魔法少女?リリカルなのはDiabolical Modified 〜魔改造された彼女たちの運命〜   作:アリヤ

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第二十三話

「フェイト!! 大丈夫かい!!」

 

 次元震を起こした数日後、フェイトはジュエルシードの報告をしに、一度母親がいる移動庭園にいた。

 しかし、ジュエルシードの回収が少ないという事で鞭で叩かれ、それが終えたところでアルフがフェイトに近づいた。意識はあったが、かなりの怪我を負っていて、アルフに抱きかかえられないと動けなかった。

 

「もうやめようよ。あんな奴の為にフェイトが傷つく必要はないよ!!」

「いいの。私が、悪いから」

「だけど、あんなやつらに勝てる見込みなんてない!! 全部集められるとも思えない」

 

 実際アルフの言うとおりだった。異能を持ちながら魔法を使えるなのはやアリサを相手に勝てるわけがなく、なのはに至ってはあんな幼いのに戦闘に慣れているような雰囲気を出し、なのは自身もそのようなことを言っていた。

 このままジュエルシードを集めれば、全部を賭けて勝負することにはなんとなくだろうし、異能をあまり使っていないで互角の戦いを繰り広げている時点で、フェイト達が勝てるという見込みは薄かった。

 

「なんとかしなければ、彼女たちには勝てない」

「けどどうするっていうんだい!! せめて私たちにも異能を持っていれば何とかなるかもしれないけども!!」

「…………」

 

 今更魔法を極めても意味がない。アルフが言った通り、異能を持っていればもう少し互角に戦えたであろうと思ってしまう。しかし、ないものは仕方ないと思うけども、フェイトは内心自分にも異能があればと思ってしまった。

 

「……とにかく一度帰ろう。あの子たちの事は向こうでも考えられる」

「そうだね。行こうかアルフ」

 

 アルフはとにかくこの場所に居たくなかったのか、フェイトはアルフに抱えられながらも、転移魔法で拠点としている家へと戻った――

 

 

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 フェイトが母親に報告した翌日、なのははすずかとアリサと共に学校からの下校途中であったが、その途中でレイジングハートの損傷が完全に回復していた。

 そんな話をしてすぐに、ジュエルシードの反応を感じ取ることとなった。すぐにジュエルシードの反応に気付いたなのはとアリサはすずかにも伝え、反応があった場所へと向かった。

 場所は近くの工場地帯で、木の形をした魔物がすでに暴れまわろうとしていた。偶然にも周囲に人間がいなかったことが幸いだったが、すぐに人が来るかもしれないということで、ユーノが結界を展開させる。そしてなのはがレイジングハートを起動させ、バリアジャケットを着た姿となる。

 それからすぐにフェイトが現れ、木の形をした魔物に魔法の弾丸で攻撃を仕掛けた。しかし、バリアまで張ることができると知り、なのははそれを見てどうするか考えるが、封印するまでのところまでは目的が同じなため、なのははフェイトに向けて話しかける。

 

「フェイトちゃん、今は封印するために協力するでいいかな?」

「っ!? うん、わかった」

 

 なのはが先に来ていたことにはフェイトも気づいていたが、なのはから話しかけられるとは思ってもなくて驚いたが、確かに封印するまでは協力した方がいいとすぐに思い、なのはの案に賛成した。

 木の形をした魔物はなのは達に攻撃を仕掛けてくるが、それぞれ回避し、木の形をした魔物から距離を取った。そして距離から離れても当たるような攻撃である砲撃魔法を、なのはとフェイトは準備してそのまま放った。

 

「ディバイン――バスタっ!!!!」

「サンダー――スマッシャーっ!!!!」

 

 なのはとフェイトの砲撃が木の形をした魔物に当たり、バリアを貫通させてそのまま封印することができた。

 ジュエルシードがなのはとフェイトの間に現れると、今度はすぐにデバイスを近づけることはしなかった。

 

「この前みたいに、ジュエルシードを同時にぶつかったら次元震が起こってしまう」

「次は起こさないためにも少し離れて戦わないとね」

 

 なのはとフェイトはジュエルシードから離れ、その様子をすずかとアリサはジュエルシードが何も起こらないことを祈りながら、様子を見ていた。

 そしてほぼ同時に動きだし、なのはとフェイトが衝突しようとしたその時だった。突然何者かに二人の攻撃を阻止され、なのはのレイジングハートを手で掴み、フェイトのバルディッシュをデバイスによって阻止された。

 

「ストップだ!! ここでの戦闘は危険すぎる!?」

「っ!? だれっ!?」

「時空管理局執務官――クロノ・ハラオウンだ!!」

「じ、時空管理局ですってっ!!」

「詳しい事情を――」

 

 クロノと名乗った人物はなのは達全員に事情を聞こうとするが、なのははその前に別の気配に気づき、レイジングハートをクロノに捕まれていた手から振りほどき、すぐになのはの防御魔法であるプロテクションを気配を感じた方へと展開させる。すると魔法の弾丸がプロテクションに衝突し、とにかく攻撃を防ぎ切った。

 そしてその気配を感じた方へとなのはが向けると、その人物を見て驚いていた。茶髪ではあるが、髪型はアリサの髪型に似てバリアジャケットをきており、その少女はなのはが攻撃を防いだことに微笑んだ。

 

「……へぇ、やっぱり魔法でも対応は早いのね」

「アリスちゃん……どうしてアリスちゃんがここに!?」

 

 そう――彼女はなのはの知り合いであり、研究所からの脱獄を発案した張本人であるアリス・ローウェルだった。

 

「お久しぶりね。なのは」

「アリスちゃん……私と同じで逃げ切れたのね」

「うん、ある人に拾われてね。まさか、なのはまで魔法を使えるとは予想外だったよ」

「ねぇ、他のみんなはどうなったか分かる?」

「…………」

 

 アリスは何も言わなかった。それが何を指しているのか、なのははすぐに理解し、アリスも誰が助かったのかと分かっていないという事だった。

 

「そっか……アリスちゃんも分かってないか」

「ごめん。私も知ってたら教えたかったのだけどね」

「……すまないが、少しいいかな?」

 

 感動の再開のように思えたけども、時空管理局としての仕事があるため、なのはとアリスの会話にフェイトを抑えているクロノが割り込んできた。

 なのはもアリス以外の事を気にせずに話し始めてしまったため、アリスとの会話を一旦止めることにし、クロノの言葉を待った。

 

「アリス……」

「アリス・ローウェルよ」

「アリス・ローウェル。どうして僕らに向けて攻撃を仕掛けた? 場合によっては君に事情聴取を取る必要がある」

「あぁ、そのこと? なのはが反応するかというのもあったりするけども、一番の理由としてはそこのジュエルシードを手に入れるためよ」

「なっ!?」

 

 なのはの反応を見るためだけに魔法を使ったのだろうと推測していたなのはは、正直アリスの言葉に驚いていた。確かに突然現れたことには驚いたけども、それはアリスも魔法を使っていることからして、この前の次元震による原因だと思ったからで、まさかジュエルシードを集めるために現れたとは思いもしなかった。しかしジュエルシードの為ならば、すでに私かフェイトと遭遇していないと疑問に思えた。

 とにかく、アリスがどうしてジュエルシードを集めているのかについて気になったなのはは、そのことについて聞き出すことにした。

 

「……アリスちゃん、どうしてジュエルシードを?」

「魔法を使っている時点で大体察してもらえると良いかな。まぁ、言ってしまえば私を助けてくれた方がジュエルシードを欲しがっているのよ」

「あれは危険な物だ。この子達にも聞きたいことではあるが、どうしてジュエルシードを集める」

「さぁ? 私は集めてと言われているだけだし、詳しいことは知らない。私は救ってくれた恩人の手助けをするためにしているだけだから」

「……どうやら、管理局に事情聴取をされるつもりはないようだな」

「えぇ。だけど、この状況でどうするのかしら。私がジュエルシードを取りに動けばなのはが動き、その金髪の子やその子の使い魔が動けばなのはの友達やあなたが動く。そしてなのはやなのはの友達が動けば金髪の子の使い魔が動くだろうね。一触即発の状態で、金髪の子の動きを先ほどから気にしているあなたはどうするのかしら?」

「くっ!!」

 

 確かにアリス言うとおりだった。この状況で一番有利だと言えば人数が多いなのは達であり、その次にフェイトとアリスが並ぶくらいで、一番不利なのがクロノであった。クロノがジュエルシードを取りに行けば全員が自由になるような状態となり、クロノが一番動けなかった。

 しかし、これはすべてが敵だと見た場合の話だ。共闘などすれば状況が一気に変わるところではあるが、この状況で誰が共闘するなんて言うことが分からない。そんな中、この状況から動き出したのはアルフとフェイトだった。

 アルフは突然と魔法の弾丸を地面にぶつけ、土が舞ったのをみてすぐにフェイトへと近づいてこの場から逃げる体制に移ったのだ。突然のことでクロノは対応ができず、フェイト達をそのまま逃がすこととなった。

 

「へぇ、逃げる選択肢を取ったか。そっちと協力しようとも打算してたけども、先にそのように行動をとったのならば仕方ないわね。今回は私もこの場から去りますか。またどこかで会いましょ、なのは」

「ま、まて!! さすがに君まで逃がすつもりは――」

 

 クロノが最後まで言うことはなく、一瞬にしてアリスは姿を消した。魔法を使った形式もなく、一瞬で姿を消したことにクロノは驚いたが、近くにいたなのはは苦笑いをしていた。

 

「相変わらずと言っていいのか分からないけど、アリスちゃんの異能はわけがわからないよ」

「あれは……この世界の異能を使ったのか?」

「多分ね。はっきり言うと、アリスちゃんの異能は私でも何なのか分かってない。本人から聞いていないというのもあるけど、異能を見てもどんな異能なのかが分からないの」

「なるほど……とにかく、君たちは任意同行をしてもらうという事でいいか? 敵意というのは見えないが」

「はい。元々私たちはジュエルシードを回収するだけが目的でしたから」

「了解した。詳しいことは艦内にて聞かせてもらう。あの子たちについても知っている限りで話してもらえるとありがたい」

「わかりました」

 

 それからなのは達はジュエルシードを回収してから、クロノ転移魔法でクロノが拠点としている艦船へと移動するのだった――




オリキャラであるアリス・ローウェルについて。

何となく察しがつくと思いますけど、アリサ・ローウェルの娘だったりします。

アリサ・ローウェルにつきましては異能という世界観のおかげで、地縛霊になったり強姦されたわけではないので。キャラ設定をかなり弄りましたねww


追記、アリスのところが一部アリサになっていたので修正しました。

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