Charlotte~君の為に……~   作:ほにゃー

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仕事完了

「ここに能力者かいるのか」

 

友利は一人空き教室の前に立っていた。

 

能力者である倉橋が放課後ここにいるのを聞き、やって来た。

 

だが、ここに来る途中で、今日生徒会に入ってばっかりの響をどこかに置いてきてしまった。

 

しかし、気にせずそのまま一人で調査を続行し、倉橋自身のロッカーから証拠となる盗品と販売物の売買の記録、顧客リストなどをビデオカメラに納め、空き教室へと向かった。

 

すると、空き教室の扉が開き、中から数名の男子が出て来きたので、友利は近くの物陰に隠れる。

 

そして、空き教室には倉橋一人となった。

 

その瞬間を逃さず、友利は能力で倉橋から見られないようにして、教室へと入った。

 

「今日もいい稼ぎになったな」

 

空き教室の中央では、男子生徒が札束を数えていた。

 

「それにしても、この能力って便利だな。これさえあれば、どれだけ物を盗んでもバレないし、店の品も手に触れずに盗める。俺って世紀の大怪盗かもな」

 

(とんだ思考ですね)

 

「この能力に目覚めてから金に困ることは無くなったし、本当に便利だよ」

 

そう言い、男子生徒は能力で教卓に置いてあるペットボトルを自分の手の中に移動させる。

 

(能力使用の証拠も取れたし、忠告と行きますか)

 

友利は能力を解き、男子生徒の前へと現れる。

 

「釣れた」

 

「な!?だ、誰だ?」

 

行き成り現れた友利に、男子生徒は驚き狼狽える。

 

「どうも、生徒会長の友利です。別の学園のですが」

 

「ど、どうして、よその学園の生徒会長が?」

 

そう質問する男子生徒に友利は答えず、カメラで男子生徒を撮り続けながら話し続ける。

 

「まさか、学内を騒がせ続けてる盗難の犯人が、こんな人畜無害そうな男子生徒だなんて。誰も思ってもいないでしょうね」

 

「…………盗難って、一体何を根拠にそんなこと言ってるんですか?」

 

「お客さんの一人がゲロったんっすよ。それと、貴方のクラスのロッカーを調べさせてもらいました。ロッカーに会った盗品と販売物の売買の記録、顧客リストなどは全部このカメラに撮っておきました。それとこれを見てください」

 

ビデオカメラの画面を男子生徒に向け、能力を使用したシーンを見せると、男子生徒は驚きと悔しそうな表情をする。

 

「貴方は空間移動の能力を持ってる。その能力を使って、人の物を奪い、それを他の人に売ってお金を得ていた。どうして、こんなことを?」

 

「……………俺の家はとても厳しいんだ。高校生だってのに月の小遣いは三千円。そんなはした金で、何が出来ると思う?高校生にとって三千円なんて一週間もあれば使い切っちまう!だが、この能力で盗んだものを相場より安く売れば金になる。だからだ!」

 

「遊ぶ金欲しさにって奴ですか。そんな、犯罪犯した未成年の言い訳みたいなこと言う人、まだ居たんっすね」

 

ふざけた様な態度をとる友利に、男子生徒は苛立ち、能力を使った。

 

すると友利の上半身の制服が消え、下着だけの姿になった。

 

「………なるほど。目で視認したものを空間移動する能力ですか」

 

上半身が下着姿なのにも関わらず友利は平然と立っていた。

 

「お前………………恥ずかしくないのか?」

 

「なんで下着見られたぐらいで恥ずかしがらないといけないんですか?」

 

その言葉が余計に腹だったのか今度はスカートも能力で移動させ、友利は下半身も下着姿となった。

 

流石に恥ずかしいのか、友利は僅かに身じろぎをする。

 

そのことに気付いた男子生徒は、友利に近づくとその手を掴んで抑えた。

 

友利は捕まれた状態で能力を使うのは意味がないのを分かっているので能力を使わずに対抗する。

 

しかし、足を払われて倒れ込み、男子生徒に馬乗りをされる。

 

「お前の能力は姿を消せるみたいだが、こうされたら姿を消しても意味ないよな」

 

この時、友利は響を連れて来るべきだったと後悔した。

 

「なぁ、男子の間で一番売れる物って何か知ってる?それはね……………女子の生写真だよ」

 

そう言い、男子生徒は携帯のカメラで友利の下着姿を撮ろうとする。

 

「武士の情けで、顔にモザイクは入れてやるから、顔バレはしない。だから、安心しろ」

 

男子生徒が携帯のボタンを押す。

 

 

 

 

 

押そうとした瞬間、友利が見たのは、夕日をバックにこちらへ向かう響の姿だった。

 

第三者SIDE END

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

響SIDE

 

友利を見失った俺は、仕方なくこの高校の屋上へと上がり、視力を強化し、友利を探すことにした。

 

もう少しで能力が切れそうだと言うところで、俺は友利を発見した。

 

だがそれは、空間移動の能力者の能力によって服を奪い取られてるところだった。

 

相手は男だ。

 

まずい!

 

そう思ったが、今の俺は視力以外普通の男子高校生だ。

 

ここから、向かいの校舎まで向かったらそれこそ時間がない。

 

能力が切れて三十三秒のインタパールが終えた瞬間、能力を発動し、脚力を強化して、向うに飛んだ方がいい。

 

俺は焦りながら能力が切れるのを待った。

 

能力が切れたのは友利が能力者の男と取っ組み合いになった瞬間と同じだった。

 

早く!早く三十三秒経ってくれ!

 

三十三秒が経った瞬間、男は友利を押し倒し、馬乗りになった。

 

同時に脚力を強化し、友利達が居る教室へと一気にジャンプする。

 

そして、そのまま空き教室の窓ガラスをぶち破り、男の背後を取る。

 

「な!?」

 

男が俺に気付いた瞬間、俺は鳩尾を殴る。

 

男は苦痛に顔を歪めるが、反撃しようと俺に攻撃を仕掛けて来る。

 

その攻撃を躱し、顎を蹴り上げ倒す。

 

そのまま男は倒れ、気を失う。

 

「友利!大丈夫か!?」

 

「ええ、まぁ、一番危なそうな所は回避できたって感じです」

 

「なんで、俺を置いて行った?」

 

「置いて行ったんじゃなくて、貴方がはぐれただけですから」

 

「そうであっても、俺を置いてくな。お前が襲われてるの見てこっちはヒヤヒヤしたんだぞ」

 

そう言って、俺は制服の上着を脱ぎ友利に掛ける。

 

「それで、体隠しとけ」

 

「………………どうもっす」

 

「………で、こいつはどうする?」

 

「取り敢えず、縛って置きましょう。暴れ出したらこまるんで」

 

俺の制服の上着を着ながら友利が言う。

 

俺はその男子生徒の腕を背中で縛り、目が覚ますのを待った。

 

「い、いてて…………」

 

「目が覚めましたか?」

 

友利がビデオカメラ片手に問いかける。

 

男子生徒は友利の顔を見ると、今度は俺の顔を見る。

 

「テメー、さっき俺を殴った………」

 

「友利と同じ生徒会の者だよ」

 

「さて、本題に入りましょう。私たちは別に貴方を警察に突き出すつもりはありません」

 

「…………本当なのか?」

 

「はい。ですが、このまま能力を使い続けたら、酷い人生になります。実験として科学者に解剖とかされたいですか?」

 

「か……解剖……」

 

「はい。だから、警告です。その力は思春期の病の様なもの。いずれは消えます。お金はまっとうなバイトでもして稼いでください」

 

「……………もし、俺がその警告を無視して能力を使い続けたらどうする?」

 

「貴方が能力を使ったどうかは分かります。貴方を探し出したのと同じ手段で」

 

「で、警告を無視したら次は実力行使。痛みで分かってもらう」

 

そう言い、俺は強化した握力で中身の入った缶ジュースを握りつぶす。

 

「……………分かった。能力はもう使わない。アンタたちの言うことに従う」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「結局上は見つからなかったのか?」

 

「どうやら、物を移動させる前に何処に移動させるかをはっきりさせる必要があるそうです。それをしないと、予期せぬ場所に移動するらしいんですよ。スカートの方は、幸いにもすぐ近くに移動してました」

 

今の友利の恰好は下着の上から俺の制服の上着を着て、下はスカートの状態だ。

 

「さて、帰りましょうか」

 

「ああ」

 

こうして、俺の生徒会での初仕事は、無事終わりを迎えた。

 

ちなみに、高城だが、何故か、アイドル研究部と言う部に聞き込みをし、部員と意気投合していた。

 

まさかのアイドルオタクかよ……………………

 


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