城下町のダンデライオンー偽物の10人目ー   作:雨宮海人

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昨日投稿できませんでした!
これで、一日一投稿が途絶えてしまった……
でも、ちょうどいいので少しペースを落としていきたいと思います。
というわけで今回は岬サミット回です。
それではよろしくお願いします!


第18話

『この後、私と遥の部屋に来てください』

 

紗千子とお茶をした次の日、学校が終わり、生徒会の手伝いなり、部活に顔をだすなり、悩んでいるところで岬から変なメールが届いた。

 

「無視したいところなんだけど、いかないと何言われるかわからんな」

 

俺はため息を吐きつつ家に帰るのであった。

 

「ただいま、岬なんか用か?」

 

家に帰った俺はその足で岬達の部屋に顔を出すと、長机が置いてあり、岬が8人と遥が座っていた。

 

「やっと来た!というわけで特別ゲスト2人目の式兄です!」

 

「お前片っぱしから声かけるのやめろよ……」

 

俺の登場に岬はテンション上がっているようだが、遥は頭を抱えていた。

 

「さっきあか姉に断られちゃって、式兄なら選挙に積極的じゃないから暇だと思って!」

 

「他のみんなより暇なのは認めてやるが。癪に触るなぁ……」

 

「でも、僕的に助かるから式兄さんにはいてもらいたいかな」

 

「で、俺を呼び出した理由ってなんだよ」

 

「みんな選挙に向かって動き出してるんだよ!私たちも何かやらないと!」

 

「あー、大体わかった」

 

つまり岬はみんなが選挙で忙しくなっていってるのに自分は何もしてないことに焦っているのだろう。

 

そこで選挙対策として岬サミットを始めたわけか。

 

しかし、わざわざ分身する意味があったのだろうか?

 

どれも結局岬なわけで、多少尖った意見も出るかもしれないが、本人が思いつかないことは分身も考えつかないはずなのでここに出ている意味は全くないはずである。

 

むしろめんどくさくなるだけな感じがする。

 

「でも、岬って王様になりたいのか?」

 

「特別そう思ってはいないけど……他のみんなって私利私欲のために王様になろうとしてるでしょ、それってどうなのかと思って」

 

「何もしてない人に言われても……」

 

「ぐっ……」

 

遥の言葉が岬に刺さるが、確かにみんな一番の目標は私利私欲の人が多い。だが――

 

「王様になる以上。私利私欲だけでは成立しない。それに仮にそれを踏まえても選ぶのは国民だ。お前一人の意見が通るわけはないだろ」

 

「で、でも国民を一番に考えられる人が王様やった方がいいじゃない!」

 

「岬にそれができるの?」

 

遥の言うことはもっともだ。国民を一番にそれは大切なことだが簡単ではない。少なくとも俺にはできない。

 

「できる!」

 

「まぁ、嘘なんですけどね」

 

「えっ!?」

 

「意思は統一してくれよ……」

 

なぜか岬の答えは分身内で勝手に分かれていた……分身も岬の一部なのでこれじゃあどっちがほんとなのかわかりやしない。

 

「うぅ、遥は一体だれの味方なの!」

 

「強いて言うなら僕だな」

 

なるほど、岬は遥に味方をして欲しい、いや、自分を認めてほしいんだろう。

 

そんなに焦らんでも遥は十分岬のことを認めてると思うんだが……

 

すると急に岬が魂の抜けたような表情になる。

 

「岬のやつ急にどうしたんだ?」

 

「岬も他の姉さんたちと同じく、私利私欲で動いてることに気付いただけですわ」

 

「自分に自分の核心を突かれるってすごい話だな」

 

しかも振り返っていると岬の理由が一番個人的な気がすんだよな。わざわざ王様になる必要性が皆無すぎる。

 

正直このままの気持ちなら俺は岬を王様に薦めたくはないんだけど。

 

「その理由ってなんなんだ?」

 

「……そこまで教える義理はありませんわ」

 

分身になぜか悪者のように扱われる遥が少しかわいそうな気もするがしょうがない。

 

しかし、こういう岬は遥じゃないとどうにもならん。

 

「なぁ、遥。お前の視点から見て岬は王様に向いてると思うか?」

 

「なんだ式兄さん藪から棒に。うーん、岬は確かに姉さんたちと同じく国王にならなきゃいけない理由があるんだと思うけど、岬はちゃんと国民のことも考えられているんだから、志としては十分だし、向いてると思うよ」

 

「いいこと言えるじゃないか遥」

 

「やめてくれよ式兄さん。恥ずかしいじゃん」

 

「私立派な王様になれるかな?」

 

「なれるよ、少なくとも僕よりは」

 

遥のその言葉は岬を慰めるためなのか、それとも別の意味なのか俺にはわからなかったが、

 

「うん、わかった。私も選挙活動頑張る!」

 

岬を勇気づけるにはちょうどいいものだったようだ。それに国民を大切にする気持ちがちゃんとあるのなら岬にだって王様になってほしいと俺も純粋に思えるので嬉しい限りだ。

 

「だから遥も協力して!」

 

「えっ!?でも、演説のために修兄さんとか、式兄さんの方がうまくサポートできるんじゃ――」

 

しかし、岬は遥のその言葉に頬を膨らましてしまう。遥も姉心のわからんやつだな。

 

「俺は選挙については不干渉を貫くつもりだから。岬のサポートはお前がしてやれ」

 

俺は基本的に選挙に積極的に参加するつもりもないし、俺が誰かを手助けするのもあんまりよくないだろう。

 

それでも、奏のことは手伝ってやってもいい気持ちもあるのだが……

 

「……式兄さんにそこまでいわれると何も言えないよ。しょうがないな岬は、でもやるなら徹底的にやるぞ!」

 

「「「お~う!」」」

 

その声とともに今まで一切の口出しを出してなかったブブまでも立ち上がった!

 

「おお、今まで沈黙を保っていたブブまで!?」

 

分身たちも一致団結しているということは本当に意思が固まった表れなのだろう。

 

「プリンの声がする……」

 

「「そっちかい!?」」

 

俺と遥は全力でツッコムはめになった。しかし、プリンの声が聞こえるって、分身にも何かしらの能力が付与されてるのではないかと疑いたくなるものだな……

 

その後、茜達がプリンを買って帰ってきて、みんなでそれを食べるのだった。

 

次の日からは岬も遥も選挙のために動き出しており、なんやかんやで俺以外の家族全員がなんかの形で選挙に向きだした。

 

そのことに俺は満足な感じもしたが、何もしない自分に寂しさも感じるのであった。

 




短いですね……
そして、ゲームにはまって話も進まない。どうしようかな~
次回からはアニメ6話の葵の話となります。
それでは、お気に入りなどよろしくお願いします。

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