土曜日――つまり、トリプルデートをする当日、俺と煉馬と燐は約束の場所で話をしていた。
「……お願いが「「却下」」まだ何も言っていない」
「だって、大体想像つくんだもん」
「というわけで、霞とのデート、楽しめ♪」
「……(ガックリ)」
うぉ、すっごい落ち込んだ、今。
別に霞は迷惑とかにならないはずなんだけどな。……一点を除けば。
そんな風に話しているうちに、女子軍が来た。
「……………(ダバダバ)」
「……煉馬、鼻血が出てる」
「つーか出すな」
煉馬は俺の横で鼻血を出していた。しかも大量に。
………なんか最近、煉馬が変態化してきたような気がするのは俺だけか? 俺だけなのか?
それにしても、神崎が前よりオシャレしているような……気のせいか?
「お待たせ~♪」
「どうや? 結構イケてるやろ♪」
「燐、どうかな? 似合ってる? 変じゃない?」
神崎と清海は俺と煉馬にどうかと聞いてきて、霞は燐に迫っていた。
ちなみにこの時、燐の頬が染まっていたのを、俺は見逃していないぞ。
「それじゃあ、行くか」
「え? うん、そうだね」
俺は4人をその場に放っておき、神崎と一緒に遊園地の中に入った。
*
その頃、煉馬&逢歌ペアは……
「あれ? 透達は?」
「なんや、もう行ってしまったんか? 案外小鳥遊君も乗り気なんちゃう?」
「…………………」
「? どうしたん?」
「いや……何でもないよ。早く入ろう」
「???」
煉馬に促されるがまま、2人も遊園地に入って行った。
煉馬の表情が曇っていたことに気づかずに―――。
*
「「……………死ぬかと思った」」
俺と神崎はさっきの入ったお化け屋敷から出てきたんだが……正直言ってヤバい。怖いからとかじゃなくて、生命の危機的に。
何故か床がツルツル滑るし、滑った先にナイフの刃がこっちを向いた状態でセッティングしてあるし、壁からは矢が、天井からは大量のタライが落ちてくるし……あれ? なんだこれ? 本当にお化け屋敷か? ここは。
「神崎、なんか飲むか? 買ってくるぞ?」
「あ、何でもいいからお願いします……」
状態的にかなりへばってるな。
まぁ、あれはへばらない方がおかしいというかなんというか……。
とりあえず、飲み物を買ってくるか。
何でもいいって言ってたし……あったのでいいか。
*
この頃、燐&小雪ペアは……
「燐、あ~ん♪」
「……あ~ん」
もぎゅもぎゅ
「こっちも、あ~ん♪」
「……あ~ん」
もぎゅもぎゅ
「おいしい?」
「……(コクリ)」
……………普通にイチャイチャしていた……。
*
俺は適当に飲み物を買った後、神崎のところに向かっていた。
「お待たせ。ココアでよかった?」
「うん、大丈夫だよ。ありがとう」
あ、笑った。可愛い……。
って、違うっ! 別に神崎に惚れたとかじゃないからな!
「そ、そろそろ行くか?」
「あ、うん。そうだね」
神崎はそう言うと、俺の横に来た。
……まぁ、目線は俺の手にいっているけどな。
俺はこっそりため息をつき、神崎の手を握った。
「え、あ、小鳥遊君!?」
「勘違いするなよな。はぐれると困るだけだからな」
「……うんっ♪」
そして俺達は歩き始めた。
そう、俺は幸せだったんだ。
この時までは――――。