【ネタ】アホの子ルイズちゃん   作:花極四季

4 / 11
今回の話にはなんちゃってシリアスが含まれています。
いわゆる地の文という奴だ。ネタ要素とごっちゃになってるが気にするな!


第四話

こんにちは。私、ルイズ。今貴方の後ろにはいないよ。

デルフリンガーという掘り出し物を手に入れ、ご満悦のサイト。

私も欲しいものがあってよかった。でも一部は取り寄せる形になったから、また行かないといけない。

そういえば、サイトの使い魔としての実力を見ていないわね。

ということで夜遅くになっちゃったけど、今の内に理解しておかないと、次の日授業だしまた先延ばしになっちゃう。

さて、夜遅くだけど元気にいこう。

 

 

 

「さぁ、サイト。構えなさい」

 

「え、意味がわからん」

 

私とサイトは、お互い向かい合うようにして立っている。

サイトはデルフを背にしている。

状況についていけていないようで、呆然としている。頭わるいなぁ。

 

「今から私と戦いなさい」

 

「………もう一度」

 

「今から私と戦いなさい」

 

「―――なんでルイズと戦わなきゃいけないんだよ」

 

「………メイジの実力を知るなら使い魔を見よ、という言葉があるわ。つまり、私達の実力は拮抗していなければおかしいのよ。逆に言えば、拮抗しているということは、私達が戦えば同時に強くなれる筈なの。一生のパートナーとして付き合っていく以上、私達はまさに一心同体。喜びも悲しみも共に分かち合う運命。時には命を賭ける戦いに身を投じることもあるでしょう。だからこそ、私自らを以てサイトのことを知らないといけないの。そして、出来るならば共に強くなっていきたい」

 

「ルイズ………」

 

耳が痛くなるほどの静寂。

口を開いたのは、サイトだった。

 

「それ、単にお前が戦いたいだけだろ」

 

「うん」

 

「即答!?少しは隠せよ!」

 

なんとも締まらない空気である。

 

「とにかく、学院じゃあ手合わせできる人がいなかったから、少しなまってるのよ。このままじゃあ家に帰ったとき色々面倒なことになりそうだから、大人しく生贄になりなさい」

 

「………はあ。わかったよ。だけど流石にデルフは使えないぞ」

 

「そうだと思って、ギーシュに刃の潰した剣を作ってもらったわ」

 

「用意周到だな。………これでも危ないことには変わりないんだけど」

 

何やらぶつぶつと「俺のご主人様がこんなにバトルマニアな訳がない」とか言っている。

バトルマニアとは失礼な。これはメイジで言うところの魔法の鍛錬と同じなのに。

的さえあれば魔法の精度を実感できるのとは違い、近接戦の訓練はは実際の敵と対峙しないことには、柔軟体操と何ら変わらない。

 

「いいのよ。少なくとも、その程度でどうにかなる鍛え方はしてないもの」

 

「お前、どんな人生送っていたんだよ………」

 

「知りたい?」

 

「イエ、ケッコウデス」

 

なんともつまらない答え。

まぁ、私の使い魔である以上お母様と会うのは運命だし、その時にでもわかるか。

 

「さぁ、どっからでもかかってきなさい」

 

「ちょっと待て、ルイズ何も持ってねーじゃねぇか。せめて杖ぐらいは」

 

「気にしなくていいのよそんなことは」

 

「―――あー、もう!どうなっても知らないからな!」

 

ギーシュの剣を持つサイトのルーンが眩しく光る。

これで夜暗い場所でも安全だね。一家に一台サイト。

 

剣を横に構え接近してくる。

しかし、一歩が違和感がある程度に遅い。

それは、躊躇いからくるものか。

ならば、遠慮が無用だということを証明しないと。

 

「ロック」

 

大地を蹴ると同時にコモン・マジックを唱える。

発動するのは当然、爆発。

その発生個所は―――ルイズが蹴ったばかりの大地。

爆発のエネルギーが推進力となり、大地を蹴る勢いと併さり、人の身の限界を超えた速度でサイトへと肉薄する。

サイトは驚愕に目を見開くも、それだけ。

油断と予想もつかない行動から、彼の胸元にいとも容易く掌底がめり込む。

大地を一度バウンドし、サイトは地に伏す。

 

「がっ、は―――な、なんなんだ一体」

 

呼吸が整い、ようやく疑問を口に出す。

当然だ。彼にとってのルイズとは、こんな接近戦を行うようなキャラでもなければ、そもそもメイジとしても今は未熟な存在の筈だった。

素人とはいえ、ガンダールヴのルーンを持つことを識っていたサイトからすれば、事前情報から運動はある程度こなせるということを知りながらも、自分には及ばないと高を括っていた。

その結果がこれ。

情けなさよりも、原作とのあまりの差異に彼のイメージが追い付いていない。

 

「駄目よサイト、油断しちゃ」

 

「ルイズ、あの爆発、魔法だろ?杖はどうしたんだよ」

 

「ああ、それはね」

 

黒のニーソックスをまくり、太ももの後ろをまさぐる。

そこには、彼の識っているルイズの杖があった。

 

「本来杖というのは、魔法を使うための媒体であり、魔法を発動する方向を指し示す役割も担っているわ。だけど私の爆発魔法は杖先からではなく、空間からいきなり現れる。ということは、私にとって杖は魔法発動の触媒でしかなくなる。だから腕だろうが足だろうが、取り敢えず身体に触れさせていればあとは魔法のコントロール次第で任意の箇所に爆発を撃てる」

 

「だから杖がないという油断を誘ったのか。いや、前提として爆発魔法をあんな使い方するとか、そもそも爆発魔法知らない奴には脅威どころじゃないとか、精度良すぎるだとか、色々突っ込みどころあるんだけど」

 

「気にしたら負けよ。さぁ、立ちなさい」

 

「はいはい。―――ってルイズ、あれ見ろよ!」

 

サイトの叫びと共に影が差す。

見上げるとそこには、なんともまぁ大きなゴーレムがあったとさ(昔話調)。

 

「うわぁ………」

 

「それは何に対してのうわぁなんだ。というか、あのゴーレム学院を叩いてるぞ」

 

「まさか、土くれのフーケかしら」

 

「知っているのか雷電!」

 

「スネーク。今度は俺が守る」

 

「そっちの雷電かよ!しかも4とは良いチョイスですね」

 

「―――ああもう、何悠長に会話してるのよ貴方達!」

 

ノリ良く会話していると、いつの間にかキュルケが来ていて叩かれた。

うー、少しぐらい羽目を外してもいいじゃない。

 

「ご、ごめんキュルケ。うちのご主人様があまりにもルーズ過ぎるから」

 

「それに便乗していたダーリンも同罪よ」

 

「………そんなことより、ゴーレムは?」

 

あ、タバサいたんだ。

喋らないしちっちゃいから陰薄いんだもん。

 

「さっきからボコボコ叩いているけど、一向に壊れる気配なさそうだから、無視していいんじゃない?」

 

「いやダメでしょ!?せめて少しでも壊れる可能性を減らす為に戦うのがセオリーでしょ!」

 

「だって、あんなデカブツにパンチ当てたところで、ねぇ」

 

「アンタには魔法があるでしょうがああああああ!なんで殴る蹴るが前提になってるのよ!」

 

あ、そうだった。

汎用性の低い魔法だから、最早格闘の延長線としてしか扱うしかないんだもん。

所謂状況がそうさせた、という奴だ。

いいなー、寝ながらドアの鍵開けたり部屋を明るくできたりするの。

 

「アンタと話していると話が進まないわ。フレイム・ボール!」

 

キュルケの魔法に続き、タバサのウィンディ・アイシクルがゴーレムへと殺到する。

生物に対しては有効的だが、もとはただの土でしかないゴーレムには痛くもかゆくもないらしい。

少しずつ壊れてはいるが、それと遅れる形で修復もされている。

 

「ルイズ、お前の魔法は何もない空間から出せるんだろ?だったらあのゴーレムに対しても内部破壊で決定打を与えられるんじゃないか?」

 

そう提案してくるサイト。

それはいいとして、人のことは言えないけどなんで戦ってないの?

 

「別にしてもいいんだけど―――なんていうか、撃っちゃいけないというか、絶対撃ったら面倒が増えそうな未来が見えていると言うか」

 

「いや、あ―――うん。でも多分やらないと色々マズイと思うぞ」

 

「仕方ないなぁ。んじゃあ、ロック」

 

気怠げに詠唱する。

すると、宝物庫部分に爆発が発生。だから言ったのに。

 

「酷い予定調和を見た」

 

魔法の精度は最早完璧といえるレベルまで昇華している筈なのに、こんな時に限ってミスをする。

始祖ブリミル、ちょっとこっち来なさい。取り敢えず間接外すだけで勘弁してあげるから。

案の定、その爆発箇所をゴーレムが叩きだし、今までびくともしていなかった壁が難なく壊れた。

そして何事もなかったかのようにゴーレムは土に還り、静かな世界が戻る。

 

「あーあ、行っちゃった」

 

「そんなことより、宝物庫に行くわよ!」

 

とはいえ、私はフライが使えないわけで。

結局キュルケが宝物庫へ向かい、フーケが書いたであろう置き手紙を持って帰ってくる。

 

「破壊の杖、確かに頂戴しました、か―――。それしか盗ってないんだね」

 

「フーケもメイジだし、杖に興味を持つのは当然だと思うけど」

 

「義賊として立ち回っているしては、あまりに謙虚なチョイスな気もするけどね。魔法学院に襲撃を掛けて得たものが破壊の杖一個とか、リターンが薄いと思わない?」

 

「確かに。好事家に売りさばくにしても、露骨な金品財宝の方が安定した収入が得られるだろうし、博打が強い気もするわね。タバサとダーリンはどう思う?」

 

「私はフーケじゃないから断言はできない。けどこれだけは間違いなく言える。最低でもフーケは魔法学院の構造を知る手段を持っている。そうでなければ、ピンポイントで宝物庫を狙うなんて有り得ない」

 

おお、タバサらしからぬ長文。

 

「俺はこの学院のことは詳しくないから何とも言えないが、タバサの言うとおりだと思う。単純に警備がザルだったせいなのか、それともフーケがスパイとして学院に侵入していたからなのかとか、推測はできる。だけど、やっぱりこれだけじゃ判断に困るってのが正直な所だな」

 

「兎にも角にも、私達に今できることはない、か」

 

「ならもう戻りましょう。もう疲れちゃった」

 

「………ルイズ、アンタねぇ」

 

「いいじゃんか、それで。多分目撃証言とかの件で招集されるかもだし、早めに休んでおくに超したことはない」

 

「ダーリンがそれでいいならいいけど」

 

と言うわけで、この場はお開きになった。

あー、面倒だなぁ。ご飯もゆっくり食べられるかどうかも怪しいね。

サイトの言うとおり明日も色々忙しくなりそうだし、とっとと寝よう。

 

※余談1

 

そういえばコルベール先生に作ってもらった使い魔用の家だけど、流石にサイトには大きすぎるからタバサにあげたら喜んで貰えた。

シルフィードもきゅいきゅいと喜んでいたし、無駄にならずに済んだ。

そんなこんなで、サイトは私の部屋で寝ることになりました。毛布一枚で。

ベッドを置くスペースもないし、これで我慢してね。

 




最初はフーケに破壊の杖を盗ませないのもありかと思いましたが、ぶっちゃけその後の展開がどうするべきか困ったので、テンプレ通りにしました。
フーケは結構重要なポジだから、ぞんざいに扱えないし。どこぞの閃光(笑)と違って。
結果、強引な展開になっちゃったけど、ネタ小説だから気にしたら負けだと思う。

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。