スノーフレーク   作:テオ_ドラ

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実在するプレイヤーのゲスト出演です。
物語にはほとんど関わらないのですけれど。
ゲストキャラは基本☆11とか装備していて、
主人公たちとのレベル差を感じます、はい。



【挿絵表示】


表紙を描いてくれたRimiQwiさんのページはこちら
http://www.pixiv.net/member.php?id=10995711

登場人物紹介はこちら
http://novel.syosetu.org/61702/1.html

ファンタシースターオンライン2、通称「PSO2」を舞台にしたオリジナルの話です。
本来のストーリーモードの主人公とは違った視点で、
PSO2の世界を冒険していくという内容となります。


029.「気を付けてくださいね」

「しかし、機甲種はいるけどよ、

 ダーカーがあまりいないな」

 

砂煙の中、1時間ほど歩いていたが、

襲ってくるのは機構種ばかりだ。

 

『……そんなはずはないんだけど』

 

トゥリアも困惑気味である。

そして代わりに増えてきたのが、

無残にもボロボロになった機甲種の残骸。

上半身だけになってボコボコにへこんだ

人型機構種ギルナスの無残な姿。

足だけがいくつも転がっている

自走式砲台シグノガンの残骸たち。

どれもこれでもかというほどに

徹底的に破壊されていた。

 

「これは……何のためにしたんだ?」

 

残骸は日が経っているようなので

大丈夫だとは思うが……

ここまで執拗なまでに破壊の限りを尽くした

相手とは会いたくないものではある。

 

「あの、近くにアークスの反応があるみたい」

 

メディリスがレーダーを確認しながら告げる。

その言葉にウェズが露骨に嫌そうな顔をしてしまう。

 

「ウェズ、

 そう何度も黒耀の牙と会うこともありませんよ。

 いきなり喧嘩を吹っ掛けるアークスなんて

 普通はいないんですから」

 

「いやまあ、わかっちゃいるけどよ……」

 

レシアの言葉に頷きながらも、

渋い顔のウェズは溜息をついた。

何のことかわからないメディリスは首を傾げるが、

ライガンはそっとしておいてやれと手を振る。

 

アークスの反応がある方に行くと

 

「……これはナックルの攻撃の痕っすねぇ」

 

二人のヒューマンのアークスがいた。

屈んでギルナスの残骸を調べていたのは、

少し灰色がかった髪を後ろに流した男性のアークス。

切れ目のきりっとした顔をしており、

中肉中背ではあるものの、

戦い慣れをしているのは背中からか見てもわかった。

どこか騎士を連想させるコートのような黒い衣装で、

右腕には手甲のようなモノをつけている。

ジャッジメントコートという服装だったはずだ。

薄い青色の双機銃を腰につけていることから

クラスはガンナーなのだろう。

 

「そうですか……

 やっぱり、ゲッテムハルトの仕業でしょうか?」

 

隣にデータ端末を広げて解析しているのは、

黒髪のツインテールをした小柄な女性。

優しげな顔立ちながらも、

どこか芯の強さを感じさせる瞳。

修道服のような白の服を着ており、

まるでシスターのようだった。

背中には可愛らしい兎の形をしたロッドを背負っており、

時々に耳がピコピコ動くのが中々に可愛い。

 

近づくとこちらにはもう気付いていたらしい、

彼女は笑みを浮かべて頭を下げた。

 

「こんにちわ」

 

男性のアークスも頭を下げる。

友好的な雰囲気にスノーフレークのメンバーは

ほっとして挨拶を返した。

 

「この破壊をした奴を調べてるのか?」

 

「そうだな。

 最近少し気になることが立て続けに起こっていて、

 アークス本部から

 関連性を調べて欲しいって言われてね」

 

男性は立ち上がり、周囲の残骸を見回す。

 

「何かが起きる予感……

 それを一部のアークスたちは感じてはいる」

 

「予感、ですか」

 

レシアが聞き返すと、女性は不安そうな表情で頷く。

 

「杞憂であればいいんですけど……」

 

見たところ二人とも、ベテランな感じのアークスだ。

彼らには何が見えているのだろうか。

 

ピピピピッ

 

通信が鳴り男性が耳に手を当てた。

何かを聞いていたようだが、

すぐに溜息をついて手を放す。

 

「……キルシェさん。

 またマスターが脱走したみたいっす。

 マネージャーたちは探して欲しい、

 とリミさんから指示が入ってます」

 

キルシェと呼ばれた女性アークスは

解析していた端末を荷物にしまい、

ふーっと対して驚いていない様子で息をついた。

 

「わかりました。

 カルマさんはヒラリオさんと

 合流してキャンプシップに戻ってください。

 私は大体マスターがどこにいるのかわかってるので、

 連れ戻してから帰ります」

 

どうやら人数の多いチームらしい。

テキパキと撤収の用意をしていたが、

キルシェはスノーフレークの面々に向き直り、

 

「このあたりを調査するから気を付けてくださいね。

 私たちも何匹か倒したんですけど……

 地面に潜るダーカーがまだ潜んでるかもしれないんです」

 

「もしや、グワナーダか?」

 

「はい。

 群れの親となる希少種は倒したんですけど、

 はぐれている個体がいるかも。

 気を付けてくださいね」

 

そう告げて、「失礼します」と

アークスたちは立ち去って行った。

ウェズはライガンに問いかける。

 

「グワナーダってどんなダーカーはなんだ?」

 

「うむ……ゴキブリというか、ムカデというか……

 地面の中を移動し、下から突然襲い掛かってる」

 

「……絶対に会いたくありませんね」

 

レシアが苦虫を潰したかのような表情を浮かべ、

メディリスはうんうんと何度も頷く。

 

「もし遭遇したら、冷静に触手を潰すといい。

 熱砂の中に潜むのだ、

 ダーカーとはいえこれほどの熱さは耐えがたい。

 触手から放熱しているのでそれを潰せば、

 本体が排熱のために弱点を露出して姿を現す」

 

「なるほどな。

 俺たちはフォトンの加護があるから感じないが、

 ここの砂、そんなに熱いのか」

 

メディリスが端末を開く。

 

「普通の砂漠だとそうでもないみたいだけど、

 地下に何か埋まっているのか

 熱がそこからも来てるみたい」

 

「この日差しと地下からの両方から暖められているわけですか」

 

「そりゃ熱くて顔も出したくなるよね」

 

地面に潜むダーカー、

先ほどのアークスたちは

軽い感じで「倒した」と言っていたが……

スノーフレークではそうはいかないだろう。

 

出会わなければ良いなと誰しもが考えていたが……

 

 

――何事もうまくいかないとすぐに思い知ることになる。

 


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