ガンダムビルドファイターズ 勝利の栄光をヅダに! 作:MR.ブシドー
亮のヅダに対するは黒聖学園の澪が操るシナンジュ・アナザー
亮はヅダと共に模型部を救うことはできるのか?
宇宙に飛び出したヅダに亮は興奮し、場違いにも嬉しく思っていた。
愛するヅダを自分の手で操れることがとても嬉しいのだ。
「っと集中しないとな。この戦いに模型部の未来がかかっているんだし」
亮のヅダは両手で135㎜対艦ライフルを持ち、左肩のシールドにシュツルム・ファウスト、脚部にヒート・ホークとザク・マシンガン、両腰にザク・マシンガンのドラムマガジン装備している。
周囲を警戒しつつ進んで行くと、前方からビームが迫ってきた。
「うわっ!」
慌てて回避すると、ビームが来た方向から澪のシナンジュ・アナザーがビーム・ライフルを構えているのが見えた。
シナンジュは赤い彗星の再来と呼ばれるフル・フロンタルの愛機で、驚異的な性能を持っているMSだ。
「今の射撃をかわしますか。基本的なことは出来るみたいですね」
慢心……いや、この場合は余裕であるのだろう。
最初のビーム・ライフル一発で簡単に終わらせられるだろうと澪は思っていたのだ。
いくら実力があるからと言っても、それは相手にとって失礼じゃないかと食い付きそうになるが我慢した。
実力で見返してみせる……亮はそう考えたのだ。
澪が余裕そうにして油断している、それが経験値に圧倒的差がある亮にとって唯一の勝機なのかもしれない。
「この程度のことで返答をする余裕もないのですか?」
「そんな訳ねーだろ。その鼻っ面をへし折ってやる」
「いいでしょう。出来るものならやってみなさい…出来るもの、ならね」
澪のシナンジュはビーム・ライフルを連射してくるが、亮のヅダはそれをかわしながらチャンスを
この距離なら、ヅダはシナンジュの攻撃をかわし続けられる。
「ちょこまかと……いい加減当たりなさい欠陥兵器!」
「当たるかバカ」
その場の射撃ですぐに仕留められると思っていたのだろうが、亮のヅダはかすり傷一つ負わずビーム・ライフルを避け続けた。
そして僅かな隙を見つけ、その瞬間に135㎜対艦ライフルを初めて発射する。
「やったか?」
135㎜対艦ライフルは見事にシナンジュに当たるが、爆煙で撃墜確認はできなかった。
だがこの一撃で終わるとも思えず警戒を続けると爆煙が晴れ、そこにはシールドを構えているシナンジュがいた。
「タイミングは中々でした。ですが……その程度の火力でこのシナンジュ・アナザーを貫けるとでも?」
「想定以上に堅い訳だな。135㎜対艦ライフル食らって無傷とか勘弁しろよ」
艦に対して有効打を与える対艦ライフルをMSに対して使ったのだ。
当たればたまったものではないはずなのに、それをシールドで難なく受け止めたことに流石に驚きを隠せなかった。
この対艦ライフルがダメならヅダの最大の武器である“速さ”を生かした攻撃しかない。
だがその場合、どれぐらいの負荷まで平気なのかまったくわからないのだ。
「どうしました? 来ないのなら……こちらから行きましょう」
「ッ!!」
澪のシナンジュ・アナザーも速かった。
機体各所のスラスターを使い、隕石を蹴りながらコチラに迫ってくる。迷っている暇はなかった。
亮は決意して135㎜対艦ライフルを放棄しヅダのブーストを解放すると、瞬時に亮のヅダは周りに熱気を纏い背中のバーニアを使い加速した。
「なっ! 速い!?」
これこそヅダの強みであり、弱点でもある真のブースト性能だ。
機体への負荷はとてつもなく、背中に搭載されている土星エンジンはある数値を越えると暴走して自壊する危険性が高い。
だが逆に、その数値の内ならば問題はないということでもある。
「どうした? お前のシナンジュは欠陥兵器にも追い付けないのか?」
「この私に……欠陥兵器の分際で嘗めるな!!」
シナンジュ・アナザーの後ろに回り込むとヅダは蹴りを入れてから距離を取り、ザク・マシンガンを装備し挑発をしてから背を向け、高速機動に誘い込む。
まさかヅダに蹴りを入れられると思ってなかった澪は、その挑発に乗ってしまい最大速度でヅダを追いかけた。
「頼む……持ってくれ、ヅダ……」
追ってくる機体こそ違うが、これは
ヅダの性能の証明、そして模型部のために……ヅダは加速し続けた。
「バカですね……このまま進み続ければエリアオーバーで終わりです」
「知ってるさ。だから……こうするんだよ!」
ヅダは減速することなく急激な方向転換をし、シナンジュ・アナザーに突撃する。
突然のことにビーム・ライフルを構えようとするが、高速機動中のため照準がブレてヅダの右足だけを吹き飛ばす。
この一撃で撃墜されないのであれば、次はこちらの最大の一撃の番だ。
「な!?」
「勝利の栄光を模型部に!」
左肩のシールド・ピックを展開してシナンジュ・アナザーに突き刺し、減速することなく進み続ける。
「まだだ!!」
しばらく進むと左腕は肩の付け根からもげてしまい、機体はシナンジュの脇を通り抜けてしまう。しかしすぐに反転し、至近距離でザク・マシンガンを撃ち続ける。
ザク・マシンガンは次々と命中し、そして……とうとうシナンジュ・アナザーは爆発した。
『Battle Ended』
システム音声が鳴り響くと、プラフスキー粒子が解放される。
フィールドの上にはヅダの左肩から先が突き刺さり、至近距離でザク・マシンガンを受け続け敗北したシナンジュ・アナザーと、右足と左腕を失いボロボロになりながらも勝利したヅダの姿だけ残された。
「私の……シナンジュ・アナザーが……負けた……?」
「……勝った、のか?」
バトルが終わり、亮は勝てたことが信じられないのか操縦桿を持っていたポーズのままで固まっていた。
桜に晃、愛も信じられないのかお互いに顔を見合せ、わぁ! っと歓声をあげてから二人が亮に抱き付いた。
「やったじゃないの亮くん!」
「本当にヅダでシナンジュに勝ってしまうなんて信じられないよ!」
「ちょ、苦しい! 苦しいから!!」
亮はもみくちゃにされ苦しそうにしてしまう。
愛は二人より遅れて亮に近付く。
「……部を、救ってくれてありがとう」
愛はその瞳を潤ませて亮に抱き付き、その様子を見ていた澪は悔しそうにしながら奥で腕を組んでいた男子生徒に近付き頭を下げる。
「部長……すみません。黒聖学園の名に泥をつけてしまいました……どうか私に退部をご「その必要はない」部、長……?」
「これでお前も自分の弱点がわかっただろう。それを以後に生かせばそれでいい。それに……彼は興味深い。勝とうが負けようが収穫はあった」
「……ありがとうございます部長」
しばらくして解放された亮は笑顔で澪に近付き、右手を突き出した。
「何のつもりですか? 敗北した私に……」
「何のつもりって……握手だよ。お前、強かったぞ」
「……ハァ。次は負けませんから」
澪は亮と握手して、蒼城学園の黒聖高校との練習試合は4戦1勝3敗という結果で幕を降ろしたが、亮の活躍によってなんとか勝ち取った1勝は大きく、部の存続も決まった。
黒聖高校が帰って行くと、ようやく一息つけた。
「よし、今日は打ち上げだよ! 近くの食べ放題に行こう!」
「そんなお金どこにあるんですか?」
「部費から出すから問題なし!」
桜と晃が騒がしくしている中で、亮は机の上に寝かせた愛機のヅダを見た。
バトル前は新品同然の如く綺麗であったのに、今はその面影はなくボロボロである。しかし、今はそれが誇らしく思える。
「……お疲れ様、ヅダ。今はゆっくりと休んでくれ」
どうでしたかね?
戦闘描写が難しくとても苦労しました・・・
これからも頑張りますのでよろしくお願いします!
蒼城学園模型部
部 長-3年 ? ?
副部長-2年 獅子骨 桜
部 員-1年 山 根 晃
部 員-1年 御 影 愛
仮部員-1年 矢 倉 亮