あの後、真耶に寮の部屋の番号を聞いて鍵を受け取り、寮にある自分の部屋へと向かった。彼は本来個室を頼んどいたのだが事情もあり女子との相部屋になってしまっていた。一週間後の決闘の事を考えながらスパイダーマンは部屋に入る。中に入るとシャワーの音がした。誰かが使っているらしい。
「これは・・・・箒か?」
スパイダーマンにはスパイダー感覚というものがありこれで何がどこにいるかなどをある程度把握することができる。(今のは浴室からの箒の鼻歌が聞こえたため分かった)
スパイダーマンは浴室を通り過ぎて部屋に入ると制服を脱ぎ、着替えはじめる。服を脱ぐと下には赤と青で統一され胸に蜘蛛の巣上の模様が描かれたスーツになっていた。
「彼女との決闘の前にこれを調整しなくてはいけないな。」
彼はそう言うと腕に付けていたスパイダーブレスレッドを外し、いじり始める。
「誰か来たのか?」
そのとき、箒の声が浴室から聞こえた。スパイダーマンはスパイダーブレスレッドを腕に取り付け直し、天井へと移動する。体にタオルを巻いた箒は部屋に来たが天井にいるスパイダーマンがいることに気づいていない。
「おかしい。確かに誰かが来たと思ったんだが。」
箒が疑問に思っている間にスパイダーマンは日用品などを買いにこっそりと部屋を後にした。(部屋に戻ってきたときは箒は「なんでお前と同じ部屋なんだ!?」と驚いていた)
セシリアとのクラス代表決定戦までの間、スパイダーマンは特にすることがなかった。やることと言えば彼女のISのデータを見てどういう戦法をとるかなどを考えること。後、興味本位で近づいてくる箒にしつこく剣道部に勧誘されたため、スパイダーネットで拘束して動けなくするぐらいだった。(一週間の間、これが日常的風習になっていた)
そして、当日。
第一ピットには、千冬、真耶、そして、スパイダーマンがいた。ちなみにスパイダーマンはこれが俺の日常だと言い、全身が蜘蛛の巣上の模様のスーツ(普段のあれ)の状態になっている。
このときセシリアはすでにアリーナの上空で待機していた。
「あの~スパイダーマン君はISスーツを着ないんですか?」
山田は普通なら着るのが当たり前のはずのISスーツを着ないスパイダーマン聞く。
「その必要はない!」
スパイダーマンはあっさりと言いかえす。そして彼女たちの前でスパイダーブレスのふたを開けて叫ぶ。
「マーベラーー!!」
それと同時にスパイダーマンの体が輝きだした。一体目の前で何が起こっているのか千冬たちのは分からなかった。やがて光はスフィンクスのようなものに変わる。
「あれがスパイダーマン君のIS!?」
(全身装甲?しかし、あの形状は・・・・・)
真耶が騒いでいる中、千冬はただ一人複雑な感情でアリーナに向かうマーベラーを見つめた。
マーベラーは蒼天のもとにその姿を現した。
「あら、遅かったですわね。私に怖じ気づいて逃げ出したかと思いましたわ。それにしても変な外見ですわね。これからスクラップになるにはお似合い・・・・・」
セシリアは現れたマーベラーに驚いたものの、冷静になりスパイダーマンを挑発する。
「マーベラー、チェンジ!レオパルドン!」
「はあ?」
スパイダーマンが言うと同時にマーベラーが変形を始める。今まで人型ではなかった外見がどこかのスーパーロボットのような外見に変わり、その真の姿を現す。
(なんですの!?あれがあの男のISですの!?)
突然変形したレオパルドンに同様を隠しきれないセシリアであったが試合開始のブザーが鳴った後も挑発を続ける。
「い、今からチャンスを与えますわ!この勝負、結果は私の勝利は確実なもの。ここで土下座して詫びるのなら許さないこともないですわ。」
「言いたいことはそれだけか?」
スパイダーマンの態度でセシリアは腹を立てた。どこまでもいらただせる男だと。
レオパルドンを身につけたスパイダーマンはいつものポーズとセリフを言う。
「女尊男卑を粉砕する男、スパイダーマッ!!」
ジャンジャジャーン!ジャジャン!デケデンデンデンデン!ジャンジャージャンジャージャン!
「相手がだれであろうとも、このセシリア・オルコットは負けたりしませんわ!さあ、踊りなさい!我がブルー・ティアーズの奏でる円舞曲で!」
「祖国と家のためにこの国を侮辱するセシリア・オルコット、許せん!!」
セシリアはブルー・ティアーズに搭載されている「スターライトmk-3」を構えるがレオパルドンは動こうとしない。
「馬鹿にして・・・・・これを喰らいなさい!」
セシリアは引き金を引き碧色の閃光がレオパルドンに命中する。
「避けないだなんて、まさか見かけ倒しですの?呆れて・・・・きゃあ!」
そのときセシリアに何かが着弾した。煙が晴れるとそこには攻撃を受けたはずのレオパルドンが何事もなかったのかのように立っていた。
「私のスターライトを受けたはずなのに!?どうなっていますの?」
セシリアは動揺する。スターライトの弾は確かに命中した筈。なのにレオパルドンはダメージは愚かシールドエネルギーが減った様子もない。対してセシリアはさっきのなんらかの攻撃でシールドエネルギーが削られている。
「どうした、セシリア・オルコット。動かないのならこっちから行くぞ!」
レオパルドンは空中へと飛ぶ。
「今のはきっと錯覚。なんかの間違えですわ!」
セシリアは気を取り直して自立機動BT兵器「ブルー・ティアーズ」を展開し、レオパルドンを取り囲むような陣形をとる。
「これならさっきみたいな手品は使えませんわ!その姿を蜂の巣になりながら無様に地面にはいつくばりなさい!」
セシリアは勝ち誇ったのかのように笑い、スターライトとブルー・ティアーズを一斉発射する。しかし、撃たれるところがわかっているかのようにレオパルドンは攻撃を易々と避けていく。スパイダーマンは疲れる様子も見せていないのに対してセシリアは徐々に疲れていく。
「ハハハハハ、どうした?まだ一発も当たっていないぞ?」
「ど・・・どうして一発も当たりませんの!」
セシリアはイライラしていく。それに付けこむかのようにスパイダーマンは攻撃を開始する。
「アームロケット!」
レオパルドンの両腕が飛び、四機の内の二基のブルー・ティアーズを破壊する。
「ティアーズが!」
セシリアは焦りを感じ始める。さっきの一発といい、レオパルドンには傷一つもついていない。一方の自分のブルー・ティアーズは徐々にシールドエネルギーが削られていく。やがて残りの二基も破壊され、セシリアの武器はスターライトとインターセプターのみになってしまった。
「これでけりを着けるぞ!」
レオパルドンは弱っているセシリアに向かって突撃してくる。しかし、セシリアは密かにほほ笑んだ。
そのときレオパルドンの背後から何かが発射された。
「ぐわああああ!」
「かかりましたわね。ティアーズは全部で六基ありましてよ!」
レオパルドンはティアーズの攻撃に反応しきれずセシリアの猛攻受けてしまう。セシリアは満足の笑みで笑っていた。レオパルドンがいた所には砂煙に包まれた。
「わたくしをここまで追い込んだことは褒めて差し上げますわ。ですが、これで私の逆転、完全勝利ですわ!オーホッホッホッホホ!」
セシリアは高笑いをして満足していた。ところが落下したものを確認しに地上に降りたときその笑いは止まった。
「ホッホッホホホ・・・・え?」
落ちたのはレオパルドンではなくそれによく似た人形だった。流石に勝利を確信したセシリアは大きく動揺した。
「フハハハハ・・・・・・ハハハハハハハハ!」
どこからともなくスパイダーマンの笑い声が聞こえた。
「どこ?どこにいますの!?」
セシリアはあたりを見回した。しかし姿はどこにもない。
「もしかして!」
セシリアは上空を見つめる。上空ではダメージを受けたはずのレオパルドンが何事もなかったのように腕を組みながら笑っていた。
「酢に変えといたのさ!(すり替えといたのさ!)」
「そ、そんな・・・そんなことが!」
セシリアはもう当てずっぽうにスターライトとブルー・ティアーズで攻撃する。
「アークターン!」
レオパルドンの額のアンテナが取れ、回転しながら残り二基のティアーズを破壊し、セシリアがもっていたスターライトを破壊した。
「私が・・・この私が負けるはずがありませんわー!!!!」
セシリアは残されたインターセプターを出し、レオパルドンに突進する。
「レオパルドン、ソードビッカー!」
レオパルドンの脚部から剣が飛び出し剣をセシリアに向かって投げる。剣はセシリアに命中し、落下したと同時に残りのエネルギーがゼロになった。セシリアは薄らいでゆく意識の中で最後にレオパルドンが勝利の雄たけびを上げているのかのように見えた。
やはりレオパルドンの勝利。ヒロインは未定と書いていましたがそろそろ決めていきたいと思っています。ご希望があればコメントお願いします。ここまでかけたのはいいけど、やっぱり原作も一通り読む必要がありそうです。それではまた機会があれば次回で(あればだけど)ちなみに箒がスパイダーマンを剣道部に勧誘したのは正体を暴こうとしたからです。