ガンダムビルドファイターズ 勝利の栄光をヅダに!   作:MR.ブシドー

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部長である双雲が逃走し、静かになった模型部は一息入れようと日曜日を休みにする

そんな日曜日に亮のスマホに着信が入る



兄さんが大好きな妹なだけだよ

「カラオケ?」

『うん。今日は部活が休みだし、皆で遊んでみないかって先輩が』

「なるほどね」

 

 

 部活が休みになった日曜日の朝、亮はPCで人気の某ブラウザゲームをしていた。すると着信メロディーが流れたので電話に出ると晃にそう言われた。

 

 

『それでどうかな?』

「特に用事もないし行くかな。何時集合なんだ?」

『10時頃だね。集合場所は模型店の前で……それと先輩が出来れば美桜ちゃんもって……』

「あーわかった」

 

 

 桜は美桜の事が可愛くて、懐いて欲しいらしく色々な事をしているのだが、全て失敗している。

 亮は少し気になり、美桜に桜の事をどう思っているのか聞いてみたのだが、「嫌いじゃないよ。けど、好きでもないかな。だって……色んな意味で少し怖いんだ」と言っていた。

 ちなみに愛にはとても懐いているため、どうしたらそんなに懐かれるのか必死に桜は聞いているらしい。

 

 

『あ、これは別件だけど……頼まれているものは明後日ぐらいには出来ると思うよ』

「本当か? 助かるよ」

『うん。それじゃ、また後でね』

「わかった。じゃあな」

 

 

 亮は電話を切って立ち上がり、“亮のベッドで寝ている美桜”を見る。

 

 

「美桜、そろそろ起きろ」

「ん……なんだい、兄さん? 私は、もう少し兄さんの匂いに包まれて寝ていたいんだけど……」

 

 

 美桜は肩を揺すられ眠そうに目を擦りながら目を覚まし、家の中や2人きりの時ではいつも通りな発言をする。

 外や他に人がいる時にはキリっとしている美桜だが、実はひどいブラコンで、亮が好きすぎてたまらないのだ。

 

 

「まったく……お前も結構アレだよな」

「なんだい? 兄さんの可愛い妹の私が変態だと言いたいのかい兄さんは。私はただの兄さんが大好きな妹なだけだよ」

「ハァ……とにかく、10時に模型部で集まってカラオケに行くがどうする?」

「兄さんが行くのだろう? もちろん行くさ」

 

 

 キリっとなる美桜に亮は溜め息をつくと、本題を言い美桜はすぐに行くと言う。

 

 

「なら軽い朝ごはんを作っておくから、自分の部屋で着替えてこい」

「わかった」

「って、なんでここで脱ぎ始めるんだよ!」

 

 

 自分の部屋で着替えるように言ったはずなのに、なぜか美桜はその場で服を脱ぎ始めたのだ。

 美桜は不思議そうに首を傾げてから亮の服しか入っていないはずのタンスの一番下を開けると、その中に美桜の服がギッシリ詰まっていた。

 

 

「なんで美桜の服が俺のタンスの中にあるんだよ! つーか元々あった俺の服はどうしたんだ!!」

「それなら私の部屋のタンスの中にあるよ」

 

 

 さらりとそれが普通の事のように言う美桜に亮はもう何も言うまいと思い、美桜が完全に脱ぐ前に部屋から出ていくと朝食の支度を始めた。

 そして朝食を食べ終え支度を済ませると、約束の時間である10時前に模型店の前に美桜と行った。すると、志織が挙動不審な様子で1人で立っていた。

 

 

「早いな志織。まだ結構時間に余裕あるぞ?」

「ヒャッ!? や、矢倉さん……?」

「わりぃ、驚かせたみたいだな」

 

 

 亮は挨拶のつもりで後ろから志織の肩をポンと軽く叩いたのだが、かなり驚かせてしまいすぐに謝る。

 

 

「い、いえ。あの……おはよう、ございます……」

「ああ。おはよう」

「 Доброе утро 神通さん」

 

 

 美桜のとてもいい発音の言葉に志織はなんと言ったのかがわからず、首を傾げて困った様子で亮を見る。

 

 

「ロシア語でおはようって意味だよ。美桜はなぜか結構ロシア語使うんだよ」

「そ、そうなんですか……」

「どうだい? 神通さんも覚えてみないかな?」

「え、遠慮しておきます……」

「Так ли это, жалко」

 

 

 志織は苦笑いで美桜の誘いを断り、亮は溜め息をついた。

 

 

「まだ集合まで時間あるし、中を見とかないか?」

「私は賛成だよ、兄さん」

「そう、ですね……ご一緒します……」

 

 

 3人で模型店に入っていくと、店内には数多くのガンプラが置かれている。そして冷房が効いており、丁度いい湿度であった。

 

 

「あ、いらっしゃませー……って矢倉先輩!?」

「久しぶりだな、亜御」

 

 

 元気よく挨拶して驚いたのはこの模型店の店主の一人娘で亮の1歳年下の鳳千 亜御で、亮が通っていた中学の後輩だ。

 セミロングの茶髪を一房のポニーテールに纏め、紅白の鉢巻きに店のエプロンをしていた。

 

 

「あの、知り合い……なんですか……?」

「ああ、俺の後輩だよ。よく俺の後ろについて回ってたんだよなー」

「そして私の事をよく面倒見てくれる人でもあるね」

「本当に亜御には、いつも助かってるよ」

「い、いえ、そんなことないですよ」

 

 

 亜御は手をヒラヒラと左右に振り否定するが、頬を朱色に染めて恥ずかしそうにしていた。

 そして、なにか思い出したような表情をして美桜を見る。

 

 

「美桜ちゃんに頼まれてたの完成したけど……どうする? 今持ってこようか?」

「本当かい? ならお願いするよ」

「それじゃ少し待ってて!」

 

 

 パタパタと店内を走り奥に行く亜御を見てから、亮と志織は首を傾げて美桜を見る。

 

 

「お前、何を頼んだんだ?」

「戻ってくればわかるさ」

「ふーん?」

 

 

 戻ってくればわかるかと思い待っていると、亜御は両手で大事そうに何かを抱えて戻って来た。

 

 

「はい、頼まれていたガンプラ、ブレイヴよ」

 

 

 亜御の手によって渡されたのは、美桜の髪色と同じ銀色をしたブレイヴであった。

 見たところ亜御が苦労してカスタマイズし、作り上げたのだろう。

 

 

「хорошо! 予想以上の出来だよ」

「えへへ……これでもこの模型店の一人娘なんだから! それじゃ、約束通りよろしくね?」

「понимание。わかっているさ」

 

 

 美桜は亜御から銀色のブレイヴを受け取ると、オマケなのか持ち運び用のケースも受け取り、それに仕舞う。

 

 

「悪いな亜御。ちゃんと料金払ったのか、美桜?」

「心配ないさ。それも含めて約束しているから」

「いったい何の約束したんだ?」

「それは兄さんにもсекретさ」

「なんなんだか……」

 

 

 訳がわからないなっと亮が思っていると店の外に聞き慣れた声が聞こえて来たので、亜御に挨拶し今度お礼すると言いつつ別れ、晃達と合流してカラオケに向かった。




っと言う訳で模型部の休日編で、次回はカラオケでそれぞれ歌います

亮の妹の美桜も自分専用のガンプラGET!
グラハムも乗っていたブレイヴを、美桜色に染め上げた機体です!

そしてもう1人出てきた模型店の一人娘で亮の後輩である亜御
彼女の物語も同時進行で書いて行こうと思うのでよろしくお願いします!

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