なのは+『風纏う英雄』   作:黒影翼

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第三部最終話・同じ想いの下それぞれの空へ

 

 

 

 

第三部最終話・同じ想いの下それぞれの空へ

 

 

 

傍にあるのが川だけで風呂にもはいれず身体を拭くぐらいしかできなかった等の理由でとにかくボロボロの様相を呈していた俺達は、とりあえず近くの宿で一泊してから服を買いなおして帰ることにした。

 

と言うのも、修行に散々回復魔法やら何やら使ってもらっておいて今更ではあるが、魔法を使って帰ると言うのは避けておくことにしたからである。へまして人に見つかったりしてクロノの胃に負荷かけたくないし。

 

そんなわけで止まった宿で、俺達は夕食をつついていた。

 

「しかし中学入学年度から半年も経たない様な歳で神速に辿り付くとは…お前は本当にデタラメな奴だな。」

「そりゃそうだよ、マスターは天下無敵のスーパーヒーローなんだから。」

 

軽く呆れている兄さんに躊躇いもなく決まり文句を口にするレヴィ。

いつもならノリノリで答える所なのだが…

 

「もっとも、恭也相手には全敗ですが。」

「ボロ雑巾にならない日がない位だったしな。」

「お、お前らもうちょっと容赦とかないのかよ…」

 

シュテルやディアーチェの言うとおりの理由で、兄さん達相手だとこの有様のため言い辛いものがある。

犯罪者のリライヴだって此処までコケにはしてこないだろうと考えると、身内が一番辛辣なんじゃないだろうか?

 

そんな俺達の様子に軽く笑った姉さんは、その表情を落ち着けると俺を見据える。

 

「しつこくなるけどもう一回言っておくよ。神速は確かに他流派にもない対人最強に近い『奥義』ではあるけど、それを扱っているのはあくまで私達剣士。剣士としての力量が低ければ結局のところ意味を成さないんだから頼りすぎて基礎を怠ったりしないようにね。」

 

姉さんからの話は何度か言われている事だが、俺は改めて頷いた。

 

相手より上の領域で動作可能というのは、将棋を例にすれば二手連続で駒を動かす事ができる特別ルールを貰ってるようなものだ。

それで勝てても、頼りきりでは基本的な技量は上がるどころかむしろ落ちて行くだろう。

 

「分かってるって。というか当の基礎力で上回ってるから神速使い始めて日の浅い俺が姉さんに勝ったんじゃないの?」

「うぐっ…」

 

実際自由に発動できるようになったとは言え、年齢と体格的な限界で連続発動限界数が、慣れの問題で一回の持続時間が共に兄さんにも姉さんにも劣る。

 

にも拘らず俺が一本とったとなると…

 

 

ジト目で見つめると、姉さんは俺から顔を逸らす。

 

が、隣に座っている兄さんに肩を叩かれた姉さんは、錆びたロボットのように兄さんに首を向ける。

 

「何だったらこれからもう半年位神速なしの条件で実戦訓練でもやっていくか?」

「か、勘弁してよ恭ちゃん…もう普段の山篭りと桁違いにくたくたなんだから…」

 

あまり見れない笑みがむしろ恐ろしいものを感じさせる兄さん。

実際今までの修行も一般人から見れば拷問より惨い内容だったし、実現すればほぼ死刑宣告に近い。

 

兄さんは割りと本気で怯える姉さんに対して、肩を竦め…

 

「冗談だ、そんな事をしたら俺ももたない。」

 

アッサリとそう言って終わらせた。

 

「嘘だろ?」

「嘘だよね?」

「嘘だね。」

「嘘ですね。」

「嘘だな。」

「や、止めないか揃って…」

 

俺が問いかけたのを皮切りに、まるで練習していたかのようにテンポよく全員が繋げていき、気が引けたのかフレイアが他の宵の騎士三人を手で制していた。

 

兄さんもこの反応が予想外だったのか顔を顰める。

 

「だからお前らは本当に俺を何だと思ってる…」

 

兄さんの問いかけに『人間』と返すものは一人も居なかった。

 

俺も少しは悪いとは思うのだが…俺も姉さんも人の範疇外の戦闘能力なのに一本も取れない兄さんはマジで人外としかいいようがないんだよなぁ…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そうして、俺達は身なりを整えたり身体を休めたりして一泊を終えて帰る。

 

が…家まで来た所で誰も居ない事に気づく。

 

「皆して家にいないのか?店の方に居るのかな?」

「半年近く家を空けていた人間の台詞じゃないな。」

「うるさい同類。」

 

茶化す兄さんと睨みあいつつ、翠屋へ向かう。漏れる明かりと中からのどんちゃん騒ぎが俺の予想が当たっていた事を示していた。

 

 

だが…

 

 

「どうせ友達の前でも、笑顔で『迷惑かけてごめんなさい』って言うんだろうって考えたら、許せなくなったから、本音を引きずりだす為になのはちゃんを怒らせたんだって。管理局にいたら迷惑になるって意味の悪口を、沢山言われたんじゃないかな?」

 

 

室内から聞こえる声に、俺は足を止めた。

 

「マスター、どうしたの?」

 

周囲の状況を探る能力の一環として聴覚も鍛えていたため、俺と…聞こえてて兄さんと姉さんしか聞き取れていないはずだから、レヴィが不思議に思うのも無理はないのだが…

 

「本当は、なのはちゃんがいい子に振舞う必要がないように損な役を引き受け続けるつもりだったみたいだから、黙っているように頼まれてたけど、当のなのはちゃんが誤解したまま悲しんでるのもよくないからね。」

 

室内では、フィリス先生の説明が続いていた。

 

ちなみに、この説明は俺が万一修行でへまして御陀仏して、誤解させっぱなしになった時になのはに対してフォローが居るならという事で伝えておいたのだが…

 

俺無事で先にこんな独白されてると恥ずいだけなんですけど…

 

「嬉しい…のに…何で…」

「良かったねなのは。」

 

なのはの泣き声とフェイトの優しい声が聞こえる。

 

うっわぁ状況が容易に想像できる…

此処に行けと?本人登場?俺は芸能人じゃないんだぞ?

 

「そういう事なら迎えにいこか。もうなのはちゃん避けとっても無駄何やし。」

「え!?」

 

はやての意気揚々とした声に、このままここにいては巻き込まれる事が確定した。

 

俺は振り返って家に向かって歩き出す。

 

「あ、あれ?マスター?」

「どうしたのですか?」

「お、俺は祭りって体調じゃないからちょっと今日は休ませて貰うわ。ベットはあけとくから…」

 

いそいそと逃げ出そうとした俺は、首根っこをつかまれる。

振り返ると、兄さんと姉さんが楽しそうな笑みを浮かべていた。

 

 

や、やっぱり聞こえてやがった……

 

 

「…なのはの為に何でもするつもりはあるんだろう?なのはは喜ぶと思うが?」

「まぁ隠してた役ばらされてこんな空気になってるところに放りこまれるのが恥ずかしいのは分かるけど…自業自得って事で。」

「お、鬼…悪魔…」

 

その辺の一般人ならまだしも、兄さんと姉さんの二人に捕まって引きずられてどうにかできる訳もなく、離れようとした扉にだんだんと近づいていって…

 

 

「だから、止めろってマジで嫌だこんな空気に投げ出されても困」

「「諦めろ。」」

「息合いすぎだあぁぁ!!!!」

 

半ば手遅れなのは分かっていたが思いっきり叫んでしまった。これで逃げられる訳もなく…

 

 

二人によって無情にも扉は開け放たれ、俺は店の中に投げ込まれた。

 

 

涙を拭っているなのはの前に、前のめりに落下する俺。

 

 

 

静寂の後…

 

「お、お兄ちゃん…」

 

なのはがおずおずと呼びかけてきた。

 

「ま、まぁ…その…」

 

今更取り繕うも何もあったものじゃない。

俺は立ち上がってなのはの頭を撫でる。

 

「退院おめでとう、この様子だと魔法も大丈夫みたいだな。」

「っ…」

 

俺の服を握って身体を寄せるなのは。

 

やっぱ色々ストレスだったんだろうな…と、寄ってきたなのはを素直に迎え…

 

 

 

 

 

 

男の急所にナニカが直撃した。

 

 

 

 

「連絡なしで半年近くも失踪して今更おめでとうもなにもないの!!!」

 

どうやらなのはの膝蹴りだったらしい。

打ち方もなにもなかったが…場所が場所だけにさすがに効いた俺は膝を折る。

 

「お、お前な…修行明けの死に掛けにこれはさすがにないだろ…」

 

普段と違ってろくにダメージが隠せていない俺の様子にさすがに心配になったのかなのはの表情に一瞬影が差す。

 

が…

 

「おいおい何を言ってる?昨日宿で露天風呂から海鮮盛りまできっちり堪能したじゃないか。」

 

兄さんの呆れたような一言によって室内の気温が一、二度下がったように空気が冷えた。

当然なのはの表情も一瞬で冷める。

 

に、兄さんこの状況楽しんでやがる…鬼め…

 

「へぇ…さすがヒーローさん…やる事が豪華ね。」

「そーかぁ…飲み食いして温泉まで浸かった帰りに『修行明け』かぁ…」

 

アリサとはやてが白けた声で呟きつつ俺を見る。

 

いや確かに泊まったけど!一日で受けたダメージ今日まで半年ほど引きずってた奴だって居るって言うのに俺はその一晩で半年分のダメージ回復させろって言うのか!?

 

「けど…連絡くらいするべきだったと思うよ?」

「そうだよ、士郎さんに半年間見てないって言われた時には本当にビックリしたんだから。」

 

良心とも言えるすずかとフェイトにすらこんな注意を受ける始末。

あぁ…俺に味方は?

 

「すずかちゃんとフェイトちゃんの言う通りだよ!本当に…心配したんだよ…」

 

と、目元を拭いながら告げるなのは。

 

 

 

…そりゃこんないい妹泣かせてれば俺に味方なんて居る訳ないな。

 

 

 

軽く肩を竦めつつ思う。

本音を見るためとは言え、悪役引き受けたんだからきっちり最後まで痛い目見ておかないとな。

 

「悪かったな心配かけて。それに、変に弄ったりしてさ。」

「違…私も…ごめんなさい…私言っちゃ行けない事…」

「俺は狙って言わせたんだから自業自得だよ、気にしてないから。」

 

再度なのはの傍に寄り、その頭を撫でる。

安心させるようにゆっくりと…

 

 

 

 

 

「速人、そのままキスしたりしないよね?」

「にゃ!?」

「はい!?」

 

いきなりかけられた声の発生源に顔を向ければ、少しむくれたアリシアの姿があった。

フェイトが慌ててアリシアに詰め寄る。

 

「お、お姉ちゃん!邪魔しちゃ駄目だよ!」

「だって…色々やってる私でもあそこまでいい思いしたことないのに…やっぱり兄妹には勝てないのかなぁ…」

 

なんか状況的に間違ったコメントじゃないでしょうかアリシアさん!?

少なくとも俺は幼女趣味じゃないですよ!?いやそれだと見た目幼女のアリシアも落選しちゃうんだけど…

 

と、そんなアリシアの両脇に立ってその肩に手を乗せる二つの人影があった。

 

晶師匠とレン師匠、また何か余計な事言う気じゃ…

 

「いやぁ兄妹やからって競争勝てるとは限らんしなぁ、そんな気ぃ落とさんでええよ。」

「そうそう、一緒に居る時間が長ければいいって物でもないし。」

 

と、思ったが意外と普通にアドバイスしていたようだった。

身内に例でもあったのだろうか?

 

「なぁ兄さん、師匠たち何であんなアドバイス出来ってぇっ!」

「黙れ。」

 

兄さんに聞いてみようとして殴られる。

そこで思い当たる兄妹が一つ…

 

 

 

 

姉さんを見ると、俯いて遠い目をしていた。

 

 

 

 

…ああ、触れない。触れたら絶対ろくな事にならない。

励ましたい所ではあったが下手な事言うと事態を悪化させそうだったので聞かなかった事にして全部忘れる事にした。

 

 

だって…忍さんと兄さんにいい笑顔を向けられてる二人のようになりたくないし。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

夜、退院祝いの騒ぎも一通り落ち着いた頃、俺はシグナムとヴィータによって公園まで連れ出された。

 

公園には、意外な事にフレアの姿もあった。

 

「一体どういう組み合わせだよこれ。」

「単刀直入に聞こう。」

 

俺の問いかけも意味を成さずに、シグナムが鋭く言い切る。

 

「また殺し手に戻るつもりなのか?」

「へ?」

 

予想もしていなかった質問に、思いっきり疑問符を口にしてしまった。

そう言えば、病院から出る前シグナムに軽い殺意を向けられてたけど…ひょっとしてこれが原因か?

 

「あー…正直そのつもりはまったくないんだけど…三人揃って兄さんと同じクチか?」

「何?」

 

これだけ言っても伝わる筈もなく、眉を顰めるシグナム。

 

「いや、兄さんにはある程度折り合いつけるようにならないと、無茶の反動で被害が大きくなるって言われてさ。管理局的にも無茶してるからそれで首でも取りに来たのかと。」

 

軽く告げると、シグナムは何かに悩むように腕を組む。

そんな中、気だるげに両腕を頭の後ろに回したヴィータが軽く息を吐く。

 

「もういいんじゃねーか?シグナムの行き過ぎた勘違いだったって事で。」

「ヴィータ…お前がレヴァンティンの錆になりたいか?」

 

シグナムとしては本気で心配だったからなのだろう。ヴィータに軽く扱われて怒ったらしくレヴァンティンに手をかける。

 

「止めて貰おうか、局員同士で喧嘩されても困る。」

「む…」

「わーってるよ。」

 

そんな二人を、フレアは静かに諌めた。

常にこんなテンションのフレアの前で馬鹿騒ぎに近い真似ができる訳もなく、シグナムはレヴァンティンから手を離す。

 

「お前の予想とは逆だ。もし殺し手に戻るつもりだったのであれば止めるつもりでここにいた。」

「お前ももしやばかったら俺を殺す気だったのか?俺一応無辜の民だぜ。」

「散々前科持ちな上出頭もしてない奴がよく言う。」

 

軽口を叩いた俺を鼻で笑うフレア。

けどその表情は…見た事ない程に澄んだ笑みだった。

 

「だが…今までの調子であれば私個人で止めはしない。局員として敵対する事はあるだろうが、せいぜい宵の騎士含めて全て護りきれるよう鍛えておくんだな。」

「あぁ。そっちこそ手が足りなきゃ内容次第ではいつでも呼んでくれていいんだぜ。管理局には頑張ってもらわないと俺も困る。」

 

俺は拳を突き出す。フレアは何となく察してか、俺の拳に自身のそれを打ち合わせた。

 

「私は局に戻るぞシグナム、もう騒ぐ必要もないだろう。」

「あぁ…面倒に巻き込んですまないなライト。」

「ベルカの騎士がプライドより確実性を優先して私を呼んだのだ、讃えこそすれ文句を言うつもりはない。」

 

そんなやり取りを最後に、フレアは公園から転移した。

 

「相変わらず嫌な奴…」

「遠慮と配慮って文字が辞書から抜けてるからなアイツ。けど悪口言ってた訳でもないんだしいいんじゃないか?」

「なのはの見舞いにも来なかったんだぞアイツ。」

 

むすっとしてるヴィータ。どうやらそれがご立腹の一番の原因らしい。

 

「局に入った時点で護るものじゃなくて戦力なんだろ。友人増やす気もないだろうアイツがいちいち見舞いなんて行かないって。」

「ったく…本当にむかつく奴だ…」

 

悪態をつきつつ、踵を返すシグナムの後に続くヴィータ。

 

「後は久しぶりに兄妹水入らずで過ごすといい。」

「身体壊さねーうちに帰れよ。」

 

そんな事を言いつつ二人が去って言った後…

 

「シグナムさんたちにもばれちゃってたか…」

 

なのはが恐る恐ると言った感じで、遊具の影から姿を見せた。

今の話を聞いていたらしく浮かない表情のなのは。

 

「気にするなよ、もう何もないんだし。それともお前は俺が勝手に戦うのが嫌で浮かない顔してるのか?」

「それも…あるよ。」

 

殺る殺らないの話に表情を曇らせていただけかと思ったら、どうやら違ったらしい。

 

「シュテルちゃんに、管理局がお兄ちゃんの敵になって私が局員として動いた時には全力で戦うって言われてるし…そんな事にならないように頑張るつもりだったのに…」

「今は頑張る気力がないのか?」

 

過去形になっている事に突っ込むと、なのはは力なく首を横に振る。

 

「だけど…頑張った結果がこんな事になって、身体も心もフォローされっぱなしで、その前の事件の時だって管理外世界って枠に邪魔されて何も出来なくて…護る為に、力になる為に管理局に入ったのに…本当に、こんな筈じゃない事ばっかりだった。」

 

友人が誘拐された挙句何も出来なかったなんて事もあった位だし、なのはとしては大手を振って喜べる事はなかっただろう。

 

「お兄ちゃんが誰かの…ううん、皆の為に身を削って戦ってるのは知ってるのに、このままだと私いつかシュテルちゃんが言うようにそんなお兄ちゃんとむっ!?」

 

悲痛な顔で続けるなのはの口を指で塞ぐ。

まったく…この馬鹿は。

 

「その配慮は俺の担当。お前は局員になったんだから俺の方は気にしなくていいの。両立できるように気を使うのは俺であってお前じゃない。」

「でも…」

 

浮かない顔をするなのはの肩に手を乗せる。

 

「あまり心配するな。今の所お前の目指してる役職が、一番の可能性を秘めてるんだぞ。」

「え?」

 

いきなり役職の話を持ち出されたからか戸惑うなのは。

そんななのはに自分の自慢でもするように続ける。

 

「もし人手が充分なら、他方に助けを差し伸べられる。お前がもし上手く人手を鍛えきる事ができたら、局内のあらゆる場所に救いの手を伸ばす事に繋がるし、その中に一人でも教官志望の人間が居ればネズミ講よろしく新しい人が成長する。それはきっと、ただ一人の力を大きく超えた救いになる筈だ。」

 

なのはの肩から手を離し、その瞳を真っ直ぐに見据える。

 

「お前のやり方は正道だし本来危険なのは俺のほうだ、お前が俺を止めたがるのは分かる。けど…俺は今のまま進む。これ以上『仕方なく』奪う事が、捨てる事が無いように。」

「速人お兄ちゃん…」

 

搾り出すように俺を呼んだなのはは…その瞳に力を宿す。

 

「私も、自分の決めた居場所で…空で皆を護る為に戦う。だけど…信じて…いいんだよね?お兄ちゃんと戦ったりしなくて済むって。」

「勿論。」

 

こんなはずじゃない事ばっかりだったのに、何の確証もない俺の言葉を信じるのが難しいんだろうけど、なのははそれでも頷いた。

俺はそんななのはと手を繋ぐ。

 

「とりあえず今日位は一緒でいいだろ。」

「…うん。」

 

違う場所、違う生き方、違う戦いをすることにした俺達は、今は共に同じ道を帰る。

 

 

 

数多の未来を『護る』と言う同じ想いを胸に。

 

 

 

 

 




今はここまでです。

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