スパイダー・ストラトス   作:赤バンブル

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一応このタイトルですが特に鈴が出てくる以外関係ありません。最近「〇〇の男、スパイダーマン!!」を使いすぎているような感じがするので今回は一回だけで内容もシリアスっぽくしています。セシリアのヒロイン化も現在のところ検討中。それでもかまわない方はどうぞ。


鈴襲来!俺には言えない過去がある!

スパイダーマンが更識姉妹に仲直りのヒント?を与えた後の翌日、クラスでは隣の二組に転校生が来るという噂で騒いでいた。

 

「ねえ、知ってる?スパイダーマン君。中国から新しい転校生が二組に来るんだって!」

 

「何!?」

 

クラスの女子は気軽に言っているのだがスパイダーマンはわざとらしくポーズを決めて反応する。ほかの生徒なら気を引くがこれは彼だからこそ、面白く受け取ることができ、その分会話も弾む。スパイダーマンはあれから夜すぐに寝ていたため情報を調べていなかったから転校生に関しては初耳だった。

 

「私とスパイダーマンさんの存在を危ぶんでのことかしら?」

 

「スパイディーは強いもんね~。」

 

奇妙に考えるセシリアに対してクラスメイトの布仏本音はのほほんと言う。

 

「布仏本音、スパイディーとは俺のことかい?」

 

スパイダーマンは気になり聞く。というよりは呼び方にして自分しか該当しない。

 

「そうだよ~。スパイダーマンじゃ長いからダーのDをもじってスパイディ~。いいでしょう~?他にもダーマとかも考えたんだけどこれが一番だと思って~。だめ?」

 

「・・・・・・」

 

「ちょっ、ちょっと、布仏さん!彼に向ってその言い方は失礼ですわ!」

 

「なんかいい感じだ・・・・」

 

「でしょ?」

 

スパイダーマンの意外な返事に注意をしようとしたセシリアは唖然とした顔で彼を見つめるのであった。教室はそれでにぎやかな空気に包まれた。

 

「まあ、余裕でしょ!専用機持っているのこのクラスと四組だけだし!」

 

誰もがそう発言した直後

 

 

 

 

「その情報、もう古いよ。」

 

「誰だ!」

 

スパイダーマン(およびクラス一同)が扉のほうを振り向くと、ツインテールの小柄な少女が扉にもたれかかっていた。

 

「覚えておきなさい!私の名は凰鈴音!中国代表候補生で今日、宣戦布告しに来たってわけ!二組も専用機持ちが代表になったからには簡単に優勝させないわよ!」

 

彼女はそう言い張ると小さな胸を大きく張りながら一組全員を指さす。全員唖然とする中、鈴はスパイダーマンに目を止め、近づいてきた。

 

「アンタ何者?」

 

鈴は今さらのようにスパイダーマンに聞く。もちろんスパイダーマンはお馴染みのポーズをとる。

 

「地獄からの使者、スパイダーマン!!」

 

ジャンジャジャーン!ジャ、ジャジャン!デケデンデンデンデン!ジャンジャンジャジャージャン!

 

いつもならだれもが唖然するはずのポーズだが鈴はお構いなしに彼に近づく。

 

「クンクンクン、アンタ以前どっかで会った?」

 

彼女は鼻を嗅ぎ、スパイダーマンに聞く。

 

「なぜそうだといえる?」

 

「いや、私の知っているやつに臭いが似ていたような気がするから・・・違うかな?」

 

「俺は君に会ったことはないと思うが(嘘)」

 

「ふ~ん。でもどっかで嗅いだことがある臭いなんだよね~。」

 

そう言い残すと鈴は自分の教室へと戻っていった。

 

(ばれるかと思った・・・・恐るべし凰鈴音!!伊達に昔店に行っただけで俺の臭いを覚えていたとは・・・)

 

スパイダーマンは鈴を少しは警戒したほうがいいと感じた。

 

 

 

 

昼休みの屋上

そこでスパイダーマンは屋上で寝っ転がって空を眺めていた。

食事はセシリアに付きまとわれてとってはいたが、正体を知ろうとする箒と興味を持たれた鈴に目をつけられてしまい、途中で逃げ出す羽目になった(この時セシリアは食事の邪魔になると激怒していたが)。

 

「空は青くてきれいだ。」

 

この空を眺めている間はスパイダーマンとしてではなく織斑一夏としての自分に戻ることができる。思えば自分を捨てスパイダーマンと名乗ってから自分がどういうものだったのかを忘れようとしていた。「劣等品」と呼ばれていた時の自分のことを。

 

「この空が晴れるように俺もあの時のように千冬姉と一緒にまた暮らせる日が来るのだろうか・・・」

 

この時ばかりその考えが浮かんだがすぐに打ち消した。自分にはやらねばならぬことがあるから・・・。

 

「ここにいましたの?」

 

声がしたほうを見るとセシリアが来ていた。

 

「何しにここに来たんだい?」

 

「さっきはあのお二人のために話すこともできませんでしたので。それであなたを探していましたの。」

 

「それで行き着いた先がここか・・・」

 

スパイダーマンはそう言うと空をまた眺める。セシリアも追うようにして眺める。

 

「今日はいい天気でしたのね。」

 

「ああ、俺は時々こう思う時がある。世界もこの空のようにきれいだったらいいのにってね。」

 

「そういえばスパイダーマンさんはこの空を見て何を考えていましたの?」

 

セシリアが聞くとスパイダーマンは静かにわかりやすい言葉でいう。

 

「昔の嫌な自分のことを思い出していたのさ。」

 

「スパイダーマンさんにも自分が嫌だった時ってありましたの?」

 

セシリアは意外そうな顔をして言う。彼に嫌な時はこれまでないと思っていたからだ。

 

「俺だって昔からこんな性格じゃなかったさ。ある意味絶望していたさ、この世界にね。」

 

「・・・・そうでしたの。」

 

「でも、俺にはやらなければいけないことがある。」

 

「やらなければいけないこと?」

 

「それを果たすまで俺は・・・・・おっと、もうこんな時間だ。早く教室に戻らねば。」

 

「そ、そうですわね・・・。」

 

「そういえば来週はクラス代表マッチだったな。」

 

「え、ええ・・・。」

 

「健闘を祈るよ。」

 

「あ、ありがとうございます。」

 

二人は屋上を後にする。セシリアはこのとき思った。彼は、あることがあってあのマス

クという仮面を付けている。それを外すのはその目的を終えるまで決して外すことを許されないほど彼が重い宿命を背負っているということを・・・・。

 

 

 




次回は束製のゴーレムじゃなくてマシーン・ベムを出そうかな?(´・ω・`)でもそんなことをしたら束さんの出番が・・・・やはりもう少し先にしようかな。次回はレオパルドン再戦の予定。

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