スノーフレーク   作:テオ_ドラ

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負けても次は勝てばいい、
そんな単純思考な男たちの話です。
見守る女は辛いよ旅道中。
なんか恋愛要素がまだ全然ないなぁ・・・



【挿絵表示】


表紙を描いてくれたRimiQwiさんのページはこちら
http://www.pixiv.net/member.php?id=10995711

登場人物紹介はこちら
http://novel.syosetu.org/61702/1.html

ファンタシースターオンライン2、通称「PSO2」を舞台にしたオリジナルの話です。
本来のストーリーモードの主人公とは違った視点で、
PSO2の世界を冒険していくという内容となります。
ちまちまと連載していこうと思います。


019.「あ、私、帰っても、いいですか?」

ライガンに連れられてショップエリアを歩く。

さすがに武器を壊されたままではクエストに行けない。

そこでライガンの所属していたグレイシールドの

行きつけの武器ショップに行くことになったのだ。

 

「ってぇ……あいつ……

 突然襲ってきたのも腹立たしいが

 今は何度戦っても負けるのがわかっているのが

 余計に悔しいぜ……」

 

「うむ。

 抗議は正式に入れておいた。

 とはいえ、悔しさは糧にせねばなるまい」

 

「アザナミさんに言われていた

 鍛練を疎かにしてたからな……

 中途半端言われても返す言葉がなかったぜ」

 

レシアは正直納得もできないし、

もっと相手に対して怒ってもいいと思うのだが、

どうにも男たちは変なやる気スイッチが入ったようだった。

なんだか一人だけ怒っているのも場違いな気がして、

やり場のないわだかまりをレシアは抱えていた。

 

前を歩く2人にレシアは後ろから尋ねる。

 

「アザナミさんには聞いてみたのですか?

 あのレイというアークスについて」

 

「いや、なんか余計な心配をかけたくないからな」

 

「また次会えば、きっと襲ってきますよ、あの人は」

 

「その時は勝つさ」

 

振り返ったウェズは、

台詞こそ無責任だが顔は気まずそうではあった。

レシアが心配してくれていることはわかっているが、

けれど逃げていても、いずれは衝突する。

だから、強がりでも今はそう言わないといけないのだ。

自分自身が挫けないように。

そのウェズの気持ちはレシアにも伝わったのだろう、

渋々といった感じで「仕方ないですね」と呟いた。

 

「しかし、やつの使っていたカタナ……

 同レベルのを手に入れるのは難しい。

 あれは相当の業物だと思われる。

 それにもし手に入っても今のマスターには……」

 

「ああ、使いこなせないだろうし、

 俺に合った武器でステップアップしていくさ」

 

今まではなんとなく、だったが、

初めて明確な目標が出来たと言える。

 

三人があることしばらく、

少し路地に入ったところにそのショップはあった。

 

「うむ、ここが我々が贔屓にしていた武器ショップだ。

 店主の口は悪いが、良い武器を用意してくれる」

 

「へえ、ここか」

 

ウェズが見上げると、

そこには達筆な文字でこう書かれていた。

 

――ウェポンショップ『アリトバイエル』

 

「なんか、こういう名前の食品なかったか?

 なあ、レシア……ってどうした?

 そんな顔をとして」

 

苦笑いして振り返ったウェズの目に移ったのは、

いつも澄まし顔をしている彼女にしては初めての、

かなり引き攣った表情していた。

 

「あ、私、帰っても、いいですか?」

 

「今更何言ってるんだよ、

 お前のブルクレインも残り1枚しかないだろ。

 新しいのが必要だっての」

 

レシアはぶんぶんと首を振って後ずさりする。

 

「えーと……そう、他の店にしようかなって!

 別に、この店でなくてもタリスはあるし……」

 

「マネージャー、すまない。

 店が気に入らなかっただろうか……?」

 

「いやいやいや、ライガン、

 そういうことはないんですけど……」

 

煮え切らない態度の彼女に、

男二人は顔を見合わせていたが、

 

「姉さん!」

 

聞こえてきた声に、

見てわかるくらいびくっとレシアは震えた。

 

店内から作業服を着た店員が飛び出してくる。

それは、レシアと同じ銀髪の少女だった。

 


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