艦隊これくしょん〜ブラック提督(笑)の奮闘 作:SKYアイス
今回は様々な「黒」が現れてきます。海域攻略の間に起こる様々な障害…陰謀…第一部では私欲に走った一人の男性が立ち塞がりましたが、今回はまた違った「黒」が立ち塞がります…ですがこの「黒」は一味違った「黒」
貴方はこれを黒と見るか、または白と見るか…そんな第二部の新たな「黒」
どうか最後まで、お付き合い下さい………
深海凄艦にも基地はある。彼女達…と言って良いかは分からないが、兎に角彼女達にも活動するための基地はある。そしてその基地を中心に彼女達は制海権を確保していくのだ。
制海権を奪った後には当然そこに小さな基地が生まれる、その基地を大きくして行き、そこからまた新たに制海権を確保して行く。
此方の感娘、艦娘を投入して深海凄艦が基地を大きくしていく最中を妨害し、まだ小さな基地を奪って深海凄艦を殲滅し、制海権を確保するのが人類が取れる主な戦法の一つだ。
強大すぎる深海凄艦に対しては焦ってはいけないのだ、数が、規模が、強さが、違いすぎる。深海凄艦から見れば人類など取るに足らない存在。深海凄艦が危険視しているのは感娘、艦娘だけだ。
だが深海凄艦に持ってないものは人類はある。それは閃き、観察力、知能、力を貸してくれる存在…物によっては彼女達も持っているかもしれないが、人類程に優れてはいない。そういった所で人類は有利になっている、それを最大限に活用する事で、人類は強大な深海凄艦に対しては少しずつだが戦力を削る事が可能なのを証明してみせた。
一歩一歩、緩やかだが確かな一歩。その積み重ねがほぼ奪われ尽くしていた制海権を少しずつであるが取り戻す事ができている。
そして深海凄艦から奪い返した基地を利用して、深海凄艦との戦いに役立つようになる。奪い返した基地に感娘や艦娘を配置し、新たな拠点を作る事ができる。
そうする事でこれまで鎮守府から遠くとてもじゃないが攻略できそうになかった海域にも手が出せるようになるのだ。
そういった基地は全て元々の深海凄艦の基地から派生した小さな基地だ、奪い返してきた基地がある程度増えてきたら、その大きな基地を攻め落とす戦力が揃ってきたら、大本営は決まってある命令を下す。
大規模制海権奪取作戦…大規模作戦を……
艦隊これくしょん〜ブラック提督(笑)の奮闘
ーー第二部ーー
ーー大規模作戦ーー
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あの事件から数日後…執務室で作業していた提督の元にある伝令が届けられた、それは大規模作戦へ向けての詳しい詳細、そしてその日程を。
「とうとう来たか」
提督は無意識のうちに左手を握りしめていた、大規模作戦ーーそれをどれ程待ち望んでいたかーー
元々提督は深海凄艦から奪われた全てを取り戻す為に提督になった。奴らが現れたあの日からずっと…
大規模作戦が行われる度に提督は笑う、普段の感娘達の成長を見守る笑みでは無く、獰猛で狂気を含んだ笑みを
提督の目の光が失われる。
この作戦の詳細を知らされてから、まだかまだかと待っていた。
あの事件のせいで手を止めてしまった。深海凄艦が奪って行った大きな基地を取り戻す機会を伸ばしてしまった。
我慢、してきた。
我慢していた。
我慢しきれた。
今、再びこの機会が巡ってきた。もう逃す気はない、ある筈もない。
「この瞬間だ…」
ぞくり、と背中に何かが走るのを感じる。
ぶるり、と全身が喜びに震えるのを感じる。
クフッ、と笑いと共に感情が溢れ出るのが感じる。
全てはこの日この瞬間の為に。
ああ、自分の感娘達はこの時の為に訓練してきたのだ、憎き深海凄艦から海を、奪われたモノを取り戻す為に。
「首を洗って待ってろ」
一言そう言って提督は自分の感娘達に招集をかける。
決戦の日は近い
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突如提督から招集命令を受けた感娘達、彼女達は広場に出て各々暇を潰している…と言っても姉妹艦や仲の良い感娘と話すだけだが。
その中でも特に仲良しだと自他共に認められている吹雪、夕立、睦月の三人はそわそわしている朝潮と春雨を見て微笑ましい気分に浸っていた。
「やっぱり朝潮ちゃん可愛いね」
グフフ、と女の子がしてはいけない笑い方をする吹雪に顔を青くして引く夕立、そんな二人を見て睦月はふふふ、と笑っていた。
「と、とりあえず提督さんが何で呼び出したのか予想してみるっぽい?」
「えっ?うーむ……」
夕立から話を振られたので考えてみる事にした睦月、提督は性格上無駄な事はしないので、理由があるのは分かる。だがその理由がどう考えても分からない
候補は幾つかある、というのも説教の類だが…この間瑞雲片手に走り回る日向や、由緒あるポーズを真似した駆逐艦がとある雷巡に怒られていた事や、夕張と明石が人体に影響は無い服のみが破れる兵器を作り暴れた事とか…
「くだらない事ばっかりしてるっぽい」
訓練の合間にそういった事件が起きる程に鎮守府の面子は余裕があるのだが…
「でも春雨ちゃんはそんな余裕無いだろうけどねぇ」
「にゃー、確かに息抜きはさせた方が良いよ」
最近鎮守府に入ったばかりの彼女には少しばかりガス抜きが必要なのだが…その役を買って出た睦月は何をしたのだろうか?より訓練に精を出すようになってしまって提督に褒められるようになってしまったではないか。
そんな二人の視線を受けて気まずそうに顔を逸らす、睦月は提督に褒められ隊や構って欲しい隊等のメンバーから若干恨まれていた。
そんな気まずい空気の中、睦月がハッとして直立不動の姿勢を取った。それを見た夕立と吹雪もまた、正面に向き直り直立不動の姿勢を取る。
提督が来たのだ。
それまで雑談していた他の感娘の面々も、同じ姿勢を取り提督の言葉を待つ。秘書艦がいれば提督の傍らには誰かしらが常にいるのだが…生憎彼は秘書艦は付けていない。
そんな様子を見る度に提督の秘書艦になり隊の胸の中にはある野望が生まれる…
閑話休題
「この度は招集に応じてくれてありがとう、今回招集した理由は一つ…大規模作戦の日程が決まった」
その言葉に全員の表情が更に引き締まる。鎮守府に来て日が浅い春雨、まだまだ未熟な朝潮もだ。
大規模作戦の事は知らせれていた…そしてそれが延期されていた事も知らされていた。
今、それが明かされるのだ…ゴクリと誰かが固唾を呑むのを吹雪は聞く。
勿論自分も同じ心境だ、今までも大規模作戦は生半可な戦いではなかった、今回もまた同じだろう事も予想できる。
やがて提督は口を開き………
「今日から一週間後だ、その日に攻略が開始される。それまでの準備段階を説明する、先ずは今まで通り自分達の鎮守府が奪還した基地を一時的な拠点とし、周囲の深海凄艦を殲滅して海域を安定させる」
「次にこの鎮守府から駆逐艦をベースとした資材運搬の為の編成をし、一週間までに資材の80%を運ぶ、勿論この鎮守府を防衛する為の戦力は残す」
「今日の訓練は中断だ、各々は補給や間宮アイスを食べ英気を養うように、明日から開始する…以上!」
提督から告げられた作戦。それらが伝え終わられると同時に全ての感娘は敬礼する。
「「「「了解!!!」」」」
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一人の青年が伝令を見た、この青年もまた提督業を務める者。
「ん…」
その海域の調査には自分も貢献していた、だからこそ今回の作戦の難しさが分かる。
「まぁ…厳しいよなぁ」
面倒だと思いつつもこれが自分の仕事だ…そう思っていた。
そしたら、奴が現れた
「ヤア」
「え?」
この日、一つの鎮守府が崩壊した
大規模作戦まで残り…7日
時間があれば、当然予想外な出来事が起こるのは必然なのです