ガンダムビルドファイターズ 勝利の栄光をヅダに! 作:MR.ブシドー
色々(双雲がいきなり帰って来て、再びお土産渡されたり)とあって、あっという間に地区大会第2回戦当日となった。
今日は第1試合のため全員が早めに集まり、念入りに準備をしている。
「っと言うかヒルドルブ変わり過ぎじゃないか?」
「そ、そうでしょうか……」
1番手である志織の愛機であるヒルドルブを見たのだが、その姿はかなり変わっていた。
っと言うよりもヒルドルブではなく、桜と同じく別作品の機体になっている。
見るからに分厚い装甲、両腕には複数のマシンガンを束ねたオートキャノン、肩には何やら武器が内蔵されており背中にはアーム、ミサイルカーゴ、レールの3つで構成された非常に危険な匂いがする装備を装着していた。
「確かに……ヒルドルブだったってわかる部分は脚部と色だけ……かな?」
この装備には流石の晃も微苦笑していた。
蒼城学園模型部は段々と変な方向に進み始めているような気がしてならない。
『それでは第2回戦第1試合を始めます! 1番手の方は筐体前へ!』
「そ、それじゃあ……行ってきます……」
「おう、頑張れよ!」
見送られてから志織は筐体の前へ行き、深呼吸をするとGPベースとガンプラをセットする。
チームの流れを決める重要な一戦……志織はかなり緊張していた。
プラフスキー粒子でフィールド――アフリカ砂漠が形成される。
「神通 志織、ヒルドルブ・グングニール、出します」
カタパルトから飛び出したヒルドルブ・グングニールはグルグル回りながら着地をした。
見た目の割りに動きが機敏過ぎて、会場から「おぉー」っと歓声が上がる。
「全システム問題なし……行くよ、グングニール」
ヒルドルブ・グングニールは動き出し、双方はすぐにお互いに見付けた。
敵機は伏せの姿勢で走行しているオレンジ色の機体――ラゴゥである。
ヒルドルブ・グングニールは両腕のオートキャノンをラゴゥに向け……発射した。
『そんなのってあり?!』
その弾幕はとてつもなく、あまりの事にラゴゥを操縦している人物も驚いて、離れつつ逃げ回っている。
さらに追い討ちをかけるように、両肩からはミサイルが発射される。
この弾幕が酷すぎると思っていると弾切れなのか弾幕が薄くなり、ラゴゥの操縦者はチャンスと思い反転し向かうのだが、ヒルドルブ・グングニールは恐ろしい準備を開始していた。
背中に搭載されているパーツが組み立てられ、それは大空に向けられる。
あ、これは間に合わないかな? っとラゴゥの操縦者は思ったが、自分のラゴゥのスピードを信じて突撃したのだが……無慈悲にそれは放たれる。
そして空高く撃ち上げられたミサイルはラゴゥ目掛け、落下してしてきた。
『うん…………無理♪』
ラゴゥの操縦者はアッサリ諦めた。
ミサイルは避けたのだが、広範囲の爆風に呑まれてしまう。
それを見ていた亮たち蒼城学園の各々は……志織が搭載した武器にかなり引いてしまった。
あの装備だけは変更した方がいいのではないかと、真面目に考えてしまっている。
『Battle Ended』
ヒルドルブ・グングニールを回収して戻って来た志織は亮たちの様子を見て……不安になってしまう。
亮は志織の肩にポンっと手を置いてからすぐに筐体に向かった。
今回は地上戦なためヅダ改ではなく、イフリート・ブレイズの出番である。
『さ、さぁ次は2番手のバトルになります!』
「矢倉 亮、イフリート・ブレイズ、出撃する!」
イフリート・ブレイズはカタパルトを飛び出し、ホバリングしながらフィールドのギリギリな所を移動し始めた。
イフリート・ブレイズのステルス能力を生かし、闇討ちするつもりなのだが……この砂漠のフィールドでは隠れる所がまったくなく、正面での戦いになるであろう。
それでも少しでも有利に進めるために遠回りして、後ろから襲おうと考えているのだ。
目視でなければこのイフリート・ブレイズは見付からないはず……なのだが、すぐに見付かってしまった。
流石に砂漠に紫色は目立ってしまう。
敵機はフルアーマースレイヴ・レイスであった。
「今回のバトルは弾幕重視なのか?」
イフリート・ブレイズを見付けたフルアーマースレイブ・レイスは、背部75㎜ガトリング砲とミサイルを遠慮なく発射してきた。
もっと距離が近ければイフリート・ブレイズにも出来ることがあるのだが、距離が遠ければフルアーマースレイブ・レイスの独壇場である。
「なら……やるしかないよな? 行くぞブレイズ!」
《EXAMシステム、スタンバイ》
イフリート・ブレイズのカメラが赤くなり、動きが変わる。
イフリート改やブルーデスティニーシリーズに搭載されている、ニュータイプに打倒・駆逐するために作られたシステムだ。
イフリート改では短時間でオーバーヒートしてしまうため、長時間扱う事ができないのはイフリート・ブレイズでも変わらない。
「だから……一気に決めさせて貰うぞ!」
フルアーマースレイブ・レイスの背部75㎜ガトリング砲を避けながら、ミサイルはヒート・ソードで斬り落とし接近して行く。
あまりの勢いで接近された事にフルアーマースレイブ・レイスは後ろに逃げようとするが、それよりも先にイフリート・ブレイズのヒート・ソードが背部75㎜ガトリング砲を斬り裂いた。
「ここからは……俺のターンだッ!」
逃げようとするフルアーマースレイブ・レイスを逃がさず、左右のヒート・ソードを交互に振るいどんどん斬り刻んでいく。
亮にいたぶる趣味はないため、フルアーマースレイブ・レイスの武装を全て斬ると胴体を真っ二つに斬り裂いた。
『Battle Ended』
『勝者は蒼城学園! 前回も含めて4連勝だー!!』
亮はガッツポーズをして勝利に喜び、戻ると晃とハイタッチする。
連勝の波に乗れている蒼城学園はすぐに第2試合があるため、片付けをすると持ち場を空けてからロビーに移動した。
「
「流石お兄ちゃんたちね!」
ロビーでは既に美桜と霊香が待っており、亮を見付けると勢い良く抱きつく。
そんな二人の頭を亮が撫でると、ニコニコと嬉しそうであった。
「蒼城学園の模型部の皆さまですね?」
ロビーで話をしていると、見知らぬ白髪混じりの男性が亮たちに話しかけてきた。
男性は燕尾服を着ておりここでは場外れな気もするが、動き一つ一つが違う。
「そうですけど、貴方は誰ですか? っと言うか何の用なんです?」
「失礼しました。私の名はアンドレイと言う者で、本日は主がお呼びですので是非とも御同行をお願いしたく思いまして」
「主? ……っと言うか見知らぬ人に付いていくと思ってるんですか?」
晃が最もらしい事を言うが、誘拐ならこんな人が多い所でする訳もないだろうと思い、何より蒼城学園全員と言うこともないであろう。
亮だけは主っと言う言葉に嫌な予感がしたが、真実を確かめるには付いて行くしかない。
「たぶん大丈夫だよ。付いて行こう」
「り、亮くん!? 本当に大丈夫なの?」
「俺の予想が正しければ……ですけどね。でも行くしかないでしょ先輩」
桜は亮の言葉に溜め息をつき、「仕方ないわね」っと呟いた。
「付いて行きますけど……本当に大丈夫なんですよね?」
「はい。それでは皆さま此方に……」
アンドレイが先導して駐車場に向かうと……そこには1台の高級車が止まっていた。
「り、リムジンとか……嘘でしょ?」
そう、駐車場に止まっていたのはリムジンであった。
お抱え運転手が運転することを前提とした大型の乗用車であり、セレブの必須アイテムではないかと思われる物だ。
「どうぞ皆さま」
アンドレイがドアを開け、恐る恐る順番に中に入って行ったのだが、桜や晃に霊香は非常にソワソワしている。
逆に亮や美桜は非常に落ち着いており、愛にいたっては何時も通りであるのだが。
リムジンは目的地を目指して動き出した。
「愛ちゃんはともかく……なんで亮くんたちは落ち着いてるの?」
「だいたい予想がついてるからと……過去に同じような経験があるからですよ、先輩」
「いったいどんな人生歩んでるのよ……」
リムジンはしばらく走り続け、とある建物の前で止まる。
「皆さま、到着致しました」
「う、嘘……」
「ここってこの辺で一番高いレストランじゃ……」
目的地はこの辺では一番有名で高いレストランで、普通ならば一生の内に来ることがあるかわからない店である。
アンドレイに案内されてエレベーターで最上階まで行くと、亮と美桜にとって予想通りの人物が待っていた。
「やっぱりお前かよ……アーニャ」
「久しぶりだお亮♪」
波に乗って書いてしまいました(笑)
志織ちゃんは機体を新しく、ヒルドルブ擬きのヒルドルブ・グングニール
そして新キャラの娘-アーニャは以前に少しだけ出てきた娘ですね
っと言うわけでヒルドルブ・グングニールの紹介に移ります!
機体名
ヒルドルブ・グングニール
武装
両腕:オートキャノン
両肩:高速ミサイル
背部:ヒュージミサイル
備考
志織がコツコツと(魔)改造したヒルドルブ
装甲は分厚く、武装の数はそれを補う弾数の多さに高威力のミサイルを積んでいる
名前の由来はオーディンのあだ名である戦の狼-ヒルドルブと名付けられているので、オーディンのもっていた武器であるグングニールから付けられた