「ありがとうございます」

 

レシアの言葉にウェズは尋ねる。

 

「どういうことだ?」

 

「ゴーストの話です。

 アークス反応がない……

 つまり正規のアークスではないですけど、

 まずそんなことはあり得ません。

 だから彼女が噂の存在であるのは

 間違いないと思います。

 行方不明になった調査船の生き残り……

 もしそれが正しいのならば、と考えました」

 

メディリスは「あっ」とそこで気付いたらしい。

 

「情報が改竄されていたら……

 アークス本部が関わってるかもしれないんだ」

 

「そうなると、確かに慎重にならざる得ないな」

 

ライガンも頷く。

 

「……難しい話は後にするか。

 とりあえずまずは、あいつを倒す!」

 

巨大なダーカーが見えてきた。

今まで戦ってきたダーカーとは

比べ物にならない大きさだ。

火山で戦った

ヴォルドラゴンより大きいかもしれない。

 

スノウバンサーを駆る少女は機動力を活かし

物陰に隠れたり壁を蹴ったりと

縦横無尽に駆けまわる。

しかし、ガンスラッシュの射撃の火力では

装甲を貫けずに苦戦しているのが見て取れた。

……スノウバンサーが攻撃しないのは、

恐らく、彼女たちは知っているのだ。

攻撃をすればダーカー因子により浸食されてしまうと。

 

「む……!?」

 

ダークラグネの視線が

スノーフレークの面々に向く。

ライガンがすぐに気付き、

メンバーを後ろに下がらせる。

 

「後ろに隠れろ!」

 

ダーカーが腰を据えて、

鋭い鎌をクロスさせる。

すると

 

シュンシュンシュンッ……!

 

赤い鮮血のようなカマイタチが幾重にも発生し、

回避もできないような

広がりを見せて飛んできた。

 

「ガードスタンス!」

 

槍を風車のごとく回転させ

あたかもフォトンの盾の様にする。

 

ガシンッ!

 

一発を防ぐ。

後ろに吹き飛ばされそうなのを堪える。

 

「ライガン!」

 

後ろからウェズが支える。

 

二発、三発……!

 

強烈な衝撃をなんとか耐える。

攻撃を凌いでほっとするが

 

「急いでみんな、散って!」

 

メディリスの鋭い叱咤に散開する。

すると地面から突然の雷撃。

ダークラグネを中心に

無作為に雷は放たれ凍土を蹂躙していく。

 

(厄介だな……!)

 

ウェズは必死に避けながら

ダークラグネを観察する。

グワナーダやガウォンダのように

わかりやすい位置に

弱点であるコアが見当たらない。

 

「……!」

 

スノウバンサーに乗る少女は

ダメージを与えれないが、

ダークラグネの注意を逸らしてくれる。

翻弄するように周囲を走り回り、

ダークラグネは鎌で薙ぎ払うが華麗に回避していく。

 

「……頭の後ろか!」

 

そのお蔭でコアの場所が確認できた。

 

「どうしますか?

 さすがにあんな場所に集中攻撃は難しいですよ」

 

物陰に隠れたレシアからの通信。

 

「あ、あんなに動き回るとこ、

 狙撃なんて私には無理だよ!?」

 

泣き事は言うけれど、

きちんと高所の狙撃に適した場所に

メディリスも移動していた。

 

「なんとか、足止めができれば良いが……」

 

ライガンもダークラグネとの

交戦歴はないらしく、

困ったような唸り声をあげる。

 

(さてどうする……)

 

ウェズは頭をフル回転させる。

今はキャストの少女が

翻弄してくれているお蔭で

なんとか敵の猛攻の矛先は分散している。

だが、よくよく見ると

スノウバンサーも少女も疲労の色が見えていた。

 

――短期決戦が必要。

 

遠距離クラスの二人の火力では

コアは撃ちぬけない。

しかし近接クラスでは攻撃が届かない……

つまり、全員が攻撃しやすい場所に

一気に集中攻撃をするしかないだろう。

 

「脚だ……」

 

ダークラグネはスノウバンサーを駆る少女の走る

上方に視線を向けがちだ。

 

「左前脚に一気に攻撃を仕掛けるぞ!

 メディリス、ウィークバレットを頼む!」

 

「りょ、了解!」

 

今は動きを止めているので、

比較的狙いやすいはずだ。

 

「お願い、当たって!」

 

パシュンッ!

 

軽い音を立てて特殊弾頭は脚へ真っ直ぐ飛ぶが

 

「……外れちゃった!」

 

たまたま足をひょいと動かされて外れる。

特殊弾頭には限りがある、

これ以上外すとまずい……!

 

「ここは任せてもらう!」

 

ライガンが飛び出す。

その手に持っているのは、

ちょうど新しく用意したばかりの

ワイヤードランス。

 

「ホールディングカレント!」

 

ラムダハイペリオンの矛が

寸分たがわずダークラグネの脚に絡まる。

そして手元のスイッチを入れ、

フォトン伝導率を最大にした。

 

「うぉぉぉぉぉぉぉ!」

 

フォトンによる電流を流し、

縛り付けた足を止める。

 

「今度は、当てるから」

 

装甲に切れ目が入る。

そこに特殊弾頭は突き刺さった。

赤いマーカーが光る。

 

「サクラエンド!」

 

その隙を逃さずにウェズを斬撃を叩きこむ。

 

フォトンの力が倍増され、

脚の装甲がはじけ飛ぶ。

むき出しの脚に更にもう一発、

ウィークバレットが突き刺さる。

 

「ラ・グランツ!」

 

レシアが脚のちょうど傍で

止まるようにタリスを投げる。

そこから放たれた光のレーザーが

脚を何度も何度も削って行く。

 

「アサギリレンダン!」

 

あわせてウェズも何度も何度も切りつける。

メディリスも狙撃を繰り返し行っていた。

 

「これで……!」

 

トドメとばかりにライガンが槍を投げる。

 

「セイクリッドスキュア!」

 

突き刺さった槍が足を貫き、そして……

 

グォアアアアアアアア!

 

低いうなり声をあげてダークラグネは

体重を支えきれずに地面に体を横たえる。

ダークラグネに鎌で反撃させる暇も与えない

電光石火の連携攻撃だった。

 

「今だ!

 お前が決めてくれ!」

 

足元にいるウェズたちでは

コアを攻撃するよりも

前に体勢を立て直される。

だからこそ、通じるかはわからないが

名前も知らぬ彼女に賭けた。

 

「……!」

 

彼女はすぐに意図を理解し、

スノウバンサーは跳躍する。

すかさずメディリスが最後の一発の

ウィークバレットをコアに撃ちこむ。

少女は動きを止めてむき出しの

コアがある場所に飛び乗り、

 

「……許さない」

 

少女がダークラグネと

どんな因縁があったのか、

それはわからないが彼女は怒りの表情で、

 

ガスッ!

 

思い切りコアに

ガンスラッシュゼロを突き刺し、

 

ガガガガガガガガガッ!

 

銃身が壊れるほどの勢いで

ありったけの弾丸を撃ちこんだ。

 

ウォォォォォォォン……

 

コアをズタズタに

破壊されたダークラグネは

 

ズシンッ……!

 

力なく地面にひれ伏し、

そしてダーカー因子の塵となり消え去った。

 

 


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