なのは+『風纏う英雄』   作:黒影翼

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注)IFはオリ主との恋愛話になっております。下記を確認した上で読んで下さい。
・IFのため本編とは違う事が大小発生します。
・作者に恋愛経験はありません(苦笑)

今回はリライヴと速人です。


~風纏う英雄IF・白い悪夢を晴らす風~

 

 

 

~風纏う英雄IF・白い悪夢を晴らす風~

 

 

 

Side~リライヴ

 

 

 

夢の中。

 

 

 

小さく体が揺れている。

 

 

 

 

 

薄暗い部屋の中大勢の男に囲まれて…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『マスター!!!』

「っあぁっ!!」

 

 

強い叫びが聞こえ、夢を撥ね退けて跳ね起きた。

疲れてもいない身体で荒い息を吐く。

 

 

ここは…家?

 

 

それもそうだ…速人達の住む家で一緒に暮らすようになったんだから当然だ。

今の所、特に異世界に出ている訳でも無いし…

 

 

何より、今あんな場所にいるはずが無い。

 

 

「久しぶりに来たね…全く、面倒この上ないな。」

 

何も口にしていないのに感じる味と異臭に、口と鼻を隠すように手をあてつつ身体を抱える。

 

時々起こるフラッシュバック。

 

組織丸々一つ敵に回して立ち回るような真似までしてたくせに、古傷一つに振り回されすぎだ。

 

『マスター、大丈夫ですか?』

「あぁ、イノセント。起こしてくれてありがとう。」

 

念話で起こしてくれたイノセントに礼を告げる。

通常音声で起こされて他の皆に気付かれても困るからね…まさか夢の話なんて出来る訳も無いし。

 

「…とりあえずシャワー浴びて飲み物飲む事にするよ。」

『はい。』

 

記憶に残ってるだけの物だから正直ただの気休めだけど、夢を見る度やらずにはいられない。

 

情けないな…

 

部屋の戸を開け、浴室へ向か

 

「お、早いなリライヴ。」

「っ!?」

 

唐突に背後から速人に呼びかけられ、思わず肩が跳ねる。

 

しまった…あんな夢を見た直後で背後から男の人の声を聞いたからつい…

 

とりあえず取り繕って振り返る。

 

「どうした?」

「な、何でもないよ。」

 

背後から声をかけられた事に文句を言いたい所ではあるけど、そんな事をすれば気配を消して動いてる訳でもないのに気付かなかった間抜けっぷりを晒す事になる。

 

とりあえず笑顔で応対した。んだけど…

 

「へー…そう、何でもない…」

 

物凄く信用して無い気の無い声で言いつつ距離を詰めてくる速人。

 

私は思わず後退りする。

ただ記憶が蘇っただけだって頭ではわかってたって、あんな後で近づく気がしない。

 

「そのものすっごく信用して無い目は何?」

「何でもないって事無いだろ、どもったり後退りしたりしてるのに。」

 

ご尤も。何だけど、あまり出したい話題じゃない。

 

「とにかく、私シャワー浴びるから。」

「あ、おい!」

 

さすがにお風呂場までついて来ない筈だから、すぐにシャワーを浴びる事にして、呼び止める速人を流してさっさとお風呂場に飛び込んだ。

 

全く、速人の奴…空気が読める読めない以前の問題で遠慮してくれる気が無いからなぁ…

わざわざ私や宵の騎士の皆を助けにくる人だし、遠慮なんてする筈ないけど。

 

 

 

 

 

それは…いいんだけど…

 

 

 

 

朝食後、速人と二人きりの状況を作り出されてまた詰め寄られるのにはさすがに困る。

心配してくれてるのは分かるけど、内容が話しにくいだけに色々と聞かれたくないから。

 

「な、何で詰め寄るの?」

「お前こそ何で逃げるんだよ。」

「ぅ…」

 

錯覚だと分かってても、どうしても残ってる穢れの感覚が速人にも伝わってしまう気がして距離を取ってしまう。

 

「大怪我、多対一と色々常人じゃ耐え切れない事を平然と過ごしてきたお前が動揺するだけの事なんだろ?何があったのか位話してくれよ。」

 

私は、真っ直ぐ目を見て問いかけてくる速人から目を逸らす。

速人が気にかけてくれてるのも、全部話した所で拒絶も軽蔑もしない事は分かってて、それでもやっぱり話したくなくて…

 

「ご、ごめん!」

「瞬間発動バインド!?至近距離とは言えデタラメな…ま、待てって!!」

 

普通に走って逃げても追いつかれるのは間違いないからバインドをかけてから駆け出した。

 

 

 

家を出た私はひたすら走る。

 

 

暫くして、街中を一人で走ってたら目立つ事この上ないという事実に気が付いた。

 

一般に知れてるのがバリアジャケット状態だけとは言え、顔見れば普通に白い堕天使だと分かる。

まさか家で気まずくなって逃げ出したなんて思う人がいる訳も無いし…

 

「とりあえずどっかのお店でも入ろう…」

 

逃げてるのに目立ってもしょうがない。

そう決めた私は、手近な店に入る事にした。

 

 

 

SIDE OUT

 

 

 

 

「くそ…魔法ももう少し使っておくべきか?」

 

かかる前なら切断も回避も簡単なんだがかかってしまうと紐解くのにかなり時間がかかってしまう。

Bまで魔力値落とされてるリライヴのバインドを解くのに完全に見失うほど時間がかかるとは…

 

「待て。」

「っと、何?兄さん。今急ぎ何だけど。」

 

リライヴを追おうとした直後兄さんに呼び止められる。

雑用なら今回は避けさせて貰おうと思いつつ振り返る。

 

「それを待てと言ってるんだ。リライヴを追うつもりだろう?」

「む…」

 

少しは予想していたが、俺を止める気で呼び止めたらしい。

 

「本人が嫌がっているものを無理に問いただすな。家から逃げ出すほど話したくない事なんだろう?」

「何だよ、察してたのか。」

 

朝逃げられたのを知らなくてもあれだけ露骨に様子がおかしくて走って逃げるような状態ならさすがに何かある事くらい気付くか。

 

「お前に悪意がない事くらい彼女も分かってる。その上で逃げているんだ、あまり困らせるな。」

 

押し売りになれば親切心だろうと大きなお世話でいい迷惑と言いたいんだろうが…

 

「それで放っておいてなのはの二の舞になる可能性とどっちが高い?」

 

黙って眺めてて、魔法を失いかけた大怪我負った時ですら人前ではニコニコと笑って見せてたなのはのようになる位なら、怒られたほうがはるかにましだ。

それにリライヴの奴はただでさえ一人で十年単位戦える馬鹿だ、下手したら相談って文字が辞書になくてもおかしくない。

 

「お前…」

「聞かれて逃げるほど嫌な事抱えてるって言うなら尚更だ、ぶっ飛ばされても俺は行く。」

 

驚く兄さんを置いて、俺はリライヴを探す為に家を飛び出した。

 

 

 

 

「って、町の人混みからどう人一人探すか…」

 

殺気もなければ殺意もなく、高い魔力も抑えられ、他に魔力を持ってる人間もその辺をうろついてる管理世界でリライヴ一人探すのはかなり困難だ。

 

女子の行きそうな場所か…

 

家でスイーツ作ってるし、服屋は何となく避けそうな気がする。

となると…とりあえず小物やアクセサリーでも売ってる店でも覗いてみるか。

決めた所で傍にある小物店を覗き…

 

 

 

淡い水色のケープを纏って笑みを浮かべて鏡に向き合っているリライヴの姿を見つけた。

 

 

 

いきなり見つかったなおい!

 

目を閉じているからか鏡に映った俺の姿に気付く様子がなく、ゆっくりと目を開いたリライヴは…

 

少しの間を置いて勢いよく振り返った。

 

「あ、え?速人?何で…」

「えーと…運かな?ちょっと俺もビックリしたけど。」

「…見た?」

「ああ。いいんじゃないか?可愛いし。」

 

向かい合っているリライヴが硬直する。

暫くそうしていたかと思うと顔を赤くしたリライヴは…

 

 

走って逃げた。

 

 

うん、それだけなら仕方ないとも思えるんだが…

 

「ば、馬鹿!お前それ会計通して無いだろ!!」

 

いろんな意味で逃がせなくなった俺は全力でリライヴを捕まえて店に戻った。

こんな馬鹿騒ぎに神速使う破目になるとは…さすがに兄さんに申し訳ないな。

 

 

 

 

揃って平謝りして店員さんに許しを貰った後、近くの店で適当に昼食を取って公園に行く。

周囲に人がいないことを確認した上で俺はリライヴと向き合った。

 

「なぁリライヴ、昔の事思い出したんだろ。夢とかか?」

「っ…」

 

俺の言葉を聞いてリライヴは顔を逸らす。

特に何もなかった日の次の日に豹変してれば原因なんて夢とか位しか想像つかない。

牢から出した時にも汚れてた事とか妙に気にしてたし、リライヴがまともに傷つく程の話なんてそう多くない。

 

「やっぱりか…昔の話だったら俺はもう知ってるし、それくらい気にしないって。それとも、思い出したせいで男に近づかれたくなくなったのか?それはそれで言ってくれれば気をつけられるし、平気でも無いのに平気なフリしないで話してくれよ。」

 

リライヴは俯く。

…まぁこれだけ追い掛け回しておいてどうかと思うが、悪夢が原因となると今すぐ打てる手はリラクゼーションや催眠位だ。しかも専門家ほど詳しい訳でも無いし。

 

「嫌だよ…」

 

少し辛そうに呟くリライヴ。やっぱり男に話す内容じゃないとか思ってるんだろうか?

 

「男相手だと警戒したいのも分からないでも無いけど、俺」

「違うよ!」

 

俺も一緒なのか?と問いかけようとして、思った以上に強い否定が帰って来た。

 

「恥ずかしいだけだってば!好きな男の人に自分が穢れた話何てしたく無いよ馬鹿!!」

 

潤んだ瞳での悲鳴じみた叫びを最後に、リライヴは去っていった。

 

 

 

 

 

「それはだめだよ…」

「最低。」

「女の敵やな。」

「フェイトはともかく、お前等揃って直球だな…」

 

リライヴの話は不用意に人に話すわけにも行かず、既に過去を知ってるなのは達三人に話す事にした。

無論、詳細を無断でばらすような真似はせず、単に『困ってるリライヴに詰め寄ったら、俺に話すのが恥ずかしいだけだった』と言う感じに簡略して。

 

最も、過去も知ってる三人は何となくで内容等を察したらしく、話した所で先の叱責を受ける事になったのだ。

 

「と、とにかく!話し辛くて一人で悩んでるとかそう言う事ならこの際俺が怒られる分には構わないから事情を聞いて対処を考えたいと思ってたんだ!」

「速人お兄ちゃんならやるよね。でも、無理矢理にでも止めて平謝りしそうなお兄ちゃんがリライヴちゃんを逃がしたって言うのもあんまり信じられないんだけど。」

「い、いやその…」

 

覚悟というのも微妙な俺の方針を、呆れ交じりにではあるが納得するなのはから、次いで出された問い。

普段なら即答する所だが、理由が理由だけに少し言い淀む。

 

 

 

 

 

 

「その…告白されてな。あまりにも予想外だったから」

「「「は?」」」

 

 

 

 

唐突な内容だから驚かれるかもしれないと思っていたのに、何故か揃って訝しげな視線を向けてくる。

 

「…なんだよ、その『何言ってんだコイツ?』みたいな目は。」

「ようわかっとるやん。」

 

嫌な予感がして抵抗してみたが、アッサリ肯定するはやて。

 

「ちなみにお兄ちゃん、説明必要?」

「えっと…はい。」

 

これ以上抵抗も何もあったものじゃないと思った俺は、なのはの提案に頷く。

 

「と言うか、なのはにしては随分丁寧な対応だな。」

「何にも分からないままお兄ちゃんが突っ走ったら酷い事になるのはリライヴちゃんだからだよ。」

「さいですか。」

 

アフターサービス的なとこまで助言をくれるほど甘いとは思ってなかったのだが、理由を聞いて納得した。

こりゃホント真面目に覚えておかないとな…

 

 

 

 

 

 

で、三人から聞いた話は、牢での話の時に俺の言葉を告白と勘違いしたリライヴが、それを茶化しつつも受け入れかけてたと言う事だった。

 

 

『ま…まぁ、嫌なものでも経験はあるから、女好きな速人を楽しませてあげられるとは思うけどね…』

 

 

うん、この話はしっかり覚えてる。

ただ…その…

 

「皮肉だと思ってたんだよな…結婚というか、身体目当てと勘違いされたからあんな事言ったのかと思って…」

「何をどうやったらそんな思考回路になるのか一度頭開いてみたい気分やな。」

「本当にうっかりですまないよその誤解は。」

 

はやてとフェイトの言葉を真剣に考える。

恋心が分からないからって理由で放置も出来ない、何より…

 

「リライヴなら恋人になるにも問題ない…どころか、俺も好きなんだけどな。」

「へっ?」

 

一同が意外そうに目を見開く。

無理も無いが、そこまで驚かなくても…

 

「ホンマか?」

「恋人とかって言われると分からないけど…内外共に気に入ってるのは間違いない。」

「あー、速人君らしいなぁ…」

 

苦笑混じりのはやてとフェイト。二人はよかったんだが…

なのはは、そこまで簡単には済ませてくれなかった。

 

「それで…お兄ちゃんはどうするの?」

「どうするのって…」

「リライヴちゃんに告白とかする気?」

 

なのはの問いかけに対して、俺は答えに詰まる。

 

告白…ね。

 

「今俺がアッサリ豹変したら、リライヴの願いを叶えるためと勘違いされそうな気もするし、さすがに即動くつもりは無いけど。」

 

俺の返答を聞いたなのはは僅かに目を細める。

 

「私が言うのもどうかと思うんだけど…今の今まで考えた事もなかったのに、動かないで結論とか変わるの?」

「いや…そうだな。」

 

咎めるような視線を向けてくるなのはの問いに、まともに反論を返すことも出来なかった。

 

正直変わるとは思えない。

 

俺もこの有様だし、この場に揃っている恋人一人いた事のない三人を見てると…な。

 

「何考えたんや?」

「いやいや別に、うん。俺は動こうかなと思っただけだよ。」

「ぐ…文句も言えん自分が情けない…」

 

歯噛みするはやて相手に苦笑しつつ、これからどうするかを考える事にした。

 

「お兄ちゃん。」

「ん?」

「どうするにしても、幸せにね。」

「…当然!ありがとななのは。」

 

情けない事この上ない相談となってしまったにも関わらず、笑顔で後押ししてくれるなのは。

俺はそんななのはに感謝と肯定の意を込めて、いつも通りの笑みで答えを返した。

 

 

 

 

Side~リライヴ

 

 

 

夕暮れ時、私は一人でベンチに座っていた。

 

「やっちゃったな…」

 

あんな話真っ向からして帰って普通に速人と向き合えるんだろうか。

正直ちょっとばかり自信が無い。

 

敵100人と戦うとかならアッサリ行くのにな…

 

外泊でもしようかな?いや、一日二日それでやり過ごしても意味は…

 

「ふぅ…やっと見つけた。」

「ぁ、速人…」

 

唐突に背後から声をかけられる。振り返るとそこにいたのは速人だった。

 

珍しく相当に汗をかいている。数時間単位で動き回っても息を切らさない速人がここまでなるにはかなり動かないといけないはず…

 

「相当探させたみたいだね、ごめん。」

「逃がしたのも俺だから気にするな。」

 

正面に回ってきて屈託の無い笑みを浮かべる速人。

結構無茶させた筈なんだけど…悪い事したな。

 

「それよりさ、聞いてもらっていいか?」

「いいよ。」

「一緒にならないか?その…恋人とかって意味で。」

 

一瞬、驚いて言葉を止める。その後、一息だけ吐いて苦笑した。

 

「速人なら言うかとも思ってたけどさ。」

「親切でか?俺もそう思われるかなとは考えてたけど。」

 

言いつつ、速人は私の両肩に手を置いた。

目線を合わせて顔を覗き込んでくる速人の様子に戸惑う。

 

「恋愛事情に疎くてさ、情けないことにお前から告白されたのが意外だったんだ。」

「嘘!?え、だっ…じゃあ…」

 

信じられない暴露にうろたえた私は、直後とんでもない事実に気付く。

 

じゃあ告白…今日初めてした事になってるの?

 

「そんな調子だけど…少なくともお前を離したくないと思った。それだけだと駄目か?」

「それは…」

 

駄目…なんて事は無い。

第一、恋愛がどんなものかよく分かって無いと言うだけなら私だって一緒なんだから。

 

王子様の救いを夢見た位で、自力で助かってからは戦い通しで暴れっぱなし。

 

速人に救われて、漸く普通に過ごせるようになった程度の私だって速人にどうこう言えるほど色々知ってるわけじゃない。

 

だけど…速人が言ってるとどうしても優しいから告げてくれただけのような気がして…

 

「やっぱり疑うよな。だから、こうするしかないかと。」

「え?んっ…」

 

 

 

 

 

考えていると、唐突に口を塞がれた。

 

 

 

 

速人の顔が目の前にあっ…て…

 

「な…ぇ?」

「という訳で無理矢理奪ってみました。気を使うとまた逃げられそうだし。」

 

少し顔を離した速人は楽しげに笑う。

私は思うように動かない手を動かして口元を覆った。

 

い、今の…キ…

 

「もし嫌だったなら平手打ちくらいは覚悟してる。」

「っ…」

 

丁度腕を振るって当てやすい距離まで顔を離した速人は、軽く首を傾けて自分の頬を打ちやすいようにする。

私は思いっきり手を振り上げて…

 

 

その手をそっと速人の頬に当てた。

 

 

照れ隠しで叩く訳にも行かないし…好きなんだから嫌な訳が無い。

 

「先に答え知ってる癖に…ずるい…」

「それもそうだな、悪い。」

 

速人は私の隣に腰掛けると、私の肩を抱き寄せる。

 

「ところで…お前が悩まされてる悪夢、解決する方法思いついたんだけど。」

 

しなだれかかるような状態でもびくともしない速人の顔を横目で窺う。

少しだけ紅い頬で、それでも満面の笑みを見せる速人。

 

 

 

 

 

 

 

「悪夢と同じ様な事を、いい思い出にする。」

 

 

 

 

 

 

 

 

答えの意味を、すぐには理解できなかった。

 

けど順を追って考えれば、何を言ってるかなんて簡単に分かる。分かってしまい…

 

私は胸を覆うように両腕を交差させて速人を睨む。

 

「ば、馬鹿!エッチ!速人の辞書には自重とか遠慮って…無いよね、そう言えば…」

 

そういう人だから救われた、そういう人だから今私がここにいられる。

分かってるけど…私ばかり恥ずかしい思いをしてる気がする。

普通の男性ならともかく、速人に限って裏なんて無いだろうし。

 

「はは、悪いな。俺ブレーキ搭載してないからさ、アクセル踏み込んだら止められるまで止まらないんだ。あ、でも嫌なら無理はしなくていいぞ?普通に一緒にいても楽しいし。」

 

とにかく楽しそうに言う速人。

色々気にしている私の方が馬鹿みたいだ。

 

「ま、何はともあれこれからもよろしくな、リライヴ。」

「うん、よろしく速人。」

 

笑みを交わして改めて挨拶した後、私達はどちらからともなく口づけを交わした。

 

 

 

 

 

 

 

 

次の朝、速人に抱きかかえられながらの目覚めだったけど、悪夢を見る事はなかった。

元々連日見る事は滅多になかったけど、宝物を抱えるような温かさに包まれていたから見なくて済んだんだって思いたかった。

 

 

 

SIDE OUT

 

 

 

 


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