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一人の女性がとある墓地を歩いていた。
手には水が入った桶と柄杓、そして菊の花束があった。
そして、とある一家の墓の前に立つと、墓の掃除を始める。
「たっく………ちょっと時間を置くとすぐにこれですよ。雑草生えるの早いつーの」
女性はぶつくさと文句を言いながら雑草を抜き、墓に水をかけ磨く。
墓の掃除を終えると、新しい花を沿え、御供え物として持ってきたまんじゅうを置く。
「どーも。おはよーございます、響」
女性の名は友利奈緒。
この墓に眠る一之瀬響とは高校時代の生徒会仲間だ。
響は高校一年の夏、とある事件に巻き込まれ、その時に友利を庇って亡くなった。
彼が死んで三年。
友利は19歳となっていた。
「さて、何から話しましょうかね………高城からにでもしますか」
墓の前に座りながら、友利は話しかける。
「高城の奴、大学に進学しました。しかも、学部は教育学部。アイツ、教師になりたいそうっすよ。何故かって聞いたらアイツ「自分も一之瀬さんのように、誰かの為に行動する大人になりたいからです」って言ったんですよ。どんな教師になるか楽しみですね。まぁ、相変わらず黒羽さんのファンやってるらしいですけど。学内でゆさりんファンクラブとか作って、そこの会長やってるみたいですし。あの辺は変わってないみたいですけど」
「黒羽さんは芸能活動が忙しいらしくて、進学はしてません。でも、すごい人気ですよ。ハロハロは解散しちゃいましたが、ソロデビューしてます。今度、映画にも出るんですよ。しかも主演っすよ主演!今では誰もが知ってる人気アイドルです。友人に有名人がいるってなんか凄いですよね」
「歩未ちゃんは星ノ海学園に進学しました。もう能力者じゃないから、進学する必要はないんですが、自分の兄や私が通った学園に通いたいって。しかも、私のような生徒会長を目指すって言うんですよ………私なんかいい反面教師です」
「次は凄いですよ。なんと、乙坂有宇は医学部に進みました。人助けをしたい。貴方が救ってくれた命を、今度は違う人を救う為に使う。そう言ってました。でも、ここからが大変でしょうけどね。試験だって補欠合格ですし」
「隼翼さんと由美さんは、工藤さんの施設で働いています。二人とも子供達に人気ですよ。特に由美さんなんか、子供たちがやんちゃ過ぎて車椅子の身には大変だとか言うぐらい人気です。………今度、あの二人、式を挙げます。私も招待されてるんですよ、きっと凄い良い式になると思います」
言いたい事をあらかた言うと、友利は墓石をじっと見つめる。
「私は大学には進学しませんでした。実はあるカメラマンの人に弟子入りして、今はそこで雑用しながらカメラの技術を叩き込まれてます。しかも、その師匠ってのが、乱暴でしてね!間違えると、すぐに手を出してくるんっすよ!………でも、凄く良い人です」
そう言って友利はため息を吐く。
「さて、もう行きますね。実は、午後から仕事なんで」
空になった桶を手に立ち上がる。
「また来ますね。次は皆できます」
そういい残し、友利は来た方向へと帰っていく。
『がんばれよ、奈緒』
何処からか声が聞こえた。
友利は思わず振り返る。
そして、墓の隣に響が立っているのが見えた。
驚き、目を擦りもう一度見ると、今度は何も見えなかった。
「………はい。頑張りますね」
顔に自然と笑みが浮かび、友利は晴れやかな気持ちで墓地を後にした。
予告
「響!友利!熊耳さん!よかった、無事で……!」
ありえたかもしれない未来。
一つのIF。
「とにかく皆無事でよかったよ」
「ありがとな、有宇」
だが、決してそのIFが正しいとは限らない。
「テロだと!?このタイミングで!」
「海外の組織が強硬手段にでやがったんだよ!」
最強の能力を手に入れようと、動き出す敵組織。
「駄目だ……!いくら過去に逃げでも……あの能力からは逃げられない……!」
「有宇!響君と共に逃げろ!」
選択された行動は一つ。
「未来に飛べ!」
未来へのタイムリープ。
「な、なんなんだ……この世界は………!」
一人の能力者によって統治された、恐怖の世界。
未来に飛んだ響と有宇は、何をするべきなのか。
「いたぞ!能力者だ!」
「捕まえろ!」
行われる能力者狩り。
「どうなってんだよ!思春期を終えたら、能力は消えるんじゃ無かったのかよ!」
能力者の特殊部隊。
未来の現状がわからぬ二人の前に、現れたのは一人の女性。
「どーも。お久しぶりです、反乱軍のリーダー、友利奈緒です」
「どうして未来はこうなった!?」
「現れたんですよ。略奪に続く、最強の能力者が」
万の能力を使う最強の能力者
「略奪が……効かない!?」
「これが…………最強の能力者……!」
「駄目だ……勝てない!」
「諦めるのか?」
「立て。まだ終わってはいない」
現れた謎の男。
その正体は………
「あんたは………!」
「過去に戻れ。そして、奴を殺せ」
「十年前のこの日、その時でしか奴は殺せない」
「お前だったのか………」
IF story Charlotte~未来を変えて……~ 現在作成中