魔法少女?リリカルなのはDiabolical Modified 〜魔改造された彼女たちの運命〜 作:アリヤ
私もなのはファンではあるのですけど、これが最低限度だった……
実はこれを書いているとき、最初の文章はもっと悲惨な目に合っていました。
さすがにこれはないだろうと思い、何度も繰り返すほど修正を繰り返して、今投稿した内容が最低限度となったという感じです……
最初書いているときはびっくりした。自分で自分を引いたぐらいだもん。
とにかく、なんとかここまでに抑えてましたので、さすがにこれ以上書き換えろというのはもう無理です…… 久しぶりに執筆するだけでこんなにも疲れたわ……
それではどうぞ……
「そのまえに、これから話すことは月村さん――いや、すずかちゃんの中だけにしてくれるかな? あまり人に話したくない事だから――」
「なのはちゃんがそう言うのならば分かったよ。この事は誰にも言わないから――」
なのはが誘拐された過去の事を話す前に、すずかに約束をさせたかった。他人に話してしまったら、なにかと面倒な事となり、同情や気味が悪いような目で見られそうな気がしたからだ。
もう一つ言えば、そのような事を公にしてしまえば、今まで以上に自分の身の回りの危険がさらに迫ってくるとなのはは考えていた。それを回避するためにも、なるべく他人に話すべきではないと思ったのだ。
「それじゃあ、誘拐された日の最初から話すね……」
そしてなのはは、誘拐されてから家に帰ってくるまでの出来事をすずかに話し始めた――
「まず、私が誘拐されたときなんだけど、最初はなんも理解できていなかった。誘拐されたことも、目が覚めたらどこに居るのかもすらも分からなかった」
目を覚ました時には誘拐され、簡易ベッドだけがある真っ白な部屋に眠らされていたなのはは、ここがどこなのかも、どうしてこんなところに居るのかも分からなかった。
気絶していたことによって、誘拐される前に恭也と一緒に逃げていたことも何故か忘れており、この時の何が分からないでいた。
「そのあと、部屋の中に一人の女性が入ってくるのだけど、もちろん私は最初警戒した。突然、身知らずの人が目の前に現れたからね。しかし彼女は私の警戒を解こうとして、私に優しく掛けてきたの。もちろん私も、そんな優しさで話しかけられたために警戒を解いてしまった」
「……なんか、そこまで悪そうな人に見えないのだけど?」
「ここまでわね。話しを聞いていれば分かるよ」
実際、誰が見ても悪そうな人には見えないだろう。だが、このなのはを誘拐した件についてはこの後が悲惨で最悪な出来事だった。
「それから一ヶ月間くらい、私は特に何もせずにその女性と一緒に食事したり、おしゃべりしたりすることもあった。今思うとこれは、私の警戒をさせないためにも一ヶ月も時間を掛けたと言ってもいいのかもしれない」
「どういうこと?」
「誘拐されてから一ヶ月くらい経った後、その女性は私を連れてある所へ連れて行かれるの。私はその女性に信用していたし、何も疑わずについて行った。その後、何が起こるのかも知らずに――」
「何が……行われたの?」
すずかの問いにすぐに答えようとするが、なのははその先の言葉が出てこなかった。さすがにこれより先の事は思い出したくも無く、口に出すことがすぐにできなかった。
どうにかして出そうと思うのだけど、声が出せなくなったかのように突然声が出せないような感じに陥った。
「大丈夫。ゆっくりでいいから、落ち着いてね…… 無理そうだったらこれ以上は聞かないから……」
「……うん、ありがとう」
すずかもその事にすぐに気づき、すぐになのはを冷静にさせて落ち着かせようとさせる。それを聞いたなのははすずかがここまで優しいとは思わず、甘えてしまいそうになってしまうが、それでも話そうと決意したのだから意を決して話し続けた。
「……連れて行かれた場所は、中央に培養器があり、私はその中に入れられたの。私が心を開いていた女性に大丈夫だと何度も言われて、私はそれを信用していた……培養器の中で実験が行われるまでは――」
「どんな、実験だったの?」
「それは私にも分かってないの。聞いたけど答えてくれなかったし、その時にはもうその女性すら私は信用していなかったからね……」
その言葉に続けて、なのはは実験で受けた苦痛について話し始めた。
「実験が始まった直後、私の体からあちこち激痛が走ったの。その時培養器に液体が入っていたから、声が出せず暴れることしかできなかった。痛いと訴えているのにも関わらず、向こうは止めず、私が暴れても計算の内だと思っていたようだった。その時の私は分からないでいたけど」
「ひどい……」
「こんなのはまだ序の口だよ……もっと酷いのはこれから」
そう――こんなのまだ序の口に過ぎない。最初の頃は暴れていたりしたのだけど、数ヶ月と過ぎていくうちになのははその激痛に慣れてしまったのだから――
「その実験が終わった後、私は培養器から出されて、すぐにその場に倒れた。それを支えるかのようにその女性が近づいたの。正直言えば、この時に気絶しておけば良かったと今思うけどね」
「……どういうこと?」
「実験が終わった直後、その女性が私に向ける視線は変わっていた。まるで――私を唯の実験道具としか見ていなかったのだと視線で言われたようなものだった。それを見てようやく私は悟った――どうして私にやさしく声を掛けた理由を知った時、私の警戒を解く為だったのだと」
なのはは知らないが、どうして一ヶ月も時間を掛けたのかというのは警戒を解く為だけじゃなかった。なのはとその女性の立場を知らせるために、一ヶ月かけたのだ。優しくして、それから立場を知らせることで、なのはが逆らえないようにしたかったのだ。
別に一ヶ月も掛ける必要がなさそうに見えるが、何もせずに実験をすれば、暴れて逃げる可能性だって考えられた。しかし、優しかった一面から表情を変えて自分が実験道具だと認識させれば、裏切られたたという気持ちと視線での威圧で逆らえないようにしたかったということだ。信頼していたからこそ、裏切られたときのショックが大きい――そこを漬け込んだ考えだった。
「そのあとの私は、ただ従うだけの人形に近かった。最初の頃は抵抗したけども、何度も繰り返している間に私は逆らえなくなった。酷いのは……ここから先なんだけどね」
「え? これよりもひどい事って?」
「激痛に関しては慣れれば何とか耐えられる事だった。だけど――他人を殺す事だけはどうしても耐えられなかった」
激痛は自分だけが耐えれば何とかなるだろう。しかし、人を殺めることだけはなのはにとって苦痛で仕方なかった。
「他人を殺さなければ、私が殺される。殺す相手は全員私を殺す気でいて、最初の頃は止めるように説得をしていた。けれど結局叶わず、仕方なく私は他人を殺すしかなかった」
「なのはちゃん……」
「心が痛かった。痛くて痛くて痛くて痛くて、耐えられなかった。涙だって出そうになった。唯殺すだけならここまで心が痛まなかった。だって――私の力なら人を生き返す事もできるのにもかかわらず、それすらさせてくれなかったのだからっ!!」
いつの間にか、なのはの目には涙があふれていた。思い出すだけで心が痛み、とてつもなく苦しくなっていた。
すずかは、なのはがさにげなく言った事に気になり、ついその事を聞いてしまう。
「人を……生き返す事が出来る?」
「私の異能力は七つの悪魔と生まれながら契約した異能力なの。その中の一つ、ルシファーの力は人を生き返す事だって簡単に出来る。生き返す代わりに私がそれに担う激痛を負うだけだから……だけど、奴らはそれすら一度しか許してもらう事が出来なかったっ!!」
生き返す事が出来るというのに、目の前で死ぬ光景を見てしまえば、それほど悔しいものはなかった。なのはは自分が殺したくないのにも関わらず、殺さないと自分が殺されるという運命だから、生き残るために殺し、生き返す事もさせてくれないほどなのはにとって辛いものはなかった。
「そして私は、そんな苦痛に耐えられなくて――隙を見つけて逃げ出した。すぐに気づかれるのだけど、未来を見てなんとか逃げることが出来た。家に着いたときはホッとしたけども、また迷惑を掛けるかもしれないと思った」
「けど、結局今日まで何もないのじゃないの?」
「それは多分、お兄ちゃんとすずかちゃんのお姉ちゃんの関係のおかげだと思う。盗み聞きしたわけじゃないけど、すずかちゃんも狙われていた時期があったんでしょ?」
それを聞いて、すずかは理解した。高町家だけではそこまで問題にならないかもしれないが、背後に大富豪の月村家の存在があれば容易く動けないだろう。誘拐される前と後の違いは恭也と、すずかの姉――月村忍の関係が関わっていたのだ。
誘拐される以前では恭也と忍はまだ付き合っていなかった。唯の仲が良い友達で、なのはが誘拐された後、恭弥はとてつもなく落ち込んでいた。恭也から見れば、自分のせいでなのはが誘拐されてしまったのに近かったからだ。そんな落ち込んでいるのに励ましたのが忍であり、おかげで元気を取り戻すことが出来た。それから数ヶ月して恭也と忍が付き合う事となり、なのはが戻ってくるころには月村家の存在があったために何も手を出せなくなったという事だ。
もしこれが忍ではなかったら、なのはの運命は変わっていただろう。この学校にだって通ってられることって出来なかっただろう。それほどまでに月村家の権力は裏が動けないほどに強いのだ。
「とまぁ、こんな感じかな。簡単に話したけど、こんな感じで良いよね?」
「うん……話してくれてありがとう」
「私も、誰かにこれを話したおかげですっきりしたから。さて、そろそろ戻ろうか」
「もう大丈夫なの?」
「大丈夫だよ。それに、さっき私をかばってくれたバニングスさんにもお礼を言わないとね。じゃあ、行こうか」
そしてなのはは、すずかに向けて笑顔を向けた。こんなにも笑顔を見せたのは何年振りだろうかと、なのはは心の中で思ってしまったが、久しぶりにこんなに心が落ち着いて気楽だと思ったことはなかった。
なのははそのまますずかの腕を取り、自分達の教室へと戻るのだった――
次回から無印に入るかも。
アリサは書くとしても数行で終わりそうですので、このまま二年飛ばしてもいいかなって。