椿の花の色~あなたは私の胸の中で炎のように輝く~   作:桜華惨禍

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十五話です
遅れて済みませんでした
進路関係やバイトなどで忙しかったので……(さらに頭痛がしょっちゅう襲いかかってきて執筆が辛くて)
こんな作者でも最後までお付きあいしてくらたら嬉しいです


第十五出撃 ──理由

作戦当日の朝

 

俺は緊張感で体の震えが止まらない

なるほどこれが武者震いというやつなのか

 

……くよくよ考えたら本格的な実戦はこれが初めてなんだよな……

 

遠征中に敵の駆逐艦を相手にしたことがあるがそれ以上は相手をしたことがない

 

……まぁ、戦艦クラスなら逃亡劇をしたが実戦経験にはならないよなぁ

 

心の整理をしよう

 

変な方向に考えてミスって大破なんてしたら皆に迷惑になる

 

取り合えず心を無にしよう

 

無、無、無、無、無………………

 

 

いや、無ってなんだよ?(うごごご……

 

 

取り合えずkoolにならないとな

 

あほkoolじゃなくてcoolだろうが

 

……らしくないな

 

……足だけは引っ張りたくない……

 

 

 

 

 

 

∽    ∽    ∽

 

 

 

 

「姉さん本当に気を付けて下さいね……」

 

「うん、ちゃんと気を付けるよ如月ちゃん」

 

「睦月おねぇちゃん頑張ってぴょん!」

 

「気を、付けて、下さい」

 

「皆ありがとね。じゃあ行ってくるね」

 

 

……絶対に帰ってくるから……

 

 

∽    ∽    ∽

 

 

 

 

「ヘイ! ニャシー今日はよろしくデース!」

 

「はい! 金剛さんこちらこそよろしくお願いします!」

 

「睦月ちゃん今日は頑張りましょうね」

 

「はい! 榛名さん」

 

「危なくなったら言ってくださいね? 睦月ちゃん」

 

「はい! 分かりました赤城さん」 

 

「睦月ちゃん気を付けて下さいね」

 

「はい! 神通さん」

 

「おう! 気合い入れろよ睦月」

 

「はい! 摩耶さん」

 

とまぁ、挨拶をする

 

……やっぱ俺が足を引っ張りそう……

 

 

 

 

 

∽    ∽     ∽

 

 

 

 

 

 

現在俺達は沖ノ島海域に突入した所だ

 

『作戦司令部より大淀です。今日も宜しくお願いします』

 

「そうですか今のところノープロブレムデース!」

 

『金剛さん赤城さんの艦載機より入電です。敵影発見しました』

 

「オーケー迎え撃つネー」

 

『ご武運を……』

 

「第一次攻撃隊、発艦してください!」

 

 

チュドーン!!!

 

 

赤城さんの艦載機によって敵艦が全滅した……

 

……えー……マジで?

 

「駆逐艦だけだったので簡単に終わりましたね」

 

『敵駆逐艦四隻撃沈確認しました。流石ですね』

 

「ちぇっ出番が無かったぜ」

 

「私の出る暇も無かったですね」

 

「最初から全力で慢心する暇なんて与えません」

 

俺達は順調に沖ノ島海域を進撃した

 

 

 

 

∽    ∽    ∽

 

 

 

『次が沖ノ島の最深部ですね』

 

「道中大変でしたね」

 

大変というか赤城さんがおかしいというべきか

戦艦級を瞬殺っておかしいでしょ!

正規空母って皆あんなにつよいのかなぁ(白目)

 

……いや蒼龍さんは瞬殺してなかったな

 

『赤城さんの艦載機より入電です。敵艦隊戦艦級確認しました。随伴艦に正規空母も確認両者エリートクラスです。っ! 敵の旗艦であるル級はフラグシップクラスです!』

 

「……まともにやり合うのはきついですね」

 

赤城さんの言う通りだな

 

「正面からアタックするのは難しいネー」

 

「……誘い出して一斉掃射というのはどうですか?」

 

神通さんが提案する

 

「誰が誘い出すんだよ」

 

「提案したからには役目は私が引き受けます」

 

……神通さん意見に……

 

「その役目睦月に任せて下さいっ!」

 

「えっ!」

 

驚く神通さん

赤城さんから

 

「……本気ですか睦月ちゃん?」

 

「睦月は本気です!」

 

ただでさえお荷物なのにこれ以上足を引っ張るのは嫌だ

 

「ニャシー流石に危険デース!」

 

「そうだぞ睦月お前がそんな危険な橋を渡る必要はまだねぇよ」

 

「榛名も金剛姉様と同じです」

 

無理をするなと言われているがそれでもっ!

 

「お願いします! 睦月に睦月に任せて下さい!」

 

……譲れない……

 

戦艦をこの手で倒せないのは悔しいが役に立たないのはもっと悔しい

 

俺は深く頭を下げる

 

「ですが睦月ちゃん……」

 

「それでもっ! それでもお願いします神通さん!」

 

困る神通さん

 

「ふぅ、駆逐艦睦月本当に行けますか?」

 

口調を強く変える神通さん

答えは決まっている

 

「絶対に大丈夫です!」

 

生きて帰ると言った

 

だから俺は絶対に帰る!

 

「……睦月ちゃん艦載機で支援できる限りはします」

 

「ニャシー危なくなったらすぐ逃げるネー」

 

「睦月気を付けろよ。それ以上言っても無駄なようだからな」

 

「……睦月ちゃん本当に気を付けて下さいね……」

 

「ここが正念場ですよ睦月」

 

「……はい!」

 

睦月いざ参ります!

 

 

 

 

∽     ∽     ―

 

 

 

敵部隊を確認する

 

「睦月さん大丈夫ですか?」

 

大丈夫だよ妖精さん

 

敵の戦艦級や正規空母が動き始める

 

……怖い、怖い、怖い、怖い、怖い、怖い、怖い、怖い、怖い

 

あの恐怖がフラッシュバックする

 

……だけどっ!

 

ここで引くわけにはいかない

 

──さぁ開幕だ

 

 

 

∽   ∽    ∽

 

 

 

「ふぁっ!」

 

「ふぇぇぇ……」

 

「にゃっ!」

 

次々と弾幕の雨が俺の近くに降り注ぐ

 

チュドーン!!

 

チュドドーン!!

 

俺は今トップギアで逃げている

 

……早く……早くポイントへ!

 

これ以上好き勝手に撃たれるのはキツイ

 

「早く逃げなきゃっ! 危ない!」

 

チュドーン!

 

敵空母による爆撃が近くに落とされる

 

……危ない後少しで当たるとこだった

 

赤城さんが支援してもらっているので敵艦載機の当たりがまだ弱いと思って油断していた

 

そんな中敵の艦載機が倒されている

 

……赤城さん本当にありがとうございます

 

この戦いが終わったら俺の夕食のデザートをあげますね

 

 

チュドーン!!

 

 

またかっ! 

 

面倒臭い……

 

できる限りは俺でも撃ち落としてやる

 

右手に7.7mm機銃を展開する

 

敵艦載機に向けて……

 

喰らえ!!

 

敵艦載機を撃ち落とす

 

……十機命中

 

よし! 命中!

 

達成感に浸っていると……

 

「睦月さん!」

 

チュドーン!!!

 

敵戦艦の砲撃が近くに落ちる

 

ヤバイヤバイ!!

 

狙おうとして逃げが疎かになった

 

「気を付けて下さい!」

 

「ごめんね妖精さん」

 

後一歩で海の底だった

 

さて……

 

俺の目からでも確認出来る位置に皆がいる

 

よし! 後少し!

 

 

 

∽   ∽   ∽

 

 

 

ここだ……

 

俺は敵艦隊の方に振り返る

 

敵は足を止め俺の方へ標準を定めようとしていると……

 

「全砲門ファイヤー!!」

 

「榛名、いざ全力で!!」

 

「第二次攻撃隊、発艦してください!」

 

「ぶっ殺されてぇか!!」

 

「砲雷撃戦…開始します!」

 

 

チュドドドーン!!!!

 

 

全員の放った砲撃と魚雷が敵艦隊に襲いかかる

 

「クッ! タイハンガヤラレタカ」

 

「ヲ!」

 

敵艦隊で残っているのは空母と旗艦の戦艦か……

 

……辺りが暗くなり始める

 

つまり……

 

 

「夜戦だー!!」

 

駆逐艦でも大物殺しが出来る時間が来た

 

 

 

∽     ∽     ∽

 

 

 

「探照灯照射…突撃します、私に続いて!」

 

神通さんが照明灯をつける

 

おお! 明るくなった!

 

「……睦月お疲れ様です。気を引き締めて残りを倒しますよ……」

 

「……はい!」

 

「私の出番ネー!」

 

「夜戦でも榛名は全力で!」

 

「さぁてと……残りをぶっ倒しますかねぇ」

 

「ニゲルゾ!」

 

「ヲ」

 

敵艦隊が逃走を計る

 

だが……

 

「全砲門ファイヤー!」

 

「勝手は、榛名が、許しません!」

 

チュドドーン!!

 

戦艦二人による一撃が空母に襲いかかる

 

「ヲ……」

 

「ヲキュウ! オノレェ……」

 

敵戦艦が此方に向けて砲撃を放つ

 

チュドーン!

 

「ふっ!」

 

軽く動いて避ける

 

当たらなければどうということはない!

 

駆逐艦の長所の一つそれは……

 

「速さ!」

 

砲撃を乱発する戦艦に向けて距離を詰める

 

……お前には速さが足りない……

 

夕張さんとのデスマッチ( )によって鍛えられた俺の目には止まって見える

 

沢山いたら避けるのは無理だが一体ならばどうと言うことはないが……

 

……こちらからの決め手に欠ける……

 

隙を見て単装砲を撃ち込むがあまり効いていない

 

追い付いた神通さん達も攻撃に参加するがこれといった一撃がル級に通らない

 

「アッハハハ!! キクカソンナコウゲキ!」

 

「くっ……」

 

「強い……ですね」

 

「ちっ、めんどくせぇ」

 

「雷撃で片をつけましょう」

 

神通さんと摩耶が雷撃を放つ体制に入る

 

……俺は魚雷を装備してないから投げるしかないんだよね……

 

たがそれをル級は許さなかった

 

「ヲキュウノカタキダーー!!」

 

ズドーン!!

 

「にゃっ!」

 

「きゃ!」

 

「うぉ!」

 

……ル級の激しい攻撃で雷撃を放つ体制に入れない……

 

……どうすりゃいいんだ……

 

金剛さん達も赤城さんを護衛しながら遠くから砲撃をするが被害がほとんど受けてないル級は簡単に避ける

 

「シット! 当たって欲しいデース」

 

「強いですね……」

 

「……艦載機さえ飛ばせれば……」

 

……フラグシップクラス……

 

ここまで強いなんて……

 

思考回路を無理矢理にでも回す

 

どうすりゃいい? 彼奴をぶっ倒すにはどうすれば……

 

あの砲撃をなんとかしながら至近距離で砲撃を当てる方法を……

 

……一つ方法が浮かんだ

だけどこの方法は……

 

ズドーン!!

 

「きゃっ!」

 

戦艦の砲撃が後方の赤城さんに命中する

 

「アカギー大丈夫ですカー!」

 

「赤城さん!」

 

護衛していた戦艦二人が側による

 

……これで戦艦二人が此方にこれない

 

……敵ながら考えたものだ

 

……空母は夜戦に参加出来ない

 

……此方もそれを狙って空母を沈めたが同じ方法をとるとは……

 

……そして、艦隊全体に動揺を誘う……

 

……人というのは怒ると一周回って冷静になるもんだな……

 

摩耶さんも神通さんも焦るが俺だけは心が冷めていた

 

思考がビキビキと凍りつく

 

……アイツヲドウシテヤロウカ?

 

気づいたときには全力で前に走っていた

 

「睦月ちゃん!」

 

「おい! 睦月」

 

摩耶さんも神通さんも呼び止めるがそんなものもう関係ない

 

……今俺のするべきことは

 

……アイツヲシズメテヤルコトダケダ……

 

……睦月ちゃんを奪い更に赤城さんまで奪うつもりなのか?

 

……■す■す■す■す■す■す■す■す■す■す■す■す■す■す……

 

………………俺が殺してやる……

 

「……オロカナカンムスマンマトヒッカカルトハ……」

 

「…………どっちが愚かか教えてやるよ?」

 

ズドーン!!

 

戦艦の主砲が俺に襲いかかる

 

 

 

 

 

 

∽    ∽    ∽

 

 

 

 

 

睦月ちゃんが目の前で戦艦の主砲に……

 

 

「睦月!」

 

摩耶さんが睦月ちゃんの名前を叫ぶ

 

……睦月ちゃん

 

……お願い無事でいて……

 

「ニャシー!」

 

「睦月ちゃん!」

 

「……睦月ちゃん」

 

後方の三人も名前を叫ぶ

 

勝手な行動をした睦月ちゃんも確かに悪いですが止められなかった私達はもっと悪い

 

……赦せません

 

深海棲艦向けて言ったわけでも在りません

 

一瞬でも冷静な判断が出来なかった自分への言葉です

 

だから私の成すべきことは決まりました

 

──この命にかえても戦艦を倒す

 

……睦月ちゃんの為に

 

軽巡神通いざ参り「てぇぇぇ~い!」

 

嘘! この声は!

 

 

 

∽    ∽    ∽

 

 

 

ハッ! 見たか? ル級

 

夕張さんから一撃を当てた俺の奇策

 

魚雷の爆発で空からの強襲

 

俺は主砲が放たれた瞬間に自分の足元に魚雷を投げて単装砲で撃ち抜く

 

如月ちゃんと一緒にやったのは夕張さんの目を欺くため

 

……別に一人でもできるんだぜ?

 

「ハッ! ヨリネライヤスクナッタナ」

 

ズドーン!!

 

俺に再び主砲が襲いかかる……が

 

「想定済みだコノヤロー!」

 

話は変わるが艦娘の服というのは深海棲艦の攻撃を一部代わりに吸収してくれる優れものだ

 

……つまり

 

「ナッ!?」

 

俺は上半身下着一枚になって上着を弾除けに使ったのだ

 

驚いたル級は完全に硬直する

 

さぁ、神に祈りは済んだか?

 

俺は自然落下の結果ル級に逆肩車みたいな形で着地する

 

「さぁ、この距離でてめぇは自慢の主砲はぶっぱなせるか?」

 

「キーサーマー!!」

 

それでも主砲を放とうとするが

 

「……さようなら」

 

俺は単装砲を零距離でル級の顔面にぶっぱなす

 

何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も……

 

装填しては繰り返す

 

力尽きたル級は後ろに倒れる

 

俺は上手いこと水の上に立ちル級に向けて

 

「睦月の勝ちだ」

 

顔を失ったル級の亡骸は海の底へ沈んで行く

 

……勝った

 

 

 

 

 

∽    ∽    ∽

 

 

 

 

「さて、何か言うことはありますか?」

 

……はい、絶賛神通さんから説教です

 

勝手な行動をした

皆を不安にさせた

言いつけを守らなかった俺への説教だ

 

「ごめんなさい!」

 

滅茶区茶頭を深く下げる

ほんとにマジでごめんなさい

 

ぎゅっと抱き締められる

 

赤城さんからだ

 

「心配したんですよ?」

 

「……ごめんなさい」

 

「もう! 赤城さん今は私が……」

 

「まあまあ、ジンツークールダウンネ。ニャシーが無事でなによりデース!」

 

「金剛姉様の言う通りです。睦月ちゃん無事でなによりです!」

 

「まぁ、神通の言いたいことは分かるがそう言うのは全部鎮守府に帰ってからにしようぜ?」

 

「……はぁ、私の味方は居ないんですね……」

 

赤城さんの抱き締めから抜けて神通さんに

 

「神通さんごめんなさい……」

 

深く頭を下げる

本当にごめんなさい……

 

「……反省してるなら構いませんが」

 

神通さんに優しく抱き締められ

 

「……私も心配したんですよ?」

 

「みん、な、ごめ、なさい」

 

俺は皆の優しさに泣いてしまった

 

……ごめんなさい……

 

……ありがとう……

 

こんなにも優しくしてくれて

 

 

 

 

∽   ∽    ∽

 

 

 

鎮守府に帰投したら入り口で……

 

「姉さん!」

 

「おねぇちゃん!」

 

「睦月!」

 

姉妹三人から強烈な抱き締めを喰らいました

 

「もう! そんな格好になるまで無茶をしたんでょう!」

 

「おねぇちゃん! うーちゃんはうーちゃんは……」

 

「睦月は、あまり、無理を、しないでっ!」

 

皆から其々言葉を掛けられる

 

……皆

 

俺は三人を強く抱き締める

 

「大丈夫睦月は絶対に帰ってくるから……」

 

強く強く抱き締める

……この温もりを忘れないように

 

「あたり、まえです!」

 

「絶対だぴょん!」

 

「当然、です!」

 

結局四人で泣き始めてしまった

 

……ごめんね心配させて

 

……ごめんね嘘ついて

 

俺は本当は睦月ちゃんじゃないんだ……

 

だけど

 

俺は皆を守るから

 

姉妹を赤城さんも金剛さんも神通さんも……

 

……この鎮守府の皆を……

 

だから俺は戦おう

 

──皆の為に

 

 

──誰も失いたくはない

 

 

 

∽     ∽     ∽

 

 

 

 

 

────沢山の人と知り合った

 

 

 

────彼はいや今は彼女は

 

 

 

 

────戦う本当の理由を見つけたようだ

 

 

 

 

 

第一章 理由     ~終幕~




一章終了です
チマチマ書いたもので頭痛に襲われながら書いた所もあるのでおかしいところがあるかもです……(できる限りは見直しましたが)
誤字や脱字おかしいところがあれば報告お願いします


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