椿の花の色~あなたは私の胸の中で炎のように輝く~ 作:桜華惨禍
本当に申し訳ないです……
あれから執務室に呼び出され、作戦の説明と他のメンバーの顔合わせを終えた。
作戦の日は明日、全員体調と調子を整えておくとのことだ。
だが、本当に今回の作戦自分で良かったのだろうか
もっと、適任が居ると思うのだが……。
否、選ばれたのだからきっちり使命を果たすべきだ。
今回の作戦が成功するように頑張ろう!
まずは、今回のメンバーの元へ挨拶しに行こう!
∽ ∽ ∽
~山城の場合~
彼女が山城さんかぁ。
とても美人さんだなぁ。
戦艦であり、水上爆撃機を搭載することができる航空戦艦という特殊な戦艦。
そんなすごい人なのだが……
「明日の作戦はよろしくお願いするにゃしぃ。山城さん」
「欠陥戦艦……」
「え?」
「艦隊にいる方が珍しい……」
「 」
「くじ運がゼロな私がよりにもよって作戦に参加する事になるなんて不幸だわ……。作戦の日は姉様とお茶する予定だったのに……。不幸だわ……」
どんよりとした負のオーラが見える……。
「えっと、よろしくお願いします……」
「頼りにならないと思うけど作戦の日はよろしく。嗚呼、不幸だわ」
「えっと、他の人にも挨拶するのでここら辺で」
「えぇ、さよなら」
俺は急ぎ足でその場を去った。
戦艦なのだからもっと胸を張ってれば良いのに……。
まぁ、こういうのは人には人の事情があるしね。
仕方がない。
∽ ∽ ∽
~龍驤の場合~
彼女が軽空母龍驤さんかぁ……
「明日の作戦はよろしくお願いするにゃしぃ。龍驤さん」
「へぇ、君が噂の新人かい。挨拶しにくるなんてしっかりしとるなぁ~。ま、明日はよろしゅうな」
「はい! よろしくお願いするにゃしぃ!」
龍驤さんって、俺と言うか睦月ちゃんに声が似てるなぁ~。
後、サイズも似てるねぇ。
何処が似てるとは、言わないけどけど
「君、今うちに対して失礼なこと考えたやろ?」
「えっ、え、そんなことないのね!」
「ふーん、ならええんやけどなぁ?」
「つ、次の人にも挨拶しなくちゃならないから、ここら辺で失礼します!」
「ま、今日のとこは見逃したるわ。次はないで?」
「失礼しましたーー!」
やっべぇ、あの人エスパーかよ。
俺は余りの龍驤さんの恐怖(目が何一つ笑っていなかった)し、嫌な汗が止まらなかった。
あれは、本気の目だ……
本気と書いて、マジと読む、そんな目だった。
久しぶりに本気の恐怖を味わった。
龍驤さんマジ怖い
∽ ∽ ∽
えーと、最後は那珂さんかぁ~。
けど、本人は那珂ちゃんて呼んでっていってたけど那珂ちゃんと呼ぶべきか……。
流石に歳上の人をちゃん呼びするのもどうかなぁ……。
なら、那珂ちゃんさん?
これもどうだろうか……。
とりあえず、那珂さんと呼ぶことにしよう。
そうしよう。
「明日はよろしくお願いするにゃしぃ。那珂さん」
「もー! 那珂ちゃんて呼んでって言ったよね!」
「流石に歳上の人をちゃん呼びするのはどうかなーって思ったのね……」
「那珂ちゃんはアイドルなんだから、親愛を込めて那珂ちゃんって呼んで欲しいの!」
「は、はい、次からは那珂ちゃんて呼ぶのね」
「うんうん、わかってくれたら良いんだよ~。明日はよろしくね睦月ちゃん♪」
「はい! 精一杯頑張ります!」
「うん、明日を楽しみにまってるね♪」
こうして那珂ちゃんと何事も問題なく挨拶を済ました。
それにしても濃いメンバーだなぁ……。
∽ ∽ ∽
さて、今俺は何処に居るでしょーか?
正解は~。なんと!
「ゴーヤの魚雷はお利口さんでち」
criticalhit!
「ふえぇぇぇ……」
演習所でゴーヤさんにフルボッコにされてたでした~。
「睦月ちゃん……。これで、百戦百勝零敗でち……」
明日の作戦の為に、ゴーヤさんに相手しても貰ってるのだが……。
結果が乏しい……。
少しずつ避けるのは出来るようになってきたんだけど……。
依然、このざまだ。
潜水艦を相手にするのは俺には無理だぁ……。
「睦月ちゃん、一回休むでち。これ以上は、オーバワークでち」
「そうさせて貰うのね……」
演習所のプールから上がり、大の字で寝転ぶ。
流石に無理しすぎたか……。
「睦月ちゃん、筋は悪くないけど、狙いがまだまだ甘いでち」
と、ゴーやさんから指摘される。
「うぅ、この対潜装備に中々慣れないにゃ……」
「まぁ、努力あるのみでち」
その後、五十回程相手して貰ったが成果は相変わらず乏しかったと記しておく。
∽ ∽ ∽
ゴーヤさんに、絞られ、ふらふらになりながらもゴーヤさんに感謝の言葉を言い、おぼつかない足で自分達の部屋に戻ってきた。
そして、俺は部屋で考えていた。
そう、本当に那珂ちゃんを那珂ちゃんと呼んで良いのかと……。(現実逃避)
いやだって、作戦は明日なんだけど、今日は収穫ゼロなんだよ?
こんな、俺にどうしろと……。
最初の自信はどこえやらと言うやつだ。
部屋の隅っこで、体育座りをして、俺は縮こまっていた。
本当にどうしよう……。
そんな、事を考えながら一日が終わり、作戦が始まった。
∽ ∽ ∽
特別プチ劇場
~姉さんと私~
如月目線
姉さん夕食に来なかったけど部屋で何をしてるのかしら?
明日は作戦なのに……。
私は早めに夕食を済ませ、部屋に戻った。
すると、姉さんが部屋の隅で丸くなっていた。
「もう、姉さんなんで今日、夕食に来なかったですか! 明日は姉さんにとって重要な作戦なんですよ!」
「ねえ、如月ちゃん」
弱々しい声で姉さんが尋ねてくる
「なんですか?」
「那珂さんって那珂ちゃんって呼んで良いの? 那珂さんって呼んだ方が良くない? それとも那珂ちゃんさんって呼んだ方が良いの?」
「姉さん?」
「那珂さんが那珂ちゃんで那珂ちゃんが那珂さんで那珂ちゃんさんが那珂ちゃんさんで那珂ちゃんが那珂ちゃんで那珂さんが那珂さんで龍驤さんが駆逐艦ボディで……」
「ね、姉さん?」
「那珂那珂那珂那珂那珂那珂那珂那珂那珂那珂那珂那珂那珂那珂那珂那珂那珂那珂那珂那珂那珂那珂那珂……」
「姉さん一緒に寝ましょう! 今すぐに!」
「うん……」
明日大丈夫かしら……。
私は不安で胸が一杯になった。
次の話はなるべく早く書けるよう心掛けたいと思います。
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