【完結】 艦隊これくしょん 艦娘たちに呼ばれた提督の話   作:しゅーがく

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第百三話  立て直し

横須賀鎮守府では俺の号令で戦闘行動を小期間休止することになった。

遠征艦隊は勿論の事、最低限の動きしか取らない。そして、鎮守府の2つの設備の解体が決まった。滑走路、格納庫が解体される。昨日の大本営での話で総督から命令された事を遂行するためだ。そして、格納庫にある膨大な数の陸上機は解体される運びとなり、アンブッシュイーグルと蒼梟も解体される。

 

「解体作業、滞りなく進んでいます。」

 

そう言って俺に報告してきたのは赤城だ。今日は秘書艦経験のないまたは少ない艦娘に任せる訳にもいかないので、こうして赤城に頼んだのだ。

 

「そうか。」

 

俺は既に終わらせた書類を積み上げた処を視界の隅に居れて、窓から外を眺めた。

着々と進んでいく施設の解体は、そこにあったものが無くなるのでスカッとする反面、不安が押し寄せていた。自分の立てた仮説が正しければ、これらは必要のないもの。戦況を有利に進める為に必要な措置だと頭では理解していたが、本能は警鐘を鳴らしている。海域奪回にかかる時間と資源が増長するのだ。そしてその分艦娘への危険が増す。

 

「急にこのような事を決めて、本当に良かったのですか?富嶽の海上絨毯爆撃は見ていて爽快でした。あんなにも容易く深海棲艦を撃破出来たんですもの。それにジェット戦闘機だってそうです。アレさえあれば鎮守府の守りはより強固になり、ハリネズミです。」

 

そう不安そうに言ってくる赤城に俺は言った。

 

「いいんだ。メリットの割にデメリットが大きすぎた。それにイレギュラーの原因でもあったからな。」

 

そう言って俺はある事を思いついた。

昨日はこちらは戦術を武器にとか言っていたが、深海棲艦も確実に使ってくる可能性が高い。だが、訊いてみれば陽動なんかはいつもどこでも起きていたという。なら使わない手はない。こちらは戦術を武器に戦えばいいんだ。

 

「赤城、霧島を呼べ。」

 

「分かりました。」

 

俺は現状、最もイレギュラーに関して知っている霧島を呼ぶことにした。

これから作戦会議だ。既定の序列や陣形に加えて、戦闘状態によって柔軟に動ける布陣と、システムの抜け穴を見つけるのだ。

 

ーーーーー

 

ーーー

 

 

霧島は分かっていた様な表情をしていた。そして霧島の手には戦術指南書。内容は戦闘海域において取るべき柔軟な対応について。

 

「司令、分かってますよ。」

 

そう言ってきたので俺はお構いなしにホワイトボードを引っ張り出して最初に陣形を考え始めた。

 

「まず、陣形に関してだが。」

 

そう言って俺はペンを手に取り書き始める。左から駆逐艦、軽巡、重巡、戦艦、戦艦、空母の順番だ。

 

「梯形陣を応用する。反航戦・同航戦両方に用いる事を想定しているが、砲撃時、砲門が向く方向から後列から近づいていく。つまり、小型艦から大型艦にかけて相手から近くに見える。これによって最適な砲撃距離から砲撃をする。最も、さっき提示した編成時のみだが。」

 

「ふむ......ですけどこれは深海棲艦に我々の艦種が見分けられない前提の話ですよね?」

 

そう訊いてきた霧島に俺は答えた。

 

「そうか?深海棲艦がどう索敵しているか知らないが、偵察機は必ずいるんだろう?」

 

「はい。ですが、空母が存在する時のみです。」

 

「この陣形は相対する艦隊に空母が見られない時に使うべきだと考える。」

 

そう言って俺は砲撃の向きを書き込んだ。

 

「駆逐艦、軽巡は味方を気にせずに雷撃が可能で大型艦は雷撃を喰らわせれるように釘付けに出来る。それにあっちからみたら本来の大きさと変わって見える筈だ。」

 

そう言って俺は空いているスペースにどう見えるかという予測図を書いた。

 

「確かに......本当にこう見えているなら深海棲艦がどこに砲撃を集中すればいいか分からなくなりますね。」

 

そう霧島が答えたので俺はペンを置いた。順番にやっていくつもりだからだ。ちなみに取りあえず、書いた内容を赤城にメモを取って貰っている。

 

「私が提案するのは、遠征艦隊との併用です。

 

そう言って霧島は口頭で説明しだした。

 

「普通海域では6隻が限度で偶に連合艦隊を組んで出撃する場合がありますが、その時に遠征艦隊を『支援艦隊』としてその海域に派遣、本隊の分隊として攻撃に参加させます。幸い、システム上、奪回が完了していない遠征地への派遣が可能です。なのでそれを逆手に取ります。資源を回収する艦隊を攻撃特化装備に換装し、『わざと』戦闘海域に入らせます。戦闘海域に入った遠征艦隊は『システム上』戦闘は避けられないので戦闘に参加することができます。ですので普通海域、連合艦隊を要する海域共に事実上上限24隻の艦隊で攻撃を加える事が可能なのではないかと考えます。」

 

そう言った霧島はメガネを上げた。

 

「あくまでこれは予測ですので、イレギュラーを引き起こす可能性がありますので、一度、新戦術運用の試験を行うことを望みます。」

 

そう言い切った霧島に俺は訊いた。

 

「それは所謂本当の『支援艦隊』か?」

 

「そうです。あくまで『本隊』の『支援』ですので、システムを逆手にとれるかと......。」

 

そう言って霧島はペンを手に取った。

 

「ですので『支援攻撃』の現在確認できている種類を説明します。」

 

霧島はホワイトボードに『航空支援』、『支援砲撃』、『長距離支援雷撃』と書いた。

 

「これだけの支援が現在使われています。ですので、システムを逸脱しないための攻撃方法を考えなくてはなりません。」

 

霧島はホワイトボードに丸を3つ書いてそれぞれ、目標、本隊、支隊と書いた。

 

「本隊と支隊が離れていなければならない前提条件があります。ですので本隊と支隊は入り混じった混成艦隊を組むことが出来ません。」

 

そして霧島は溜息を吐いて言った。

 

「ですが欠点があります。......システムの逸脱を避ける為に一回の出撃に支援艦隊は1艦隊しか支援できません。そして支援を行った艦隊は一度本隊が撤退するまでは支援をすることができません。ですので一回の遭遇戦では事実上、12隻か18隻でしか攻撃できません。」

 

「そうか......。ここまで聞く限り、システムから出てはいないが、試さなくてはいけないな。」

 

「はい。」

 

そう言って霧島がさっき座っていたところに座ったので俺は立ち上がってホワイトボードの前に立った。

 

「これまで陸上機に関してのみイレギュラーが確認されたが、俺は艦載機にイレギュラーが存在しないのではと考えた。」

 

そう言って俺は呼吸を整えた。

 

「そう考えたのは、深海棲艦の高高度迎撃機によって富嶽の編隊が攻撃を食らったことだ。こちらのイレギュラー発生以前からシステムに組み込まれていた『震電改』は高高度迎撃機だ。だから相手側に居てもおかしくない。そう考えると、艦載機に関してはあらゆる手段が取れると考えた。」

 

そう言って名前を書きだしていった。

 

「現在、艦隊で運用できる艦載機の名前や役割を書き出す。」

 

俺は書き出していった。艦戦は『九六式艦戦』、『零式艦戦21型』、『零式艦戦52型』、『零式艦戦62型』、『零式艦戦53型』、『烈風』、『烈風改』、『震電改』、『Bf109T改』、『Fw190T改』。艦爆は『九九式艦爆』、『彗星』、『彗星一二型甲』、『試製南山』、『Ju87C改』、『零式艦戦62型(爆戦)』。艦攻は『九七式艦攻』、『天山』、『天山一二型』、『流星』、『流星改』。偵察機は『二式艦上偵察機』、『彩雲』、『試製景雲(艦偵型)』。

 

「これらの艦載機の用途はそれぞれ決まっている。だが、ここに『雷電改』が加わったな。」

 

そう言って艦戦のところに雷電改を書き込んだ。

 

「赤城。」

 

「はい。」

 

俺は唐突に赤城に声を掛けた。一生懸命、書記をしているところに悪かったと少し反省した。

 

「赤城は雷電改が配備されてから、相手艦載機に違和感を感じたか?」

 

そう訊くと赤城は即答した。

 

「ないです。」

 

俺はそれを確認すると、ホワイトボードに書き足した。

 

「雷電改、元は雷電三二型と言って海軍が開発した局地戦闘機に着艦フックが付いただけの代物だ。だから試験運用として海軍が当時開発した局地戦闘機を手に入れる。」

 

そう言って俺はホワイトボードを叩いた。

 

「海軍が当時開発していた局地戦闘機の資料を収集、局地戦闘機を作れるものを来るぞ。」

 

そう言って今日の霧島との話し合いというか意見の交換は終わった。

 

ーーーーー

 

ーーー

 

 

俺は霧島との意見交換の後、赤城と共に資料室に調べ物で来ていた。

ここには海軍に関する資料や、海上自衛隊時代の書籍なんかもおいてあり、たまに掘り出し物があるらしい。ちなみにこの情報源は夕立だ。

俺はそんな資料室である本を探していた、零式艦戦などが活躍していた時代に海軍で開発されていた航空機のリサーチだ。

現在見つけたのは1つだけだが、まだあるはずだ。そう信じて俺は探していた。そんな時、赤城が一際驚いたこえを挙げて取り乱した状態で俺に声を掛けた。

 

「てっ、提督っ!これっ!!」

 

そう言って俺に見せてきたものは、小さく、早く、そしてこの時代に生まれてきた事を後悔しただろう航空機だ。いや、航空機と言っていいのか分からないものだが、これについての資料が残っていたのだ。

これを改装すれば使える、そう確信した。

 




いやーラストはじらしてみましたよww
明日に続きます。ちなみにこれを書いてるときはニヤニヤが止まりませんでした。

霧島と提督の話し合いですが、不満がございましたらお気楽に申してください。自分の考えたものですが、まぁ......はい。

ご意見ご感想お待ちしてます。

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