魔法少女?リリカルなのはDiabolical Modified 〜魔改造された彼女たちの運命〜   作:アリヤ

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行間一

「先日、この地球にて次元震が発生したのはすでに皆さんい伝えてあるはずだ。どうやら、この地球にロストロギアが何らかの事故によってばらまかれたらしい」

 

 ここはとある場所にある会議室。そこで何人かの男性と女性が集まり、昨日なのはとフェイトがジュエルシードを取るときに発生した次元震について話し合っていた。

 会議に参加していた一人の男性が、今回の会議で集めていた議題について話し始め、すぐに一人の男性から挙手が上がる。

 

「幹羽良。どうぞ」

「次元震についてですけど、ロストロギアはそもそも我々の世界の管轄ではないはずだ。ミッドチルダ支社の管轄だろ?」

「確かにそうなんだが、この異能の世界での次元震だ。既に、異能と魔法が関わり始めている。すでに、魔法は魔法、異能は異能というくくりでは済まされないのだよ」

「どういうことだ? 詳しく話してくれ」

 

 別の男性の一人が、どうしてバラバラとして考えら無くなっているのかと疑問に思い、詳しく話してもらうようにと言う。

 

「これはこの前の三連休の時の出来事だ。研究員の一人が休暇を取って三連休に宿に泊まったらしいのだが……その夜で空中に飛ぶエースコード・ファーストを見たと言い出した」

「飛んだだと? ファーストは今現在、自分が逃れたとあえて(・・・)思い込ませているが、そもそもファーストの異能に空を飛ぶような力はなかったはずだ」

「あぁ。私だって最初は寝ぼけているのじゃないかと思ったが、その話を遠くから聞いていた別の研究員が、海鳴市で巨大な木々が発生した事件があっただろう。その時にもファーストが魔法をつかった砲撃みたいなものを放ったと言い出した。仕舞いには今回の次元震だ。ファーストに魔法が使えるという前提で考えると、辻褄が合うと思わないか」

「……ロストロギアがこの地球に散らばり、そのロストロギアをファーストが集めることとなったとね」

「はい。その通りですレギンス研究統括長」

 

 レギンス研究統括長と言われた女性は会議の部長などが座る中央の席に座っていた。彼女こそ、異能と魔法の研究を彼女の指揮で動かしている張本人だ。そして、このアンブレラハートの研究組織をすべてを統括している女性であり、なのはに優しく声を掛け、そして最後に突き落とした張本人でもあった。

 異能と魔法を使える人間を道具としか見ていない――そう言える研究員の一人でもあり、なのはも今も尚道具としか見ていなかった。いや、なのはの場合はペット感覚で見ていると言った方が正しいのかもしれない。先ほど会議の中で出てきたエースコード・ファーストというのはなのはの事を指しており、今現在なのはを自由にさせているのは猫のように自由に生かしているのと彼女の中では変わりがなかった。

 

「七つの悪魔を従わせ、さらには魔法も使えると来た…… つくづくファーストが才能しかない持ち主だと思うよ。あぁ、早く私の手に戻し、私の物にしたいよ……」

 

 レギンスはファースト――なのはが魔法を使っているという事を知り、悪い笑みを浮かべていた。これまで以上に実験道具に興味を持ったのは今までなのはしかなく、彼女の中でペットのくくりからさらに上がりそうになっていた。

 レギンスは普通の異能の事を道具と言い、優秀な異能者や魔導師に対してはペットと呼んでいる。これ以上のくくりはレギンスの中では作ってなく、なのはが初めてその枠の中から抜けようとしていた。

 レギンスの笑みを見ていた会議の人間たちは、レギンス研究統括長の悪い癖が始まったと思った。人体実験に使う人間で良い評価が出ると、レギンスはこのような笑みを浮かべてしまい、もう何度も見ているために慣れていることだけども、こういう会議の時だけはやめてほしいと思っていることでもあった。笑みを浮かべると、会議の時間が長引くこともあり、最悪一時間以上も余計にかかった事だってあった。レギンスには会議の時くらいは差し控える様に伝えてあるが、あまりにも治る気配がないためにもうあきらめたくらいだった

 

「……レギンス研究統括長。そろそろ笑いを抑えてもらうとありがたいのですが」

「……ん? あぁ、すまない。久しぶりにファーストの朗報を聴けたのでな。つい嬉しくなってしまった」

 

 どうやら今回はそれほどレギンスの笑いが続くわけでもなく、すぐに終わったようだった。また長引いてしまうのかと思っていた会議の人間は内心ほっとして、とりあえず話を続けることにした。

 

「それでは話を戻すぞ。まぁ、ファーストの件については今はどうでもいい。そのロストロギアについてどう対応するかというのが一番の本題だ」

「ロストロギアね……正直静観でいいんじゃないのかしら?」

「どういうことでしょうか、レギンス研究統括長? 理由を聞いてもよろしいでしょうか?」

 

 どうして静観という答えに行きついたのか理解できなかった女性の一人が、レギンスに理由を聞こうとし、レギンスはそれに答えた。

 

「簡単な事よ。話によれば既にファーストとかに集められているでしょ? ファーストからロストロギアを奪える相手なんて、そもそも私のペットにはいないじゃない。今ここに居るエースコード・フォースについては別件をすでに頼み込む予定だし、エースコード・セカンドはファースト同様居なくなってしまった。他のエースコードについては今現在別件で仕事を指せているため、今回は、諦めるしかないわ」

「確かに……あのファースト相手で勝てる者は複数でも難しい。ロストロギアをあきらめるという事を取るのが先決か」

「それに、確かあのファーストには理屈が通じないアリサ・バニングスと天使を操る月村すずかがいる。ファーストがロストロギアに関わっていなければ動いたかもしれんが、居るとなればこちらの勝ち目が絶対にないと言ってもいいか」

「……どうやら、話は決まったようね。とにかく今回は静観して、いつも通り研究を続ければいいと思うわ。これでいいわよね? 会議進行?」

「あぁ、今のレギンス研究統括長の意見に反対な方は挙手を上げてくれ」

 

 全員が周りを見るが、誰も手を挙げる人はいなかった。なのは相手となれば、かなりの人体実験者を使わなければならないため、既にみんなの意見は決まっていたようだ。

 

「全員賛成だな。これにて本日の臨時会議を閉幕する」

 

 その言葉を最後に、会議室に居た人間たち全員がそれぞれ部屋を出て行き、最後にレギンス一人だけが会議室に残ることとなった。

 誰もいないこの会議室にて、レギンスは先ほど抑えていた笑みをまたしても浮かべ始めた。

 

「さぁ、どんどん今の実力を上げていきなさい。そして、あなたがこの先後悔し、挫折していく姿を見るのが楽しみだわ」

 

 レギンスは笑みを浮かべながら独り言を述べ、時間が少し経ってから会議室を後にするのだった――


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