スノーフレーク   作:テオ_ドラ

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盾ダーカー死すべし。
慈悲はない。
あいつら超面倒です、はい。
そしてついに原生種を駆るライダー登場。



【挿絵表示】


表紙を描いてくれたRimiQwiさんのページはこちら
http://www.pixiv.net/member.php?id=10995711

登場人物紹介はこちら
http://novel.syosetu.org/61702/1.html

ファンタシースターオンライン2、通称「PSO2」を舞台にしたオリジナルの話です。
本来のストーリーモードの主人公とは違った視点で、
PSO2の世界を冒険していくという内容となります。
気軽に感想とか要望を書いてくれると作者喜びます


036.「頭隠して尻隠さずってな」

中央に3体いる巨人のような黒いモノ。

それはガゥオンダというダーカーで、

右手が巨大な盾になっているのが特徴だ。

周囲を取り囲むミクダもそうだが、

弱点を突かねば非常に堅牢で手間のかかる存在である。

 

「気をつけろ!

 こいつらは鈍重ではあるが、

 囲まれると危険だ」

 

ミクダは30体……

一斉に進行してくるのは厄介だろう。

ライガンの忠告にウェズは少し考え、

 

「俺は左、ライガンは右から!

 レシアは見えてる丘からテクニックでの攻撃を!

 メディリスはそれを守ってやってくれ!」

 

こちから包囲して崩していく作戦をとる。

 

「うむ!」

 

「わかりました!」

 

「了解だよ!」

 

散開したスノーフレークの面子を、

ダーカーたちはのそのそと分かれて追いかける。

 

「カンランキキョウ!」

 

ウェズは限界まで身を屈めてからの

居合の一閃でミクダたちの足元をすくう。

コロコロ転がるそのダーカーたちを

 

「あらよっと!」

 

コアが見えた時にキャスティロンを突き刺していく。

弱点は脆弱なのでタイミングさえわかれば楽だ。

今はダーカーとの戦いの経験も

ウェズはそれなりにある。

初見のダーカー種でも、

ある程度の戦い方はすぐにわかるようになっていた。

 

「ライジングフラッグ!」

 

ベテランのライガンはさすがに手慣れたモノだ。

槍を低い位置から切り上げて

周囲の雪ごとミクダたちを打ち上げる。

同時に複数が空に舞うとコアを狙い辛いが……

 

「スライドシェイカー!」

 

落下するミクダたちをラムダパシレイオンの

ぐるんぐるんと回す風車の中にいれる。

何匹かはコアに当たらず飛んでいくが、

それでも数匹のミクダはコアを砕かれて絶命する。

 

「ゾンデ!」

 

レシアは単純に高台からの雷のテクニック。

ゾンデは落雷のテクニックであり、

ミクダのコアを撃ちぬくにはこれほど適したモノはない。

高く投げたタリス、ブルクレインから雷を発し、

一体一体丁寧に仕留めて行く。

難点としてはレシアの技術では、

移動しながら精密に狙うことはできないとめ、

固定砲台のように一点留まらなければいけない。

 

パスンッ!

パスンッ!

 

そのレシアに近づく敵を足止めするのがメディリス。

ヤスミノコフ3000Rで近づくミクダたちの足元を狙う。

突然の足元の攻撃にミクダたちはなすすべもなくこける。

正面から撃つしかないライフルでは、

背面のミクダのコアを撃ちぬけず

こうしてサポートするしかない。

 

スノーフレークの包囲での攻撃で、

ダーカーたちは次々と数を減らしていく。

 

「よっし、一番乗りだな!」

 

ミクダたちを蹴散らし、

ウェズはガウォンダにたどり着いた。

三体いた盾のダーカーは綺麗に三方に分かれており、

ウェズはその一体と対峙する。

 

「サクラエンド!」

 

まずは様子見と斬撃を放つが

 

キンッ!

キンッ!

 

あまりにも硬すぎる盾がその攻撃を阻む。

傷一つ付かない堅牢さに、舌打ちをする。

お返しとばかりに

ガウォンダが盾を地面に叩きつける。

すると地走りのような衝撃波が発生し、

ウェズに襲い掛かる。

かろうじて避けるが……

 

ドォン!

 

後ろにあった雪山が弾け飛んだ。

ウェズの防御力では直撃は危険。

 

「足は遅い分、結構厄介じゃねぇか!」

 

回り込もうにも、

器用にくるっくるっと回り、盾で身を隠す。

 

「ったく面倒くせーな!」

 

けど一瞬見えた尻の部分、

そこが脆いのはすぐにわかった。

ウェズはニヤリと笑う。

 

「回り込まなくても攻撃できるんだよ!」

 

こういう時のためのフォトンアーツは既に習得している。

 

「ヒエンツバキ!」

 

悔しい思いもしたが、

ここぞという時に役立ってくれるフォトンアーツ。

投げたキャスティロンは

ガウォンダの横を通り過ぎた後、

まるでブーメランのように引き返してくる。

そして

 

「一丁あがり!」

 

背後から回転した刃がガウォンダをズタズタ切り裂いた。

ダーカーは盾だけを残して消滅する。

カタナを綺麗に鞘に納めて向こうを見ると。

 

「ピークアップスロー!」

 

ライガンも槍を突き刺してトドメをさしていた。

ウェズと視線があい、満足そうに頷いてくる。

持ち場のダーカーは殲滅して

後はレシアたちのところだけだが……

 

「止まって、止まって!」

 

メディリスの焦ったような叫び声。

どうやら苦戦しているらしい。

巨大な盾を前に構えながら進む巨人を

正面からしか攻撃できない二人は止めれないらしい。

ミクダたちもその後ろに隠れつつ迫っていた。

確かにああいう陣形を取られると厄介だろう。

 

「頭隠して尻隠さずってな」

 

けれどウェズたちからしたら背が丸出しだ。

駆けつけようとしたところで

 

『……大きな存在が凄い勢いで接近してきてる。

 多分……原生種。と、何か……一緒にいる?』

 

トゥリアが少し戸惑ったような通信を入れてきた。

 

「ちっ、こんな時に原生種かよ!」

 

警戒して周囲を見回すウェズ。

大きいということは厄介な原生種である可能性が高い。

どこから来るかとウェズが気配を探っていたら

 

「……ん?」

 

突然に太陽が影に隠れた。

なんだと思って上を見上げると

 

「ゥゥゥゥ!」

 

巨大な獣が頭上を飛び越えていた。

 

「スノウバンサー!」

 

ライガンが慌てて叫ぶ。

スノウバンサーとは以前森林で出会った

豹のような四足の獣ファングバンサーの

凍土に適応した種である。

違いは体毛の色、

白をメインとしており、

青い巨大なタテガミが特徴だ。

 

「くっそ、不意打ちかよ!」

 

前回倒したファングバンサーは手負いだった。

ピンピンしてる個体の相手は厳しい。

 

『……?

 様子がおかしい』

 

トゥリアがモニター越しに首を傾げる。

スノウバンサーはウェズとライガンには目もくれず、

ダーカーたちに一直線に走って行ったのだ。

そして、その背を見てウェズは

ありえないものを見てしまった。

 

「アークスが乗ってる?!」

 

そう、一人のアークスが獣に跨っていたのだ。

どうやらキャストのようだが、

身長は140にも満たない、

あまりにも見た目が幼い白いキャスト。

躍動する獣に手慣れた様子で乗り、

青白い髪が風に舞う。

 

「……」

 

彼女は手に持ったガンスラッシュで

冷静にミクダのコアを狙撃していく。

走る獣の上からだというに、

一発も外していない……

それは完全にスノウバンサーと

一緒に戦うのに慣れている証拠。

 

「ガァァァァァァァァ!」

 

獣がガウォンダの背中から伸し掛かり咆哮を上げる。

巨大な図体に伸し掛かられ、

さしもの巨人もジタバタともがいていた。

 

「これで、終わり」

 

まるで躊躇することなく、

少女はガンスラッシュを

ガウォンダの尻に突き刺し絶命させた。

 

突然の乱入者にスノーフレークの面々は

ぽかーんと見つめていたが

 

「お、おい……お前」

 

色々と聞きたいことはあるが、

咄嗟に言葉が出ない。

何故、原生種と一緒にいるのか。

そしてこれだけ近くにいるのに

レーダーには人としか映らない。

アークスとしての識別反応が登録されていないのだ。

 

「……ん?」

 

獣と少女は突然何かに気付いたかのように、

遠くへ視線を向けて、

 

「行かないと」

 

頷きあって颯爽と駆けだした。

 

「待てよ!」

 

呼び止める間もなく、背が遠くなっていく。

 

『……みんな、大変』

 

そこへ切羽詰ったようなトゥリアの声。

 

『……巨大なダーカー反応が発生。

 これは……』

 

息のを飲んでその名前を告げた。

 

『……ダークラグネが出現。

 座標はA-4。凄く、大きい』

 

「A-4……?」

 

確かに近くだ。

その言葉にレシアがはっと気づいたように叫ぶ。

 

「さっきの少女たちが向かった方向です!」

 


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