オーバーロード ~王と共に最後まで~ 〈凍結〉   作:能都

12 / 13
第11話

「それではンフィーレアさん、それにモモンさん達もお気をつけて!」

 

「ぺテルさん達も帰り道お気をつけて。ニニャさん、色々と教えて頂いてありがとうございました。」

 

「気にしないで下さい。私もモモンさんと話せて良かったです。」

 

「クラナちゃん、護衛が終わったらさぁ俺とどっかに遊びに行かない?こう見えても結構稼いでるから懐には余裕があるんだぜ。」

 

「まぁそうだな…考えておいてやる。それよりも、帰り道気をつけろよ。お前はチームの目だろう、浮ついた気持ちでいるな。」

 

 護衛の途中で出会った漆黒の剣の面々と一夜を共にし、かなり親交が深まったとは思う。若干ルクルットの動向には目を光らせる必要はありそうだが、今後も良い関係を築いていきたいものだ。

 

 モモさんはモモさんでニニャ相手に魔法に関する事など色々と聞いていた様だ。師匠は師匠でルクルットの話し相手をしていた。

 

 そんな中私はぺテルとダインと共闘し、ンフィーレアに恋人の事を聞き出していた。何でもカルネ村に思い人がいるらしい。詳しくは教えてくれなかったが、まぁこれから行くのだからすぐに分かるだろう。

 

「それじゃあ行きましょうか。」

 

 漆黒の剣の面々とはここでお別れだ。この仕事が終わった後一緒にエ・ランテル南の街道沿いのモンスター狩りをする約束をしたので近いうちにまた会えるだろう。そうして、ンフィーレアの声に従って歩き始める。

 

 歩き始めれば昨日と同様モモさんはンフィーレアと会話しながら情報収集を行っている。時折ンフィーレアの方からも質問しているようだ。そんな感じの二人の気配を後ろに感じながら、私は師匠にルクルットと話した事を聞き出していた。

 

(そうこれは確認。変な事を口走って言い無いかの確認。ルクルットなんかに師匠はやれないなんて思ってないし私より弱い男に師匠はやらんなんて思って無い思って無い…)

 

 だがまぁやっぱり師匠は優秀で基本ルクルットが仲良くなろうと色々話し掛けてきたが、いい感じに答えていたようだ。そして、あのふざけた態度を改める様にお説教の様な事をしたら喜んでしまったので反応に困ったらしい。

 

 そんな事を話しているうちにカルネ村についた。ここに入る際に以前モモさんがこの村の少女、エンリに渡した『小鬼将軍の角笛』で召喚されたゴブリンに襲われそうになったが、召喚したエンリがその場に来て誤解を解いた事で問題は解決した。

 

 

 

 

 

 

 

「デミウルゴスです。入室いたします。」

 

「あら、デミウルゴス。どうかしたのかしら?」

 

「貴女を探していたのですよ。それで、アーロン様のお部屋で何をしているのかね?」

 

「アーロン様が御戻りになったときに私の香りで包んで差し上げようかと思ったのだけれども、アーロン様は寝具をお使いにならないのよ。ならせめて、アーロン様が居ない間は私がこの部屋の掃除をしようと思って。」

 

「それで少し汚れていたのですか。ですが少し意外ですね、貴方はそういう事はしない方かと思っていましたが。」

 

「これでも私は、掃除洗濯裁縫、どれをとってもプロ級の腕をもっているのよ。将来生まれて来るであろう私の子どもの為にもう五歳までの分の服は作ったわ。くふふふ。」

 

「…誰との、なんて質問は無駄でしょうね。ですが、この部屋は素晴らしいですね。アーロン様にこそふさわしいお部屋です。」

 

「なんでもダークソウルという世界のとある部屋を参考にしたと、アーロン様とタブラ・スマラグディナ様が話していたのを聞いたことがあるわ。」

 

「そうだったのですか、貴重なお話をありがとうございます。アーロン様とタブラ様は仲が良かったと記憶しております。なんでも貴方の姉の部屋の仕掛けに、アーロン様が知恵をお貸しになられたとか。」

 

「えぇ、そうよ…羨ましいわ…例え部屋の仕掛けとはいえ、アーロン様に創造の一手を担って貰えるなんて…本当に、羨ましいわ…」

 

「…あ~アルベド。私はそろそろモモンガ様のご命令に従いナザリックを出立します。後の事は任せましたよ。」

 

「…えぇ、任せて。はぁ…早く御戻りになられないかしら。」

 

 

 

 

 

 ンフィーレアが恐らく恋心を抱いているであろうエンリと話をしている間、村から少し離れた場所でモモさんと師匠と村の様子を眺めていた。そこでは村の住人達がゴブリン指導の元、若い男から年配の女性まで弓の練習を行っていた。そんな光景を眺めながら今後について話した。

 

「漆黒の剣に関しては、今後も良好な関係を築いていく方向でいいんだよねモモさん。」

 

「えぇ。正直情報収集不足とはいえ、色々と知らない事が多いですから。親しい仲ならそれだけ多くの情報も得られますし、それに彼らを通して私達の名声を高めてもらう事も出来ますしね。」

 

「では何かあった際はあいつらの命は守った方がいいのだな?」

 

「そうだね、死んでもらっちゃ困るし。」

 

「了解した。」

 

 それにしても、まさかあのエンリって子とンフィーレアが友達だったとは思わなかった。今にして思えば、確かエンリが友達の薬師が魔法を使える、とか言っていたのはンフィーレアの事だった様だ。世界は広い様で狭い。

 

「さてと、ンフィーレアの愛しい人との久しぶりの再会が終われば森で薬草採集か。このまま何事もなければいいんだけどね。」

 

「確かこの辺り一帯は森の賢王という魔獣が縄張りにしている、と以前村長から話を聞いたことがありますね。そのお陰でこの村もモンスターに襲われないそうですよ。気をつけるとしたらその森の賢王ぐらいでしょうか。私の考えでは鵺じゃないかと思ってるんですけど。」

 

「鵺って確か猿の顔、狸の胴体、虎の手足に蛇のしっぽのアレ?全然賢王っぽくはないんだけど、モモさんがそういうならそうなのかもね。」

 

「まぁ正体はともかく、私としては捕まえて色々と調べてみたいですね。ナザリックの強化につながるかもしれませんし。」

 

 そんな事を話していると、村の方からンフィーレアが息を切らして走ってきた。表情は前髪で窺い知る事は出来ないが、様子からしてかなり焦っている様だ。

 

「お二人はこの村を救って下さったモモンガさんとアーロンさんなのでしょうか!?」

 

 まぁはっきり言ってこの偽名は本名を知っている人間なら誰にでも分かるだろう。恐らくエンリから村に起った事を聞き、その際に私達の名前を聞いたのだろう。

 

 別にバレてしまったならそれでいい、というのが私達の考えだった。別に伝説級の英雄になるのはモモンガでもアーロンでもいいのだ。問題なのは、私達からどうにかしてナザリック地下大墳墓に辿りつく事だ。これはナザリックの安全を考えれば当然である。だから基本私達は、旅をしていた、という設定を貫いている。

 

 口を大にして正体を明かす気もなければ必死になって隠すつもりもなかった。私達の種族は別にして。だから、ンフィーレアが謝って来た事には少し驚いた。

 

 私が宿屋の女に渡したポーションは、この世界ではとてもどころじゃないぐらい貴重らしい。それこそ、世界中の薬師が目指す完成されたポーションの様だ。彼はそれの入手方、或いは作り方を知りたくて今回私達に仕事を依頼したらしい。その事について謝ってきた様だ。

 

「ンフィーレア殿、謝る様な事ではない。」

 

「え?」

 

「今回の依頼はコネクション作りの一環という事だろう。何が問題なんだ?」

 

 モモさんは心底不思議そうに尋ねる。別に奪い取ろうとする訳でもなく、ただこちらに接点をもってあわよくば製法、或いは実物を見てみたいと思う程度咎められはしないだろう。この辺りは良い意味で彼は純真なのだろう。

 

「心が広いんですね、お二人は…やっぱり…が憧れるだけの…」

 

 ぼそぼそと呟く少年は憧憬の眼差しでこちらを見ていた。

 

「今後も君とは良い関係でいたいと思っている。その為にポーションを譲る事も考えておこう。ところで、私達の正体を知っているのは君だけかね?」

 

「あ、は、はい!誰にも伝えていません。エンリにも。」

 

「そうか。なら今の私達は一介の冒険者の、モモンとアロンだ。それを忘れないで欲しい。」

 

「はい、分かりました。それと、この村を、そしてエンリを救って下さって本当にありがとうございました。それを伝えたくて。」

 

 ンフィーレアは真剣な眼差しで私達に心の籠もった感謝の言葉を伝えてきた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 それから一時間後、村を出発した私達は目的の森の前でンフィーレアから最終確認を受けていた。

 

「これから森に入りますので、警護をよろしくお願いします。」

 

「分かった。採集の方も手伝えるが私もそうだがアロンやクラナもあまり詳しくは無い。どんなものを取るかだけ教えて貰えないか?」

 

「あ、そうですね。えっと、こんな形の草を取ってもらいたいんです。ングナクの草って言うんですけど。」

 

 そう言ってしなびた草を取り出して、色々と説明を始めたンフィーレア。それを聞いているとモモさんから『伝言(メッセージ)』が。

 

《アーロンさん、アウラから報告です。指示した通りに森の賢王を動かした様です。このまま手筈通りにこちらに誘導するとの事です。》

 

《了解。それじゃあンフィーレアは師匠に任せる感じで行こうか。森だと本気で戦えないけど師匠ならその辺のモンスター程度なら問題ないし。》

 

《ゲームの時は周囲を気にせず魔法とか使えたんですけどね。炎主体のクラナがこんな所で戦ったら山火事待ったなしですから。それじゃあ打ち合わせ通りによろしくお願いします。》

 

 今回私達は噂の森の賢王を捕獲することにした。噂通りの強さならナザリックの強化につながるし、それを倒したという事がンフィーレアから広がれば名声に繋がる。そして賢王というのだから私達や人間の知らない知識を持っているかもしれない。それを引き出す事も目的の一つだ。

 

 私達のやりとりが終わると、ンフィーレアの説明も終わっていた。

 

「それじゃあ行きましょう。」

 

 そうして、森の中に入り足場の悪い中を歩いていき開けた場所に出て、そこから薬草採集が始まった。

 

 だが、しばらくして森がざわめいた。鳥達が慌しく飛び回りっている。索敵スキルを使用し目的の相手が居る方を確認する。

 

「来るな、それもかなりデカイ。」

 

「森の賢王か、どうかは分からないがここに残るのは危険だな。クラナ、ンフィーレアさんを連れて一旦馬車の所まで撤退しろ。我々はここに残って奴の足止めをする。」

 

「分かった。気をつけてな。」

 

 そうして師匠は、いくつかの薬草の入った袋を手にして撤収の準備をする。

 

「モモンさん、アロンさん、もし森の賢王だったら殺さずに逃がして貰えないでしょうか?」

 

「…あれが居なくなると村が危険になるか…分かった、殺しはしない。約束だ。」

 

 こちらの目的も殺害ではないので了承する。まぁ殺さなくても連れて行くつもりだからどちらにしても変わらないのだが。

 

「それじゃあ無理はしないで下さいね。」

 

 ンフィーレアからはキラキラと憧憬の宿る眼差しが向けられていた。若干だましている様で悪い気がするが、気にしても仕方がない。モモさんが早急な離脱を勧めてやっと師匠と共にこの場を離脱した。

 

 二人とも抜刀を済ませると、森の奥から鞭の様なものが飛んできてモモさんに襲い掛かった。それをモモさんはグレートソードで受ける。軋むような金属音が響き渡る。

 

 襲ってきた鞭の様なものをみるとそれは蛇の様な鱗に覆われた以上に長い尻尾だった。それは木々の後ろにゆっくりと戻っていく。

 

 実際に受けた訳ではないが見ただけで分かる一撃の重さ。そして射程。感知できる相手の位置は20メートルほど離れている。これだけでもかなり強力だ。まぁそれぐらいならどうという事はないのだが、これが漆黒の剣などでは太刀打ちできないだろう。そういう意味では魔獣というには相応しいのだろう。

 

 考えを巡らせていると、木々の向こうから深みのある静かな声が響いた。

 

「それがしの初撃を完全に防ぐとは見事でござる…それほどの相手は初めてでござるよ。」

 

「それがし…ござる…」

 

 口調に関しては色々と言いたい事はあるがここで言っても仕方がない。油断なく木々の向こうを見据える。

 

「さて、それがしの縄張りに土足で侵入してきた者よ。いま退くのであれば、先の見事な防御に免じ、それがしは追わないでおくが…どうするでござる?」

 

「お前に用があって態々ここまで来たのだ。一先ず姿を見せてもらえると助かるのだが、森の賢王殿?」

 

「言うではござらぬか、侵入者よ!ではそれがしの偉容に瞠目し畏怖するがよい!」

 

 ゆっくりと森の賢王が茂みをかき分け、その姿を私達の前に晒した。その姿に私は大きく目を見開いた。

 

「ふふふ。そのヘルムの下から驚愕と、恐れが伝わってくるでござるよ。」

 

 勝ち誇った様子でこちらを見てくる森の賢王。それを眺めながら、一応モモさんに確認を取る。

 

「ねぇモモさん、あれ、何に見える?」

 

「私達に超凄い幻影魔法を掛けているので無い限り、私には…あれに見えます。」

 

 どうやらモモさんにも私と同様のものが見えている様だ。安心すると気がつけば私は剣を納めていた。

 

「どうしたでござるか。やはりそれがしの姿に畏れを抱いて退く気になったでござるか?」

 

 そんな森の賢王の言葉を無視してスキルを使って一気に距離を詰める。驚いた森の賢王は咄嗟に逃げようとするが逃がさない。その胴体に両手を大きく広げ、私は抱きついた。

 

「モモさんこれ凄いモフモフだよ!鎧越しだからあんまり伝わってこないけど絶対これモフモフだよ!連れて帰ってペットにしようよ!」

 

 一応改めて説明しておくと私は女だ。普段は男のふりをしてるしモモさんも私の事を男だと思っているがリアルではちゃんと女の子だ。もうそんな年でもないが。だから基本的にこういった可愛い動物には目が無い。

 

 

 

でっかいジャンガリアンハムスターなんて夢の様じゃないか。

 

 

 

 森の賢王を一言で表すならでっかいジャンガリアンハムスターだ。尻尾が蛇みたいな事を除けば、銀というよりはスノーホワイトの毛並み、黒く円らな瞳、まん丸い大福の様なその姿。これが抱きつかずにいられるかというぐらいジャンガリアンハムスターだった。

 

「そういえばアーロンさん、重度のケモナーでしたっけ。はぁ、なんか緊張して損しましたよ。」

 

「何をするでござるか!放すでござるよ!」

 

 今すぐ鎧を脱ぎ棄てて全身でこのモフモフを味わいたいが必死に我慢する。だが、暴れる賢王にがっちり抱きつくがやはり鎧ごしではモフモフ感は感じられない。仕方がないので一度賢王を放し、モモさんの所まで下がる。

 

「あれペットにしても良いよねモモさん!?お願い!ちゃんと世話は自分でするから!餌もちゃんと自分であげるから!」

 

「私はアーロンさんのお母さんじゃないんですよ。はぁ、まぁ元々捕獲が目的でしたしもういっそ飼いならしますか。確か組合では服従させた魔獣を使役する事は許可してましたし。強さを示す看板には丁度良いでしょう。」

 

 若干呆れたといった感じでモモさんは言う。そうは言うけどナザリックの支配者はモモさん。一応の確認を取るのは当然だろう。だが許可は貰えた。後は捕まえるだけだ。

 

「それがしの前で平然と飼いならすとか言わないで欲しいでござるよ!そういう事はそれがしを倒してから言って欲しいでござるな!」

 

「…なら倒したら大人しく私のペットになってくれる?」

 

「倒せたなら、構わないでござるよ。」

 

 体に描かれている紋様を光らせながら自信満々に答える森の賢王。ドッペルゲンガーの能力で作った顔が破顔するのが分かる。本人の了承も得た、ならやる事は一つだ。

 

「さぁ!命の奪い合いをするでござるよ!」

 

「絶対飼う!」

 

 モモさんの生温かい視線を受けながら私と森の賢王の戦いの火蓋は切って落とされた。

 

 

 

 

 

 

「降参でござる!それがしの負けでござるよぉ。」

 

 一言で言えば森の賢王は強かった。尻尾による強力な遠距離攻撃、鋭い爪を利用した近距離攻撃、体全体を使った体当たりに、複数の魔法。そして何より下手な金属より硬い外皮。煙の特大剣は切断に向いていないとはいえ、まさか防がれるとは思わなかった。どうやら柔らかいのは先程抱きついたお腹部分だけで、他の部分の毛はかなり硬質な様だ。

 

 本気で戦って殺してしまっては本末転倒なので手を抜きながら戦ったとはいえそこそこ良い勝負が出来ていた。見た目で忘れていたが一応目の前の腹をさらけ出しているハムスターは伝説の魔獣だったようだ。

 

 戦闘能力の分析も出来たので、そこからは現状の装備で出せる本気で戦おうと思ったのだが、一度全力で特大剣を振りおろしたら地面にかなり大きいクレーターが出来てしまい、それを見た賢王は全身の毛を逆立て、凄まじい勢いでひっくり返し、敗北宣言をした。

 

「…あぁ…所詮は獣か。」

 

 後ろで見ていたモモさんの若干の憐みの声を聞きながら、ひっくり返っている森の賢王に近づく。

 

「私の勝ちだな。一応聞いておくが異論はあるか?」

 

「ないでござる。それがしでは遠く及ばない程の力の持ち主という事は痛いほど理解したでござるよ。」

 

「いや、お前も十分に強かったさ。偶々相手が悪かっただけだ。」

 

「殺しちゃうんですか?でしたら皮を剥ぎたいなって思うんです。」

 

 明るい声のする方を見ればいつのまにかアウラが立っていた。何気なく言ったその一言は、森の賢王にとっては本当の意味で死活問題な訳で、見下ろすと今にも泣きそうなぐらい瞳は濡れていた。

 

「お前に残された道は二つ。私のペットか、死体となって皮を剥がれるか、選んでいいぞ。」

 

「なるでござる!ペットにならせてもらうでござるよ!」

 

「そうか、なら私の名はアーロン。今は理由があってアロンと名乗っている。後ろはモモンガ、こっちも今はモモンと名乗っている。今この瞬間からお前の主人だ。安心しろ、ペットと言っても酷い扱いはしないさ。定期的にその腹モフらせろ。」

 

「あ、ありがとうでござるよ!この命を助けてくれたこの恩は絶対の忠誠でお返しするでござるよ!それがしの腹でよければいつでも差し出す所存でござる!」

 

 飛び起きながら忠誠を誓う森の賢王。こうして新しいペットが増えた。

 

 その後、森の外で待っていたンフィーレアと師匠と合流した。始めは警戒していた二人だが、私の支配下にあるという言葉と本人の忠誠を誓っているという言葉で警戒を解いてくれた。

 

「凄いですよモモンさんにアロンさん!こんな立派な魔獣を従わせるなんて!」

 

「「えっ?」」

 

 どうやらンフィーレアや師匠の目にはこの可愛いハムスターが精強な魔獣にしか見えないらしい。なぜだろう、私とモモさんの目がおかしいのか、それとも彼らにはそもそもハムスターという概念が無い為そうなのかは分からないがそれ以上考えるのはやめた。

 

 そして、森の賢王を連れていく事で村がモンスターに襲われるんじゃないかとンフィーレアは心配した。だが、賢王の話だと自分が縄張りにいても森の勢力のバランスは大きく崩れており、自分がいようといまいとカルネ村が危険である事に変わりはないのだと言う。

 

 それを聞いたンフィーレアは、突然私達のチームに入りたいと言ってきた。自分の力で、カルネ村を守りたい。だが、自分にはその力が無い。だからこそ、私達のチームに入り強くなりたいという事だった。

 

「ンフィーレア殿の気持ちは嬉しいし、尊敬に値する。だが、私達のチームに入る為には条件があってな。それを君は一つしかクリアしていないのだよ。すまないな。」

 

 純粋に嬉しかったし、眩しかった。己のしたい事の為にここまで真っ直ぐになれる彼の事が、そしてそんな相手に私達を選んでくれた事が。

 

「気持ちは十分に分かった。覚えておこう、このチームに入りたいと言った君の事は。それとカルネ村を守るという事だが、少しばかり力を貸すとしよう。ただ、もしかすると君の協力も…」

 

「はい!やらせていただきます!」

 

「そうか、そうか。」

 

 満足そうにうなずくモモさん。モモさんも嬉しいのだろう。彼の純粋な気持ちが。これによってナザリックからのカルネ村への物的、及び人的支援が始まった。

 

 そしてその後は、森の賢王を連れて普段は行けない様な森の深部まで入り、貴重な薬草な木の実などを採集した。ンフィーレアは大満足といった様子で、こちらも追加報酬が出ると言われれば悪い気はしなかった。

 

 そうして、一度カルネ村に戻り翌日の早朝に村を出立してエ・ランテルについたのは日が暮れる頃だった。

 

 

 

 

 

 

 




オバロアニメ終わってしまいましたね。
投稿したら見ようと思ってたのでこれから見ます。

ハムスケを抱えて飛んでいたナーベラルが可愛かったです。



▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。