【完結】 艦隊これくしょん 艦娘たちに呼ばれた提督の話   作:しゅーがく

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第四十六話  酒保、開店!

 

「司令官!酒保が開店したみたいですよ!」

 

そう言った綾波に引かれて俺は執務室を後にした。

ちなみにさっき食堂には集まっていたが、食事をしていた訳では無い。全員が集まるのにちょうどいい場所が食堂なのだ。

 

ーーーーー

 

ーーー

 

 

酒保には開店ののぼりが立ち、この前に挨拶があった従業員がせっせと通る客(艦娘)に挨拶していた。

 

「はぁ~。酒保がすごい事になってます~。」

 

俺の手を引いたままの綾波はキョロキョロと辺りを見渡していた。

酒保には俺の目からしたら当たり前のものが沢山置いてあった。服、食べ物、本、家電(テレビ、ラジオ、パソコン、携帯端末は無し。)、雑貨、どれも生活には使うものだ。

 

「こんなにものがあると買うものに困っちゃいますね。」

 

「そうだな。」

 

歩き回る事数分。俺はある事をふと思い出した。綾波が今『買うものに困っちゃいますね。』と言ったが、艦娘の給金はどうなっているのだろう。俺は気になった。

 

「なぁ綾波。」

 

「何ですか?」

 

「毎月どれくらい貰ってるんだ?」

 

「えぇとですね......18万円くらいですかね?大きくなる程お金はいっぱい貰えるみたいですが......。」

 

そう言って綾波は彼方此方に目移りさせていた。

 

「そうか。」

 

俺はここで話をやめた。下世話でもあるが、お金の話になるとキリがない。日々戦地に赴く艦娘に対して足りないのではないかと思うが、それを言い出したら国内の全土に何万人といる艦娘の給金を払うだけでかなりのお金が飛んでいくのだ。

 

「ですが、これまであまり使ってこなかったのでいっぱいあるんですよ!お洋服とかお菓子とか、いっぱい買いたいですっ!」

 

そう言って綾波は笑った。

 

「そうか。今日は皆ここに来てるだろうから姉妹と行ってきたらどうだ?」

 

「いえ、今日は秘書艦ですので!司令官の傍を離れる訳にはいきませんよ?」

 

そう言ってフンスと鼻息を噴き出した。どれだけ気合が入っているかが分かる程だ。

そうしていると、俺と綾波の周りにはたくさんの艦娘が集まっていた。ここまで集まって歩いていると、どこかの打ち上げパーティーを思い出す。更に、従業員も俺の前に現れた。

 

「これは提督っ!ご来店ありがとうございますっ!!」

 

そう言った従業員はあまり近すぎると艦娘に殺されかねないのを分かっていたのか、数m先で挨拶をした。

 

「あぁ。こっちこそ艦娘たちの娯楽の為にありがとう。」

 

「いえ!」

 

そう言うと従業員は笑って立ち去った。それからというもの通る度に挨拶された。これはこれで何か別のモノを感じる。

 

「あっ!司令官っ!あそこにお菓子があります!!」

 

そう言って綾波が走っていってしまった。それを俺は追いかけるのであった。

それからというもの、綾波の買い物に付き合った。回れるところは全部回り、回りきって出る頃には閉店の時間になっていた。酒保の閉店時間を俺は完成前に5時と定めたのだ。全ては働く従業員の為であり、空いている事で艦娘の生活が乱れてしまう事を懸念しての事だった。それには何ら異議もなくすんなりと通り、結果、俺と綾波が出た頃の酒保の前には艦娘の人だかりが出来ていた。どうやら皆もギリギリの時間まで居た様だった。

 

「さて、帰るか。綾波、一回綾波の部屋まで荷物を運ぼう。手伝うよ。」

 

そう言って俺は綾波の買った物の紙袋を数個持ち上げると歩き出した。

待ってくださいと言って追いかけてくる綾波に振り返っては、夕食に遅れると言って。

 

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ーーー

 

 

今日の夕食時、食堂は凄い賑わいがあった。俺は綾波の部屋。厳密には綾波型駆逐艦の部屋に荷物を運んですぐに食堂に向かい、テレビを点けていた。これはテレビを設置した時からの事で、できるだけ楽しんでもらう為だった。だがテレビに釘付けになっている艦娘ばかりではない。

酒保でどんなものを見つけたとか、何を買っただとかっていう話で盛り上がっているのだ。この光景を見ているとやっぱ艦娘は女の子なのだろうと俺に思わせた。

 

「司令官、酒保は朝の10時から夕方の5時まではやってるんですよね?」

 

そう言って俺の横で夕食を食べる綾波は訪ねてきた。

 

「そうだ。色々考慮してなるべく長い間開けてもらう事になっている。今後、増設されて色々な施設が入るかもしれないな。」

 

そう言って俺も夕食を口に運ぶ。

今日はいつもの和食とは違って、洋食だ。間宮も酒保を訪れた様でその際に買った料理本を見て作ってみたと言っていた。

今日のメニューはハヤシライス。カレーライスは出るがこれは今まで出たことが無かった。俺も正直驚いている。とても美味しいのだ。さっき1杯食べ終わってお代わりしに行ったくらいだ。

 

「ハヤシライスもおいしいですね~。」

 

そう言う綾波はまたぺかーとなっていたのでそうだなとだけ答えて俺もハヤシライスにスプーンを伸ばし続けた。

 

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ーーー

 

 

夕食が終わり、時間が過ぎると綾波を部屋に帰るように言って今は執務室で一人だ。

静かになった棟の中はとても気味が悪かったが今日は違った。艦娘の寮から笑い声が聞こえる。きっと酒保で娯楽品を見つけてそれで遊んでいるのだろう。次の日の出撃や遠征に響かない程度に楽しんで欲しいと思って、俺は椅子から立ち上がった。

もう今日は寝よう。そう思ったのだ。

 





内容はうっすいですが、これまでのシリアスな感じからは出れたと思います。
最近指先が痛いんですよね。昼間はずっとペンを握って、夜はキーボードですからねw
楽しいんでいいですが、キーボードのよく打つキーがハゲ始めたのはここだけの話www

ご意見ご感想お待ちしてます。

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