魔法少女?リリカルなのはDiabolical Modified 〜魔改造された彼女たちの運命〜   作:アリヤ

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前回のまえがきにも追記で付け足したのですが、あまりにも話が長くなりそうなのでプロローグ中編、プロローグ後編はそれぞれ第一話、第二話へと変更させてもらいました。

日に日に書きたい内容が増えてきて、結局プロローグ前編、中編、後編だけでは終わらせられないということに……

まぁ、無印に入るまではとりあえず書き続けます。その後は第一作をメインにまた書いていくかもしれませんので



第二話

「あなた達!! 多数で一人の女の子を虐めるのってどういうことなの!!」

「そ、そうだよ!! こんなことして何が楽しいの!!」

 

 なのはが教室の出入り口から様子を見て、一体どういう状況なのかを把握していた。

 自分の机の前で揉めており、自分が虐めを受けている事は自覚はしている事から見て、多分自分の事で揉めているのだろうとなのはは思う。現にそれは正しく、女の子側の二人が言った言葉からだいたい把握することが出来た。

 そう思うと、なのはは溜息を吐きたくなってしまう。自分でも気にしていない事だったというのにも、わざわざ面倒な事を巻き込んでほしいとは思いもしなかった。だがここで出て止めに入ったところでさらに厄介な事になりそうだし、そもそも止めに入るとか自分に合わない事であるために、教室に入るタイミングがなくなってしまったという感じだ。

 それまでどこかで時間を潰しているというのも考えたが、女の子側の言葉を聞いて、やはり話を聞いておこうと思う。少なくても自分に関係する話ではあるし、話しを聞いて置いた方が良いという考えたのだ。

 出入り口なんて隠れるところではないし、今のなのはの姿を見れば誰もが不審に思うだろう。だがなのははその事を気にせずに、様子を窺うのだった。

 

「う、うっせーな!! お前たちには関係ないだろ!!」

「こ、こんな気味悪い奴構って変じゃないか?」

 

 少し言葉に引っかかりながらも、男の子達は反論する。どうして言葉が引か掛かったのかというと、二人の女の子が原因である。

 二人とも、なのはと同じく異能力としては上位者であり、しかも互いに全勝無敗の二人だった。そんな二人に文句を言われたりしまえば、さすがに誰だってどもってしまうだろう。

 異能力による戦いは基本的決闘を申し込むことによって唯一認められている。それ以外での異能力による戦いは認められておらず、校則違反という罰則がつけられる。

 基本的こういう揉め事が起きた場合は、異能力を使用した決闘で決着をつけるのがこの学校のルール、というより揉め事が起きたら決闘というのが裏ルールのようなものなのだが、勝ち目がないのに戦うバカは誰だっていないだろう。負けるとわかっていて決闘を申し込むのも、唯の馬鹿か阿保だということだ。

 そして、男の子たちの言い訳を聞いた片方の女の子――月村すずかが、その言葉を聞いてこめかみから血管が切れた。

 

「……気味悪いですって。どうして彼女がそうなったのか何もわかっていない癖に、よくそんなことを言えたよね?」

「な、なんだよ……」

 

 突然、すずかの周囲の気温が下がったかのように感じられた。それは関係ない生徒たちにも感じられ、なのはにも感じられた。

 うわぁ……と、その隣にたもう一人の少女――アリサ・バニングスもすずかが切れたことに驚き、ついそのような言葉を発していた。アリサはどうしてすずかが切れたのだろうかと思ったけども、多分なのはの事で何か知っているだろうと察したからだ。

 なのはもこの時、すずかが言った言葉に気になった。まるでそれは、自分がどのような目にあっていたのかということを知っているような気がして、どうして自分のことを知っているのだろうかと気になった。だけどこのまま出るわけにもいかず、様子を窺うしかなかった。

 

「……なんも知らないくせに、なのはちゃんがどうしてああなったのか知らないくせに!!」

「ちょ、ちょっと落ち着きなさいよ」

 

 さすがにこのまま話し続けるのはどうかと思ったのか、アリサはすずかを止めに入ったほうがよさそうだと思い、落ち着かせようとさせる。

 現にすずかのせいで男の子たちは怯えており、ほかの生徒も今まで大人しいと思っていたすずかが、まさかこんなにも怒るとは思わなかったので驚いていた。

 

「……なに、向こうの仲間をするの?」

「そうじゃないわよ。周りも驚いているから少しは落ち着きなさいっていうことよ」

「落ち着いてなんかいられるわけないでしょ? だってなのはちゃんは――」

「それ以上は言わないで」

 

 それ以上言われるとまずいとすぐに察したなのはは、すぐに声を出してすずかやアリサたちを教室の出入り口に向けさせた。もちろんそれは教室にいた生徒たちもなのはの声が聞こえた方へと顔を向けた。

 すずかもなのはの姿が見えて怒りが少し治まり、同じくなのはのほうへと向けた。

 なのははそのままアリサとすずかがいるほうへと歩いていき、近づいて行った。

 

「それよりも、そろそろどいてくれるかな? さっきから邪魔で仕方ないんだけど」

「で、でも、なのはちゃんはそれでいいの!? 自分が虐められても!?」

「別に。あと、私の過去を少し知っているなら、こんな事がどうでもいいと思ってしまうぐらい分かると思うけど?」

 

 その言葉に、すずかは言葉が黙ってしまう。なのはがどういう過去を辿ってきたのかを少し知っているために、反論できなかったからだ。

 そんなすずかをまったく気にせずに、なのはは話し続ける。

 

「大体、こんなアホな事に構っている方がバカらしくて、虐めなんて言う人生を勿体ない事に使用しているなんて、可哀想だなと私は思うくらいだし」

「な、なんだと!!」

「事実でしょ。何がそんなに楽しいのかもわからないし、人生をこんな虐めで使う大馬鹿者としか私からしたら思えないの」

 

 なのはの言葉に対し、男の子の一人が逆に切れた。まさか自分たちがそのように思われているとは思わず、咄嗟に言ってしまったのだ。

 だが、なのはは先ほどの言葉を訂正するつもりすらなかった。誘拐されてからの出来事のせいで、虐めという価値観がとてつもなくくだらない事だと思ってしまっているくらいに性格がねじ曲がっていた。

 しかしすずかはその言葉に対して、どうしてそのようなことを言いだしたのかが分からないでいた。それを言うのならば、なのははどうなのかと思ってしまったから。今のなのはも誰とも接しず、唯適当に時間を過ごしているのではないかと。だから、すずかはついこのような事をなのはが聞こえるくらいの声で呟いてしまった――

 

「……それは、なのはちゃんもなんじゃないの?」

「……え?」

 

 まさか、そのように言ってくるとは思いもしてなかったのか、なのははつい素っ気ない返事になってしまった。想定外の事を言われたために、どう返事すればいいのか咄嗟に思い浮かばなかった。

 すずかはそんななのはに気にせずに、続けて話し続ける。

 

「だって、誰も接しずに一人でいることが多いし、家でも何もしないでただ時間を過ごしているだけなんでしょ?」

「……それがなんなの? 別に他人に関係ないことだと思うのだけど?」

「今の言葉、自分に対して言ったんじゃないのかな?」

「っ!?」

 

 平常心を保っていつも通りの返し方でこの場を乗り切ろうと考えたが、他人には言われてほしくなかった言葉を言われてさすがに動揺していた。

 そう――あの時なのはがこの場にいる男の子達に放った言葉は自分にも同じように言っていた。いつまでもこのような人生を送るのは間違っているということをなのはは自覚しているのだけど、それでも改善できないでいたのだ。

 

「ど、どうしてそんな出鱈目を言うの?」

「出鱈目じゃないよ。出鱈目じゃないというのはなのはちゃんだってわかっているでしょ。このままだとなのはちゃんは一生――」

「知った風な口の叩き方しないでよっ!!」

「あ、なのはちゃん!!」

 

 多分すずかには自分がこのまま進めばどうなるのかというのはだいたい分かっているのだろう。なのは自身が一番分かっている事で、それを他人に言われることが一番嫌だった。

 そして丁度タイミングの良い時にチャイムが鳴り響き、それとほぼ同時になのはは荷物を置いて教室の外へ出て行ってしまうのだった――


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