タグに亀投稿書いたのは正解だったけど終りまでが遠すぎるな~
頑張って書きます。
本編どうぞ
とある教会。そこには1人の緑色の衣装を身に纏った老人が祈りをささげている。
「後悔は轍に咲く花のようだ。歩いた軌道に、さめざめと、しなびた実を結ばせる。故にだ、お嬢さん。己に恥じぬ行為だけが、後願の憂いから自身を開放する鍵なのだよ」
老兵は1人、私に何かを託すように話す。だが、次の瞬間には、またあの、赤い光景を目の当たりにする。その中にいるのはあの老騎士。
「まさか、わしが負けるとはな…迷いながらも生きるがよい、若者よ。その迷いは、いずれ敵を穿つための意志となる。努々忘れぬことだ」
老人は私に語りかける。それはまるで遺言であるかのように。
「岸波君。最後に、年寄りの戯言を聞いてほしい」
最後の力を絞り込むかのように、老騎士は言った。
「これから先、誰を敵に迎えようとも、誰を敵にとして討つ事になろうとも…。必ず、その結果を受け入れてほしい。迷いも後悔も、消えぬのなら消さずともいい。ただ、結果を拒むことだけはしてはならない。すべてを糧に進め。覚悟とはそういう事だそれを見失ったまま進むと…君は必ず未練を残す。……そして、可能であるなら、闘いに意味を見出してほしい。何のために戦うのか、何のために負けられないのか、自分なりの答えを見出し、最後まで勝ち続けた責任を果たすのだ。いいかな未来ある若者よ。それだけは……忘れるな……」
老人は私にこう言った。“覚悟を持て。切り捨てた者のためにも、逃げることだけはしてはならない”と。
「■■さん。私、記憶が無くて、何で聖杯戦争に参加したのか分からないけど……闘い続けます。■■と貴方のためにも……絶対に…絶対に逃げません! それとこれだけは言わせてください。ごめんなさい、そして…ありがとう、ございました…!」
私は涙を流しながら答えた。敵という立場でありながら、こんな私に戦う理由、覚悟を教えてくれた、師ともいえる相手に。
「そうか。わしの死は無駄ではなかったという事か。君の幸運を祈るよ。…さて、長かったがようやく会えそうだ。……待たせたな。アン…ヌ………………」
最後に呟いたのは女性の名前。
それを呟いた彼―――■■の顔は未練も、後悔もなく、静かな答えを得た彼はゆっくりと消えていった。
「…………………」
朝。空が霞みがかっている状態、そんな時間に私は目が覚めた。ゆっくりと体を起こす。今回はどうやら声をあげることなく寝れたようだ。
「……あれ?」
ふと、顔に手をやると頬が濡れていた。私の――白野の顔は涙でぬれていた。
夢の内容を思い出す。思い出すのは緑の服を着た老人。私は彼のことを知っているはずなのに、名前が思い出せない。ただ、これだけは言える。私は彼から、とても、もしかしたら言葉だけでは表せないものを託されたと。
「…弱音吐いてらんないわね」
もしかしたら、ずっと見るこの夢をすべて見終われば答えが分かるのかもしれない。だったら、最後まで見てやろうじゃない。そう、心に誓った彼女の目はとても凛々しく見えた。
学校
その日のSHR前に一人の少女が一組に訪れていた。
「鈴……? お前、鈴か?」
「そうよ。中国代表候補生、鳳鈴音。今日は宣戦布告にきたわけ」
どうやら、織斑君の知り合いらしい彼女は2組のクラス代表として宣戦布告に来たらしい。それにしてもリンか…。
「? あんた何見てるのよ」
「いえ…なんでもありません」
彼女の名前と髪型を見て、どこか既視感に襲われたが何故なのか自分には分からない。その後、鈴は織斑先生に怒られて2組に戻って行った。
その日の放課後、部活の弓道を一人遅くまで練習し道場を片づけた白野は学生寮に戻っていた。その道中にある人影を見つける。校舎と学生寮の通り道の途中にある人工の川に1人佇んでいる少女……朝のSHRと昼の食堂で騒いでいた2組の鳳鈴音がいた。よく見ると彼女の顔はうっすらと泣いているように見えた。
「どうしたの? こんなところで」
「…あんた。一夏の後ろにいた」
「自己紹介がまだだったね。岸波白野です。それよりも何かあったのですか?」
「う…ん。ちょうどいいから私のストレス発散に付き合ってくれる」
「ストレス発散ですか…いいですよ。私でいいなら」
結構長い話になるんだろうなー、と思いながら彼女の話に付き合うことにした。
それから1時間
「しかもさ! あの時、私があいつにいったことを覚えているくせに一夏ったら勘違いしているっていうか、言葉の意味をまったく理解してなくてさ!」
「あー…そうなんですか」
あれから似たような内容を3回くらい白野は聞いた。
要約すると、小学生のころに鈴が『料理が上達したら、毎日あたしの酢豚食べてくれる?』と一夏に聞き、その時の一夏は了承したらしい。このときの会話、鈴は一夏に対する告白だったらしいのだが、告白されたほうのはそう思っていなかったらしい。
(回りくどい告白は小説とかアニメとかでいろいろあるけど…ちょっと遠回りすぎというか)
話を聞いた白野は心の中でそう思っていた。まあ、告白となると一見気の強うそうな彼女でも緊張するものだ。素直に直接言えないのだろう。それに話を聞いている限り、遠回りすぎる鈴の告白でも分からなくはない。だが、それを『あたしが料理上達したら毎日、酢豚をおごってもらえる』と勘違いしている一夏の朴念仁ぶりも相当大きな壁じゃないだろうか?
「ふぅ、いろいろ言ったらなんだかすっきりしたわ。ありがとね」
溜りにたまった鬱憤を晴らした鈴は白野にお礼を言い寮に戻って行った。
その日の夢の中
「そっか、もう……おわりなんだね」
「…どうして?」
氷の城を前にある広場。そこに私と2人の白と黒の少女がいた。少女らの歳は10も満たないかもしれないくらいか弱い。その彼女が今まさに消え去ろうとしている。他ならぬ自分のせいで。
「■■■はずっと一人で、誰も見てくれなくて、居場所が無くて、さびしくて。ずっと、ずっと」
「やっと見つけたのに。■■■だけの■■■を。居場所を。しあわせを……。どうしてこんな、小さなしあわせをもってくれないの……?」
白と黒の少女は悲痛な声を小さく呟く。今までの自分たちに対する不幸に『なぜ?』 と誰かに問いかける。それはこのような運命にした神に対してなのか。それとも、彼女たちをこのようにした自分に対してなのか。
「いいんだ。もう……」
■■■が小さく微笑んだ。
「■■■は知っていたよ。たぶん、もうなくなっちゃうって。よく覚えてないけど、■■■はもう死んでるの…。もう体はないの。でも、あのびょういんで■■■は誰も■■■を見てくれなかった。不思議な世界に来ても同じ…■■■は1人で、さびしくて」
2人は互いに見つめ合いながら、白い少女の告白を聞く。赤い壁越しに白野は黙って彼女のことを見つめていた。
何も言えなかった。いや、なにを言える資格など自分にはない。こんな、小さな命を切り捨てた自分が。
「でもね…」
白い少女が私のほうを向いた。
「ねぇ。お姉ちゃんは、■■■のこと、見てくれた?」
「…!」
白野は壁に駆け寄り、できるかぎり彼女たちの近くに近寄った。口をおさえて、涙を堪えながらも、流しながら。
「うん、■■■のこと……ずっと見てたよ。おにごっこ、たのしかったね。また……………………いっしょに、あそぼうね…!」
ずっと1人でさびしかった、誰も自分のことを見てくれなかった彼女。そんな彼女に殺されそうなめにあっていながら、白野は彼女の友達でいようとした。それが今できる精一杯の懺悔だった。
「ありがとう。お姉ちゃん。お姉ちゃんはわたしと同じだから。ほんとうは………もうちょっとだけ遊んでいたかったけど………………バイバイ」
砂糖菓子の細工が崩れるような、音ときらめきだけが一瞬残り。最後の瞬間、白い彼女は今まで私に向けてきた満面の笑顔で消えていった。
「……■■■は■■■が見ている夢だから、鏡の中の■■■だから。■■■が消えたら、この■■■もきえちゃう。……いつもあたしはだれかのゆめ。ほんとの■■■はだれも知らないもの。■■■の■■■。だけど、しあわせだっだけど」
黒い少女は1人呟く。先に消えた白い少女のことを思いながら。目元から一粒、雫が落ちた。
「あれ……なんで泣いているのかな。わかっているのに。泣いてもほんものになんかなれないって」
黒い少女は消えかかり―――
「それは違うよ」
白野が声をかける。黒い少女は白野のほうを振り向いた。
「確かにあなたは物語の…読み手の姿で毎回変わるかもしれない。でも、あなたは偽物でもほんものでもない。あなたは読み手と瓜二つなだけで……ただ一人の友達なんだ」
「マスターの言う通りかもしれんな。貴様は偽物ではない」
白野の言葉に付け加える様に、隣にいる赤い青年が言った。顔は……霞んでよく見えない。
「それに偽物呼ばわりされるのは、後にも先にも1人だけだ」
「それはあなたの経験則…?」
「…なに、ただの独り言さ」
黒い少女と赤い青年がなにか意味ありげな会話をする。それも短く終わる。
「そっか…。そんな考え方もあるのね。ありがとう。■■■も■■■も、あなたたちに会えてよかった……」
小さな意味を浮かべて黒い少女はそう白野に言い、黒い少女は白い少女の後を追うように消滅した。
これで三度目。三度経験しているとはいえ、こんのものが当然とは思いたくなかった。
これが当然であるなら―――根本から歪んでいる。
夢の中でそれを見、思い寝ている白野の頬には、一筋の雫が流れていた。
CCC発売まであと1週間きりました。
待ち遠しいですね。ちなみに皆さんは最初はだれを選びますか?
白くなったけどさらにかわいくなった赤王様?
なんだかワイルドになった(なっちまった?)紅茶?
さらに露出してエロくなったお稲荷様?
裏切られるかもしれないけどなんだか魅力がある金ピカ王?