ガンダムビルドファイターズ 勝利の栄光をヅダに! 作:MR.ブシドー
ヅダに勝利の栄光を!
ヅダはもうゴーストファイターじゃないんだからな
「お願い……力を貸して」
「は?」
蒼城学園に入学した矢倉 亮はクラスメイトの女子である御影 愛に呼ばれ、放課後の夕暮れの校舎裏の木の下に二人でいた。
入学してすぐに告白なのか! っと慌てていたリョウはなんとか平常心でいたのだが……期待していた告白の言葉ではなく、それは力を貸して欲しいと言う言葉であった。
「……力を、貸して欲しいの。部を守るために」
「部を守るため? どう言うことなんだ?」
がっくりとしていた亮は部を守るためにという所に反応し、聞き返してしまう。
亮は気が優しく、他人のために余計なことによく首を突っ込んでしまう性格なのだ。
「付いて来て」
歩き出した愛に付いて行く。
しばらく歩くとプレハブの中に入り、その中央には巨大なシートに覆われたモノと一人の男子生徒と女子生徒が居た。
「愛ちゃんお帰りー」
「あ、愛お帰りー。彼がそうなのかな?」
「そう」
「えーっと、はじめまして?」
よくわからないまま、首を傾げ挨拶をするリョウ。
女子生徒は恐らく先輩で、男子生徒は同級生だとリボンやネクタイの色で判断できる。
「はじめまして……だね。私は二年の獅子骨 桜だよ」
「ボクは山根 晃。君と愛と同じ一年生だね」
「矢倉 亮ですけど……力を貸して欲しいってどういうことですか?」
「…………説明してないのね、愛ちゃん」
「言ったよ。部を守るためにって」
お互いに自己紹介をしてから詳しい内容を聞こうと桜と晃に問いかけたが、キョトンとしてから愛の方を二人同時に見た。
愛にいたってはポテチの袋を開封してポリポリと食べているのだが、その一言に二人はため息をついてがっくりとしてしまう。
「愛ちゃんが任せてって言ったの、信用するんじゃなかったわね……」
「アハハハ……愛は前からああでしたよ先輩。それじゃボクから説明するけどいいかな?」
亮が縦に頷くと、晃はニッコリと笑顔で説明を始めた。
「まずボクらは模型部の部員で……廃部寸前の部活なんだ」
「模型部? それに廃部寸前のって……」
模型部は亮が興味を持っていた部活動の一つで、昼休みにポスターをじっと見ていたこともあった。
この部に入れば、部屋に飾っているアレももっと上手く作り上げることができるんじゃないか? と思いながら。
その部が廃部寸前だと聞いて亮は顔をしかめた。
「部員は先輩とボクに愛とここにはいない部長だけで、今度の練習試合に勝たないと廃部なんだ」
「模型部なのに練習試合って可笑しくないか? 普通にコンテストとかじゃ……」
「模型部って言ってもボクらのメインは…………これだからね」
「これって……」
シートで覆っていた巨大な何かはガンプラバトルをするための機械である、ガンプラバトルシステムの筐体であった。
「ガンプラバトルのシステムだよ」
「なら練習試合もこれの……」
「そうだね。私たちは今度のガンプラバトルの練習試合に勝たないといけない。そのために君の力を貸してくれないかな?」
「わかりました。力を貸しますけど、俺…………初心者ですよ?」
「へ?」
「え?」
亮の発言に晃と桜は硬直し、ギギギと音が鳴りそうな感じで未だにポテチを食べている愛を見た。
「ちょっと愛ちゃんどういうこと! 即戦力じゃないじゃない!」
「だって、模型部のポスターをじっと見てたから」
「あーもー!」
「なんつーか……ごめんなさい」
申し訳なさそうに謝ると、慌てている桜と晃は覚悟を決めた眼でリョウを見た。
その眼はまるで、肉食動物が獲物を目の前にしている時のようなギラギラとした眼である。
「亮くん……貴方、ガンプラは持ってるの?」
「い、一応持ってはいますけど……」
桜は亮の肩をガシッと掴み、スゴいオーラを放ちながら聞いてきた。
そのオーラはまるでニュータイプが放つプレッシャーのような凄みを持っている。
「なら明日持って来て! 練習試合は……明日だから」
「ちょっ、明日って急すぎですよ! それに操作とかわからないですし!!」
「操作方法とか今から教えるから叩き込みなさい! いいわね!!」
「……はい」
亮は観念し、大人しく従うことにした。
ガンプラは桜のを借り練習は19時まで行われ、帰る頃にはヘトヘトになってしまっていた。
「大丈夫?」
「……桜先輩はスパルタ過ぎだ」
「ごめんね。でも数時間であそこまでの機動ができるなんてスゴいよ」
スパルタで行われた練習の成果で、亮の機動はかなり良くなっていた。
もう少し時間があればよかったのだが、運命の練習試合は明日。
これ以上はさすがに無理であった。
「それじゃボクはこっちだからまた明日。ガンプラは忘れないようにね」
桜は学校を出てすぐに別れ、今は晃と愛と三人で帰っていた
晃とも別れると亮は愛と二人きりになってしまう。
話すことなくしばらく歩いていると、いきなり愛が立ち止まる。
「どうかしたのか?」
「明日……練習試合勝ったら、なんでも言うことを一つ聞いてあげる」
「はぁ!?」
立ち止まった愛を心配してか亮も立ち止まりそちらを向くと、いきなりそのような発言をされて亮は驚いてしまう。
「それじゃ私はコッチだから」
爆弾のような発言をして愛はさっさと行ってしまい、一人残された亮はしばらくその場に固まっていた。
しばらくしてから回復し家に着いた亮は夕飯を食べ、風呂に入ると部屋でGPベースを設定してから机の上に大事に飾っているヅダを見る。
「まさかこんなことになるなんてな……明日は頼むな」
ヅダを撫でてから亮は就寝するために灯りを消した。
決戦は明日、素人のリョウが作ったヅダだが愛情は負けていないと思いながら眠りについた。
そして翌日、亮はGPベースとヅダを大事そうに持って学校に向かう。
途中出会った人に挨拶をしてから普段通り学校で授業を受け、運命の放課後になったのだがこんな日に限って亮は担任に呼ばれ、大幅に遅れてしまっていた。
「あぁもう! 今日に限って……遅れてすみません!」
模型部の部室である扉を開けると既にバトルは行われていた。
相手側のガンダムキュリオスと桜のトールギスⅢのバトルで、見るからに圧されている状態であった。
「亮くん! 遅いよ!!」
「ごめん! で、それより現状は?」
「ボクも愛も負けちゃって、先輩も……」
「先輩……」
キュリオスは勝負を決めようとトランザムを発動し機体が赤くなる。それに対してトールギスⅢはヒートロッドを横に振るがかわされ、懐に入り込まれてしまった。
キュリオスのシールドの先端が開きトールギスⅢを捕らえると、シールドニードルが飛び出しその身体を貫いた。
『Battle Ended』
システム音声と共にプラフスキー粒子が解放されフィールドは光の粒となり消滅する。
フィールドには勝者となった相手のキュリオスと、無惨な姿のトールギスⅢだけが残された。
「ハッハッハッ! これで終わりかな~? やっぱりたいしたことないじゃん!!」
「慢心はダメです。ですが……ソチラは全員敗北ということで……おや? 人が増えていますね。ソチラの方も部員ですか?」
「亮くん! 間に合ったのね!!」
「遅れてすみません。俺は矢倉 亮、練習試合なのに遅れてすまない」
「別に構いません。時間が勿体ないので早く始めましょう。最後の相手は私、西河 澪です」
「わかった。始めよう」
筐体を挟み、亮と相手の西河 澪は向かい合った。
『Please Set Your GPBase』
バトルシステムが起動するとシステム音声が操作を促し、亮と澪はGPベースを筐体にセットした。
筐体からキラキラと輝くプラフスキー粒子が放出されフィールドを形成し、何もなかった筐体の盤面が宇宙となる。
『Please Set Your GUNPLA』
亮はヅダをセットするとバトルシステムがサーチ光でガンプラを包み込む。
光が広がり亮の回りにガンプラを操縦するコンソールが出現し、迷うことなく操縦桿を掴む。
「見るからに貴方のヅダは素組ですね。綺麗に仕上げていますが、そのような機体で私とバトルとは……馬鹿にしているのですか?」
澪は色々と改造されているシナンジュをセット。それは見るからに強いと判断できる出来映えであった。
「確かにこのヅダは素組だよ。だがな……先輩たちのよりも、アンタ達のガンプラよりも性能が劣るだろうな。だけど……負ける気はしないんだよ。ヅダはもうゴーストファイターじゃないんだからな」
「笑わせてくれますね。現実を教えてあげましょう」
『Battle Start』
「矢倉 亮、ヅダ、出撃する!」
「西河 澪。シナンジュ・アナザー、出ます」
カタパルトからヅダとシナンジュが発進し、バトルフィールドである宇宙に飛び出した。
どうでしたか?
頑張るのでこれからもよろしくお願いします
ここでオリ主と愛機のヅダの紹介を!!
名前
矢倉 亮
備考
蒼城学園一年で模型部にはまだ正式入部していない
クラスメイトの御影 愛に部を守るために力を欲しいとのことで巻き込まれる
父親に見せてもらった機動戦士ガンダム MS IGLOOに出ていたヅダに一目惚れし、購入してから自分なりに綺麗に仕上げて完成させる
ガンプラ
EMS-10 ヅダ
武装
135㎜対艦ライフル
ザク・マシンガン
シュツルム・ファウスト
ヒート・ホーク
シールド・ピック
備考
ツィマッド社が開発したジオン公国軍の試作機
新型の「土星エンジン」を搭載しているとされる。加速性能は当時のMSの中でも最高クラスであり、最大推力はガンダムをも上回る
原型である「EMS-04 ヅダ」はかつてジオニック社製のザクIとの制式採用をかけたトライアルで争った
性能はこちらが上回ったが、コストが1.8倍もかかる上、空中分解を起こし不採用となった
本機はそれをを改良した機体である
外観が若干変更され武装が追加されているが、基本的には同じ物であり、高速移動時に方向転換を行った場合に機体が負荷に耐え切れずに空中分解するという欠点(というより設計ミス)は改善されていなかった。軍のプロパガンダの一環として、ゴーストファイターとなった。
それでは次回をお楽しみに!