ここはIS学園。世界各国のIS適正のある若い少女たちが集められ、ISの技術などを学ぶ場所であるがその学園の職員室の席である女性、織斑千冬は外を眺めていた。
「あれから随分経ってしまったな・・・・一夏。」
彼女はそんなことを言いながら机に掛けてある写真を見る。そこには彼女にとって掛け替えのない弟の姿が写っている。彼は3年前、当時IS日本代表として彼女が出場していたISの競技大会第二回モンド・グロッソの決勝戦の時に誘拐され、それっきり戻ってくることはなかった。彼女が誘拐を知ったのは大会が終わった直後であった。急いで犯人がいると思われる現場に急行したがそこにはもうなにもなかった。それっきり一夏は行方不明のままである。もうすでに殺されていてもおかしくないがというのが千冬は今でも受け入れることができずにいた。
「お前が生きているなら、もう一度一緒に暮らしたい。一夏・・・・今度は本当に。」
今でも彼女の中には一夏を救えなかったことで胸を痛めていた。実際、日本に帰って来た時も一夏のことについては何も言われずただ優勝のことについてインタビューしてきたマスコミに対しては一発殴ってやりたいと思ったほどだった。しかし、そんな彼女の思考は無理やり現実に戻される。今日は入学式でそろそろホームルームの時間になろうとしていた。
「そろそろ、行かなければな・・・・・。」
千冬は自分の担任である1年1組に向かう。
教室ではHRが行われ、副担任の山田真耶が転校生の説明をしていた。千冬はその転校生が最近見つかった男性IS適合者だと分かっていた。相手が男性であるのは確かだがそれ以外の情報はわかっていない。何よりも本人が情報公開を断固拒否したらしい。
「それでは入ってきてください。」
教室のドアがゆっくり開く。ある者は好奇心、ある者は敵意を抱いて見つめる。
しかし、誰も入ってくる様子はない。誰もがはてと思った矢先、一人の生徒が天井を見て悲鳴をあげる。何事かと思い全員が天井を見上げた瞬間・・・・
「「「「きゃああああああああ!!」」」」
ほとんどの生徒が悲鳴をあげる。天井に学制服を着た赤いマスクを被った男が張り付いているのだ。謎の男は教卓の前に着地し、決めポーズをとる。
「ダメダ!オマエハ!!(誰だ!お前は!!)」
席に座っていた生徒の一人、篠ノ之箒が思わず男に向かって叫ぶ。箒だけではない。このクラスにいる全員が思った。転校生は男だというのはわかっていた。しかし、天井にくっ付き移動してくる覆面男とは誰も思うはずがない。
「あ、あの・・・・自己紹介をお願いします・・・・・・。」
クラスが混乱している中、山田は困りながらも言う。男はまたポーズをとり
「地獄からの使者、スパイダーマン!!」
と名乗った。
『大丈夫か!?この男?』と千冬は、思わず言いたくなった。どう見ても自己紹介という割にはどっかのヒーローが名乗るあれにしか聞こえない。
ジャンジャジャーン!!ジャジャン!デケデンデンデン!!ジャンジャジャンジャーン!!
どこからともなく変な音楽が聞こえたような気がした。
しかし、千冬は後に後悔する。
この変人みたいな蜘蛛男が実は行方を暗ませていた自分の弟で、ある宿命を背負っていたと言うことを・・・・・。
続きはない。作っても多分駄文だと言われるのが落ちなので。感想書いて頂ければ幸いです。東映スパイダーマン、意外に面白かったから書いたけどこの作品、ほんとはヴェノムを主人公にする予定でした。