IS -錬鉄の女騎士-   作:skyfish

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これでラウラ編を終了としお休みします。

そしてACE COMBAT SW ‐The locus of Ribbon ‐を終りにさせます。つづきはそれからで

本編どぞ


第23話「白野『副隊長。それはおかしいよ』」

騒動から一日たった夕方

 

 「…………またこの部屋か」

 

 意識を取り戻した私が見たのはこの間見た病室の天井だった。これで二度目の入院だがこの先どれくらいお世話になるか分からない。

 

(アーチャーもお疲れ様)

 

(マスターの方もな。丸一日寝ていたぞ)

 

足の太ももに重みを感じそちらを見る。そこにはラウラが私の見舞いに来ていたのかいた。疲れたのか眠っている。体を起こそうとするが痛みが走り止めた。あの時以上(織斑先生たちに見せた時)に体の疲労が溜まっている。何とか体を動し上体を起こす。足はまだ疲労が溜まっているから無理だろう。

 

「………山田先生の放課後補習コースになっちゃう」

 

 もし授業に出れなかった場合山田先生の補習コース(本来は勉強できていない人向け)に出ることになる。別に苦ではないけどその分時間がつぶれる。そう思いながら私はラウラの頭を撫でた。

 

「ようやく目が覚めたようだな」

 

 病室のドアが開き声をかけられる。織斑先生が入ってきた。

 

「具合は?」

 

「何とも言えません」

 

 短い会話をしながら織斑先生はベッドの傍に座った。そして騒動の結論だけ伝える。

 

「あの黒いISについては他言無用だ。情報を外に漏らさないように」

 

「はい」

 

「それとこれが一番重要になるのだが、織斑たちだけに錬鉄の情報を公開した。一応蒼崎社長の了承を得ているが勝手知らぬところですまない」

 

 織斑先生に「いいですよ」と言う。あれを見られた以上公開しないわけにはいかないだろう。それにあの騒動で試合場と観客席に防護シャッターが下りただけ良しとしよう。これを見られたらいろいろと面倒なことが起きる。いや、本当に。

 

「しばらく安静にしていろ」

 

「先生。できれば明日にでも授業出たいです」

 

「その体でか?」

 

「むしろ放課後補習コースは避けたいです……」

 

 病み上がりとかなしに、放課後まで勉強したくないです。はい。

 

「だとすると車椅子しかないが……その腕では無理だろ「教官。私がやります」起きていたのか」

 

 先ほどまで眠っていたと思ったラウラが挙手した。眠りが浅かったのかな。それにしても反応が早かったけど。

 

「なら問題ないな。ラウラ任せたぞ」

 

「了解」

 

「ここでは はい だ。馬鹿者」

 

「はい」

 

 それだけ言うと織斑先生は病室から出て行った。無言の時間が過ぎる。どうしようかと考えているとラウラのほうから切り出した。

 

「夢を見た。今まで見たことのない夢を」

 

 ラウラは話を続ける。

 

「どこかの海の中。珊瑚が見えたからおそらく南の海だろう。その海底に誰かが戦っていた。紅い服を着た男と朱い鎧を着た武人。そのすぐそばにいた褐色の女と……岸波白野によく似た女が」

 

「そう…………」

 

 他人の記憶の共有。それは私にも経験があった。ラウラは私を見つめる。私は何も答えない。いや、何を答えたらいいのか分からなかった。

 

「あの女がお前の友人か?」

 

「………そうだよ。ラニ=Ⅷ。それが彼女の名前」

 

「そうか………ならこの話は終わりだ」

 

「いいの? 他にも聞きたいことはあるんでしょ?」

 

「正直あのバカげた戦闘の詳細を知りたくない。ISが薄れて見えそうで嫌だから深く考えないようにしてるのだ」

 

 そう言いながら彼女はイスに座る。顔を見るにまだ聞きたいことがあるようだ。

 

「あの試合。言ったな。個人としてのラウラ・ボーデヴィッヒの考え、お前の推測が当たっているのか聞いてやる」

 

「単刀直入にいうと、織斑先生のことを『母親』として見てる……違う?」

 

「―――完敗だ。お前の観察力には驚かされる」

 

 ラウラは溜め息交じりに言った。

 

 ラウラが織斑千冬に執着する理由。ラウラの言う通り織斑先生をドイツに戻すことこれは考えられたがどうにも理由が不十分に感じた。もう一つに織斑先生を取り戻すために汚点(?)である弟の織斑一夏を倒すという件だが、もしあの事件がなかったら織斑先生はドイツ軍には来なくラウラとも会わなかったはずだ。だからある意味ラウラと織斑先生が会えたのは織斑一夏のおかげでもある。彼を否定することは織斑先生の出会いも否定することに繋がるし、それが分からないラウラでもない。だからもっと別の何かがあると考え、彼女の心境と織斑千冬の存在を考えた結果がこれだった。親がいないラウラにとって織斑先生を次第に母親のように見ていたと考えると説明がつくのだ。ドイツ軍に戻らせること→織斑先生と一緒にいたい、織斑一夏と先生を引き剥がす→一種の独占願望 と考えるといろいろと納得がいく。考え方が幼稚すぎる&子供っぽいと思うかもしれないが仕方ないのだ。物心ついたときからずっと軍の施設で過ごした彼女は確かに精神面では軍人だろうが反面世の中が分からない女の子なのである。甘えたいときが必要なのだ。だから一応アドバイスしておいた。

 

「とりあえず織斑先生に『お母さん』と呼んでいいですかって聞けば? 常に言う事はできなくてもプライベートな時間だけならOKでるかもだよ?」

 

「……なるほどその手があったか。ありがとう、『姉上』」

 

………………………

……………………………

…………………………………はい?

 

「む。イヤだったか? なら『姉御』と」

「いやいやいやいやいやいや。なんでよ」

 

何を一体どうしたらそうなるのか説明お願いします。

 

「違うのか? 間違いを正したり、叱ってくれたり、相談に乗ってくれるのが姉妹の関係だと聞いたぞ」

「いやそれは間違ってないけどさ」

 

話がぶっとんでる。というか誰ですかラウラにそんなこと教えた人は。

 

「私の副隊長だ」

 

 副隊長さーーーーーーーーーーーーーーーーーーん!!! その立場なら上司である隊長に変な知識入れないでくださいーーーー!!

 

 こうなったら私の知り合いを参考に姉がなんなのかラウラに教えよう。

 

………………………

……………………………

…………………………………

 

(参考になる人がいないっ!!)

 

(フックク……覚悟を決めたらどうだ“お姉さん”?)

 

(黙れアーチャー)

 

 あまりのことにアーチャーまで悪乗りしてきた。くそっ。もし令呪があるなら泰山の麻婆豆腐10皿1分で完食させたのに!

 

 その後、ラウラの『お姉ちゃん』類義語攻撃に悩む私だった。

 

 

 

 

 

 

時を騒動集結後に戻す。

 

【シャルル視点】

 

 あの騒動から数時間が立った。準決勝中に起きた騒動によりイベントは中止。トーナメント参加者の試合は全て済んでいたため決勝戦はしないことが決定された。原因はシステムの暴走と伝えられ、詳しいことは教えられなかった。条約に触れるためこのことは関係者以外情報を洩らさないように言われた。とくに岸波白野の情報はと念を押された。ラウラのほうは外傷はないらしく現在精密検査をしているが今のところは大丈夫だろう。逆に白野のほうは重症だった。右肩の大けがと左頬の切り傷、左腕の骨にひび。それ以外にもあの戦闘で受けた傷あとが多数あった。現在治療室で手術中である。

 

1つの部屋に集められた私たちは織斑先生が来ると彼女の前に集まった。

 

「先ほどラウラが目覚めた。疲労が激しいが大丈夫だろう。それよりも聞きたいことがあるのだろう」

 

「ちふ……織斑先生。白野のISについて教えてください。何故雪片を持っていたんですか?」

 

「あれは持っていたんじゃない。創ったんだ」

 

「創った……? 先生意味が分からないのですが」

 

「そのままの意味だ。刀剣の類であれば見ただけで複製する能力。それが岸波のIS“錬鉄”の単一仕様能力『創造物質化』(マテリアル・クリエイション)それが彼女のISの能力だ」

 

 単一仕様能力。それはISごとに異なる力であり切り札でもある。でもそれ以外にも疑問がのこる。

 

「ちょっと待って。あのとき黒い雪片を止めた紅いシールドは何なの?」

 

「無銘に搭載されている第三世代兵器『アイアスの盾』。こいつは白式の『零落白夜』と似てシールドエネルギーを犠牲に前面にエネルギーシールドを集中させる武装だ。『零落白夜』が攻撃特化ならこっちは防御特化というわけだ。それ以外にも話さなくてはならないことがある。岸波のISが二次移行したのは目にしただろう?」

 

 千冬の確認に皆が頷く。それを確認して織斑先生は話を続けた。

 

「あれが無銘に搭載されている能力『限定解放・憑依』。無銘のコア人格を操縦者へ憑依させることで一時的に二次移行(セカンドシフト)させることが可能になる」

 

「え、ちょっと待って! 無銘のコアに人格あるの!?」

 

「口調が変わっていただろう? あれが証拠だ」

 

 なんだそれは。と言った表情で皆が固まる。正体不明のISと思っていたがふたを開けてみればとんでもないものが入っていた。刀剣限定とはいえ武器を複製できるし、シールドエネルギーを消費するかわりに雪片を防げるほどのエネルギーシールド。さらにセカンドシフトさせることも出来るなんて。

 

「だがな。この能力は諸刃の剣だ。セカンドシフトさせ機動力が大幅に上がる代償として絶対防御が無くなる」

 

「お待ちください。その状態で白野さんは戦ってましたの!?」

 

 セシリアの質問に千冬はこくりと頷いた。何故そんな危険なことまでして戦っていたのだと疑問が出てくる。そこに千冬から答えを出した。

 

「ラウラのISの暴走が発生した後の記録を調べた結果ずっと岸波を狙っていたことが分かった。それに気づいた彼女は自分が戦った方が周りの危険は少ないと判断した。さらに自分も生き残れる可能性を少しでも上げるために“憑依”を使用した」

 

「そこまで考えていたのか……」

 

 篠ノ之さんがいうが、皆が知らない彼女のことを知る私はあまり驚かなかった。でもあれは本当にISの能力だけで済んでいいのだろうか? なにか別の力が働いているような気がする。その時はそう思った。

 

その後解散となり今に至るのだが本国から重大な連絡があるから時間を空けてほしいと言われ待っているがすでに2時間も過ぎている。こちらから電話すると『重要な会議の真っ最中でしばらく時間がかかるので終わりましたら連絡いたします』とだけ言われた。それで待っているのだが電話はうんともすんとも言わない。

 

(一体なんの会議なんだろう?)

 

 と考えていると一夏が現れた。なんだかものすごい笑顔をしている。

 

「シャルルやったぞ!」

 

「え? え? 何が?」

 

 一体なんのことか分からない。何がやったのか言葉に言ってないし。何がそんなにうれしいのだろうか?

 

「さっき山田先生が言ったんだけど大浴場俺たちも使えるようになったらしい。もう使えるらしいから今すぐ入ろうぜ!」

 

「へ!? 今すぐ入るの? いっしょに!?」

 

「そうだぞ。同じ男同士。裸の付き合いをしようぜ」

 

「は、は、はだ、はだっ!?」

 

 顔をボッと赤く染めて湯気が立つシャルル否シャルロット。同じ日本人だったなら「裸の付き合い」の意味を知るからよかったものの彼女は女性さらに外国人だ。だから「裸の付き合い」を言葉通り直訳してしまう。

 

「え、遠慮するーーーーーーーー!!!」

 

言いながらシャルルは部屋を飛び出した。

 

「あ! 待てよシャルル。折角の風呂一緒に入ろうぜ!」

 

 事情を知らない一夏は何としてでも一緒に入りたいのかシャルルを追いかける。

 

 

 

 

 ここに記そう。

 

 文化の違いって恐ろしいね。

 

 

 

 

一方。フランス首都パリ デュノア社本社会議室

 

 そこには社長を含めての重鎮たちと各開発部門の部長、責任者たちが集まり今後のデュノア社の方針として社長が示した案に対する会議が執り行われていた。そして現在。反対派と賛成派に別れての討論で嵐が起こっている。

 

「私は反対だ! こんな無謀なことに挑戦するわけにはいかない!」

 

 反対派の者が大声で叫ぶ。それに対し賛成派も負けじと反す。

 

「ではこのまま現状を維持すると? 政府からのリミットまでに間に合うのかね!?」

 

「イグニッション・プランから外された今社長の案は検討に値します!」

 

「だから無謀だというのだ! 確かにその分野は未開拓だが一体何があるのか分からない! つまりは未知数だ! それに社運を賭けるなど正気の沙汰か!?」

 

「なら並行して事業を展開すれば」

 

「もうそんな余裕など我が社にはない! ゴールのない方針など途方もないぞ!」

 

「さっきから聞いていれば! あなた方は怖いだけじゃないですか!? 現に学生の1人が夢を示してるんですよ!」

 

「私はこの会社を思って発言をしている! それにたかが学生1人に方針を変える馬鹿がどこに――――――」

 

 反対派の1人が言いかけて止まる。それは自身の社長を馬鹿にする発言につながりかねなかった。怒号が飛び交っていた会議室が静寂に包まれる。

 

「ふむ。確かに。私は馬鹿なのかもしれないね」

 

「も、申し訳ありません社長!」

 

「いいんだよ。言いだしたのは私の方だ。君たちの意見を聞きたかったからこれを開いたんだ」

 

 デュノア社社長アルフォンス・デュノアは手に持っていた神をテーブルに置く。それは二日前IS学園の行事前事前に企業に配布された出場選手の資料。その一枚。名前には『岸波白野』と書かれていた。

 

「確かに私の考えていることは無謀だろう。現にその業界でトップを競っていたアメリカやロシアも手を付けていないのだ。何故だか分かるかね?」

 

「それは……ISが軍事利用にもってこいだったから」

 

 一人の発言にアルフォンスはビシッと指を指す。

 

「そうだ。10年前の白騎士事件をきっかけにISは軍事利用された。それはつまり我々は目先の利益しか見ていなかったということだ」

 

 アルフォンスは言葉を切り外を見る。現在フランスは深夜。夜に灯るパリの夜景が美しく見える。

 

「そんな誰も切り開いていない分野にたった一人で進むことを決心している学生がいるのだ。それに先人たちは新しいことに挑戦するとき安心を確信してから取り組んでいたかね?」

 

 語る社長を皆がじっと見つめている。アルフォンスは彼らのほうに振り向く。それは皆を引っ張ってゆく一大企業の社長に相応しい顔だった。

 

「確かに険しい道だろう。例がない上に影響も天文学的かもしれない。だが、そこに最初に足を踏み入れたことに価値がある。未開拓とは最初の人の思い通りにできるということだ。私はそう思っている。それに、武器を造るよりよっぽどマシだと思うがね」

 

 アルフォンスは軽く笑いながら言う。そこに奥に座っていた1人が立つ。

 

「いいでしょう。私は社長の案に賛成します」

 

「ちょ、主任!? あなた中立派じゃ」

 

 立ち上がったメガネの男性。IS部門開発部の主任を任されている男性は社長の案に参加の意を示した。

 

「この事業が我が社のためになるかは私も含め皆さんにも判断はできません。ですが、人類のために貢献することはできる」

 

 この一言が切っ掛けとなった。次々と賛成の意を示す社員たち。規模からして我が社の独占は無理だろう。だがやる意味はある。今まで軍事目的しか見てなかったISを初めて平和利用として使う。私たちの業績が軍事的につながってしまう可能性もあるが、それを恐れていたら始まらない。

 

 全員の気持ちは固まった。

 

「よし。では早速行動開始だ。プランの修正とISの設計を一から見直してくれ。あと連携する企業をどこにするか吟味する必要もある。各社の情報を正確に集めてくれ。大筋が決まり次第マスコミに連絡だ」

 

「分かりました」

 

「お~し。やってやるか!」

 

 一斉に動き出す。第三世代機という縛りを解き、新たな分野の開拓に皆が燃えていた。アルフォンスは開発主任の男性のところまで近づき肩を叩く。

 

「君にはいつも迷惑をかけるね。今以上に忙しくなるけどいいかね?」

 

「いえ。社長の判断は的確です。それにISの軍事面はそろそろ天井止まりするだろうと私も思っていました」

 

「よろしく頼むよ。トワイス君」

 

アルフォンスは再度彼の肩を叩く。

 

「無論。そのつもりです」

 

 トワイスと名のる若い青年は笑顔で答えた。

 

 

 

 

 

 

学園の教員全員が事後処理に追われている。もちろん私もその作業に追われている。現在ラウラさんのシュバルツア・レーゲンに内蔵されている今回の騒動の元凶VTシステムの除去作業を先ほどまで行っていた。それの結果と報告書を織斑先生に手渡す。

 

「回路が焼切れていた?」

 

「はい。VTシステムを作動させていたものはあったのですがそれが何かで斬られたみたいに」

 

「………そうか。パンクしたと考えるのが妥当だな」

 

 自滅。原因は分からないがそれでよかったと思う。もしあのまま動き続けていたら、岸波さんもラウラさんも危なかっただろう。

 

「ドイツにはなんと報告します?」

 

「VTシステムが積まれていたことと。作動したが勝手に自滅した。搭乗者の無事を伝えれば大丈夫だろう。もちろん岸波のことは伏せて、な」

 

 了解しました。といい私は作業を進めた。

 

 

 

 

 一人になった千冬は電話をかける。相手は言うまでもない。

 

≪もすもすひねもす~? さあちーちゃん私に愛の言葉を≫

 

「人違いのようだ。失礼した」

 

≪わわあ~! 冗談だよ! 怒らないでよちーちゃん!≫

 

 いつもの束の反応に溜め息を入れながら本題に入った。

 

≪VTシステムについてだが、お前の事だ。もう何かしたのだろう?≫

 

≪おお察しがいいねちーちゃん! あんなもの許すわけないから罰をやろうとした……んだけどねぇ≫

 

「? どうした何かあったのか?」

 

あの束が歯切れが悪いなんて珍しい。大抵彼女がこんな反応をするときは思いもよらない事態が起こった時だ。

 

≪VTシステムを研究してた施設だけど。もう破壊されてた≫

 

「なに?」

 

≪生存者なし。もう徹底的に。亡国機業のやつらだね≫

 

 亡国機業……裏世界で暗躍する謎の秘密結社だ。今になってその活動が盛んになっている。

 

≪私から言えるのはそれだけ。じゃーね、ちーちゃん。あ、あと箒ちゃんの誕生日にプレゼントを用意するからね。バイバーイ≫

 

 一方的に伝えられ電話を切られた。まったくこういう所は変わらない奴だと思いながら携帯をしまった。

 

 

 

 

 

 そして翌日――――

 

「シャルロット・デュノアです。改めましてよろしくお願いします」

 

「は? お前女だったのか!?」

 

「………ごめんね」

 

「ちょっと待って! 確か昨日男子大浴場使ったよね!?」

 

「一夏ぁあ! 死ねぇえ!!」

 

「貴様白野“お姉様”も巻き込むと知ってやったな? 覚悟しろ!」

 

「「一夏(さん) 詳しく聞かせてもらおうか?(ニッコリ)」」

 

「待て! 話せば分かる!」

 

「「言い訳無用!」」

 

「ギャアアアアアアアア!!」

 

「貴様ら! 今HR中だぞ静かにしろ!」

 

「白野。“お姉様”ってどういうこと?」

 

「……………モウドウニデモナレ」

 

言ってがっくりとした感じにうなずく包帯姿の白野の姿があった。

 

そして。世界に大ニュースが飛んだ。

 

 

 

 

 

デュノア社 イグニッション・プランを辞退

保持するISコアの半数をフランス政府と他企業に譲渡

アメリカNASAと連携。ISの宇宙空間開拓への利用

これから10年かけて軍事部門からの撤退予定。状況により早まる可能性も

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

電話を切った束はモニターを操作する。そこに映るのはさきほど言った施設を破壊するよう命じたゴーレムが稼働停止する前の映像。

 

施設に着陸しその状況を確認するため動きを止めた瞬間に背後から内部のコアをくりぬかれたのだ。完全に停止する前に襲った相手の姿をゴーレムはしっかりと捉え束のもとに送信していた。

 

 

「気に入らないなぁ……」

 

 

 何が。とは分からないもののどこか気に入らないと思う束。それは彼女が作ったISではない『無銘』と同様に理解不能で、それ以上に不愉快だった。

 

 ゴーレムを破壊したそれは、無銘と同様ISとは思えない。まるで亡霊のように霞んで見える傷だらけの黒いフルプレートを纏った謎の騎士だった。

 




一応伏線貼りました。

確かにISは軍事的に魅力あるけど限界が見えるんですよね。それに比べ宇宙開発は無限大です。なぜそっちに向かないのかすごく疑問が残ります。はい。

最後まで読んでいただきありがとうございます

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