予想以上に冒頭の音楽会のくだりが延びてしまったので、
本編には入りませんので短めです。
今回もよろしくお願いしまーす。
ゴールデンウィークもあっという間に過ぎていき、俺は最終日の音楽会のため城に来ていた。
もちろん私服というわけにもいかないから今はスーツ姿である。
堅苦しいのは好きではないが、スーツを着ること自体はあんまり違和感を感じない。
「茜姉さんと光、そろそろトイレ掃除終わったかな。大変だね」
「遥、俺が慈悲を与えたこと忘れるなよ」
「わ、わかっているよ。式兄さん」
「しかし、意外だな。お前なら茜や光の代わりにトイレ掃除してやるかと思ったぞ」
「冗談、さすがに面倒だよ。そこまで優しくないぞ俺は」
「さすが兄者。『獅子はわが子を千尋の谷に落とす』ということですね!」
「いや、俺兄だし、そうな素晴らしい意図はないよ……」
そして、輝よ。ずいぶんと難しい言葉を知っているんだな。どこで知ったんだろう?
先に着替えを済ませた男組は、先に集合場所で会話をしていた。
おそらくだが茜と光のトイレ掃除も終わってるだろうし、みんなで準備してるのだろう。
女性の準備には時間がかかる、これは世界の真理である……
「みんな、お待たせ」
ようやく葵姉さんが青いドレス姿で出てくると、他の兄妹達もぞろぞろとやってくる。
やっぱり、うちの家の美人偏差値は高い。みんなそれぞれ自分にあったドレスを着ており非常に似合っていた。
「茜、トイレ掃除終わったのか?」
「うん、やっと終わっよ。式にも手伝ってほしかったかも」
「罰ゲームなんだからしょうがないだろ」
軽く頬を膨らましている白いドレスを着た茜の頭を撫でながら返すと
「男組、女性陣のドレス姿見て一言もなし?」
紫のドレスに身を包んでいる奏は少し不満げな顔で俺たちのことを見てくる。
「ん?とても似合ってるよ奏」
「……あんた、屈託ない笑顔で簡単にそう言えるのすごいと思うわ」
なぜか、奏は頬を赤らめてしまう。確かに普通なら女性にこんなセリフ簡単に言わないが、父さんに言われた通り俺たちは……
「家族なんだから問題ないだろ?」
「まぁ、そうなんだけどね……」
「遥!私も褒めて!」
「はいはい、綺麗だよ岬も」
「修ちゃん、どう?それとも、能力でボンキュンボンのほうがよかった?」
「別にならんでいい。大きさとかどうでもいいし」
「姉上も栞もとても似合ってますぞ」
「ありがとう、輝お兄ちゃん」
「ありがとう、輝。輝もよく似合ってるわよ」
「あら!みんなよく似合ってるわよ」
「お前ら揃ったか?そろそろ始まるぞ。一応テレビも来ているから失礼なことはしないようにな」
『はーい』
母さんと父さんが来たところで兄弟の褒め合い合戦も終わり、俺たちは音楽会へ行くこととなった。
俺たちが座るのは王族専用の特等席である。おかげでステージもよく見える。
「相変わらず、すごいところだな」
「私たち普段は普通の生活してるけど、毎年あるこういう行事のたびに王族だって感じるよね。……でもそれよりもテレビに出てる時にそう思うかな」
「確かに毎週特集はあるけど、普通に生活してれば毎回取り上げられることなんてないだろ」
「でも、私かなりの頻度で取り上げられるんだけどなんで!?」
「自分の胸に聞いてみろ……」
いくら特集をされてても何もないことを取り上げるより、おもしろい事を取り上げるのが普通だ。それだけ茜がやらかしているということなのだが、本人はそのことに気付いていない……
逆に選挙のためにテレビに積極的に出ようとする奏が空しくなるだろ。
「静かにしなさい。始まるわよ」
奏に睨まれる形で俺と茜の会話は終わり。音楽会が始まった。
毎年聞いているが、さすが城で演奏するだけあり、綺麗な音色が耳を通り抜けていく。
修辺りは、すぐに眠くなりそうだが、でもこんなピアノを聞いて眠くなるなんてセンスを疑うけどな。
茜はカメラの存在があるせいか少し落ち着きがない。
「茜、せっかくの音楽会なんだから、もう少しリラックスして聴けよ。もったいないだろ?」
「う、うん。でも、やっぱりカメラが……」
茜の視線はステージではなくすぐ下の方のアナウンサーとカメラの方に向いていた。
「気にしすぎだ。そっちじゃなくて普通にステージの方を見とけよ」
「わかったよ」
すると茜は純粋に音楽会を楽しみ出したのをみて、俺もゆっくりと音楽を聴くのであった。
ついでに、修はやっぱり寝ていたようだった……
短い!でも、この後長くなるのでここで切るしかなかった。
兄弟一人一人のセリフを考えるとどうしても長くなって、テンポが悪くなっちゃいますね。まぁ、しょうがないか。
そして、ヒロインを決めていないせいでなんか式君にハーレム王の素質が芽生えちゃってます。どうしよう……