【完結】 艦隊これくしょん 艦娘たちに呼ばれた提督の話   作:しゅーがく

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ここまで引っ張ると結構ネタが尽きていくものですね(蒼白)。
今回はネタ尽きたかと思ったのですが何とかかけました。ネタ尽きたならやめちまえって思うのですがねw

UAやお気に入りが順調に増えていてとてもうれしいです!感想なんかは投稿する度に送って下さる方もいるのですごく励みになってます。


第十二話  提督の挨拶回り⑤ 空母編

 

俺と金剛は空母の集まる席に来ていた。

第一艦隊の赤城と加賀はどうやらあの集まりを解散して、空母の集まりに入ってきたみたいだった。

我が鎮守府所属の空母は赤城と加賀の正規空母を筆頭に主に軽空母で構成されている。

 

(ハッキリ言って空母の運用に関しては、赤城と加賀と飛鷹と隼鷹以外は殆ど出てないんだよね......。)

 

俺は楽しそうに飲食する空母の艦娘たちを見て思った。

それに、鎮守府には何故だか空母の建造が上手くいかない事が多かった。

俺が空母レシピの指示を出す事数十回(※ボーキサイトが潤沢にあった時代。)では、数十回中空母を引いたのは加賀の一回だけ。他は全て海域攻略中にドロップした者と、赤城は報酬だ。

 

「あら、提督。どうされました?」

 

赤城は何食わぬ顔で俺にそう言った。さっき、俺に謝ってたじゃないか。

 

「挨拶回りだよ。第一艦隊の奴らに何処に行くにも付いてこられてただろ?それで皆近寄り難かったみたいだから、俺から出向いてるって訳。」

 

そう言うと赤城はポンと手を打った。

 

「確かに提督の近くには必ず第一艦隊のメンバーが居ましたね。というか私たちって皆さんから怖がられてたのですか?!」

 

赤城はそう言って驚いた。どうやら本人は自覚がなかった様だった。

そりゃ大型艦ばかりに囲まれてる俺のところに突入しようだなんて誰も考えないだろ。特に駆逐艦とか。

 

「はぁ......。まぁ、そう言う訳で駆逐艦の艦娘のところから順に回ってるっていう訳だ。」

 

「そうですか。では、私たちのところに来たという事は私たちと話をする為に?」

 

「そうなるな。だけど赤城と加賀は別だな。軽空母の艦娘たちと話すよ。」

 

そう言うと赤城はよほどショックだったのか、持っていた箸を落とした。それを横で見ていた加賀が無言で何かを悟ったかのように赤城の肩に手を置いた。

 

「提督ぅ?今のは少し酷いと思うデス。」

 

そして何故か金剛がジト目で俺を睨んだ。

 

「ん?だが、事実だろ?」

 

「あー、やっぱり酷いデス。早く赤城に謝るべきデスヨ。」

 

俺はそう言う金剛に約一か月の出来事を話した。俺の責任だが、第一艦隊によって俺の着任を秘匿にされていたことを。

 

「まぁ、奴らは俺をほぼ軟禁してたしな。俺の責任のところも大きいが。」

 

そう言うと金剛は驚いた。多分、軟禁という言葉が出てきたからだ。

 

「そっ、それは私でも擁護できまセン......。」

 

金剛がはぁと溜息を吐く。赤城は金剛の擁護に期待していたみたいだが、バッサリ切られてしまってまた落ち込んでしまった。

これは流石にフォロー入れなくては、俺はそう思った。

 

「まっ、まぁ。あんなでも赤城たちだけで食べるのも結構楽しかった......?」

 

顔から火が出そうになるほど恥ずかしくなった。フォローのつもりだったが違う意味にとられ兼ねない。俺はすぐに軽空母の艦娘たちが居るところに移動した。

そんな俺と金剛の姿を目で追っていた赤城と加賀の表情は俺には良く見えなかった。

 

ーーーーー

 

ーーー

 

 

軽空母が4人で集まって何かの会話をしていた。近くに居る俺と金剛には気付かずにしていた会話は、艦載機運用についてだった。

俺はその様子に驚いた。何に驚いたかと言うと、俺の居た世界でのイメージが強い隼鷹が零式艦戦21型と天山の併用に関することを話していたからだ。

俺の中でのイメージは皆も同じだろうが、『酒ぇ~。酒は美味いねぇ~、ヒャッハー!』的なのを想像していた。

だが、現実。現実と言ってもいいのだろうか疑問だが、目の前で真面目にそんな内容の事を話している事に驚いた。

 

「盛り上がってるところ悪いね。」

 

俺は引きつる顔を笑みで隠しつつ話しかけた。

そうすると皆が一斉にこっちを向いて言った。

 

「「「「提督、私も52型が欲しいです!あと、彗星も!」」」」

 

「それは無理だっ!」

 

軽空母の艦娘たちの願いは一瞬にして打ち砕かれた。

こやつ等ボーキサイト不足を知ってのその願いかと俺が口角をピクピクさせていると、俺と軽空母の艦娘たちの間に加賀が割って入った。

 

「貴女たちも提督も少し頭を冷やして下さい。提督、表情に出てます。」

 

俺は加賀に言われ、少し息を整えた。それを見ていた加賀は少し崩れていた襟を整えて俺に言った。

 

「提督。」

 

「なんだ?」

 

「52型や彗星に回す資材など、そんな余裕は無いのでしょう?」

 

「そうだな。」

 

「そう、全ては烈風、彩雲、流星の為に......。そんなに溜め込んでいたのでしょう?」

 

「いや、違うし。」

 

俺は最初、加賀はいいことを言うのかと思っていた。だが、違った。加賀は自分に回されるであろう高性能艦載機に注ぎ込むのだと言うのだ。

 

「どうして?」

 

「どうしても何も、開発に多く回すだけのボーキサイトはありませんっ!」

 

そう言うとその場は一瞬にして葬式ムードになってしまった。

軽空母の艦娘の願いを打ち砕き、加賀の求める高性能艦載機の開発にも使わないと言ったからだ。無理もなかった。

 

「ほーい、提督ー。何でボーキサイトをそんなに温存してんだ?」

 

この葬式ムードの中、俺に声をかけたのは隼鷹だった。

俺がどう答えようかと悩んでいると、金剛が口を出してきた。

 

「それはきっと第一艦隊の空母の補給で手一杯だからだと思いマス。見たところどちらも改造されていて、艦載機搭載数も増えている様ですシ。」

 

「成程なー。じゃあさ。提督。ボーキサイトが溜まるまで不定期でやっていた駆逐艦や軽巡洋艦の練度上げ、空母なしで出してみたらどう?」

 

俺は隼鷹の提案を訊いて、自分の身体に稲妻が落ちてきた様な衝撃を感じた。

第一艦隊から空母を外す。その様な考えは今までした事が無かった。基本的に航空戦が戦いを制す、とか言うじゃないか(※にわか知識)。それをあえて止める。その考えには至らなかった。

 

「......。」

 

「どうした提督?」

 

「隼鷹。隼鷹なら編成、どうする?」

 

俺は動揺を隠しつつ恐る恐る聞いてみた。

 

「そうだなー。練度上げをする駆逐艦や軽巡を旗艦に、傘下に戦艦5かな。資材はかなり食われるだろうけど、ボーキサイトよりかは集めやすいだろ?」

 

「その案、頂き。明日から再編成だ。」

 

俺はそう言うと、その場から聞いていただろう赤城と加賀を呼び出した。俺の前に来た赤城と加賀はかなり焦っている。と言うか、動揺している。

会話の内容から察すれば、この後何を言われるのか分かるからだろう。凄い速さで足を震わせて、額には脂汗が滲み出ている。こういった反応を見ると、人間とそうたいして変わらないように俺は思えた。

 

「近くに居た2人には予め連絡しておく。」

 

「はい......。」

 

「......。」

 

俺は元気のない一航戦を見ながら、心を鬼にしていった。

 

「明日を持って現第一艦隊を解体。新第一艦隊を編成する。」

 

「はぃ......。」

 

「分かりました......。」

 

消え入るような返事をした後、2人は足取りのおぼつかない様子で自室に戻ってしまった。それ程ショックだったのだろうか。

 

「ねぇ提督。」

 

そんな空気の中、俺に話しかけてきたのは飛鷹だった。

 

「どうした?」

 

「ボーキサイトを溜めるってことは、それを開発や海域解放の時に使うって事?」

 

「うーん、そうなるだろうな。」

 

「じゃあ、開発できたもの次第では私たちにも新しい艦載機が来るって事でいいの?」

 

「そうなるな。だがやはり第一艦隊、おおっと、一航戦に優先するがな。」

 

そう言うと軽空母の艦娘たちは喜んだ。

それは可能性次第で自分らにも新しい艦載機が貰えると分かったからだ。それまでの空気を圧倒する勢いで喜ぶ艦娘たちを俺と金剛は微笑ましく見守っていたが、金剛が肘で小突いてきた。

 

「提督ぅー。電探ーー。」

 

「まだだな。」

 

「酷いデース......。」

 

このやり取り、なんかデジャヴの様にも感じたが、俺は軽くあしらって喜んでいる軽空母の艦娘を見ていた。

そうしていると、喜んでいる艦娘の中に違和感を感じた。赤、茶、そんな感じの色に紺色の様な色をしたスカートを履いた軽空母も居る。

俺の目にはどう考えても鳳翔にしか見えないのだ。

 

「ん?」

 

「どうしたデース?」

 

俺が首を捻っているのに一番最初に気づいたのは、横に立っていた金剛だった。

 

「いや、俺の中でイメージが崩壊した様な......。」

 

「何ノ?何か衝撃的なものでも見てしまったのデスカ?」

 

「そんな感じだな。」

 

そう言うと今度は金剛が首を捻った。どうやら金剛にはソレが違和感に感じない様だ。

 

「どこが違和感なのですカ?」

 

「鳳翔だ。」

 

そう言うと、喜びから何が貰えるのかと艦載機の話で盛り上がっていた軽空母の艦娘から俺の声を聴いていた鳳翔が俺の方を向いた。

 

「どうされました?」

 

そう言って俺に微笑んだ鳳翔は、ゲームで、俺の居た世界でのイメージを崩壊させる様な雰囲気を出している。

俺の中では日本最初の空母として建造されたという歴史から、『お艦』つまり、母親の様な雰囲気を持っているのだとばかり思っていたが、目の前の光景はそれを全て否定している。

見た目、人間の年齢に換算すると16が妥当だなと思うレベルだ。

そんな状況に俺は無性にアレをしたくなった。

唐突に俺は鳳翔に立ってもらい、その前で背筋を伸ばした。

 

「鳳翔。」

 

「はっ、はい!何でしょう?!」

 

改まった俺の姿勢に鳳翔は萎縮して、少し声が裏返っていた。

 

「すみませんでしたっ!!!!」

 

「「「「えぇーー!!!!(エェーー!)」」」」

 

俺の唐突の謝罪に鳳翔は慌ててオロオロしていたので、俺はすぐに訳を説明した。すると『そうでしたか。なんとなーく予想はしてましたよ。』と言ってくれた。

何という優しさ。これは贔屓ではないが艦載機は鳳翔優先にしようと俺は心に決めた時であった(※明らかに贔屓です)。

 

ーーーーー

 

ーーー

 

 

鳳翔への謝罪の後、軽空母の他の艦娘にも俺の居た世界での印象をしつこく聞かれたので、あれこれと答えた後、俺と金剛はその場を離れていた。

 

「ねぇ、提督ぅー。」

 

「どした?」

 

金剛がまた頬を膨らませている。

 

「電探が欲しいデス。」

 

「はいはい。」

 

俺が軽空母の艦娘の元を離れる時、鳳翔に次の艦載機開発での艦載機は鳳翔に回すというのを訊かれてしまったようで、その時からずっとこの調子だった。

 

「不貞腐れてもまだやらないぞ?」

 

「ブー!」

 

パンパンに頬を膨らませた金剛は、ツカツカと戦艦の艦娘が集まるところに足を向けていた。

 

「そんな顔で姉妹に会うのか?」

 

「これは提督のせいデス!妹たちに怒られるといいデス!」

 

「そうかよ。」

 

金剛はそう言ったが、提督の前を歩く金剛は少し笑っていた。その表情は俺は見ていない。

 





あと少し、あと少しなんです。
これが終わるとその日の進行形で話が書けるようになるんですよ!(迫真)

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