遊戯王GX 凡骨のデュエルアカデミア   作:凡骨の意地

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えー、先に謝罪します。タグにシンクロ、エクシーズはなしと言いましたが……すいません今回は使います!!申し訳ありません!!
ですが、これは一応使うキャラにはそれなりの理由は用意しますし、それをずっと使い続けるとか、汎用エクシーズを使って俺TUEEEEEEをしたりは一切しません。
まあ、何で使うかっていうと……青眼の白龍とブラックマジシャンのエクシーズシンクロが出たからです……それ使いたいんですよ涙。

そういうわけですのでタグを修正し、シンクロエクシーズを少し使用しようと思います。本当に申し訳ありません。それでもいいというならお付き合いください。


第十八話:海馬VS青眼の白龍を使う男

 海馬の乗るジェット機は、日本にある孤島、デュエルアカデミアを目指していた。目的は、そこに襲撃してくる7人の刺客を討伐し、三幻魔の復活を阻止するためである。未来から来たというあの女を信用していいのかはわからないが、不安要素は排除しておくに越したことはない。

 

(三幻魔のカードか……一度見て見たい気もするがな)

 

 海馬は三幻魔のカードを見たことはない。存在自体はオーナーである以上把握はしているのだが、どんな効果を持っているかどうかはよく知らない。もしかしたら遊戯の持つ三幻神に匹敵する効果を持っているのかもしれない。

 それならば是非とも手に入れたい。

 

(問題はそのカードを制御できるかどうかだな) 

 

 神のカードは所有者が認められなければ扱うことができない。もし誤って使ってしまったら命さえ奪われるかもしれないほど危険だ。だから下手に手に入れられない。

 だがそれだけの力を制すれば、最強になったも同然の事だ。これさえあれば、長年の宿敵である武藤遊戯にも――そして"奴"にも勝利することができる。

 光の中に消えていった、決闘王にも勝つことができるのだ。

 

「必ず手に入れてやるぞ……三枚の、カードを」

 

 海馬はアクセルを目一杯入れて、ジェット機を加速させた。三幻魔の眠る地まで、急がなければーー。

 

「……ん?」

 

 海馬はふと脇を見る。海馬が操るジェット機の隣に、並んでいるものがあった。いたってシンプルなデザインのジェット機で、海馬のブルーアイズジェットに比べたら小物のようなものだ。

 だが、世界最速レベルのジェット機に並んで飛べるのはどういうことか。サイズは海馬のジェット機の半分くらいしかないのだが。

 海馬が顔をしかめたその時、通信用のモニターに通知が来た。海馬は応答ボタンを押す。

 

「何者だ?」

 

「…………お前は、海馬瀬人か」

 

「いかにもだ。貴様は何者だ?」

 

「すまないが、今は名乗ることはできん。だが、貴様をもっともよく知るものとだけは言っておく」

 

「俺をよく知っている奴だと? どういうことだ?」

 

 海馬は頭の中で人物を思い浮かべる。自分を知る人物といえば弟のモクバ、磯野などの海馬コーポレーションの社員、遊戯、凡骨などのデュエリストだ。しかし彼らがこんな悪ふざけをするとは思えない。

 

「俺の正体を知りたくば、デュエルしろ」

 

「…………」

 

 こいつ、何が目的だ?

 デュエルを挑むだけなら普通にデュエルしようと言えばいいだけの話だ。だが奴は正体を明かさないどころかデュエルを強要してくる。それにはきっと、何かわけがあるのだろう。

 

「いいだろう、貴様が何者かは知らんが、デュエルは受けて立つ。俺に勝負を挑んだことを、後悔させてやろう」

 

「それは楽しみだ。今の貴様に、この俺が倒せるとは思えんがな」

 

(今の貴様……? それはどういう意味だ?)

 

 引っかかる言葉が耳に入り、一瞬目を細めるが海馬は近くの離島に視線を向けて、そこに進路を変更する。

 土煙を巻き上げながら両機共に着陸する。エンジンを切ってジェット機から降りるとすでに一人の男が腕を組みながらたっていた。

 

「…………」

 

 海馬はその男を観察する。髪は茶色、顔は仮面に被われていて表情は見えない。身長は高く、黒のコートを羽織っている。コートというが実際は翼状に後ろに広がっており、風にたなびく様子もないので中に針金でも入っているのだと思う。そう、まるで自分の愛用の白いブルーアイズコートにそっくりなのだ。

 

「ではデュエルを始めるぞ。デュエルディスクを構えろ!」

 

「いいだろう……行くぞ!!」

 

 海馬と男は一斉にデュエルディスクを展開して、一斉に叫んだ。

 

「「デュエル!!!!」」

 

 海馬は早速カードデッキに手をかけて、ドローする。

 

「先攻は俺がもらう! ドロー!! 俺は《カイザー・ブラッド・ヴォルス》を特殊召喚する!!」

 

カイザー・ブラッド・ヴォルス 星5 ATK1900 獣戦士族 地属性

 

「なるほどな……確かに俺のフィールドにモンスターはないから特殊召喚はできる」

 

「ふん、知っていたか。俺はカードを伏せて、ターンエンドだ」

 

「俺のターン、ドロー。俺はフィールド魔法《ユニオン格納庫》を発動! 効果により《Bーバスター・ドレイク》を手札に加える! さらに俺は《Aーアサルト・コア》を召喚する!」

 

Aーアサルト・コア 星4 ATK1900 機械族 光属性

 

 草木しかない無人島が突如殺風景な工場へと変わっていくのを海馬は顔をしかめながら見た。奴が召喚したのはユニオンモンスターでこのフィールドは恐らくそれをサポートするものだ。海馬が使っていたXYZのシリーズに似ている奴だが、これも強力な合体効果を持っているのか。

 

「そしてモンスターが召喚されたことにより《ユニオン格納庫》の効果発動! デッキより新たなユニオンモンスター、《Cークラッシュ・ワイバーン》を装備カード扱いで特殊召喚する!!」

 

Aーアサルト・コア+Cークラッシュ・ワイバーン ATK1900

 

「そして魔法カード《二重召喚》を発動!! このターン俺はもう一度召喚ができる!! 俺が召喚するのは、《Bーバスター・ドレイク》だ!!」

 

Bーバスター・ドレイク 星4 ATK1500 機械族 光属性

 

(A、B、Cが揃った……ということはまさか!?)

 

「《Aーアサルト・コア》、《Bーバスター・ドレイク》、《Cークラッシュ・ワイバーン》をフィールドから除外して、合体召喚する!! 現れろ、《ABCードラゴン・バスター》!!」

 

ABCードラゴン・バスター 星8 ATK3000 機械族 光属性

 

 三体のモンスターがガチャンガチャンと合体して、新たな機械のドラゴンを誕生させた。この合体モンスターには強力な効果が秘められている。海馬は警戒を強めた。

 

「ABCードラゴン・バスターの効果を発動! 手札を一枚捨てて相手のカードを一枚除外する!! 俺が除外するのは、《カイザー・ブラッド・ヴォルス》だ!!」

 

 機械のドラゴンの顎から次元の彼方に葬るエネルギーが放たれる。もしこれで除外されてしまったらダイレクトアタックで大きなダメージを受けてしまう。

 そう計算した海馬はリバースカードをオープンした。

 

「させるか! リバースカードオープン、速攻魔法《禁じられた聖杯》! 相手モンスターの攻撃力を400アップさせ、効果を無効にする!!」

 

「凌いだか……だが戦闘で破壊するまでだ! 喰らえ、《ハイパー・ディストラクション》!!!!」

 

 機械のドラゴンがXYZと同じ必殺技でカイザー・ブラッド・ヴォルスに襲いかかる。対抗するすべなどなく、破壊されてしまう。

 

海馬LP:4000→2500

 

「くっ……だが、《カイザー・ブラッド・ヴォルス》の効果も発動させてもらう! 戦闘で破壊され墓地に送られたとき、相手モンスターの攻撃力を500ダウンさせる!!」

 

ABCードラゴン・バスター ATK3400→2900

 

「俺は一枚伏せてターンエンドだ。エンドフェイズに禁じられた聖杯の効果は切れる」

 

ABCードラゴン・バスター ATK2900→2500

 

「行くぞ、俺のターンドロー!! 俺は魔法カード《トレード・イン》を発動!! 手札から《青眼の白龍》を墓地に捨て、デッキから二枚ドローする!」

 

「青眼の白龍……!」

 

 相手はわずかに反応を見せる。海馬は笑みを浮かべながらある魔法カードをさらに発動した。

 

「そして俺は速攻魔法《銀龍の咆哮》を発動! 墓地の《青眼の白龍》を復活させる!! いでよ、我が最強にして美しい僕、《青眼の白龍》!!!!」

 

青眼の白龍 星8 ATK3000 ドラゴン族 光属性

 

 地中から輝きを放ち、咆哮をあげながら舞い上がったのは最強クラスのモンスター、青眼の白龍。海馬が酔いしれるその強さは全てを打ち砕き、勝ちを約束する。

 相手も青眼の白龍を見つめ、身構える。当然だろう、これほどのドラゴンを前にして余裕でいられるはずがないのだから。

 

「……やはり現れたか、青眼の白龍」

 

「バトルだ!! 青眼の白龍でABCードラゴン・バスターを攻撃だ!! 滅びの……バーストストリィィィィム!!!!」

 

 ブルーアイズの顎が開き、機械のドラゴンを粉砕すべく青白いエネルギーが一気に放出される。

 

「この瞬間モンスター効果発動! このモンスターを分解し、除外されている三体のユニオンモンスターを特殊召喚する!!」

 

 機械のドラゴンが分解し、ブルーアイズの攻撃を紙一重で避ける。なるほど、回避能力も持っていたのか。

 

Aーアサルト・コア DEF1200

Bーバスター・ドレイク DEF1800

Cークラッシュ・ワイバーン DEF2000

 

「躱されたか。ならばAーアサルト・コアに攻撃だ!! 滅びのバーストストリーム!!」

 

 攻撃を中断したブルーアイズが再び牙を剥け、機械のモンスターを破壊した。

 

「まだ攻撃は終わらんぞ!! 速攻魔法《竜の闘志》を発動! このターン相手フィールドに特殊召喚されたモンスターの数だけ追加攻撃できる!! 貴様が召喚したのは3体、よって俺はあと3回攻撃できる!! まずは残りの二体を破壊しろブルーアイズ!!」

 

 二連続で攻撃を放ち、フィールドの壁となっている二体のユニオンモンスターを破壊する。

 

「そして貴様にダイレクトアタックだ!! 滅びの、トリプルバーストストリーム!!!!」

 

 4回目となるブルーアイズの攻撃を食らえば大ダメージを受けてしまう。それを相手は計算し、一枚のカードを発動させた。

 

「罠カード発動、《ダメージ・ダイエット》!! このターン俺が受けるダメージを半分にする!!」

 

「だが、攻撃は喰らってもらうぞ!!」

 

「ちっ……」

 

男LP:4000→2500

 

「俺はカードを伏せてターンエンドだ。さあ、貴様のターンだ!!」

 

 互いにライフは並んだ。しかも相手の手札は僅か1枚。この状況を逆転できるカードはあまりないだろう。

 この勝負はもらった。海馬は確信に満ちた笑みを浮かべた。

 

「俺のターン、ドロー! …………」

 

 男は、自分が引いたカードを凝視し続けている。なにか、迷っているような感じだ。海馬は目を細めてじっと見つめる。

 

(一体奴は何を考えているのだ? デュエルの戦略を練っているのかもしれんが、一枚のカードだけを見続けるのは変だ。複数枚のカードを使わなければコンビネーションは組めない)

 

 手札全体に視線を配るのは自然であり、それに伴う長考は仕方ないと海馬は思っている。しかし男の場合はただ一枚のカードを見つめているだけだった。

 

「……やむを得まい。まず俺は魔法カード《強欲で貪欲な壺》を発動! デッキの上から裏側で十枚除外してデッキから二枚ドローする!!」

 

 男はようやく動き、ある魔法カードを発動した。しかし海馬は疑念を隠せなかった。

 まず海馬の知らないカードであること、そしてそのカードの性能の低さにだ。

 

(何故わざわざデッキの上から10枚を裏側で除外してまで二枚ドローをするのだ? はっきりいって強欲な壺を使った方が強いはずなのだが……)

 

 ドローカードを積むという意味でそのカードを採用しているというならわかるのだが、それならばもっと優良なカードはあるはずだ。

 

「……そして、俺は、このモンスターを召喚する!」

 

 不可解な魔法カードのあとにモンスターを召喚した。海馬は警戒を強めながらフィールドをみる。

 だがーー

 

青き眼の乙女 星1 ATK0 魔法使い族 光属性 ????

 

(何だこの表記は……?)

 

 モンスターのステータスがデュエルディスクに表示されているのだが、?マークに隠されている。?がつくことなんて今までなかった。となれば故障なのか。

 

(……いや、故障などあり得ない。現にこうして作動している以上、正常とみるべきだ。となれば、今ここに存在しているモンスターは海馬コーポレーションのデータベースに存在していない、ということか)

 

 もちろん?がつくケースはあることはある。例えば自らが製作したオリジナルカードの場合だ。しかしその場合はオリジナルと表記され、公式デュエルでは使用できなくなる。だが、そんな表記は一切ないのでこれは普通に使用できる部類だ。

 ソリッドビジョンに映し出されたモンスターをみる。女性型モンスターで名前通り青い目をしている。しかしこんなモンスター、みたことがない。

 いや、謎が色々あっても一つだけ間違いをおかしているのがわかることがある。攻撃力0のモンスターを攻撃表示で召喚していることだ。もしこれでダイレクトアタックと同じことになってしまうのでかなり危険な戦法だ。恐らく攻撃を誘っているのだろう。

 

「そして俺はこれでターンエンドだ」

 

「なっーー!?」

 

 挙げ句の果てにはなんの防御も構えないではないか。一体何が狙いなのだ?

 

「俺のターン、ドロー!!」

 

 カードをドローした海馬は改めてモンスターをみる。何があるというのだあのモンスターに。

 まあいい、攻撃すれば何かわかる。海馬は意を決して攻撃した。

 

「バトルだ!! ブルーアイズでそのモンスターに攻撃!! 滅びのバーストストリーム!!!!」

 

 か弱い乙女にブルーアイズの口から太い光線が放たれる。この攻撃が通れば、勝利は確定する――。

 だが、彼女に当たる直前、光線は弾けとんでしまった。

 

「な、何っ!?」

 

 海馬は狼狽する。なぜ攻撃が通らない? モンスターの特殊効果が発動したというのか。

 

「……《青き眼の乙女》が攻撃対象になったときに発動する。表示形式を変更し、手札、デッキ、墓地からーー」

 

 男は海馬のフィールドにあるブルーアイズに人差し指を向ける。

 

(青き眼……ま、まさか!?)

 

「《青眼の白龍》を一体特殊召喚する!!!!」

 

「ば、ばかな……!?」

 

 乙女の周りが光に包まれ、その横に光の柱が天から刺さる。そこから破って現れたのはーー。

 世界に所持者は海馬ただ一人とされている、最強のドラゴン、青眼の白龍だった。

 

青き眼の乙女 ATK0→DEF0

青眼の白龍 ATK3000

 

(こ、こんなことが……!?)

 

 海馬はしばらく動けなかった。自分以外に青眼の白龍を使うものがいて、且つ自分の知らないサポートカードが誕生しているとは。

 だが今はデュエル中だ。思考を切り替えてゲームを進める。

 

「くっ……バトルフェイズを終了し、カードを三枚伏せてターンエンド……!」

 

「俺のターン、ドロー。俺は、新たなフィールド魔法《光の霊堂》を発動!」

 

 殺風景な工場が一瞬にして消えていき、今度は威風堂々とした霊堂が現れる。そこには美しい竜のオブジェが何体も飾られており、青眼の白龍を連想させる。

 

(まさかこれも、俺の知らない青眼の白龍のサポートカードなのか……!?)

 

 海馬の予想は、嫌でも当たってしまう。

 

「俺は《青き眼の祭司》を召喚する! このカードが召喚に成功したとき、《青き眼の護人》を手札に加える!! さらに《光の霊堂》の効果発動!! もう一度光属性レベル1モンスターを召喚できる!! 俺は先程手札に加えた《青き眼の護人》を召喚! さらにこのカードが召喚に成功したとき、二体目の《青き眼の乙女》を特殊召喚する!!」

 

青き眼の祭司 星1 ATK1500 魔法使い族 光属性 ???

青き眼の護人 星1 DEF1300 魔法使い族 光属性 ???

青き眼の乙女 ATK0

 

「一気に三体も……!?」

 

「まだ俺のメインフェイズは終了していない! 俺は……レベル1《青き眼の乙女》にレベル8《青眼の白龍》をチューニング!!!」

 

「…………!?」

 

 チューニング? どういう意味だ?

 デュエルにおいてそんな言葉は存在しないはずーー。

 だが……二体のモンスターは突如真っ白な光に包まれた。

 

(何が……どうなっているんだ……!?)

 

 二体のモンスターが上空へと飛び上がり、やがて合わさっていく。激しい光がフィールドを包み込み、視界がホワイトアウトする。

 

「いでよ、シンクロ召喚!! レベル9《青眼の精霊龍》!!!」

 

??? 星9 ATK2500 ドラゴン族 光属性 

 

 白く染まる視界の中で、何かが誕生した。海馬は目を少しだけ開け、その姿を確認する。デュエルディスクの表示は、どうやらデータにないようで役に立たない。

 

(白銀の……龍だと?)

 

「何だその召喚方法は……!?」

 

 海馬は狼狽しながら尋ねる。フィールドのモンスターを融合なしで墓地に送って融合するなんて、聞いたことがない。

 

「これはシンクロ召喚というものだ。チューナーと呼ばれるモンスターとそれ以外のモンスターのレベルを合計した分のレベルのモンスターが融合デッキから特殊召喚されるのだ。それをシンクロモンスターという」

 

「つまりレベルの足し算をしてその結果強力モンスターが生まれる仕組みというわけか……」

 

「そういうことだ。この場合は《青き眼の乙女》チューナー、《青眼の白龍》がそれ以外でこのレベルの合計は9。よってレベル9のモンスターが特殊召喚されたのだ。因みにこのモンスターは1ターンに1度だけ墓地で発動する効果を無効にし、さらに二体以上の同時特殊召喚が封じられるのだ」

 

「……厄介な効果だな」

 

 青眼の白龍と乙女がシンクロ召喚をして、こんな姿になった。海馬の全く知らない進化だ。まさか自分以外のものがこうした召喚方法にたどり着けるとは……。

 ならこいつは一体誰なんだ? もしかしたらこいつは……遊戯すら超越するほどの決闘者かもしれない。

 

「貴様……何者なんだ……?」

 

 今の海馬に威圧できるほどの力はない。あまりに相手の力が強すぎる。青眼の白龍を自分以上にうまく使いこなすデュエルタクティクスに震えるしかない。サポートカードも海馬の知らないものばかりで青眼の白龍使いとしてのプライドがズタズタだ。

 

「……それはまだ、教えられない。貴様自身で答えを導いてほしい」

 

「何だと……!?」

 

 答えを教えてくれなかった。何故教えない? 海馬に教えない理由がどこにあるんだ?

 海馬は問い詰めようと口を開く。だが、その前に男が動いた。

 

「まだ俺のターンは終わらないぞ! 俺は《光の霊堂》のもう一つの効果を発動する! 二体目の《青き眼の乙女》を対象にとり、デッキから通常モンスターを墓地に落とし、落としたモンスターのレベル×100だけ攻撃力が上昇する。俺が落とすのは《青眼の白龍》、よって攻撃力は800ポイントアップする!!」

 

青き眼の乙女 ATK0→800

 

(何故乙女の攻撃力を上げる必要があるのだ? 青眼の白龍に使えば相討ちにならずにすむのだが……)

 

 アタッカーでもないモンスターの攻撃力をあげたところでなにもならない。それはどんなに実力のないデュエリストでもわかることだ。

 だが男の狙いは、攻撃力を上げることではなかった。

 

「ここで《青き眼の乙女》の効果発動!! このカードが効果の対象になったときに《青眼の白龍》を手札、デッキ、墓地から特殊召喚する!! 俺はデッキより3体目の青眼の白龍を特殊召喚する!!」

 

(これが狙いか……!?)

 

 海馬は下唇を噛みながらフィールドを睨む。奴の狙いは乙女の効果を着実に発動させ、二体目の青眼の白龍を呼び出すことだ……!

 乙女が呪文を唱え、再び光の柱が降り注ぐ。そして白き龍が雄々しく吼えながら現れた。

 

青眼の白龍 ATK3000

 

「ぐっ……!」

 

「さらに俺は《青き眼の祭司》にたった今召喚された《青眼の白龍》をチューニング!! シンクロ召喚だ!! 現れろ、二体目の《青眼の精霊龍》!!!!」

 

「またかっ……!!」

 

 二体目の青眼の精霊龍が現れ海馬は驚愕した。一体何体強力モンスターが立てばいいのだろうか。

 

??? 星9 ATK2500 ドラゴン族 光属性

 

 これでシンクロ召喚によって誕生したドラゴンは二体、攻撃力は2500と低めだがそれでも安心できない。何か手を打たないはずがないのだから。

 

「そして俺は魔法カード《龍の鏡》を発動する!! 墓地の《青眼の白龍》三体を除外してーー」

 

(ま、まさか……!?)

 

「現れろ、融合召喚!! 《青眼の究極竜》!!!!」

 

青眼の究極竜 星12 ATK4500 ドラゴン族 光属性

 

「やはりかっ……!!」

 

 青眼の白龍三体が融合して誕生した究極にして最強モンスターを見て海馬は冷や汗が垂れてくる。いつもは自分が使っていてこのモンスターで様々なデュエリストを粉砕してきた。だが今は敵となって現れている。

 

「そして最後に……俺は《青眼の精霊龍》の効果を発動!! このモンスターを生け贄にし、同じレベルのシンクロモンスターを守備表示で融合デッキから特殊召喚する!! 現れろ、《蒼眼の銀龍》!!」

 

??? 星9 DEF3000 ドラゴン族 光属性

 

 精霊龍が消滅し、新たな命となって生まれ変わった。青眼の白龍にそっくりの銀龍は激しい息吹を吐きながらこちらを睨み付ける。

 

「こいつが特殊召喚されたとき、フィールドのドラゴン族は効果の対象にならず、破壊されない!!」

 

「厄介な効果耐性を付与するのか……!!」

 

 海馬は悔しそうに顔を歪める。海馬の伏せカード二枚は《聖なるバリアーミラーフォース》と《収縮》で、両方とも男のドラゴンには効かない。

 

「その様子だと、ミラーフォースあたりでも伏せていたようだな。だが、ミラーフォースでは俺の攻撃は防げないぞ」

 

 おまけに罠も見破られてしまっている。これはかなり不味い状況だ。

 

「これで終わりだ! 青眼の究極竜で青眼の白龍に攻撃だ!! 滅びのアルティメットバースト!!!!」

 

 三つの首が一斉にエネルギーをチャージし、一気に青眼の白龍へと放出する。究極の次元へと高められた攻撃に青眼の白龍が叶うはずもなく、散ってしまう。

 

「ブルーアイズ……!」

 

海馬LP:2500→1000

 

「そして、青眼の精霊龍でダイレクトアタック!! 滅びのスピリットバースト!!!!」

 

 精霊の力を宿した龍が身体中に纏う光を解放し、口の中へと集中させていく。そして、全力の一撃を海馬へと向けて放った。

 だが男は歓喜に満ちた表情は、しなかった。こんなところで敗北するとは、思えなかったからだ。

 

(この男なら、ここで終わりにはならない)

 

 男の予想は、果たして裏切られなかった。

 

「この瞬間、速攻魔法《非常食》を発動する! 伏せてある《聖なるバリアーミラーフォース》、《収縮》を墓地に送り、2000ポイント回復する!!」

 

海馬LP:1000→3000

 

「魔法、罠カードを墓地に送って一枚につきライフを1000回復するカード……なるほど。看破された罠を消し去ってライフに変換したか。だが、攻撃は止まらない!! やれ、精霊龍!!」

 

 青眼の精霊龍の攻撃は止められず、そのまま攻撃は受けてしまう。

 

海馬LP:3000→500

 

「俺の攻撃を耐えきるとは大したものだ……ターンエンド」

 

 怒濤の大型モンスターの連続特殊召喚、そしてそのあとの攻撃。海馬はようやくのターンエンドに息を吐く。

 まさか自分の知らない、シンクロ召喚というものを見せられるとは思わなかった。おまけに今自分はピンチに陥っている。それも、自分しか所有者のいないはずの青眼の白龍によって。

 

「フッ……フフフフ……」

 

 海馬は思わず笑いがこぼれる。ピンチのときこそこうして笑えるのは、決闘者としての性なのだろう。

 

「全く……いま俺は驚いているぞ!! 貴様という存在に、貴様のデュエルに、そして貴様と戦っている俺の心が高ぶっているということになぁ!!!!」

 

 ワハハハハと高笑いしながら海馬は叫ぶ。男はそれをただ見つめているだけだ。

 

「この俺と同じ青眼の白龍を使うものよ……俺は負けるわけにはいかない! だから俺は勝たせてもらうぞ!! 例えどんな状況であろうとも、俺は負けんぞ!! 俺のターンーー」

 

 海馬は魂を込めてデッキに手をかける。

 

(このデュエルに勝ち、貴様の正体を暴いてやる……そして、そのシンクロ召喚を俺は、修得してみせる!!!!)

 

 海馬の野望にカードは答えてくれるのか否か。教えてくれるのは、カードだけだ。

 

「ドローッッッ!!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




海馬のシンクロと遊戯のエクシーズくらいですね、いまのところ使おうと思うのは。あとは敵だけです。
城之内でレッドアイズのエクシーズがわんちゃんって感じ?まあただ城之内デッキでは難しそうですが。

この男が誰かはきっと想像がつくはず。

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