ガンダムビルドファイターズ 勝利の栄光をヅダに!   作:MR.ブシドー

22 / 38
食い千切らせてもらったわよ

 亮たちはその日にバトルがある学校に与えられる控室に居た。

 控室にはバトルの情況が判るようにTVや、作業机などが設置されている。

 

 

「それじゃ第1試合のメンバーを発表するわよ」

 

 

 記入用紙を持っている桜がそう言うと、最後の点検などの作業を中断して視線が集まる。

 晃だけは愛のアストレイロストフレームの改造に集中しているが、作業経過を観る限り試合には間に合わないであろう。

 

 

「1番手は私ね。あいにく私は突っ込む事しかできないから、切り込み役は任せてもらうわよ。それで2番手は亮くんだけど……問題ある?」

「問題ないですよ。勝利の栄光を確実にもたらしてみせます」

「最後は……志織ちゃんにお願いするわ。愛ちゃんが間に合うようなら問題なかったんだけど、作業経過を見る限りね……」

「だ、大丈夫……です! やってみせますから!!」

 

 

 志織は緊張しているのか、顔を真っ赤にして珍しく大きな声でそう言った。

 これで順番も決まった……後は試合開始まで待つばかりである。

 

 

『蒼城学園のメンバーの方はバトルフィールドの方へお願いします』

「出番ね……絶対に勝って、次に繋げるわよ!」

 

 

 全員が頷き、片付けをしてから控室を出て、バトルフィールドへと向かった。

 観客席は全て埋め尽くされ凄い歓声が響き渡っており、志織はかなり怖がっている。

 

 

『さぁ本日の第3試合、蒼城学園対卍丞高校になります! 1番手の方は筐体の前へ!!』

 

 

 桜は自分の愛機を手に筐体の前まで行くと、反対側には男子生徒が同じ様に立っている。

 バトル筐体にGPベースとガンプラをセットし、プラフスキー粒子が展開されてフィールド――宇宙を形成した。

 

 

「行くわよトールギス……新しくなった貴方の初陣よ! トールギスⅣ、獅子骨 桜で行くわよ!!」

 

 

 カタパルトを飛び出した桜のトールギスは、普通のトールギスではなくなっていた。

 右腕にはリボルビング・ステークを装備し、左腕には三連チェーンガン、両肩には大量のベアリング弾を内蔵している。

 全体の装甲もさらに強固になり、背部のスーパーバーニアも改造し今まで以上の加速性能を有しているのだ。

 もはや別作品の機体と言える機体になってしまっている。

 

 

「良い加速ね! さてと敵は……見付けた!」

 

 

 相手の機体はビームライフルとシールドを持ち、灰色と黒色に塗装されたゲルググであった。

 カスペン専用ゲルググをモチーフに組み上げられた機体であろう。

 

 

「とにかく先手は取らせてもらうわよ!」

 

 

 トールギスⅣは左腕の三連チェーンガンを発射すると、ゲルググは回避してからビームライフルを発射してくる。

 ビームを避け、トールギスⅣはそのまま加速して突撃した。

 

 

「初戦だし大盤振る舞いよ! 全弾持っていきなさい!!」

 

 

 至近距離まで接近するとトールギスⅣの両肩が開き、大量のベアリング弾が発射される。

 大量のベアリング弾にゲルググは驚き、慌ててシールドで防ぎ致命傷を避けるも、右腕を失いシールドもボロボロになってしまった。

 そして動きが止まったゲルググの胸部に、トールギスⅣは容赦なくリボルビング・ステークを突き刺す。

 

 

「フフ……食い千切らせてもらったわよ」

 

 

 桜は唇をペロッとなめるとリボルビング・ステークが鈍い音を立ててゲルググを貫き、バトルが終了する。

 バトルが開始されてすぐの出来事で観客など付いていけておらず、数秒の間が空いてからわぁぁぁぁっと歓声があがった。

 

 

「どんなもんよ!」

 

 

 桜はトールギスⅣを持つと此方に見せつけるように突き出した。

 かなり意外であった桜の勝利によって、蒼城学園はとてもいいスタートダッシュができた。

 だが、まだまだバトルは続く。次は亮の番である。

 

 

「次もバッチリ決めてよね」

「わかってますよ、先輩」

 

 

 亮は自分のヅダ改を見ると頷いて、桜とハイタッチして筐体の前に立った。

 初めての公式戦であり、ヅダの存在を証明できる場でもある。

 1度深呼吸をしてからGPベースとガンプラをセットし、プラフスキー粒子は再び宇宙空間を作り出す。

 

 

「矢倉 亮、ヅダ改、出撃する!」

 

 

 カタパルトから宇宙空間に飛び出したヅダ改はすぐに敵を探す。

 だが先にアラートが鳴り響き、メガ粒子の塊がすぐ横を通り抜けていく。

 次第にメガ粒子は細くなり、ヅダ改が見た先にはビグロの下に大型のコンテナを搭載したビグ・ラングが現れていた。

 周囲にはザク・マシンガンや対艦ロケットなど装備した、多数の駆逐モビルポッド――オッゴの姿もある。

 

 

「先輩の時のゲルググといい、ビグ・ラングとオッゴとか……俺と同じ同志かよ」

 

 

 バトル中でありながら亮はつい微笑んでしまう。

 このバトルが終わったら是非とも話し合いたいと思いながら、バトルが本格的に開始された。

 多数のオッゴが動き出し、ヅダに襲いかかる。

 

 

「って言うかこんなの有りなのかよ!」

 

 

 いくらモビルポッドと言えど、1人で多数の相手をするようなモノだ。

 オッゴから放たれる弾丸を避けながら、ヅダ改は対艦ライフルを発射する。

 的確に1機ずつ落としていかなければビグ・ラングに戻り応急処置して再び戻ってきてしまう。さらにビグ・ラングからの攻撃にも注意しなければならない。

 メガ粒子砲が直撃してしまったら、ヅダ改はひとたまりもない。

 

 

「ちょこまかしやがって……いい加減に落ちろ!」

 

 

 対艦ライフルの残弾が少なくなり、痺れを切らしてビグ・ラングに最後の1発を発射した。

 最後の1発はビグ・ラングに命中する前に、1機のオッゴが庇い防がれてしまう。

 ヅダ改が対艦ライフルを投棄しザク・マシンガンを装備すると同時に、ビグ・ラングがメガ粒子砲を発射した。

 

 

「このタイミングで撃つのかよ!」

 

 

 ヅダ改はメガ粒子砲を避けるも、射線上にいたオッゴは薙ぎ払われた。

 そのビグ・ラングの行動に亮は怒りを覚えてしまう。

 MS IGLOOの同志だと思えたが、今の攻撃で亮は違うと判断する。

 これはガンプラバトルであると解ってはいるのだが、それでも亮は今の攻撃が許せないのだ。

 残りのオッゴをザク・マシンガンで撃墜するとヅダ改はザク・マシンガンを手放す。そしてヒート・パイルを装備すると同時に熱気を纏った。

 

 

「……終わらせてやる」

 

 

 ビグ・ラングは対艦ミサイルを発射してくるが、突破してから一気にビグ・ラングに接近すると真っ正面からヒート・パイルを打ち込むのではなく、真上からヒート・パイルを打ち込んだ。

 しかしヒート・パイルは鈍い音を立ててビグ・ラングに命中したのだが、一撃で決められなかった。

 意外に硬いビグ・ラングに驚くも、続けてヒート・パイルを使用してバトルが終了する。

 

 

『初日の第3試合、卍丞高校と蒼城学園のバトルは蒼城学園が先に2勝したので蒼城学園の勝利となります』

 

 

 アナウンスにより会場に歓声が沸き上がった。

 亮もヅダ改を回収すると筐体から離れ模型部の仲間の方に行くと、全員とハイタッチをして喜びを分かち合う。

 まずはストレートで初戦を突破出来た。

 2回戦もこのようにすんなりと決まればいいのだが、そう甘くはないであろう。




亮たちの第1回戦の相手は桜はカスペン専用ゲルググで亮はビグ・ラングでした!

ビグ・ラングはもっと活躍させたかったのですが……ビーム撹乱膜とか実弾onlyのヅダの前では無力というか……

とりあえず桜のトールギスⅣの説明になります!

名前
トールギスⅣ

武装
頭部:ヒート・ホーン
右腕:リボルビング・ステーク
左腕:三連チェーンガン
両肩:クレイモア

備考
桜が大会用に新しく組み上げたトールギス
全身の装甲がかなり強固になり、背中のスーパーバーニアを改造して今まで以上の加速度を誇る
戦闘に関して不器用であり考えることが苦手な桜が、スピードと防御を両立させ敵を真っ正面から襲えばいいと言う考えの機体
ハッキリと言えばスーパーロボット大戦のアルトアイゼンである

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。