なのは+『風纏う英雄』   作:黒影翼

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第九話・秘めた過去とすれ違い

 

 

 

第九話・秘めた過去とすれ違い

 

 

 

モニター越しに眺める事となった、クロスファイアによる射砲撃の連射という凄惨な撃墜から暫くして、ティアナを抱えたスバルが姿を見せた。

幽霊のように力無い足取りでティアナをつれて医務室に来たスバルは、そのままティアナの身体をそっと俺の隣のベッドに寝かせる。

 

「モニターで見てたけど、その体調にしてはマシな結果だと思うぞ。」

「え?」

「え?じゃ無いだろ。コンビのお前が彼女の全力があの程度かどうかなんて一番良く知ってるだろ。クロスファイアの映像見てみたらどうだ?」

 

瞬間、ビクリと肩を震わせるスバル。

 

俺は序盤でティアナが放った物について言ったつもりだったのだが、その後なのはが放った連撃のほうを思い出したらしい。

…あの処刑シーンは思い出したくも無いか。気持ちは分かるぞうん。

フェイトもきっと昔のスターライトブレイカーを思い出して首を縦に振ってくれるだろう。

 

スバルは憧れてたらしいし、そんな人の印象がアレのままじゃちょっと可哀想だな…

 

「これだけ完璧に意識断ち切られてれば疲れが抜けるまでは寝てる理由になる。」

 

ティアナを指して告げてやると、スバルは伏せていた目を少し開いてティアナに視線を移した。

 

「ボロボロに説教されても、寝不足疲労が溜まってても、意識があったらティアナ悩むか何かで休まないだろ。ま、あの恐ろしい教官様がそこまで考えてやったかどうかは知らないけどな。」

 

余程大切なのか、ティアナの寝顔を見つめて動かないスバル。

暫くして、一礼を最後に医務室を去って行った。

 

「…止めたかったですか?」

 

しばらくして、神妙な面持ちのシャマル先生がそう問いかけてきた。

 

「え?」

「気楽なまま話そうとして、あまり出来て無いですよ?」

 

医療担当だからか、人の違いに敏感らしいシャマル先生。

 

確かに、身体に害が出なければやりたい放題出来ると思わないようにはフェイトを打ち抜いた時に言ってあるし、それ以前に泣いてる子が撃たれそうになってれば俺は止めにはいる。

やりすぎと怒ってると思われたのだろう。

 

「あの場にいれば止めたけど。内容が『無茶をした』って意味では同じ事二回目、しかも教官の方針に相談一つなく逆らった挙句、直撃したら死にかねない設定での魔法攻撃。これだけやってまだ見捨てられて無い分大分寛大な処置だろ、組織的には。」

 

そう、見捨てられていないのだ。

別に兄妹でよく知ってるとかそういう意味ではなく、『模擬戦での撃墜扱い』だった事がそれを示している。

 

 

これだけ揃えば普通解雇…少なくとも転属させられるだろう。

 

 

だが、中止にせず模擬戦として続行。

しかも倒すだけなら自身の砲撃でやりようなどいくらでもあったのに、あえて二種のクロスファイアを使用しての技巧披露。

こんな面倒ごときっちりこなしている以上付き合いきれないとも思って無いだろうし、見捨てるつもりも無い筈だ。

 

「一から十まで話しておけばこんな事にはなって無いだろうけど、いわく付きの昔話を必ず生徒に語る先生なんて会った事無いし。教え子の一人相手であれば順当な結果でしょ?」

「冷静…なのね。」

「アイツが私情で八つ当たりに走った訳じゃない事は見てましたから。」

 

俺は言いつつ横になって眼を閉じた。

 

そう…よく見ていた。間違いなく私情に走っていない。

だからこそ、シャマル先生が心配したような苛立ちが残っている。

目を閉じ、光を絶たれた暗闇になると、嫌でもさっきの模擬戦の映像を思い出す。

 

 

 

全てを押し殺したなのはの瞳を…

 

 

 

Side~高町なのは

 

 

 

「なのは…無茶しすぎだよ…」

 

物凄く悲しそうに告げるフェイトちゃん。

フェイトちゃんは基本的に優しいから、怒るにしてもやりすぎに見えたのかな。

 

「ダメだよフェイトちゃん、ティアナが無茶するのこれで二度目だし」

「違うよ!そうじゃなくて…」

 

けど、私が言い切る前にフェイトちゃんは首を横に振った。

やりすぎだと言うつもりじゃなかったんだろうか?

だとしたら一体何を…

 

 

 

 

 

「なのは、本気の速人と同じ瞳をしてたよ。」

 

 

 

 

 

噛み砕いて、理解するのに暫くかかった。

 

 

本気の…暗殺者としてのお兄ちゃん。

感情を殺してまるで作業のように人を殺す事が出来―

 

「っ!」

 

息を飲んで固まった。

握った掌に感じられる汗の感触がいやに冷たく、震えそうになる。

 

一番…なっちゃいけないものに、私が自分から踏み込んだ?

 

疑問系にするまでもなく、しっかりと記憶していた。

 

 

ティアナの無茶を止めなかったスバルには、その結果がどうなるかを見せる為、傍にいて倒しやすかったがあえて何も出来ない状態にしてティアナだけを撃ち抜いた事。

付け焼刃を増やしてきたティアナには、自身の技法を使いこなす事だけでも戦術の幅が広げられる事を教える為、二種類のクロスファイアを叩き込んだ事。

 

 

 

それらを…何を思う事もなく『作業のように』こなしていたと言う事実。

 

 

 

少し自分が恐くなったところで、フェイトちゃんが私の手をとってくれた。

 

「二人に怒る必要があったのも、かと言って言いたい放題怒鳴りつける訳には行かなかったのも分かるよ。だけど今くらい…友達だけといる時位は無理しないで欲しいな。」

「フェイトちゃん…」

「私に位本音で話してくれると嬉しい。それが愚痴でも罵詈雑言でもちゃんと聞くから。」

 

心配してくれているのが伝わってきて嬉しかったけど、最後の物言いに苦笑いしてしまう。

 

「愚痴はともかく…罵詈雑言はいただけないなぁ。大切な教え子の陰口なんて言うような自分になっちゃったら、それこそ楽になんてなれそうも無いよ。」

「そ、それもそうだね…ごめん。」

 

軽く言ったつもりだったんだけど、悪い事をしたかのように肩を落とすフェイトちゃん。

本気で気にしてくれてる訳だし…ちょっと位話聞いてもらおう。

 

「近親憎悪…って奴なのかな。」

「え?」

「今のティアナ、分かると言えば分かるんだ。私だって魔法を知ったとき、もう戦えるお兄ちゃんが傍にいて、競い合う事になったフェイトちゃんは専門の教育を受けた一流の魔導師で、私だけ魔力が多いだけの子供だったから。」

 

私の独白に頷いたフェイトちゃんは、何処か遠くを見るように空を見上げる。

 

「その後、三人がかりでも当たり前に渡り合うリライヴが出てきて、すずかを魔導師の事件に巻き込んで…ほんと、すぐにでも強くなりたかったよね。」

「けどその結果は…」

 

無理がたたって墜ちた挙句再起不能になりかけた。

だからこそ、今のティアナを許せる筈もなく本気で怒りが湧いたんだけど…

 

「けど、よく考えたら分かる筈無いんだよね。私だって、墜ちるまで何の疑問も持ってなかったんだから。」

「なのは…」

 

出来るなら、答えを貰うばかりではいけない。

けど、道しるべも何も無いまま進んだ結果が私と同じだって言うのに…私が怒るもなにも無いんだよね…

 

「明日にでもちゃんと話してみる。ひょっとしたら、昔話もしなきゃいけないかもしれないけど…」

「私は全然大丈夫だよ。後で、はやてにも聞いてみよう。」

 

頷きあう私とフェイトちゃん。

 

 

 

直後…アラートが鳴り響いた。

 

 

 

 

Side~リライヴ

 

 

 

『おや、これは珍しい。君から連絡をくれるとは嬉しいじゃないか。』

 

ルーテシアが映し出したモニターに、スカリエッティの姿が映る。

 

『ゼストとアギトはどうしたね?』

「今別行動。」

 

簡潔に告げたルーテシアが向けた視線の先結構な距離に、ガジェットの影が見える。

距離があるから良くはわからないが、かなりの速度で海上を飛び回っている。

 

「遠くの空に、ドクターの玩具が飛んでるみたいだけど。」

『じきに綺麗な花火が見えるはずだよ。』

 

壊される前提で飛ばしているらしい。

機体の動作テストと…管理局戦力調査か。

一般魔導師ならともかく、なのは達が相手ではそれも無理は無い。

 

「レリック?」

『だったら、君に真っ先に報告しているさ。私の玩具の動作テストなんだよ、破壊されるまでのデータが欲しくてね。』

 

予想通り動作テストらしい。

けど…あの程度じゃ目新しい戦力を引きずり出す事はできないだろう。

私が出ればそれこそなのは達程度なら全力をつぎ込んできても負けない自信はあるが…コイツにデータを渡す為に戦ってやる義理は無い。

 

「壊されちゃうの?」

『ハハ…私はあんな鉄屑に、直接戦力は期待して無いんだよ。私の作品達がより輝く為に、デコイとして使うガラクタさ。』

「ねぇ。」

 

人体改造なんて趣味の悪い事を作品呼ばわりしているコイツの話をわざわざ聞いているつもりは無い。

と、それまで悦に入って語っていたスカリエッティは、そこで初めて私に視線を合わせる。

 

『君が話しかけてくれるとは思わなかったよ。で、何かな?』

「動作テストならあの辺飛んで局員に落とされるくらいで十分だよね。一応念押しておくけど、市街地なんかに飛んでいったら…うっかり貴方ごとガラクタにしかねないから気をつけてね。」

 

私の台詞に対して大げさに手を上げるスカリエッティ。

 

『それは恐いねぇ…では市街地にロストロギアが無いことを祈っておくとしよう。』

「笑顔でよく言う。」

 

警告がちっとも警告にならない。

仮に市街地にロストロギアがあってすっ飛んでいったとしても、オートだから責めるなと言われて終わる気がする。

 

「…レリックじゃないなら私には関係ないけど。でも…頑張ってねドクター。」

『ああ…ありがとう、やさしいルーテシア。』

「じゃあ…ごきげんよう。」

 

特に聞きたくも無い会話を横に、遠くを舞う機影を眺め続ける。

 

私に隠し技を晒す事を躊躇う事も…恐らく思考の端にすらいれず、自爆しかけた新米を助ける為に命をかけた速人。

彼は…まだ戦えるのだろうか?

今回の相手では怪我が治っていたところで出てはこないだろうけど、気になってしまう。

 

と、ローブを引っ張られる感触。

 

視線を下に向けると、ルーテシアがそこにいた。

 

「…気になるなら行って来てもいいよ。私もドクターの頼み、レリックと関係なくても聞いたから。」

「ルーテシア…」

 

スカリエッティは気に食わないが、一つだけ同意できる。

 

この子…優しい娘だ。

 

「大丈夫、廃品回収班になんて興味ないから。」

「…そう。」

 

笑顔で答えると、ローブから手を離したルーテシアはそれ以上何も言わなかった。

 

 

 

Side~高町なのは

 

 

 

海上に出現し、旋回飛行を繰り返しているガジェットを撃墜する為、出撃命令が出た。

相手の目的が此方の戦力調査と判断した私達は、念のため今までに見せている技術と戦力のみを使用して迎撃を行う事にした。

場所が海上なので航空戦力しか使えない為、フォワードの皆には待機していてもらう事になったのだが…

 

「ティアナは出動待機から外れとこうか。」

「っ…」

 

今のティアナを万が一にでも動かすわけには行かなかった。

心身ともにボロボロ。なのに待機から外れると聞いて見て分かるほどの驚愕を見せた今のティアナが出ればどうなるかなんて分かりきっている。

 

無理を押してでも戦って、下手をすれば私の二の舞。

 

「その方がいいな、そうしとけ。」

「今夜は、体調も魔力もベストじゃないだろうし…」

「言う事を聞かない奴は…使えないって事ですか。」

 

深い話はちゃんと時間をとってするつもりだったから、あくまで体調面だけの問題にしておきたかったんだけど…ティアナは自分から問い詰めてきた。

 

 

 

使えない。

 

 

 

ティアナが最も否定しなきゃいけない、ティアナの兄が押された烙印。

 

「自分で言ってて分からない?当たり前の事だよ、ソレ。」

 

一瞬抵抗はあったが、すぐにそう返した。ティアナが使えないとは一言も言っていないから。

フォローしてあげるほど甘いつもりは無いけど、思っても無い事は言えない。

 

けど、そこまで察してくれるだけの余裕なんて今のティアナにある筈も無く…

 

「現場での指示や命令は聞いてます。教導だって、ちゃんとサボらずやってます。」

 

ティアナからの訴えが続く中、ヴィータちゃんが止めようと進み出る。

私はそれを制した。

 

「それ以外の場所での努力まで、教えられた通りじゃないとダメなんですか?」

 

聞かなきゃならない…できるなら、こんな事になる前に話して欲しかった本心。

語ってくれると言うのなら、止めるつもりはなかった。

 

「私は…なのはさん達みたいにエリートじゃないし、スバルやエリオみたいな才能も、キャロみたいなレアスキルも無い。少し位無茶したって…」

 

どれだけ思いつめているのか体裁もなく進み出てきて訴えかけてくるティアナ。

 

 

 

が…唐突にその姿が消えた。

 

「が…っは…っ…」

「フレア空尉!」

 

無造作に、まるで捨てるように襟首を掴んで背後に放り投げたのは、本当につい最近六課に来られるようになったフレアさんだった。

背中を打ちつけたのか、息苦しそうに倒れているティアナの様子を振り返る事すらなく、フレアさんは私を睨んでいた。

 

「こんな馬鹿と遊んでいてガジェットが何処かに移動して被害を出すような事があってみろ、いくらお前でもただでは済まさん。」

「っ…」

 

教え子を馬鹿呼ばわりされた怒りと任務優先という痛い指摘が混ざって言葉が詰まる。

 

何より…無辜の民に被害が及ぶ可能性があれば、フレアさんが本気でない筈が無い。

今これ以上を望めば本当にただでは済まされないだろう。

 

ヴィータちゃんに手を引かれ、私はヘリに乗り…

 

「ティアナ!思いつめちゃってるみたいだけど、戻ってきたらゆっくり話そう!」

 

完全に乗り込む前にそれだけ告げた。

 

 

 

 

「なのは…その、大丈夫?」

 

飛び立ったヘリの中、フェイトちゃんに心配そうに聞かれ、頷き返す。

 

「あんなに思いつめてたんだな…って。」

 

こなしてきた無茶の量に、成果にこだわりすぎる傾向。

今更ではあるけど、改めて本気で思い悩んできたんだと思い知った。

 

私は評価に思い悩む気持ちはそこまで強く分からないから、無茶してでも強くなりたいって気持ちが同じだっただけで分かった気になってたのかもしれない。

 

「ほっときゃいいんだよあんな馬鹿。」

「ヴィータちゃん…」

 

真っ先にティアナの無茶を気にかけて何かあったのか聞きに来たヴィータちゃんが心配していない訳が無い。

けど、ヴィータちゃんは気にする様子もなく続ける。

 

「自分がどれだけ恵まれてるのかも分かって無いクセにあんな台詞が吐ける馬鹿なんか気にするだけ無駄だ。」

 

そっけなく言い放ったヴィータちゃんの台詞を聞いて、フェイトちゃんが小さく笑う。

 

「ヴィータはなのはが一番心配なんだよね。」

「なっ…ばっ…何でそうなんだよ!」

 

うろたえるヴィータちゃん。

その様子が、フェイトちゃんの指摘が当たっている事を示している。

 

「ありがとうヴィータちゃん。」

「うっせぇ!!」

 

私がお礼を言うと、ヴィータちゃんは赤い頬のまま目を逸らした。

 

 

 

Side~スバル=ナカジマ

 

 

 

あんまりだと…そう思った。

 

努力すれば必ず叶う、とまでは言わない。

今のティアの抗議がこの場にふさわしい物じゃない事も分かってる。

 

でも、頑張ったんだ。

 

本気で考えて、きつい練習して、それでもティアが言っていたように任務や訓練をサボってた訳じゃない。

その結果が実らないどころか、こんな槍玉に挙げられて…

 

「何故こんな奴を使っている?」

 

挙句、いきなり外部から来た人にこんな事まで言われるなんて、どうしても納得できない。

フレア空尉はあたし達など目にも映っていないかのようにシグナム副隊長に問いかけ、シグナム副隊長は眉一つ動かさずにフレア空尉を見返していた。

 

「お前が口出しする事じゃない。」

「確かにそうだが、前線で背後から撃たれては致命だからな。」

 

瞬間、支えているティアの身体がビクリと震えた。

 

ホテルアグスタでの誤射…

 

あれから、失敗を取り返す為に、このままじゃダメだって努力してきたのに…

よりにもよって、今そんな事言う必要があるのか!!

 

「私は白い堕天使への対策で呼ばれている身だ。一瞬の隙も作りたくは無いが、敵以外にまで気を配るとなると」

「何で…そこまで言われなきゃればいけないんですか?」

 

あたしは立ち上がっていた。

 

「失敗して…今のままの自分じゃダメだって頑張って…それが間違いだったから負けたって言うだけなら分かります。でも…これじゃあまるで頑張る事そのものがダメみたいじゃないですか!!」

 

言ってしまってから、上官への物言いじゃないと気づく。

でも止める事は出来なかった。

 

振り返ったフレア空尉は、あたしと眼を合わせる。

 

「結果がお前達にとって不満なものであれば、ダメだったんだろう。」

「な…」

 

何の迷いもなく返したフレア空尉に言葉が詰まる。

そんなあたし達の耳に、信じられない追撃が飛び込んできた。

 

「ティーダ=ランスターの無駄死にを誇るような勘違いをしているからそうなる。」

 

一瞬…頭が真っ白になった。

無駄死に…だって?誇るような勘違い…だって?

 

 

ふざけるな!!!

上司とか関係なしに全力で拳を振るいそうになる。

 

 

が、その瞬間、炸裂音が響き渡った。

何が起こったのかと視線を向けると…

 

 

「その口を閉じろ。」

 

 

フレア空尉の顔面へ迫っていったらしいシグナム副隊長の拳が、空尉の手によって止められていた。

音からして、多分全力。

 

色々と驚いたあたしは、結局動けずに立ち尽くしていた。

 

「聞いてきたのは彼女だ、それにいい機会でもある。」

「何…」

 

フレア空尉は、あたし達…フォワードの四人を視界に納めるように向きを変える。

 

「やってよかったで済むのは一般人の特権だ。護り手の敗北は護られている者の死に繋がる、何とかしようとしたとか強くなろうとしたなどといった話はどうでもいい。誤射と敗北、それがお前達の結果だ。」

「そんな…」

 

あたしは何も言い返せなかった。

死に繋がる。それはあたしを助けに来た速人さんが変わりに重体になって思い知っているから…

 

「護り手に言い訳は無い。結果が出てしまえば言い訳する対象は亡くなるのだから。」

 

誰一人、返せる言葉もなく沈黙が流れ…

 

 

 

 

ボキン…と、骨が折れたような音がした。

 

 

 

「貴…様っ…!!」

「腕外れちゃったなぁ…言い訳できない護り手のフレアさん。」

 

肩を抑えて大きく飛びのいたフレア空尉の後ろには、意地悪な笑みを浮かべてフレア空尉を見ている速人さんの姿があった。

 

 

 

SIDE OUT

 

 

 

 


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